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【例文あり】自己PRの「書き出しの正解」を元人事が解説|基本的なポイント・インパクトを出すコツとは

元大手人事が、自己PRの「書き出しの正解」を解説。本記事では、自己PRの書き出しが重要な理由や、押さえるべき基本的なポイント、インパクトを出すコツ、そのまま参考にできる例文をご紹介します。

「自己PRの書き出しが決まらない」「最初の一文で何を伝えるべきかわからない」
このように悩んで筆が止まってしまうことはありませんか?

そこで本記事では、元日系大手人事でen-courageで就活サポーターをしている成田さん監修の基、自己PRの「書き出しの正解」を解説。

自己PRの書き出しが重要な理由や、押さえるべき基本的なポイント、インパクトを出すコツ、そのまま参考にできる例文をご紹介します。

自己PRの書き出しが重要な理由

「自己PRの書き出しが重要な理由」というタイトルのもと、第一印象が決まること、読むか読まないかが決まること、そして文章全体のまとまりに影響することの3点が挙げられています。下部には成田さんのコメントとして、人気企業の担当者は時間が限られているため、書き出しで結論が不明瞭だと流し読みされてしまうリスクがあることが説明されています。

元大手人事・成田さんの経験によると、自己PRの「書き出し」は評価に大きく影響を与えるポイントです。採用担当者の心を掴むために、なぜ書き出しが重要なのか、その理由を解説します。

第一印象が決まるから

書き出しは第一印象そのものです。心理学の初頭効果にある通り、最初に触れた情報は評価に強く影響します。膨大な書類を確認する採用担当者の記憶に残るには、冒頭で端的に強みを伝え、心を掴むことが不可欠です。

読むか読まないかが決まるから

冒頭の質は、最後まで読んでもらえるかどうかの分かれ道です。特に人気企業では、担当者が1枚に割ける時間はわずかです。書き出しで結論が不明瞭だと、中身がどれほど良くても流し読みされるリスクがあります。詳細を読ませるためのチケットを得るには、冒頭のフックが重要です。

文章全体のまとまりに影響するから

書き出しは文章の設計図です。最初に結論や要約を宣言することでゴールが定まり、エピソードの脱線を防げます。書き出しが定まれば、続く内容も一貫性のある論理的な構成となり、読み手にストレスを与えない文章になります。

▼自己PR全体の構成・書き方について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
エントリーシートの受かる自己PRの書き方強みの選び方と構成・書くポイントを元人事が解説

自己PRの書き出しのポイント

「自己PRの書き出しのポイント」と題された画像で、4つの重要なポイントがリスト形式で示されています。具体的には、結論を最初に述べること、具体的な数字や実績を入れること、企業の特徴と自分の強みを結びつけること、そしてインパクトを出すことが推奨されています。

採用担当者に評価される自己PRには、共通する基本があります。元人事・成田さんの視点をもとに、書き出しで意識すべき4つのポイントを紹介します。

結論を最初に述べる

ビジネス文書の鉄則である結論ファーストを徹底しましょう。「私の強みは〇〇です」と最初に言い切ることで、読み手は内容を瞬時に理解できます。目標、姿勢、成果の3要素を意識し、端的に宣言することで、自信と論理性が伝わります。

具体的な数字・実績を入れる

抽象的な強みには、数字や実績を添えて説得力を持たせましょう。「リーダーを務めた」よりも「部員50名のリーダーとして退部率を10%改善した」と書く方が、成果の規模が客観的に伝わります。定量的な事実は、誰が見ても分かりやすい証拠となります。

企業の特徴と自分の強みを結びつける

自己PRは企業への貢献提案です。企業の理念や求める人物像と自分の強みが合致していることを、書き出しで示唆しましょう。相手に合わせたチューニングを行うことで、「自社に合いそうだ」と直感させ、通過率を高めることができます。

インパクトを出す

数ある応募書類の中で埋もれないためには、冒頭にフックが必要です。単なる事実の羅列ではなく、キャッチフレーズや圧倒的な成果を提示して知的好奇心を刺激しましょう。次項では、実際に成田さんが推奨する効果的なインパクトの出し方をパターン別に解説します。

書き出しでインパクトを出すパターン

実際にどのような書き出しなら採用担当者の心を掴めるのでしょうか。成田さんがen-courage利用者を指導する中で効果的だった、強みやエピソードに合わせた書き出しのパターンを紹介します。

パターン①:強み+どんな場面で発揮されるか

「書き出しでインパクトを出すパターン」の一つ目として、「パターン① 強み+どこで発揮されるか」が紹介されています。成田さんの解説によると、単に強みを述べるだけでなく、それがどのような状況下で発揮されるかを具体的に示すことがポイントとされています。

単に強みを述べるだけでなく、それがどのような状況で発揮されるかを示します。

<例文>
私は、利害関係が対立する場面でも、粘り強い対話で合意形成を図る「調整力」を発揮できます。大学のゼミ長として、意見が割れた研究方針を一つにまとめ上げました。

パターン②:強み+定量的な成果

書き出しのインパクトを出すための「パターン② 強み+定量的な成果」を紹介する画像です。ビジネスの現場で重視される成果を冒頭で提示することで、即戦力としての期待感を醸成できると成田さんが解説しています。

ビジネスで重視される成果を冒頭に持ってくることで、即戦力としての期待感を醸成します。

<例文>
私の強みは、現状を分析し最短距離で目標を達成する「課題解決力」です。カフェのアルバイトでは、オペレーション改善を主導し、ランチタイムの回転率を1.5倍に向上させました。

パターン③:周囲からの評価を引用

書き出しのパターンとして「パターン③ 周囲からの評価を引用」が提示されています。第三者からの評価を引用することで人柄や客観性をアピールでき、それがキャッチフレーズのような形式であればさらに効果的であると説明されています。

第三者からの評価を引用し、人柄や客観性をアピールします。

<例文>
私は周囲から「チームのエンジンのような存在」と言われます。どんな逆境でも前向きな声掛けを行い、組織のモチベーションを維持してプロジェクトを完遂に導く牽引力があります。

パターン④:強みをキャッチフレーズや比喩で表現

「パターン④ キャッチフレーズや比喩を活用」について説明した画像です。自分の特徴を何かに例えて表現することで強烈なイメージを残す手法であり、説得力のあるエピソードとセットで伝えるべきだと成田さんがアドバイスしています。

自分の特徴を例えて表現し、強烈なイメージを残します。説得力のあるエピソードもセットで伝えましょう。

<例文>
私は「スルメのような人間」です。派手さはありませんが、地道な努力を継続することで、時間の経過とともに周囲からの信頼と成果という味を出し続けることができます。

パターン⑤:強み+困難を乗り越えた経験

書き出しパターンの5つ目として、「強み+困難を乗り越えた経験」が紹介されています。逆境を乗り越えた経験を併せて伝えることで、入社後に直面する壁も乗り越えられる人材であることをアピールできるという解説が添えられています。

逆境を乗り越えた経験をセットにし、入社後にぶつかるであろう壁を乗り越えられることをアピールします。

<例文>
私には、逆境を成長の糧に変える「不屈の精神」があります。怪我で選手生命を絶たれた際も、裏方のデータ分析官としてチームに貢献し、創部初のリーグ優勝を支え抜きました。

パターン⑥:強み+貢献できること

「パターン⑥ 強み+貢献できること」と題された画像です。自分の強みを活かして会社で何ができるかを宣言し、入社後の活躍イメージを採用担当者に伝えることが効果的であると説明されています。

強みを活かして会社で何ができるかを宣言し、入社後の活躍イメージを伝えます。

<例文>
私は、徹底した顧客視点で潜在ニーズを掘り起こす「提案力」を持っています。この強みを活かし、貴社のソリューション営業において、顧客の期待を超える価値を提供し続けたいと考えています。

自己PRの書き出しの例文

ここでは、成田さんが実際に添削を行ってきた経験をもとに、よくある「落ちる書き出し」と改善した「受かる書き出し」を比較解説します。

コミュニケーション能力をアピールする場合

<落ちる例>
私の強みはコミュニケーション能力です。どんな人とでもすぐに打ち解け、会話を盛り上げることができます。

<受かる例>
私の強みは、利害関係が対立する場面でも、粘り強い対話で合意形成を図る「調整力」です。大学のゼミ長として、研究方針を巡り分裂寸前だったチームを一つにまとめ上げました。

<ポイント>

  • 具体的な言葉への言い換え:抽象的な「コミュニケーション能力」ではなく、「調整力」と言い換えることで、どのような役割を果たせるかが明確になります。
  • 強みの定義:「利害関係が対立する場面」と定義することで、単なる会話の楽しさではなく、ビジネスにおける課題解決能力であることを示しています
  • 強み+どんな場面で発揮されるか:「分裂寸前のチーム」という具体的なシチュエーションを提示し、困難な場面での再現性をアピールしています。

▼自己PRでコミュニケーション能力をアピールしたい場合は、以下の記事も参考になります。
【例文あり】コミュニケーション能力を自己PRでアピールするには?ポイント・言い換え方を元人事が解説

協調性をアピールする場合

<落ちる例>
私の強みは協調性です。周囲の意見をよく聞き、波風を立てないように心がけています。

<受かる例>
私の強みは、複雑な利害関係を調整し、組織を目標達成へ導く「合意形成力」です。意見対立により停滞していたプロジェクトにおいて、全員が納得する解決策を策定し、来場者数120%増を達成しました。

<ポイント>

  • 具体的な言葉への言い換え:単に「仲良くする」だけではないことを示すため、「協調性」を「合意形成力」と言い換え、ビジネスで通用するスキルとして表現しています。
  • 強みの定義:「組織を目標達成へ導く」と定義することで、目的意識を持った主体的な協調性であることを宣言しています。
  • 強み+定量的な成果:「来場者数120%増」という明確な数字を冒頭に持ってくることで、即戦力としての期待感を醸成しています。

▼自己PRで協調性をアピールしたい場合は、以下の記事も参考になります。
【例文あり】協調性を自己PRでアピールするには?ポイント・言い換え方を元人事が解説

継続力をアピールする場合

<落ちる例>
私の強みは継続力です。子供の頃からピアノを続けており、一度決めたことは辞めません。

<受かる例>
私の強みは、高い目標達成に向けて泥臭い努力を積み重ねる「完遂力」です。TOEIC900点取得のため、毎日2時間の学習を3年間1日も欠かさず継続しました。

<ポイント>

  • 具体的な言葉への言い換え:誰でも言える「継続力」ではなく、目標をやり遂げる「完遂力」と表現することで、ビジネスで重視される成果への執着心を示しています。
  • 強みの定義:「泥臭い努力を積み重ねる」と表現し、地味な作業も厭わない姿勢をアピールしています。
  • 強みをキャッチフレーズや比喩で表現:「泥臭い努力」という形容詞を用い、また「3年間1日も欠かさず」という事実で強烈なインパクトを残しています。

▼自己PRで継続力をアピールしたい場合は、以下の記事も参考になります。
【例文あり】継続力を自己PRでアピールするには?ポイント・言い換え方を元人事が解説

柔軟性をアピールする場合

<落ちる例>
私の強みは柔軟性です。どんな環境でもすぐに慣れることができ、臨機応変に対応します。

<受かる例>
私の強みは、予期せぬトラブルの中でも最適解を見つけ出し、組織を前に進める「柔軟性」です。計画が白紙になる危機に直面した際も、即座に代替案を実行し、納期遅れを未然に防ぎました。

<ポイント>

  • 具体的な行動の提示:「組織を前に進める」という言葉を加えることで、受け身ではなく、目的を持って変化に対応できる柔軟性であることを示しています。
  • 成果への期待:「最適解を見つけ出す」と宣言することで、混乱した状況でも解決に導ける推進力を感じさせます。
  • 強み+困難を乗り越えた経験:「計画が白紙になる危機」という逆境をセットにすることで、ストレス耐性と対応力の高さを伝えています。

▼自己PRで柔軟性をアピールしたい場合は、以下の記事も参考になります。
【例文あり】柔軟性を自己PRでアピールするには?ポイント・言い換え方を元人事が解説

行動力をアピールする場合

<落ちる例>
私の強みは行動力です。思い立ったらすぐ行動するタイプで、様々なサークル活動に参加しました。

<受かる例>
私の強みは、周囲の反対を乗り越えて改革を推進する「突破力」です。前例がないため全員に反対された企画でも、粘り強く交渉して実現させ、売上昨対比120%を達成しました。

<ポイント>

  • 具体的な言葉への言い換え:単に動き回るだけでなく、壁を壊して進む「突破力」と言い換えることで、責任感と成果へのこだわりを伝えています。
  • 困難の描写:「周囲の反対を乗り越えて」というフレーズを加えることで、自分の意思で道を切り拓ける強さを印象づけています。
  • 強み+困難を乗り越えた経験:「全員に反対された」という強い逆境(困難)からスタートし、それを覆した結果を提示することでストーリー性を生んでいます。

▼自己PRで行動力をアピールしたい場合は、以下の記事も参考になります。
【例文あり】行動力を自己PRでアピールするには?ポイント・言い換え方を元人事が解説

責任感をアピールする場合

<落ちる例>
私の強みは責任感です。任された仕事は期限を守って提出し、最後まで真面目に取り組みます。

<受かる例>
私の強みは、現状に満足せず、当事者意識を持って課題解決に取り組む「責任感」です。この強みを活かし、貴社の営業職において「あなたに任せれば安心だ」と言われる信頼と成果を提供し続けます。

<ポイント>

  • 当事者意識の表明:単にタスクをこなすだけでなく、「当事者意識」という言葉を使うことで、自分事として成果にコミットする姿勢を強調しています。
  • 能動的なアクション:「現状に満足せず~取り組む」とすることで、受動的な責任感ではなく、自ら改善に動くポジティブな強みであることを伝えています。
  • 強み+貢献できること:「信頼と成果を提供し続ける」と未来の貢献を宣言することで、入社後の活躍イメージを採用担当者に想起させています。

▼自己PRで責任感をアピールしたい場合は、以下の記事も参考になります。
【例文あり】責任感を自己PRでアピールするには?ポイント・言い換え方を元人事が解説

自己PRの書き出しの注意点

「自己PRの書き出しの注意点」として、避けるべき5つのポイントが整理されています。ネガティブな言葉を使わないこと、あいまいな表現を避けること、誇張や嘘を書かないこと、ありきたりな表現に終始しないこと、そしてエピソードとの一貫性を保つことが挙げられています。

せっかくの良いエピソードも、書き出しで損をしては意味がありません。成田さんが人事目線で気になった「避けるべき表現」をもとに、注意点を解説します。

ネガティブな言葉を使わない

書き出しはポジティブに始めるのが鉄則です。謙遜しすぎて「自信がない」と受け取られないよう注意しましょう。短所も「心配性→リスク管理能力」のように肯定的な表現に変換してください。

あいまいな表現を避ける

「〜だと思います」といった曖昧さは、ビジネスでは自信のなさと捉えられます。強みは言い切りましょう。また、前提情報を省略せず、初見の人にも伝わる具体性を意識してください。

誇張・嘘を書かない

実績を盛ったり嘘をついたりするのは厳禁です。面接での深掘りですぐに露呈し、信用を失えば不採用に直結します。小さな事実でも、等身大の言葉で語る方が価値があります。

ありきたりな表現に終始しない

単純な「真面目です」などの表現は埋もれてしまいます。自分なりのキャッチコピーや具体的な修飾語を加え、オリジナリティのある表現を目指しましょう。

書き出しとエピソードの一貫性を保つ

書き出しの強みとエピソードの内容がズレないようにしましょう。書き出しはエピソードの要約であるべきです。読み返して、論理的な一貫性を必ず確認してください。

よくある質問

就活のサポーターとしてよく聞かれる質問や、en-courage利用者へのインタビューで出てきた疑問への回答をご紹介します。

自己PRの書き出しは何文字くらいがいい?

一般的には40字〜80字程度が目安とされますが、企業のエントリーシートの形式や制限文字数によって最適なバランスは変わります。自己判断が難しい場合は、就活エージェントに相談し、プロの視点で全体のバランスを見てもらうことをおすすめします。

書き出しがどうしても思いつかないときは?

キーワードを書き出したり、他己分析を行ったりするのが有効ですが、それでも迷う場合は就活エージェントを活用しましょう。エージェントとの対話を通じて、自分では気づけなかった強みや、企業に響く最適な表現を引き出してもらうことができます。

ESと面接で書き出しは変えるべき?

基本内容は同じで構いませんが、伝え方は工夫が必要です。面接では話し言葉として自然になるよう調整が求められます。模擬面接などを通じて、最も伝わりやすい表現を就活エージェントと一緒に練習し、ブラッシュアップするのが確実です。

ガクチカと自己PRの書き出しが似てしまうときは?

焦点の当て方を変えることで差別化できますが、具体的な書き分けは難しいものです。自分のエピソードがどちらに適しているか、どう書き分けるべきか悩んだ際は、多くの事例を知る就活エージェントに相談し、客観的なアドバイスをもらうと良いでしょう。

▼ガクチカと自己PRの書き分け方について知りたい方は、以下の記事もご参照ください。
自己PRとガクチカの違いを解説元日系大手人事が企業の質問意図を教えます

キャッチフレーズを使うのはあり?

有効な手段ですが、独りよがりな表現は逆効果になるリスクもあります。そのキャッチフレーズが初対面の採用担当者に正しく伝わるか、インパクトと分かりやすさのバランスが取れているか、就活エージェントなどの第三者にチェックしてもらうことを強く推奨します。


監修:成田 駿

元日系大手人事/就活サポーター

日系大手事業会社で最年少部長に就任し、新卒採用に5年以上従事。戦略設計からイベント企画、選考フロー、研修まで新卒採用の入口から出口までを幅広く担当し、延べ3,000名以上の学生と接点を持つ。人事業務以外でも累計2,000名以上の就活生を個別に支援し、大手・外資・メガベンチャーなど多様な企業への内定実績を誇る。

協力:NPO法人en-courage

全国約120の大学に支部を展開し、就活生を対象としたキャリア教育支援を行うNPO法人。独自にイベントやメディアを多数運営し、年間2,500件以上のセミナーを開催。企業と学生の間に年間約80万回の接点を創出するなど、国内最大級の規模で活動している。すべての就活生が本質的なキャリアを通じて人生を最大化できるよう、個別支援やコミュニティづくりを通じたサポートを目指している。