「自己PRとガクチカって何が違うの?」「同じエピソードを使っても大丈夫?」
これは多くの就活生が抱える共通の悩みです。自己PRとガクチカは一見似ていますが、企業が評価するポイントは全く異なります。この違いを正しく理解し、効果的に書き分けられるかどうかが、選考突破の分かれ道となります。
今回は元日系大手人事で、en-courageの就活サポーターとして延べ3,000名以上の学生を支援してきた成田さん監修のもと、自己PRとガクチカの本質的な違いから、企業の質問意図、具体的な書き分け方、さらには同じエピソードを使う際の差別化テクニックまで、実践的なノウハウを詳しく解説します。
自己PRとガクチカの本質的な違い
元日系大手人事で、3,000名以上の学生と接してきた成田さんの経験上、自己PRとガクチカの違いを曖昧に捉えている学生は少なくありません。また、en-courage利用者からも、この二つの違いに悩む声は多く聞かれます。両者の本質的な違いを理解することが、選考突破の第一歩です。
企業の質問意図が違う
自己PRの質問意図:「あなたの『強み』は、入社後(未来)に活きるか?」
企業の強みや人柄が、自社の社風や業務と「適合」しているか(マッチ度)を見ています。今持つ能力の「再現性」を評価する質問です。
ガクチカの質問意図:「あなたは『過去』に、困難をどう乗り越え、成長してきたか?」
あなたの思考プロセスや行動特性、モチベーションの源泉を知ろうとしています。過去の経験から「ポテンシャル(将来の成長性)」を評価する質問です。
伝えることが違う
自己PRとガクチカは、求められる内容の焦点がまったく違います。企業が知りたい情報も、学生が伝えるべきポイントも変わるため、同じエピソードでも強調すべき部分が大きく異なります。
自己PR:「強み」を伝える
自己PRは、あなたの「強み」や「人柄」を伝え、「入社後にどう活躍・貢献できるか」をアピールする場です。ガクチカが過去のプロセスを重視するのに対し、自己PRは「現在のあなた」が持つ能力が焦点となります。
企業が知りたいのは「あなたの強みが自社の業務で活かせる(再現できる)か」です。単に長所を述べるのではなく、「私の強みは〇〇です」と結論を述べ、具体的なエピソードで裏付け、入社後の活躍イメージまで示す必要があります。
ガクチカ:「プロセス」を伝える
ガクチカは、過去の経験で「どのようなプロセスを経て成長してきたか」をアピールする場です。自己PRが「現在の強み」に焦点を当てるのに対し、ガクチカは「過去の行動」が焦点です。
企業は成果そのものより「課題にどう向き合い」「どう考え行動し(プロセス)」「何を学んだか」を知りたがっています。この思考・行動特性から、あなたのポテンシャル(成長力)や物事への取り組み方を把握し、入社後も成長できる人材か判断しています。
共通点:どちらも「エピソード」で説得力を持たせる
自己PRとガクチカは、アピール側面は異なりますが、どちらも「過去の具体的なエピソード」に基づかなければ説得力が生まれない点は共通です。
「私の強みは〇〇です」という主張も、「私は〇〇を頑張りました」という報告も、裏付けるエピソードがなければ「自称」に過ぎません。その人ならではの具体的なエピソード(数字など定量的情報)を用いて客観性を持たせることで、アピール内容に説得力が生まれます。
同じエピソードを使っても良い?
en-courage利用者へのインタビューでは「自己PRとガクチカで、同じエピソードを使っても良いですか?」という質問が頻繁に出てきます。ここでは、元人事の成田さんの視点も踏まえつつ、この疑問に対してお答えします。
【結論】エピソードのかぶりは問題なし
結論から言えば、自己PRとガクチカで同じエピソード(例:サークル活動)を使っても問題ありません。企業が知りたいのはエピソードそのものではなく、伝わる「あなたの強み(自己PR)」や「取り組み方(ガクチカ)」だからです。
質問意図さえ満たせれば、題材のかぶりは問題視されません。ただし、同じ視点で説明すると「他にアピールすることがない」と見なされます。次項の「アピールポイントのズレ」を意識し、異なる「切り口」で提示することが重要です。
重要なのは「アピールポイントのズレ」
同じエピソードを使う場合、アピールする「角度」や「焦点」を意図的にずらすことが重要です。企業の質問意図に沿って、アピールポイントを使い分けましょう。
- 自己PRで使う場合(強みに焦点):あなたの「強み」(例:傾聴力)が発揮された瞬間と、それによる「成果」に焦点を当てます。「この強みを使ったから、この成果が出た」という因果関係を明確にします。
- ガクチカで使う場合(プロセスに焦点):エピソードの「プロセス」全体に焦点を当てます。「なぜその行動を取ったか(思考)」「どう困難を乗り越えたか(行動)」「何を学んだか(成長)」を時系列で詳細に描写します。
一貫性について:表面的な強みは変えてOK、根本は統一する
自己PRとガクチカでアピール内容が矛盾しないよう、「一貫性」を持たせることは重要です。自己PRで「慎重派」と述べたのに、ガクチカで「即行動派」と述べると、人物像が掴みにくく説得力が失われます。
ただし、企業に合わせて表面的な「強み」の切り口(例:A社に「リーダーシップ」、B社に「分析力」)を変えるのは戦略として有効です。その場合も、根底の「価値観」や「就活の軸」は統一させる必要があります。例えば「リーダーシップ」と「協調性」は両立しますが、「個人主義」と「チームワーク重視」は矛盾します。根本で矛盾が生じないよう注意しましょう。
自己PRとガクチカの書き方の違い:構成・書き方・コツ
元人事の成田さんが3,000名以上の学生のESを見てきた中で、自己PRとガクチカをうまく書き分けられている学生は評価が高い傾向にありました。ここでは、成田さんが推奨する、両者の違いを明確にする構成と書き方のコツを解説します。
構成の違い
アピールする目的が違うため、最適な文章構成も異なります。
自己PRの構成(強み起点)
- 結論:一言で、あなたの強みは何か?
- 背景:その強みをどのように培ったのか?
- 課題:強みを発揮したとき、どんな課題に直面していたのか?
- 行動:その課題に対して、強みを活かしてどう取り組んだのか?
- 実績:その成果はどんな数値や事実で裏付けられるのか?
- 仕事への活用:その強みを企業でどう活かし、貢献できるのか?
ガクチカの構成(プロセス起点)
- 結論:一言で、学生時代に最も力を入れたことは何か?
- 目標:その取り組みでどんな目標を掲げたのか?
- 課題:どんな課題や困難に直面したのか?
- 行動:課題解決のためにどんな行動をとったのか?(ここが最重要)
- 成果と教訓:どんな成果を上げ、どんな力を身につけたのか?
- 仕事への活用:その経験や学びを社会人生活にどう活かすのか?
書き方の違い
構成だけでなく、アピールポイントを際立たせる「書き方(ニュアンス)」にも違いがあります。
自己PRの書き方
- 強みの具体性:「コミュニケーション力」のような抽象的な言葉で終わらせず、「対立意見を調整し合意形成する力」のように具体的に定義します。
- 客観的な根拠:その強みが発揮された結果(成果)を、数字や他者からの評価を用いて客観的に示します。
- 入社後の再現性:自分の強みが、志望企業のどの業務で具体的にどう活かせるのか(適合度)を明確に述べ、自信を持ってアピールします。
ガクチカの書き方
- 活動の熱意(動機):「なぜそれに力を入れたのか」という活動の背景や動機を具体的に描き、あなたらしさ(価値観)を伝えます。
- 課題と目標の明確化:どのような課題に対し、自分にとってどれだけ高い目標を掲げたのかを明確にします。
- ビフォーアフターの変化:あなたの行動(プロセス)によって、状況が「どう改善したか(ビフォーアフター)」を具体的に描写し、成長の過程を示します。
コツの違い
自己PRのコツ
- 強みと志望業務がどのように重なるかを具体的に示す
- 数字や客観的事実を使い、強みの根拠を明確にする
- 誰にでも当てはまる表現ではなく、あなたならではの強みに落とし込む
ガクチカのコツ
- 自分で設定した高い目標に向けて主体的に取り組んだ点を示す
- 取り組み前と後で何がどう変わったのかを具体的に示す
- 企業ならではの強みや価値を理解し、自分の経験がどこに結びつくかを示す
自己PRとガクチカの違いを例文で見る
自己PRとガクチカの違いは、具体的な例文で比較するのが一番分かりやすいです。ここでは、元人事の成田さんがレビューする際にも重視する「アピールポイントのズレ」が明確な例文を、en-courageのサポート実績から紹介します。
同じ部活経験を自己PRとガクチカで書き分ける
自己PR
私の強みは「課題を特定し、周囲を巻き込んで解決に導く力」です。大学の野球部で守備リーダーを務めた際、春季リーグでは連携ミスが多発し(計17件)、チームの敗因となっていました。私はこの原因が、練習時間の不足ではなく「実戦を想定した準備不足」にあると分析しました。そこで、限られた練習時間(1日40分)の中で、①過去のミスを分析し、ケース別の実戦形式の練習を導入、②練習中は私が即時フィードバックを行い、高速でPDCAを回す、という2つの改革を実行しました。結果、半年後の秋季リーグでは連携ミスを0に抑え、チームの勝利に貢献できました。この「課題特定力」と「巻き込み力」は、貴社のプロジェクト推進においても活かせると考えます。
ガクチカ
私が学生時代に力を入れたのは、野球部の守備リーダーとして連携ミスを0にする挑戦です。3年時の春季リーグでは、連携ミスが17件も発生し、チームは2勝4敗と低迷しました。私は守備リーダーとして強い責任を感じ、この課題の解決を目標に定めました。まず、過去の試合を分析した結果、技術的なミスより「準備や連携の意識」に起因するミスが多いと判明しました。しかし、練習時間は1日40分と限られています。そこで私は、①実戦形式の練習の割合を増やすこと、②練習中に1プレーごとに私がポジショニングなどをフィードバックすること、をチームに提案しました。当初は「他の練習をしたい」という声もありましたが、各選手と対話し、練習の意図を丁寧に説明することで協力を得ました。結果、6ヶ月後の秋季リーグでは連携ミスを0に抑え、チームも4勝2敗と好成績を収めました。この経験から、課題を正確に分析し、粘り強く周囲と協働することでチームの成果を最大化できることを学びました。
同じアルバイト経験を自己PRとガクチカで書き分ける
自己PR
私の強みは「相手の課題を深く理解し、可能性を引き出す傾聴力」です。個別指導塾のアルバイトで、3年間で10名以上の生徒を担当しました。当初はマニュアル通りに教えていましたが、生徒の意欲や理解度は十人十色であることに気づきました。そこで、担当生徒全員分の「個別成長ノート」を作成。対話を通じて趣味や課題、小さな成長を詳細に記録し、生徒の特性を徹底的に理解することを心がけました。その上で、生徒ごとに指導法や声かけを柔軟に調整した結果、担当生徒全員が目標を達成し、保護者の方からも「子供の隠れた長所に気づけた」と感謝の言葉をいただきました。この「相手を深く理解し可能性を引き出す力」で、貴社の顧客一人ひとりに寄り添い、成果に貢献します。
ガクチカ
私が学生時代に力を入れたのは、個別指導塾のアルバイトにおける生徒指導の質的改善です。大学入学時から3年間、10名以上の生徒を担当しましたが、当初は塾のマニュアル通りにこなすだけで、生徒の成績が伸び悩むことがありました。私は、この原因が「生徒一人ひとりの特性を理解しきれていないこと」にあると考えました。そこで、担当生徒全員分の「個別成長ノート」を作成。指導ごとに趣味や得意なこと、苦手な箇所、その日の成長点などを詳細に記録しました。また、復習テストや対話から理解度を分析し、「長所を褒めて自信を持たせる」指導法や、「生徒の趣味に合わせた例題」を使うなど、指導法を柔軟に調整しました。結果、担当した生徒10名全員が定期テストや受験の目標を達成し、「塾が楽しくなった」と言ってもらえるようになりました。この経験から、相手と徹底的に向き合い、その人に合わせた工夫を重ねることの重要性を学びました。
同じ留学経験を自己PRとガクチカで書き分ける
自己PR
私の強みは「逆境においても、自分にできることを見つけて粘り強く実行する力」です。交換留学先のオーストラリアの大学で、現地の学生と4人グループで課題に取り組んだ際、初回の議論で英語のスピードについていけず、私はほとんど発言できませんでした。このままではチームに貢献できないと強く感じ、語学力の差を「徹底した準備」で補うことを決意。①次回の会議までに必ず2つ以上のアイディアや調査内容を準備する、②調査で不明な点は自力で限界まで調べ、整理した上で教授やメンバーに相談する、という2点を自分に課しました。この姿勢を継続した結果、徐々に信頼を得てチームの議論を主導できるようになり、最終発表では高い評価を得ることができました。この「逆境での実行力」で、貴社の困難な課題にも粘り強く取り組みます。
ガクチカ
私が学生時代に力を入れたのは、オーストラリア留学中のグループ課題です。現地の貧困問題について4人グループでポッドキャストを作成する課題がありましたが、メンバーは私以外の3人がネイティブの学生でした。初回の議論では、私は彼らの会話についていけず、全く発言できない悔しさを味わいました。
私は「語学スキルが足りない」ことを言い訳にせず、「準備量」で貢献しようと考え、2つの工夫を行いました。
①数を意識した準備:会議で必ず2つ以上のアイディアを共有できるよう、他のメンバーより多くの文献や事例に目を通すことをノルマとしました。
②明確な相談:調査でぶつかった難所は、まず自力で調べ、理解できた部分と不明な部分を明確に整理した上で、教授やメンバーに助けを求めました。
この取り組みを続けた結果、次第にメンバーから「君の調査のおかげだ」と信頼されるようになり、最終的にはチームの議論を主導して課題を完成させることができました。この経験から、不利な状況でも自分にできることを見つけ、改善を重ねればチームに貢献できることを学びました。
【実践】自己PRとガクチカを差別化する4つのテクニック
自己PRとガクチカの違いは理解できても、実際に書き分けるのは難しいものです。ここでは、元人事の成田さんが「これはうまい」と感じた学生が実践していた具体的な差別化のテクニックを紹介します。
テクニック①:アピールする「強み」と「プロセス」を明確に分ける
最も基本的なテクニックは、同じエピソード(例:居酒屋のアルバイト)でも、書き出す前に「どのレンズで見るか」を決めることです。
「強み」レンズ(自己PR用)
経験で発揮された「能力・スキル」(例:課題発見力)を特定します。自己PRでは「強み」を主役に、入社後にどう活かせるか(適合度)をアピールします。
「プロセス」レンズ(ガクチカ用)
経験で「どう考え、どう動いたか」(課題→思考→行動→学び)の物語に注目します。ガクチカでは「プロセス」を主役に、あなたのポテンシャル(成長性)をアピールします。
テクニック②:構成を変える
自己PRは「PREP法」を意識する
自己PRでは、強み起点の構成が効果的です。「結論(Point)→理由(Reason)→具体例(Example)→結論(Point)」の流れで、最初に強みを明示することで、面接官に印象を残しやすくなります。
前述の6ステップ構成に当てはめると、「結論=強み」「背景・課題・行動・実績=理由と具体例」「仕事への活用=結論の再提示」という流れになります。
ガクチカは「STAR法」を意識する
ガクチカでは、プロセス起点の構成が効果的です。「状況(Situation)→目標・課題(Target/Task)→行動(Action)→結果(Result)」の流れで、時系列に沿って成長プロセスを伝えることで、あなたの思考力や行動力が明確に伝わります。
前述の6ステップ構成に当てはめると、「結論・目標・課題=状況と課題設定」「行動=具体的アクション」「成果と教訓・仕事への活用=結果と学び」という流れになります。
テクニック③:時系列や焦点を変えてエピソードに変化をつける
同じ「部活動」という題材でも、どの時期の、どの側面に焦点を当てるかを変えることで、異なるアピールが可能です。
自己PRの焦点
エピソードの「クライマックス(強みが発揮された瞬間)」と「エンディング(成果)」に焦点を当てます。例えば、試合当日の「とっさの判断力(強み)でピンチを脱した(成果)」など、瞬間的な強みの発揮場面を切り取ります。
ガクチカの焦点
エピソードの「オープニング(課題の背景)」と「ミドル(試行錯誤の過程)」に焦点を当てます。例えば、1年間かけた「チームの練習改革(プロセス)でチームを勝利に導いた(結果)」など、中長期的な取り組みの過程を詳細に描写します。
テクニック④:志望企業ごとに強調ポイントをカスタマイズする
自己PRもガクチカも、全企業に同じ内容を提出せず、志望企業ごとに強調点を「カスタマイズ」することが重要です。まず、企業の採用ページや理念を分析し、「どのような人材(強み、価値観)を求めているか」を明確にします。
その上で、自分の強みやエピソードから、「この企業(例:『挑戦』重視)には、この強み(例:リーダーシップ)をアピールしよう」「このエピソード(例:留学)が響くはずだ」と仮説を立てます。求める人材像に合わせ、自己PRで強調する「強みの側面」や、ガクチカで強調する「プロセスの側面」を調整することが内定への近道です。
差別化は、就活のプロに相談するのが確実
自己PRとガクチカの差別化は、自己分析と企業分析が深く関わるため、一人で完璧に行うのは簡単ではありません。考えた「強み」や「プロセス」が採用担当者に伝わるレベルか、論理的に差別化できているか不安な場合も多いでしょう。
そのような場合は、大学のキャリアセンターや就活エージェントなど、「就活のプロ」に相談するのが確実です。第三者の客観的なフィードバックで、自分では気づけなかったエピソードや価値観を引き出せ、差別化の精度を効率的に高められます。
自己PRとガクチカに関するよくある質問Q&A
就活のサポーターとしてよく聞かれる質問や、en-courage利用者へのインタビューで出てきた疑問への回答をご紹介します。
完全に同じ内容で提出するのはNG?
完全に同じ内容(コピー&ペースト)で提出するのはNGです。エピソードの「題材」がかぶること自体は問題ありませんが、自己PR欄とガクチカ欄に全く同じ文章を貼り付けると、「質問の意図を理解していない」「手抜きをしている」と判断され、評価が大きく下がります。
企業はそれぞれ異なる意図で質問しています。自己PRは「強み」を、ガクチカは「プロセス」を見ています。書き分け方に悩んだ場合は、就活エージェントに相談し、第三者の視点で添削してもらうのがおすすめです。
エピソードが複数ある場合、どれを優先すべき?
「その企業(志望職種)の求める人材像」に最も合致するエピソードを優先しましょう。自分が「最も頑張った」エピソードを選びたくなりますが、それが企業の求める人物像と一致しなければ評価されません。まず企業研究を行い、その企業が「協調性」を求めているのか、「挑戦心」を重視しているのかを把握しましょう。その上で、自分のエピソードと照らし合わせて「この経験なら求める強みを最も効果的に示せる」と判断できるものを選びます。
どのエピソードがより刺さるか迷う場合も、就活のプロであるエージェントに相談すれば、客観的なアドバイスをもらえます。
エピソードが全く思いつかない場合は?
「特別な経験がない」と悩む人は多いですが、実際は“言語化できていないだけ”のケースがほとんどです。全国大会優勝のような華やかな実績は不要です。まずは自己分析の「棚卸し」から始めましょう。ゼミ、アルバイト、趣味、日常の工夫など、どんな小さな経験でも構いません。それぞれについて「課題→行動→学び」を整理すると、自分の強みが見えてきます。
それでも見つからない場合は、就活エージェントに相談してみましょう。対話を通して、あなた自身が気づいていないエピソードや強みを一緒に掘り起こしてくれます。
自己PRとガクチカ、どちらから先に考えるべき?
まずは「ガクチカ」の源泉となる「過去の経験の棚卸し」から始めるのがおすすめです。自己PRとガクチカは別々の質問ですが、どちらも自分の経験をもとに作られます。
自己分析を通して、自分がどんな場面で力を発揮したか、どのように課題を乗り越えたかを整理すると、強みの根拠が明確になります。その「強みの原石」を、志望企業に合わせて磨いたものが「自己PR」です。
「経験の棚卸し→強みの抽出→自己PR作成」という流れが自然ですが、このプロセスを一人で行うのは難しい場合もあります。迷ったら、就活エージェントに相談して、あなたの経験を一緒に言語化してもらいましょう。
監修:成田 駿
元日系大手人事/就活サポーター
日系大手事業会社で最年少部長に就任し、新卒採用に5年以上従事。戦略設計からイベント企画、選考フロー、研修まで新卒採用の入口から出口までを幅広く担当し、延べ3,000名以上の学生と接点を持つ。人事業務以外でも累計2,000名以上の就活生を個別に支援し、大手・外資・メガベンチャーなど多様な企業への内定実績を誇る。
協力:NPO法人en-courage
全国約120の大学に支部を展開し、就活生を対象としたキャリア教育支援を行うNPO法人。独自にイベントやメディアを多数運営し、年間2,500件以上のセミナーを開催。企業と学生の間に年間約80万回の接点を創出するなど、国内最大級の規模で活動している。すべての就活生が本質的なキャリアを通じて人生を最大化できるよう、個別支援やコミュニティづくりを通じたサポートを目指している。