「志望動機・自己PRが1つの欄になっているが、どう書けばいいかわからない」「そもそも自己PRはどういう構成で書くべきかわからない」といった悩みをen-courage利用者からよく耳にします。
そこで今回は、元日系大手人事で、en-courageの就活サポーターとして延べ3,000名以上の学生を支援してきた成田さんの経験を基に、履歴書の自己PR欄における正しい構成・文字数を、欄のタイプ別に例文を交えて解説します。
そもそも履歴書における自己PR欄の役割とは
「履歴書の自己PR欄、何を書けばいいかわからない」。en-courage利用者へのインタビューでも、この悩みは非常に多く聞かれます。履歴書の自己PR欄は、「あなたらしさ」を企業にアピールする重要な項目です。ここでは、企業が自己PR欄で何を見ているのかを解説します。
なぜ企業は履歴書の自己PR欄を見るのか
企業が履歴書の自己PR欄を見る理由は、主に以下の3点を把握するためです。
- 人柄:応募者がどのような思考や行動パターンを持つ人物かを知るため
- 仕事への姿勢:業務に対してどのようなこだわりや取り組み方をするかを確認するため
- 社風とのマッチ度:自社の企業文化や価値観に合う人材かどうかを判断するため
「その人らしさ」を知ることで、入社後のミスマッチを防ぐ意図があります。
企業の評価ポイント
企業は自己PRを通じて、主に以下の3点を評価しています。
- 入社後に活躍できるか:応募者の強みや経験が、自社の業務で成果につながるかどうか
- 長く働き続けてくれるか:社風や働き方との相性が良く、定着してくれる人材かどうか
- 読みやすく端的にまとまっているか:限られたスペースで情報を整理し、わかりやすく伝える力があるか
単なるスキルの有無だけでなく、価値観や仕事への姿勢も重視されています。
ESの自己PRとの違い
履歴書とエントリーシート(ES)の自己PRには、以下のような違いがあります。
- 履歴書:簡潔さが求められ、150〜300字程度で強みを端的に伝える。職務に関連した強みが中心
- エントリーシート:300〜500字程度と字数に余裕があり、より詳細に強みやエピソードを記述できる
履歴書の自己PRは「自己PRのエッセンス」として、最も重要なポイントに絞って記載することが求められます。
▼ESでの自己PRの書き方については、以下の記事で詳しく解説しています。
エントリーシートの受かる自己PRの書き方強みの選び方と構成・書くポイントを元人事が解説
履歴書の自己PR欄には2つのパターンがある
成田さんが学生の履歴書を見ていると、「フォーマットごとの書き分け」ができていないケースが目立つと言います。履歴書の自己PR欄は主に2パターンあり、それぞれで書き方が異なります。まずは自分が使う履歴書がどちらのタイプか確認しましょう。
パターン①:「志望動機・特技・好きな学科・自己PR(アピールポイント)など」が1つの欄にまとまっているタイプ
JIS規格の履歴書などで見られる形式で、志望動機・自己PR・特技などを1つの欄にまとめて記載するタイプの履歴書です。
パターン②:「自己PR」だけの独立した欄があるタイプ
自己PRのみを記入する独立した欄があるタイプです。パターン①に比べて記入スペースが広く、より詳細なアピールが可能です。
どちらのパターンかで書き方・文字数配分が変わる
パターン①では、複数の要素を並列して書く必要があるため、全体のバランスを考慮し、各項目を簡潔にまとめる構成力が求められます。一方、パターン②では文字数に余裕があるため、単に理由を述べるだけでなく、冒頭で全体像を伝える結論から始め、具体的なエピソードや入社後の展望まで構成し、説得力を持たせることが重要です。
【パターン①】「志望動機・特技・好きな学科・自己PRなど」欄の書き方
成田さんは、このパターンの攻略法として「各項目のバランス」と「内容の一貫性」を挙げています。ここでは、限られたスペースを有効に使うための構成と文字数配分のコツを紹介します。
パターン①の構成・文字数
全体で数行から10行程度の枠であることが多いため、以下の文字数配分を目安にバランスよく配置します。
- 志望動機:約150文字
- 自己PR:約150文字
- 特技・好きな学科:約20文字
文字数が多い場合は構造整理が重要です。伝えたいポイントを絞り、見出しをつけるなどして整理すると、読みやすさが向上します。
■志望動機(150字程度)
150字程度で説得力を持たせるには、以下の構成を意識し、端的にまとめます。
- 結論(この企業を志望する理由を一言で)
- この企業を選んだ理由(なぜこの企業か、他社比較含む)
- 結論の強調(改めて、なぜこの企業でなければならないのか)
▼履歴書の志望動機欄の書き方については、以下の記事で詳しく解説しています。
履歴書の志望動機欄の書き方構成・文字数の正解を元人事が解説
■自己PR(150字程度)
自己PRも同様に、以下の流れで簡潔かつインパクトのある内容にします。
- 結論(強みを一言で)
- 行動(強みを活かしてどう取り組んだか)
- 実績(成果を数値や事実で裏付け)
- 仕事への活用(強みを企業でどう活かすか)
どのような困難に直面し、どう乗り越えたかというプロセスを示すと、成長性や人柄が伝わります。「改善した」「周囲を巻き込んだ」といった具体的な行動の事実を入れることがポイントです。
自己PRは本来6つの要素から構成されますが、ここでは4つの要素をピックアップして書きます。
▼自己PRを構成する6つの構成要素について知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
エントリーシートの受かる自己PRの書き方強みの選び方と構成・書くポイントを元人事が解説
■特技or好きな学科(1行)
スペースが限られるため、箇条書きや短い一文で記載します。単語だけで終わらせず、具体性を1つ加えて印象に残るものにしましょう。
-
例
- 読書(月5冊、推理小説中心)
- サッカー観戦(Jリーグを毎試合チェック)
単に「サークル活動」とするのではなく、具体的な役割や規模感を添えると、面接での会話のきっかけになります。
パターン①の書き方のコツ
パターン①では、限られたスペースを有効活用するために、読みやすい構成と簡潔な表現を心がけましょう。採用担当者がひと目で内容を把握できるようにすることがポイントです。
各項目のバランスを意識する
志望動機と自己PRは同程度の分量で記載しましょう。どちらかに偏ると、アピールのバランスが崩れてしまいます。特技は1行程度に収め、全体の8割以上を埋めることを意識してください。
志望動機と自己PRに関連性を持たせる
志望動機と自己PRに一貫性を持たせることで、説得力が増します。たとえば、志望動機で「顧客に寄り添った提案がしたい」と述べるなら、自己PRでもコミュニケーション力や傾聴力をアピールすると、ストーリーがつながります。
項目ごとに改行し、見やすくレイアウトする
志望動機・自己PR・特技は項目ごとに改行し、視認性を高めましょう。【志望動機】【自己PR】【特技】のように見出しをつけると、採用担当者が内容をすぐに把握できます。
【パターン②】「自己PR」だけの欄の書き方
自己PR専用の欄がある履歴書では、より詳しいエピソードを盛り込めます。成田さんが人事時代に高く評価していたのは、「5つの構成要素」を押さえた自己PRです。ここでは、その構成と書き方のコツを解説します。
パターン②の構成・文字数
パターン②の自己PRは、以下の5つの要素で構成することをおすすめします。
- 結論(一言で、あなたの強みは何か?)
- 課題(強みを発揮したとき、どんな課題に直面していたのか?)
- 行動(その課題に対して、強みを活かしてどう取り組んだのか?)
- 実績(その成果はどんな数値や事実で裏付けられるのか?)
- 仕事への活用(その強みを企業でどう活かし、貢献できるのか?)
この流れで書くことで、論理的かつ説得力のある自己PRになります。文字数は200〜300字程度を目安に、欄の8割以上を埋めましょう。
パターン②の書き方のコツ
パターン②では、自己PRに特化できる分、より具体的で印象に残る内容を目指しましょう。
限られた文字数で自分を印象づける表現を使う
限られた文字数で強みを効果的に伝えるには、冒頭にインパクトのある一文を置くことが重要です。キャッチフレーズを使ったり、Before→Afterで成果を示したりすると、採用担当者の印象に残りやすくなります。
定量的に書く
成果や実績は、具体的な数字を用いて表現しましょう。「売上を伸ばした」ではなく「売上を30%向上させた」、「多くの人をまとめた」ではなく「50人のチームを統率した」のように、定量的に書くことで説得力が増します。
再現性を提示する
エピソードで発揮した強みが、入社後も再現できることを示しましょう。「この経験を通じて培った〇〇を、貴社の業務でも活かしたい」と締めくくることで、採用担当者が入社後の活躍をイメージしやすくなります。
履歴書の自己PR欄の例文
「実際にどう書けばいいのかイメージできない」という方のために、パターン①とパターン②それぞれの例文を紹介します。自分の経験に合わせてカスタマイズして活用してください。
【パターン①】志望動機・自己PR・特技をまとめて書く例文
【志望動機】 ITの力で業務効率化を実現し、働く人の負担を減らしたいと考え、貴社を志望します。飲食店アルバイトでタブレット注文導入により業務が劇的に改善した経験から、システム導入の効果に感動しました。顧客に寄り添い、現場目線でのシステム開発を行う貴社で、利用者に喜ばれるエンジニアになりたいです。
【自己PR】 私の強みは「現状をより良くする提案力」です。アルバイト先のカフェでは、新人教育の遅れが課題でした。そこで、写真付きのマニュアルを自主的に作成し、業務フローを統一しました。結果、習得期間が1ヶ月から2週間に短縮されました。この課題発見力と行動力を活かし、貴社の業務でも貢献したいです。
【特技】 カフェ巡り(週に3店舗巡り、内装や接客の違いを研究しています)
【パターン②】自己PRだけを書く例文
私の強みは「現状をより良くする提案力」です。アルバイト先のカフェでは、新人スタッフの教育に1ヶ月以上かかり、繁忙期の人手不足が課題でした。そこで私は、写真付きのマニュアルを自主的に作成し、業務フローを統一。さらに、先輩スタッフと協力してOJT体制を整備しました。その結果、新人の習得期間が2週間に短縮され、繁忙期も安定した運営ができるようになりました。この課題発見力と周囲を巻き込んで改善を進める力を活かし、貴社でも業務改善や効率化に貢献したいと考えています。
履歴書の自己PR欄を書くときの注意点
成田さんが人事として履歴書を見てきた中で、「もったいない」と感じる自己PRには共通点がありました。せっかくのアピールを無駄にしないために、以下の注意点を押さえておきましょう。
第三者に添削してもらう
自己PRは客観的な視点でチェックしてもらうことが重要です。友人や家族、就活エージェントなどに読んでもらい、わかりにくい点や改善点を指摘してもらいましょう。第三者の意見を取り入れることで、より説得力のある自己PRに仕上がります。
結論ファーストで書く
自己PRは「私の強みは〇〇です」と、冒頭で結論を述べるのが基本です。結論を先に伝えることで、採用担当者が内容を把握しやすくなり、続くエピソードの理解度も高まります。
強みは1つに絞る
アピールしたい強みは1つに絞りましょう。複数の強みを挙げると、かえって印象がぼやけてしまいます。限られたスペースで最大限のアピールをするために、最も企業に響く強みを選んで深掘りすることが大切です。
求める人物像に合わせたPRをする
企業の求める人物像をリサーチし、それに合った強みをアピールしましょう。たとえば、チームワークを重視する企業には協調性を、主体性を求める企業には行動力をアピールするなど、企業のニーズに合わせた自己PRが効果的です。
最低8割以上は埋めつつ、枠からはみ出さない
自己PR欄は最低でも8割以上を埋めましょう。空白が目立つと「意欲がない」と思われる可能性があります。ただし、枠からはみ出すのはNGです。適切な文字数で、読みやすくまとめることが大切です。
よくある質問・FAQ
就活のサポーターとしてよく聞かれる質問や、en-courage利用者へのインタビューで出てきた疑問への回答をご紹介します。
書き出しはどう書けばいい?
「私の強みは〇〇です」と結論から述べるのが基本です。冒頭で強みを明示することで、採用担当者がすぐに内容を把握できます。書き出しに迷ったら、就活エージェントに相談して客観的なアドバイスをもらうのがおすすめです。
▼自己PRの書き出しのポイントについては、以下の記事で詳しく解説しています。
【例文あり】自己PRの「書き出しの正解」を元人事が解説基本的なポイント・インパクトを出すコツとは
締めくくりはどう書けばいい?
「この経験で培った〇〇を活かし、貴社の△△に貢献したいです」のように、入社後のビジョンで締めくくるのが効果的です。強みと志望企業をつなげることで、採用担当者に入社後の活躍をイメージしてもらえます。締め方に自信がない場合は、就活エージェントに添削してもらうと安心です。
▼自己PRの締め方については、以下の記事で詳しく解説しています。
【例文6選】自己PRの「締め方の正解」印象に残る書き方を元人事が解説
面接で深掘りされたらどう答えればいい?
履歴書に書いた内容について、「なぜそう考えたのか」「どんな困難があったか」「何を学んだか」を説明できるよう準備しておきましょう。自己PRのエピソードは面接で深掘りされる前提で、背景や過程まで整理しておくことが大切です。実践的な練習がしたいなら、就活エージェントに模擬面接をお願いするのも効果的です。
▼面接での自己PRの話し方については、以下の記事で詳しく解説しています。
【長さ別の例文付き】面接での自己PRの話し方コツ・練習方法・深掘り質問の対策を解説
自己PRが思いつかない場合はどうする?
まず自己分析から始めましょう。頑張ったこと、成果を上げたこと、褒められたことを書き出してみてください。友人や家族に強みを聞くのも効果的です。自分一人で悩むより、就活エージェントに相談すると新しい視点が見つかることも多いです。
監修:成田 駿
元日系大手人事/就活サポーター
日系大手事業会社で最年少部長に就任し、新卒採用に5年以上従事。戦略設計からイベント企画、選考フロー、研修まで新卒採用の入口から出口までを幅広く担当し、延べ3,000名以上の学生と接点を持つ。人事業務以外でも累計2,000名以上の就活生を個別に支援し、大手・外資・メガベンチャーなど多様な企業への内定実績を誇る。
協力:NPO法人en-courage
全国約120の大学に支部を展開し、就活生を対象としたキャリア教育支援を行うNPO法人。独自にイベントやメディアを多数運営し、年間2,500件以上のセミナーを開催。企業と学生の間に年間約80万回の接点を創出するなど、国内最大級の規模で活動している。すべての就活生が本質的なキャリアを通じて人生を最大化できるよう、個別支援やコミュニティづくりを通じたサポートを目指している。