「自己分析をしても、ガクチカになりそうな経験が本当に見つからない」 これは多くの就活生が抱える切実な悩みです。
今回は元日系大手人事で、en-courageの就活サポーターとして延べ3,000名以上の学生を支援してきた成田さん監修のもと、「ガクチカがない」と焦っている方へ、現状を打開するための考え方と具体的なアクションプランを解説します。
ガクチカが本当にない時はどうすればよいか?
ガクチカを用意する方法は2パターンある
まず前提として、ガクチカを用意する方法は大きく分けて2つです。
- 過去をさかのぼる(今までの経験から探す)
- 今からつくる(未来の行動で実績をつくる)
多くの人は①で悩みますが、①がダメなら②へ切り替えれば良いだけです。まずは、本当に①の「過去の経験」の中に種がないか、視点を変えて最終チェックをしてみましょう。
本当に「何もない」ですか?視点を変えて再確認しよう
「ガクチカがない」と言う学生の多くは、「人に自慢できるような、輝かしい成果(What)」を探してしまっています。しかし、企業が本当に評価したいのは「物事にどう取り組んだか(How)」というプロセスです。全国大会優勝やリーダー経験だけがガクチカではありません。
以下のような、一見地味に見える「日常の習慣」や「小さな工夫」にもガクチカのタネがあると考えています。
- 通学時間の活用: 往復時間を語学やニュースチェックに充て継続している
- 健康管理: ランニングや筋トレを続け、体調管理を徹底している
- 料理の工夫: 効率化や予算管理を工夫し、レパートリーを増やしている
これらは「誰に言われなくても継続していること」として、立派なアピール材料になり得ます。これまでの「見つけ方」でピンとこなかった方も、もう一度だけ、この「日常のプロセス」という視点で過去を振り返ってみてください。
▼ガクチカの見つけ方の詳細は、以下の記事で解説しています。
“ガクチカがない”は半分正解?平凡な経験から受かるガクチカを見つける方法
それでも見つからないことは、珍しいことではない
視点を変えて自己分析をやり直しても、「やっぱり自信を持って語れるエピソードがない」という場合もあるでしょう。
成田さんのもとにも、同様の悩みを抱える学生が多く訪れます。インタビューでも「平凡な学生生活だったから、どうしても書けない」という声は非常に多く、見つからないこと自体は決して珍しいことでも、恥ずかしいことでもありません。
無理に薄いエピソードを膨らませて不安なまま面接に挑むよりも、「現状はない」と認めた上で、戦略を切り替えることが重要です。
【結論】ガクチカは今から作ればいい!「期間」よりも「密度」が重要
過去に見つからないのであれば、「今からガクチカを作る」のが最も確実な解決策です。
「もう就活直前だし、遅いのでは?」と諦める必要はありません。ガクチカで評価されるのは「期間の長さ」ではなく、「目的を持って取り組み、工夫したプロセス」だからです。
新しくインターンやボランティアを始めるのも一つですし、現在なんとなく続けている趣味やアルバイトに「目標」を設定し、本気で取り組むことも立派なガクチカ作りになります。
ここからは、今からガクチカを作るための具体的な5つの選択肢と、短期間の経験でも評価されるエピソードに仕上げるコツを解説していきます。
今からでも間に合う理由
「今からでは遅いのでは」という相談は、en-courage利用者へのインタビューでもよく出てきます。しかし、成田さんが人事として3,000名以上の学生を見てきた経験から言えるのは、活動期間の長さは評価の決め手ではないということ。企業が見ているポイントを理解すれば、今からでも十分間に合います。
企業が見ているのは「すごい経験」ではない
多くの就活生が華々しい成果が必要だと誤解していますが、企業がガクチカで知りたいのは学生の人柄や価値観、仕事への取り組み方です。エピソードの派手さより、課題にどう向き合い、何を考え行動したかという過程が重視されます。
結果・実績の大きさより「過程・取り組み方」が重要
企業はガクチカを通じて「物事への取り組み方」を評価します。どのような課題に対し、どう原因分析し、どんな工夫で乗り越えようとしたかというプロセスが重視されるのです。結果的に大きな成果が出なくとも、試行錯誤の過程や失敗からの学びを伝えられれば、好印象につながります。
企業は「活動期間の長さ」をそこまで重視していない
「長く続けた経験でなければならない」というのはよくある誤解です。ガクチカに期間の指定はありません。実際に、就活と並行してインターンに参加したり、資格取得に取り組んだりして内定を獲得したケースは多々あります。
短期間でも「質」と「思考」でアピールできる
短期間の経験でも、「質」と「思考」を示せれば十分にアピール可能です。「なぜ始めたのか」「どんな課題があったか」「どう考え行動したか」「何を学んだか」という一連のストーリーを構築できれば、説得力のあるガクチカになります。
今からガクチカを作る2つのアプローチ
en-courage利用者へのインタビューでよく出てきたのが「何から始めればいいかわからない」という声です。成田さんが考える今からガクチカを作る方法は、大きく2つ。「新しい活動を始める」か「既存の趣味・習慣に目標を設定する」かです。
A. 新しい活動を始める(インターン、ボランティア、資格など)
新しい活動を始める場合、インターン、ボランティア、資格取得、アルバイトなどさまざまな選択肢があります。いずれの活動でも、「なぜ参加するのか」「何を成し遂げたいか」という目的を明確にしておくことが重要です。具体的な選択肢は後述しますが、残り時間や興味関心に応じて選ぶとよいでしょう。
B. 既存の趣味・習慣に目標を設定する
現在取り組んでいる趣味や習慣があれば、それに目標を設定してガクチカにすることも可能です。組織に属していなくても、工夫や努力の経験があればアピール材料になります。重要なのは、「何を達成したいか」「どんな工夫をしたか」を明確にすることです。
どちらを選ぶかの判断基準(残り時間、興味関心など)
どちらのアプローチを選ぶかは、主に「残り時間」と「興味関心」で判断しましょう。就活まで3ヶ月以上の余裕がある場合、インターンやボランティアなど新しい活動に挑戦することで、深いエピソードを作れます。
一方、時間がない場合は、既存の趣味やアルバイトに目標を設定し、短期集中で取り組む方が現実的です。また、アピールしたい強みから逆算することも有効です。チームでの成果を伝えたいならインターンやボランティア、個人の課題解決力を示したいなら資格取得など、目指す姿に合わせて選択してください。
今から始められる5つの対処法と比較
en-courage利用者へインタビューしてみると、「どの活動が自分に合うかわからない」という声が多く聞かれます。成田さんが学生によく勧める選択肢を、特徴とともに紹介します。
インターン
インターンは、ガクチカを作りたい学生に特におすすめの選択肢です。実務に深く関わり、社員と同等の業務を経験できる企業もあります。仕事に必要な基礎知識やビジネススキルを習得できるため、学びが多く、企業で活かせる経験となる可能性が高いです。また、取り組む学生が比較的少ないため差別化も図れます。志望業界のインターンに参加すれば、志望動機の説得力も増すでしょう。やりたいことが明確でなくとも、業務を通じて興味が湧くこともあります。
ボランティア
ボランティア活動は比較的参加しやすく、今からガクチカを作りたい人に向いています。Webサイトや自治体の情報を調べ、子ども支援、高齢者支援、環境保全など興味のある分野を探してみましょう。ボランティアは課題解決の機会が多く、困難をどう乗り越えたかアピールしやすいのが特徴です。自発的に参加するものなので、「なぜ始めたか」「なぜ続けたか」を語ることで、モチベーションの源泉や継続力を示せます。活動後は、苦労や楽しさ、学びを振り返り整理しておくと、作成時に役立ちます。
資格取得
資格取得は取り組みやすく、目標達成が可視化できる点が魅力です。合格すれば成果として示せ、プロセスを数字で説明しやすい利点があります。TOEICや簿記など実務的な資格は、採用側へのアピールにもつながります。ただし、取得だけではガクチカとして語りにくいため、計画的な取り組みが重要です。「なぜその資格を目指したか」「どのような学習計画を立てたか」「どれくらい勉強したか」を具体的に伝えましょう。業務に関連する資格を選ぶとより効果的です。
アルバイト
アルバイトはすぐに始められる選択肢の一つです。正社員に比べ裁量が少ない場合もありますが、目標を持って取り組めばガクチカになります。組織での活動としてアピールしやすく、多様な人との協働を通じて対人能力を示せます。また、「売上○%増」「顧客満足度向上」など、成果を定量的に表現できるのも魅力です。あえて苦手な職種に挑戦し、克服のために工夫した経験を語れば、課題解決力のアピールにもなります。
ゼミ・卒論への注力
ゼミや卒論は、個人の成果と組織活動の双方をアピールできる選択肢です。研究成果を出すまでの苦労や努力を言語化すれば、ガクチカとして通用します。必修である場合が多く、動機が生まれやすいメリットもあります。ゼミ長や合宿係などを担当すれば、リーダーシップや調整力のアピールも可能です。教授や外部と積極的に関わった経験は、対人スキルとして評価されやすいでしょう。学業は誰もが取り組む経験なので、工夫点や姿勢を伝えることで差別化できます。
【比較表】今から始められる5つの対処法
各活動の特徴は以下の通りです。自身の状況に合わせて選択してください。
今日からできる!具体的な第一歩となるアクション
「何から始めればよいかわからない」という方のために、成田さんが学生によく勧める具体的なアクションを紹介します。一人で悩まず、周囲の力を借りながら進めることで、気づかなかったガクチカの種が見つかることもあります。
就活のプロへの相談
「ガクチカが見つからない」「アピール方法が不明」といった場合は、エージェントなど就活のプロへの相談を推奨します。一緒に過去の経験を整理し、アピール可能な題材を探してくれます。自分では気づかない強みを発見できることもあるでしょう。また、言語化のサポートやES添削、面接指導まで総合的な支援を受けられるのもメリットです。一人で悩むより効率的に準備を進められます。
インターン・ボランティアを探す
インターンやボランティアは、就職情報サイトや専門プラットフォームで探せます。インターンは、「Wantedly」「ゼロワンインターン」などのサイトで、業界や職種を絞って検索可能です。ボランティアは、自治体のセンターやWebの募集サイトで情報を収集できます。子ども支援や環境保全など、興味のある分野を選びましょう。早期に参加しておくと、就活本番で焦らずに済みます。早めの行動が肝心です。
資格勉強を始める
資格取得を目指す際は、志望業界や企業で活かせるものを選びましょう。TOEICや簿記などは汎用性が高くおすすめです。資格を決めたら試験日程を確認し、逆算して学習計画を立てます。独学の場合は、口コミや体験談を参考に自分に合った参考書を選んでください。スクールや通信講座の利用も効果的です。毎日の学習時間を決めて習慣化し、模擬試験で定期的に実力を確認しましょう。取得の過程で培う計画性や実行力は、就活でのアピールポイントになります。
短期間の経験を「良いガクチカ」に仕上げるコツ
成田さんが実際に人事として選考に携わった経験から言えるのは、短期間の経験でも伝え方次第で十分評価されるということ。企業が重視するポイントを押さえれば、説得力のあるエピソードを作成できます。
目的意識を持って取り組む
短期間の経験を活かすには、「なぜ始めたのか」という目的意識の明確化が最重要です。企業は成果以上に姿勢を評価します。目標を定め、目的意識を持って注力すれば、短期間でも充実したエピソードになります。
ただし、「就活のため」という動機では説得力に欠けます。「大学での学びを深めるため」「仕事に活かすスキルを得るため」など、本来の目的を言語化しましょう。開始前に「何を達成したいか」を整理しておくと、後でまとめやすくなります。
記録をつける習慣をつける
活動中は日々の記録をつける習慣をつけましょう。振り返りの際、細部を思い出せないことはよくあります。感じたこと、工夫点、困難、学びなどを記録しておくと、貴重な素材になります。ノートやスマホのメモで構いません。
「今日行ったこと」「結果」「次に活かしたい点」など、簡単な項目で毎日振り返りましょう。この習慣は、社会人になってからも役立つスキルです。
論理的な構成で深みを出す
ガクチカは論理的な構成を意識しましょう。以下の6ステップの構成が推奨されます。
- 結論:一言で、学生時代に最も力を入れたことは何か?
- 目標:その取り組みでどんな目標を掲げたのか?
- 課題:どんな課題や困難に直面したのか?
- 行動:課題解決のためにどんな行動をとったのか?
- 成果と教訓:どんな成果を上げ、どんな力を身につけたのか?
- 仕事への活用:その経験や学びを社会人生活にどう活かすのか?
この順序で伝えるとエピソードに深みが出ます。特に「行動」で、なぜその行動を選んだか、どんな工夫をしたかを詳述することで、再現性と人柄をアピールできます。
▼ガクチカの構成・書き方などについて詳しく知りたい方は、こちらの記事もご参照ください。
ガクチカとは?「受かる書き方」を元日系大手人事が例文付きで徹底解説
経験を振り返り、次に活かそうとする意識を持つ
短期間で深い学びを得るには、「経験から学ぶ力」を意識することが大切です。企業は「現時点の能力」だけでなく、「入社後の成長可能性」も重視します。短期間でも「なぜそうなったか」「次はどうすべきか」を常に考えることで、学びは深まります。
失敗しても原因を振り返り、次に活かそうとする姿勢があれば、「学ぶ力」の証明になります。単にタスクをこなすだけでなく、「ここから何を学べるか」という視点を持ち続けましょう。
今から始めた経験をガクチカにした例文
en-courage利用者へのインタビューで出てきた実際の悩みをもとに、成田さんが添削・アドバイスした例文を紹介します。「結論→目標→課題→行動→成果と教訓→仕事への活用」の構成を意識し、自身の状況に合わせてアレンジして活用してください。
インターンをガクチカにした例文
<例文>
学生時代に力を入れたことは、IT企業での3ヶ月間のインターンシップにおける営業支援業務の改善です。私は実務経験を積みビジネススキルを身につけたいと考え、大学3年の夏からインターンに参加しました。配属されたチームでは、顧客データの管理が煩雑で、営業担当者が必要な情報を探すのに時間がかかっていることに課題を感じました。そこで「情報検索時間を短縮する」という目標を掲げ、現状の業務フローを観察し、社員の方々にヒアリングを重ねました。その結果、データの整理方法とカテゴリ分けの改善案を作成し提案したところ採用され、検索時間を約30%短縮することができました。この経験から、現場の課題を発見し、周囲を巻き込みながら改善策を提案・実行することの重要性を学びました。
<ポイント>
- 主体性のアピール:自ら課題を発見し提案した姿勢を伝える
- 具体的な成果:「30%短縮」など数字で成果を示す
- 継続的な取り組み:3ヶ月間という期間で深く業務に関わった事実をアピール
資格勉強をガクチカにした例文
<例文>
学生時代に力を入れたことは、3ヶ月間で簿記2級に合格するための計画的な学習です。私は将来ビジネスの基礎を身につけたいと考え、大学3年の秋から資格取得を目指しました。初めは専門用語の理解に苦戦し、模擬試験では合格点に遠く及ばない状況でした。そこで、毎日2時間の学習時間を確保し、苦手分野を分析して重点的に取り組む計画を立てました。通学時間には問題集の復習を行い、週末には模擬試験で進捗を確認。わからない箇所はSNSの学習コミュニティで質問し、理解を深めました。その結果、3ヶ月後の試験で無事合格を達成。目標から逆算して計画を立て、着実に実行することの大切さを学びました。
<ポイント>
- 困難と克服のプロセス:最初は苦戦したが、工夫して乗り越えた過程を描く
- 具体的な工夫:毎日の学習習慣、苦手分野の分析など行動を具体的に示す
- 学びの再現性:「計画を立て実行する」という仕事にも活かせる学びで締める
ボランティアをガクチカにした例文
<例文>
学生時代に力を入れたことは、地域の子ども向け学習支援ボランティアでの活動です。私は教育に興味があり、大学3年から週1回の活動に参加しました。当初は子どもたちとうまくコミュニケーションが取れず、勉強への意欲を引き出すことに苦労しました。そこで「子ども一人ひとりに合った関わり方を見つける」という目標を立て、まずは勉強以外の話題で信頼関係を築くことから始めました。また、得意科目や興味のあることを把握し、それを勉強と結びつける工夫を行いました。その結果、担当した5名全員の成績が向上し、保護者からも感謝の言葉をいただきました。相手の立場に立って考え、個別に最適なアプローチを工夫する力を身につけることができました。
<ポイント>
- 動機の明確化:なぜその活動を始めたのかを示す
- 試行錯誤のプロセス:課題を特定し、工夫して解決した過程を描く
- 相手目線の姿勢:相手のニーズに合わせた対応力をアピール
アルバイトをガクチカにした例文
<例文>
学生時代に力を入れたことは、飲食店アルバイトでの新人教育の改善です。大学3年からアルバイトを始め、半年後にはトレーナーを任されるようになりました。当時、新人の早期離職が課題となっており、私は「新人が働きやすい環境を作る」という目標を掲げました。まず新人に不安や困っていることをヒアリングし、研修後のフォローが不足していることを特定。そこで、新人一人ひとりの進捗を記録するシートを作成し、定期的な声かけを行う仕組みを導入しました。また、先輩スタッフにも協力を呼びかけ、チーム全体で新人をサポートする体制を整えました。その結果、新人の3ヶ月以内の離職率が半減し、店長から表彰されました。周囲を巻き込みながら課題を解決する力を身につけることができました。
<ポイント>
- 課題発見から解決まで:問題を特定し、仕組みを作って解決した流れを示す
- 周囲を巻き込む力:チームで取り組んだ姿勢をアピール
- 定量的な成果:「離職率半減」など数字で効果を示す
ゼミ・卒論をガクチカにした例文
<例文>
学生時代に力を入れたことは、ゼミでのマーケティング研究プロジェクトです。私は消費者行動に興味があり、「SNSが購買行動に与える影響」をテーマに研究しました。当初は先行研究の理解に苦戦し、研究の方向性が定まらない状態でした。そこで、教授に相談しながら研究計画を立て直し、週に1回の進捗報告を自主的に設定しました。また、100名を対象としたアンケート調査を実施し、データ分析のスキルを独学で習得。仮説検証を繰り返す中で、当初の予想とは異なる結果が出ることもありましたが、その都度原因を分析し、新たな仮説を立てて検証を続けました。最終的にゼミ内発表で高い評価を得ることができ、粘り強く探求し続けることの重要性を学びました。
<ポイント>
- 主体的な姿勢:自ら進捗報告を設定するなど、能動的に取り組んだことを示す
- 困難への向き合い方:予想外の結果にも粘り強く取り組んだ過程を描く
- 具体的な行動:「100名へのアンケート」「週1回の報告」など具体的な数字を入れる
注意点:今から作る際に避けるべきNG行動
成田さんが人事として選考に関わる中で、残念ながら見抜かれてしまうケースを多く見てきたそうです。焦りから陥りがちなNG行動を、事前に把握しておきましょう。
嘘や過度な誇張表現を入れる
ガクチカがないからといって、嘘や過度な誇張は避けてください。ESでは通じても、面接での深掘りで露呈する可能性が高いです。採用担当者は多くの学生を見ており、矛盾や不自然さを見抜きます。また、虚偽の内容で内定を得ても、入社後にギャップに苦しむ原因となります。最悪の場合、経歴詐称として問題になりかねません。重要なのはインパクトではなく、等身大の自分を伝えることです。
「ガクチカを作ること」を目的化する
「ガクチカ作り」自体が目的にならないよう注意しましょう。就活のためだけの活動は表面的になりがちで、深い学びを得にくいものです。採用担当者は、活動への真剣度を見抜きます。「学びを深める」「スキルを得る」「貢献する」など、本来の目的を大切にしてください。純粋な動機に基づく活動こそ、説得力のあるガクチカになります。
短期間の経験を、無理に長期間の経験のように見せる
短期間の経験を長期間のように見せるのは逆効果です。具体的な質問に対し答えられず、不信感を招きます。むしろ、正直に伝えたうえで「短期間だからこそ集中的に取り組んだ」「これだけの学びがあった」とアピールする方が好印象です。期間の長さではなく、成長と学びを具体的に語れるかが評価の分かれ目となります。自信を持って経験を伝えましょう。
よくある質問(Q&A)
就活のサポーターとしてよく聞かれる質問や、en-courage利用者へのインタビューで出てきた疑問への回答をご紹介します。
最短どれくらいでガクチカとして使える?
1〜2ヶ月程度でもガクチカとして使用可能です。重要なのは期間ではなく、目標を持って取り組み、学びを得ているかです。集中的に取り組めば、3ヶ月でサークル活動1年分(約250時間)と同等の活動量を確保できます。短期間であっても、目的意識を持って全力で取り組み、工夫や学びを得られれば評価対象となります。ただし、具体的なエピソードの作り方や伝え方に不安がある場合は、就活エージェントに相談することをおすすめします。プロの視点からアドバイスをもらえます。
高校時代の経験を使ってもいい?
指定がなければ高校時代の経験も使用可能です。ただし、それだけでは「大学では何もしなかったのか」と思われる可能性があります。高校時代の経験を話す場合は、大学生活へのつながりや、現在にどう活きているかを合わせて伝えるとよいでしょう。継続している活動なら、大学以降の取り組みに焦点を当てると効果的です。どのように伝えるべきか迷う場合は、就活エージェントに相談してみてください。
趣味や日常習慣でも本当に大丈夫?
趣味や習慣も十分アピール可能です。企業は「物事への取り組み方」を見ています。読書、料理、ランニングなども、目標を持ち工夫して取り組んでいればガクチカになります。「なぜ続けているか」「どんな工夫をしたか」「何を学んだか」を明確に語れるかがポイントです。ガクチカの視点で日常を振り返ってみてください。言語化が難しい場合は、就活エージェントと一緒に整理することで、自分では気づかなかったアピールポイントが見つかることもあります。
ガクチカを複数用意すべき?
複数用意することを推奨します。面接で複数聞かれる場合や、企業の求める人物像に合わせて使い分ける必要があるためです。チームでの経験と個人での取り組みなど、異なるタイプのエピソードを用意しておくと対応力が上がります。中学・高校時代を含め、2〜3個程度準備しておくと安心です。どのエピソードをどの企業に使うべきか判断に迷う場合は、就活エージェントに相談してみましょう。企業研究と合わせてアドバイスをもらえます。
監修:成田 駿
元日系大手人事/就活サポーター
日系大手事業会社で最年少部長に就任し、新卒採用に5年以上従事。戦略設計からイベント企画、選考フロー、研修まで新卒採用の入口から出口までを幅広く担当し、延べ3,000名以上の学生と接点を持つ。人事業務以外でも累計2,000名以上の就活生を個別に支援し、大手・外資・メガベンチャーなど多様な企業への内定実績を誇る。
協力:NPO法人en-courage
全国約120の大学に支部を展開し、就活生を対象としたキャリア教育支援を行うNPO法人。独自にイベントやメディアを多数運営し、年間2,500件以上のセミナーを開催。企業と学生の間に年間約80万回の接点を創出するなど、国内最大級の規模で活動している。すべての就活生が本質的なキャリアを通じて人生を最大化できるよう、個別支援やコミュニティづくりを通じたサポートを目指している。