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元日系大手人事が解説!インターン選考におけるエントリーシートの受かる書き方

元日系大手企業人事が、インターン選考のエントリーシート(ES)の書き方を解説。企業が重視する評価ポイントや本選考のESとの違い、書き方・マナー、志望動機・自己PR・ガクチカなどの設問別のポイント・例文などをお伝えします。

インターンシップ選考の第一関門であるエントリーシート(ES)。

本記事では、そんなインターン選考を突破するためのESの書き方について、en-courage利用者へのインタビューと、元日系大手人事として3,000名以上の学生を見てきた成田さんの知見をもとに解説します。

人事が実際に見ている評価ポイントから、本選考のESとの違い、書き方・マナー、志望動機・自己PR・ガクチカなどの設問別のポイント・例文などをお伝えします。

企業がインターンでESを課す理由

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元人事として多くの学生と接してきた成田さんは、インターン選考でESを課す背景には、企業側の明確な「選抜の狙い」があると語ります。限られた受け入れ枠に対し、企業はどのように学生を見極めているのでしょうか。ここでは成田さんの経験に基づき、企業がESを通じて確認したい3つのポイントを解説します。

優秀な学生を見極めるため

企業は本選考を見据え、早期に優秀な人材と接触したいと考えています。ここで言う優秀さとは、学業成績だけではありません。ビジネスの現場で求められる論理的思考力や、質問の意図を汲み取るコミュニケーション能力など、基礎的な素養の有無をESから判断しています。

学生の意欲を確認するため

学生の熱意も重要な評価基準です。企業はコストをかけてインターンシップを実施するため、目的意識を持って主体的に学ぶ姿勢のある学生を求めています。「なぜ参加したいのか」「何を得たいのか」という記述から、モチベーションの高さを測っています。

自社とのマッチ度を確認するため

学生の価値観が自社の社風と合致しているかも確認できます。優秀な学生であっても、企業の方向性と合わなければ早期離職のリスクがあるためです。ESのエピソードや言葉選びから学生の人柄を読み取り、自社の文化に馴染む人材かを見極めます。

本選考のESとの違いと共通点

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en-courage利用者へのインタビューから、多くの学生が「インターン選考と本選考の違い」に悩んでいることが分かりました。成田さんによれば、両者は形式こそ似ていますが、評価の重心は異なります。それぞれの特徴を整理します。

共通点

インターンシップ選考と本選考には、以下の共通した目的があります。

  • 学生の熱意や志望度の高さを確認する
  • 多数の応募者から候補者を絞り込む(足切り)
  • 論理的な構成やビジネスマナーの有無を見る

違い

一方で、評価されるポイントには明確な違いがあります。

  • インターンシップ選考:現時点のスキルよりも「参加への熱意」「学習意欲」「ポテンシャル」を重視する傾向にあります。
  • 本選考:「自社とのマッチ度」「即戦力としての貢献可能性」「入社意思の固さ」が厳密に問われます。

▼本選考のエントリーシートの書き方については、こちらの記事で解説しています。
落ちないエントリーシートの書き方企業が見ているポイントと対策まとめ

(ちなみに)落ちたら本選考にどう関わるのか

原則として、インターン選考の結果が本選考に直接的なマイナス影響を与えることは少ないです。ただし、近年はインターン参加者限定の早期選考ルートが増えているため、参加できないことが機会損失になる可能性はあります。落ちてしまった場合は、ESを見直して本選考への糧にしましょう。

インターン選考のESにおける企業の評価ポイント

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元人事の成田さんが実際に選考を行う際、数千枚のESの中で特に目を引いたものには共通点がありました。ここでは、採用担当者が審査時に重点的にチェックしている評価観点を解説します。

目的意識・論理的思考力

企業は、明確な意図を持って参加する学生を求めています。「このインターンを通じて何を学び、どう成長したいのか」が具体的に言語化されているかが重要です。また、その目的や強みを伝える際、結論から述べて理由と具体例で支えるなど、論理的で分かりやすい構成になっているかも厳しくチェックされます。これにより、ビジネスの基礎となる論理的思考力の有無が判断されます。

企業理解・マッチ度

「なぜ他社ではなく、当社のインターンなのか」という点に説得力があるかも評価の分かれ目です。業界や企業について事前にリサーチし、事業内容や社風を理解した上で志望動機が書かれているかが問われます。採用担当者は、自社のカルチャーにフィットし、将来的に活躍してくれる可能性を秘めた人材かどうかを、ESの文面から読み取ろうとします。

インターン選考におけるESを書く前の事前準備

インターン選考のESを書く前の事前準備のフローを示しており、自己分析、企業分析を経てインターンES作成に進む手順が描かれ、質の高いESは書く前の準備で9割決まり、人事は準備の有無を見抜けると成田さんが強調しています。

成田さん曰く、en-courageで多くの就活生を支援してきた経験から言えるのは、質の高いESは「書く前の準備」で9割決まるということです。いきなり書き始めるのではなく、以下の2つのプロセスを経てから取り組むことが、選考突破への近道です。

自己分析

自己分析はES作成の土台です。過去の経験を振り返り、自身の強みや価値観を言語化しましょう。ここが浅いと説得力のあるESは書けません。客観的に自分を見つめ直し、複数のエピソードを洗い出しておくことが大切です。

▼自己分析については以下の記事で詳しく解説しています。
自己分析を深める11のやり方目的・注意点・活用方法まで完全ガイド

企業分析

志望動機に深みを持たせるには、徹底した企業研究が欠かせません。公式サイトや募集要項を読み込み、事業内容や求める人物像を把握しましょう。「なぜその企業なのか」を具体的に語れるよう情報を整理することで、熱意を裏付けることができます。

▼企業研究については以下の記事で詳しく解説しています。
社会人が教える企業研究!企業研究の方法とは

インターン選考におけるESでの頻出事項

インターン選考のESにおける頻出事項をまとめたスライドで、自己PR、志望動機、ガクチカ(学生時代に力を入れたこと)、長所・短所、趣味・特技の5つの項目が緑色のボタン形式で並べられています。

成田さんがこれまでに支援した2,000名以上の学生からの報告や、実際の人事業務経験に基づくと、インターンのESで問われる項目はある程度決まっています。各質問の意図を正しく理解しましょう。

自己PR

自己PRは、自身の強みや能力を企業へ売り込むための項目です。企業はここから「学生の強みが自社業務でどう活かせるか」「どのような人柄か」を見ています。単なる自慢話に終始せず、具体的なエピソードを交えて「自分はこのような人間であり、貴社でこのように貢献できる可能性がある」と伝えることが重要です。

志望動機

志望動機は、その企業のインターンシップに参加したい理由と熱意を伝える項目です。企業側は「参加意欲の高さ」や「目的意識の有無」を確認しています。「自身が学びたいこと」と「企業のプログラム内容」の接点を明確にし、なぜ他社ではなくその企業のプログラムに参加する必要があるのかを論理的に説明しましょう。

ガクチカ

「学生時代に力を入れたこと(ガクチカ)」は、物事に取り組む姿勢やプロセスを評価するための項目です。成果の大きさそのものよりも、「どのような目標を掲げ、どのような課題に直面し、どう乗り越えたか」という行動の過程が重視されます。この記述から、企業は学生のモチベーションの源泉や、困難に対する耐性などを推測します。

長所・短所

長所・短所は、学生が自分自身を客観的に理解できているかを見るための項目です。長所では自己PR同様に強みを伝えますが、短所においては「自分の弱みを理解し、それとどう向き合い改善しようとしているか」という姿勢が問われます。単にネガティブな要素を挙げるだけでなく、改善に向けた努力や工夫をセットで伝えることが大切です。

趣味・特技

趣味・特技は、学生の人柄や価値観を知り、面接時のアイスブレイクのきっかけにもなる項目です。「どのような事柄に興味を持ち、熱中できる人物なのか」が見られています。仕事に直接関係する必要はありませんが、具体的な数字やエピソードを添えて「没頭度」や「意外性」をアピールできると、採用担当者の印象に残りやすくなります。

インターン選考における受かるESの書き方

インターン選考における受かるESの書き方として4つのポイントを紹介しており、結論ファーストで書くこと、行動の背景を論理的な順序で明らかにすること、数字を用いて定量的に具体性を持たせること、エージェントに添削依頼をして客観的な視点を入れることが推奨されています。

「内容は良いのに、書き方で損をしている学生が多い」と成田さんは指摘します。採用担当者は膨大な数のESに目を通すため、読みやすさは合否に直結します。読み手のストレスを減らし、内容をスムーズに伝えるためのテクニックを紹介します。

1. 結論ファーストで書く

どの項目においても、まずは結論から書き始める「結論ファースト」を徹底しましょう。「私の強みは〇〇です」と冒頭で明言することで、読み手は話の全体像を瞬時に把握できます。結論が後回しの文章は内容が頭に入りづらく、評価を下げる要因となります。

2. 行動の背景を順序に沿って明らかにする

結論を述べた後は、その根拠となるエピソードを論理的な順序で展開します。「概要→背景・状況→課題・困難→行動・工夫→結果・学び」という流れを意識すると、初見の読み手でも状況をイメージしやすくなります。特に「なぜその行動をとったのか」という背景や動機を丁寧に記述することで、人柄や思考プロセスが伝わります。

3. 数字を用いて定量的に書く

エピソードの具体性と説得力を高めるために、可能な限り数値を活用しましょう。「サークルの規模を拡大した」と書くよりも、「部員数を20名から50名に増やした」と書く方が、成果の大きさが客観的に伝わります。人数、期間、回数など、定量化できる要素は具体的な数字で表現することを心がけてください。

4. エージェントに添削依頼

自分で作成したESは主観が入りがちで、改善点に気づきにくいものです。完成度を高めるためには、友人や先輩だけでなく、就活エージェントなどのプロに添削を依頼するのも有効です。第三者の客観的な視点でチェックを受けることで、論理の飛躍などを修正でき、企業目線で評価される質の高いESへ仕上げることができます。

インターン選考におけるESの構成

en-courageが開催するセミナーでも推奨している、各項目の典型的な構成フレームワークを紹介します。この型に当てはめて記述することで、論理的で伝わりやすい文章を効率的に作成できます。

自己PR

自己PRの構成とコツを解説しており、400文字想定で結論、背景、課題、行動、実績、仕事への活用の6要素に配分する構成案と、強みと業務の重なりの提示、数字や事実での根拠記載、汎用的になりすぎないことという3つのコツが示されています。

構成

  1. 結論:一言であなたの強みは何か?
  2. 背景:その強みはどう培われたか?どのような場面で発揮されたか?
  3. 課題:直面した具体的な課題や困難は何か?
  4. 行動:強みを活かしてどう課題解決に取り組んだか?
  5. 実績:その結果、どのような成果が出たか(数値を用いて)?
  6. 仕事への活用:その強みで企業にどう貢献できるか?

コツ

  • 強みと志望職務の業務が重なることを示す。
  • 数字や事実で根拠を書く。
  • 汎用的になりすぎない。(例:協調性→対立を調整して合意形成できる協調性)

▼自己PRについては以下の記事で詳しく解説しています。
エントリーシートの受かる自己PRの書き方強みの選び方と構成・書くポイントを元人事が解説

志望動機

志望動機の構成とコツを解説しており、400文字想定で結論、将来像、原体験、業界を選んだ理由、企業を選んだ理由、インターンの目標の6要素に配分する構成案と、主体性の強調、志望につながる原体験の提示、企業固有の強みの理解という3つのコツが示されています。

構成

  1. 結論:一言でこのインターンを志望する理由は何か?
  2. 将来像:どのようなキャリアや将来像を目指しているか?
  3. 原体験:なぜそのビジョンを持つに至ったか(背景)?
  4. この業界を選んだ理由:なぜこの業界か?(他業界との比較含む)
  5. この企業を選んだ理由:なぜこの企業か?(他社との比較含む)
  6. インターンでの目標:このプログラムに参加して何を学び、どう成長したいか?

コツ

  • 主体性を強調する。
  • 志望につながる原体験を具体的に示す。
  • 他社にない企業固有の強みを理解する。

▼志望動機については以下の記事で詳しく解説しています。
エントリーシートの志望動機の構成と書き方!周りと差をつけるポイントを元日系大手人事が解説

ガクチカ

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構成

  1. 結論:学生時代に最も力を入れたことは何か?
  2. 目標:どのような目標を掲げて取り組んだか?
  3. 課題:活動中にどのような困難や壁にぶつかったか?
  4. 行動:課題を乗り越えるために具体的に何をしたか(独自の工夫)?
  5. 成果と教訓:結果どうなったか?そこから何を学んだか?
  6. 仕事への活用:その経験や学びを社会人としてどう活かすか?

コツ

  • 自分にとって高い目標を掲げ、その実現に挑んでいることを伝える。
  • 取り組み前後の状態の違いを明確に示す。
  • 経験を社会人生活で再現できる根拠を書く。

▼ガクチカについては以下の記事で詳しく解説しています。
ガクチカとは?「受かる書き方」を元日系大手人事が例文付きで徹底解説

長所・短所

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構成

  1. 結論(長所):私の長所は〇〇です。
  2. エピソード(長所):それが発揮された具体的な経験。
  3. 結論(短所):一方で、短所は〇〇です。
  4. 背景(短所):どのような場面で短所が出てしまうか。
  5. 改善行動:短所をカバーするためにどのような工夫や努力をしているか。
  6. まとめ:自身の特性を理解し、業務にどう向き合うか。

コツ

  • 長所は業務での再現性を意識する。
  • 短所は「改善しようとしている姿勢」や「強みの裏返しであること」をセットで伝える。
  • 致命的な短所(時間にルーズ、約束を守れないなど)は避ける。

趣味・特技

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構成

【一言記入型】

  1. 趣味名+具体的な補足(例:読書(月5冊、ビジネス書中心))

【簡単な説明型】

  1. 結論:趣味は〇〇です。
  2. 取り組み:具体的な頻度や内容。
  3. 学び:そこから得たこと。

【詳細記述型】

  1. 結論
  2. きっかけ
  3. 具体的なエピソード(工夫や努力)
  4. 学び・成長
  5. 仕事への活かし方

コツ

  • 面接での会話のきっかけになるよう、具体性を持たせる。
  • 「なぜそれに没頭したのか」という人柄が伝わるように書く。
  • ギャップや意外性があると印象に残りやすい。

▼趣味・特技については以下の記事で詳しく解説しています。
元日系大手人事が教える!エントリーシートでの趣味・特技の選び方と書き方

インターン選考におけるESの例文

成田さんがこれまで添削してきたESの中から、「落ちる例文」と「受かる例文」を比較・解説します。紹介する例文を参考に、自身のエピソードをブラッシュアップしましょう。

自己PR

インターン選考におけるESの例文として自己PRを紹介するスライドで、比喩を活用するとビジネスでの活き方を示せることや、アピールポイントは求められていることに設定すべきであるという成田さんのアドバイスが記載されています。

<落ちる例文>
私はマグロのような人間だと考えています。マグロは常に泳ぎ続けないと死んでしまう魚ですが、私も常に何か行動していないと気が済まない性格だからです。大学時代もサークル活動、アルバイト、ボランティアと様々な活動に参加してきました。どのような環境でも、持ち前の行動力で貢献できる自信があります。この行動力を活かして、貴社のインターンシップでも積極的に活動し、成果を出していきたいと考えています。

<受かる例文>
私は「回遊魚のマグロ」のように、目標に向かって行動し続ける持続的な実行力があります。大学時代、Webマーケティング企業の長期インターンに参加しましたが、当初はテレアポの成果が出ず悩みました。しかし、そこで止まらずに行動量を増やすことを決意。単にかける数を増やすだけでなく、断られた理由をノートに記録し、トークスクリプトを毎日改善して翌日に活かすサイクルを回し続けました。結果、3ヶ月目には月間アポイント取得数でチーム1位を達成しました。この「考えながら動き続ける力」を活かし、貴社の営業職インターンでも泥臭く成果を追求したいです。

<ポイント>

  • 比喩の活用:単に「マグロ」と言うだけでなく、ビジネスでどう活きるか(持続的な実行力)に繋げている。
  • 具体性:落ちる例は「様々な活動」と羅列しているだけだが、受かる例は一つの経験を深掘りし、PDCAを回したプロセスが明確。
  • 企業とのマッチ:営業職に求められる「行動量」と「改善力」をアピールできている。

志望動機

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<落ちる例文>
私が貴社のインターンシップを志望したのは、IT業界に強い関心があるからです。大学でプログラミングの授業を受け、システムを作ることの楽しさを知りました。貴社は業界最大手のSIerとして多くの実績があり、高い技術力を持っています。そのような環境で、優秀な社員の方々と一緒に働くことで、私の技術力を向上させたいと考えています。また、大規模なシステム開発の現場を見ることで、将来のキャリアの参考にしたいです。

<受かる例文>
顧客の本質的な課題を解決する「仕組みづくり」を学びたいため、志望します。私は塾講師のアルバイトで、生徒の成績管理のアナログさに課題を感じ、簡易的な管理ツールを導入して業務効率化を実現した経験があります。この経験から、ITは単なる技術ではなく、業務の「What(何を解決するか)」を定義することが重要だと実感しました。貴社は顧客のビジネスパートナーとして、上流工程から課題解決に伴走するスタイルを強みとしています。本インターンでは、技術力だけでなく、顧客の潜在課題を引き出すコンサルティング視点を現場で体感し、自身のキャリア像を明確にしたいです。

<ポイント>

  • 原体験との接続:単なる技術への興味ではなく、課題解決の経験からSIerの業務(Whatの定義)への関心に繋げている。
  • 企業理解の深さ:企業の強み(上流からの伴走)を理解した上で、それが自分の学びたいことと合致していることを示している。
  • 主体的姿勢:「教えてほしい」ではなく、「これを体感しに行きたい」という目的意識が明確。

ガクチカ

インターン選考におけるESの例文としてガクチカ(学生時代に力を入れたこと)を紹介するスライドで、課題は構造的な部分まで掘り下げて示すことや、自分がどう介在価値を出したのかを明確に伝えることが重要であるという成田さんのアドバイスが記載されています。

<落ちる例文>
私は大学祭実行委員会で模擬店の運営リーダーを務めました。私たちの模擬店では焼きそばを販売しましたが、最初はあまり売れませんでした。そこで私はメンバーに声をかけ、もっと大きな声で宣伝するように指示しました。また、看板を目立つ場所に移動させたりしました。みんなで協力して頑張った結果、最終的には完売することができました。この経験から、チームで協力することの大切さと、リーダーシップの重要性を学びました。

<受かる例文>
大学祭実行委員として、模擬店エリアの来場者滞留時間を延ばす施策に注力しました。例年、模擬店エリアは「買ってすぐ移動する」人が多く、他団体からの不満が出ていました。私は「休憩スペース不足」が原因と仮説を立て、大学側と交渉して空き教室を飲食スペースとして開放する許可を取り付けました。さらに、各模擬店のメニューを紹介するマップをその教室に配置し、回遊性を高める動線を設計しました。反対するメンバーもいましたが、データを用いて説得し、結果としてエリア全体の売上を前年比1.5倍に向上させました。

<ポイント>

  • 課題の解像度:「売れない」という単純な課題ではなく、「滞留時間が短い」という構造的な課題に着目している。
  • 行動の主体性:単なる声出しではなく、大学との交渉や動線設計など、リーダーとして独自の価値を発揮した行動が書かれている。
  • 巻き込み力:反対意見をデータで説得するなど、周囲を巻き込むプロセスが具体的。

長所・短所

インターン選考におけるESの例文として長所・短所を紹介するスライドで、長所は能力を発揮した具体的なシーンを含めること、短所は単なるネガティブ要素で終わらせないように注意すべきであるという成田さんのアドバイスが記載されています。

<落ちる例文>
私の長所は、誰とでも仲良くなれるコミュニケーション能力です。大学でも多くの友達がおり、初対面の人ともすぐに打ち解けられます。これを活かして貴社の営業でも活躍したいです。短所は、少し心配性なところです。テスト前などは不安になってしまいますが、なるべく気にしないようにして、前向きに取り組むように心がけています。

<受かる例文>
【長所】
周囲の意見を調整し、最適解を導く「調整力」です。サークル活動で意見が対立した際、双方の妥協点ではなく、目的を再確認することでより良い第3案を提案し、チームをまとめました。
【短所】
「心配性で準備に時間をかけすぎる」点です。プレゼン前などは資料を何度も見直してしまいます。現在は、この特性を「リスク管理能力」と捉え直し、確認ポイントをリスト化して効率的にチェックすることで、スピードと質のバランスを保つよう意識しています。

<ポイント>

  • 長所の具体性:単なる「コミュ力」ではなく、対立解消という具体的なシーンでの能力を示している。
  • 短所の捉え直し:短所を単なるネガティブ要素で終わらせず、改善策と共に記述し、それが業務上のメリット(リスク管理)にもなり得ることを示唆している。
  • 構成:見出しを付けて整理されており、可読性が高い。

趣味・特技

インターン選考におけるESの例文として趣味・特技を紹介するスライドで、趣味の話でありながらも、仮説検証やフィードバックの活用といった仕事に通じる姿勢を自然にアピールすると良いという成田さんのアドバイスが記載されています。

<落ちる例文>
私の趣味は読書です。特にミステリー小説が好きで、月に5冊ほど読みます。休日はカフェで本を読んで過ごすことが多いです。特技は早起きで、毎朝6時には起きています。健康的な生活を送ることで、学業やアルバイトにも元気に取り組めています。

<受かる例文>
趣味は「スパイスカレー作り」です。お店の味を再現するために、スパイスの配合比率を0.1g単位で調整し、試行錯誤を繰り返しています。これまでに50種類以上のレシピを開発し、友人に振る舞ってフィードバックをもらい、改良を重ねることが週末の楽しみです。この経験から、仮説検証を繰り返して理想の成果物に近づけるプロセスを楽しみながら実行する姿勢が身につきました。

<ポイント>

  • 没頭度のアピール:熱意を注いでいるところを具体的に書くことで、探究心や継続力を伝えている。
  • PDCAサイクル:趣味の話でありながら、仮説検証やフィードバックの活用など、仕事に通じる姿勢を自然にアピールしている。
  • ユニークさ:単なる読書よりも印象に残りやすく、面接での会話のフックになる。

インターン選考におけるESのマナー

インターン選考におけるESのマナーとして、写真と提出時の2つのポイントを解説しており、写真は3ヶ月以内の撮影でスーツ着用や清潔感が求められること、提出時は郵送なら白の角2封筒を使用し、Webならファイル名に大学名や氏名を入れることが推奨されています。

「内容は完璧でも、基本的なマナーで評価を落とす学生は少なくない」と成田さんは警鐘を鳴らします。社会人としての基礎ができているかを見られるポイントを押さえておきましょう。

写真のマナー(3ヶ月以内、スーツなど)

写真は第一印象を左右する重要な要素です。原則として3ヶ月以内に撮影した証明写真を使用しましょう。古い写真は現在の容姿と異なる可能性があるため避けます。服装は、私服指定がない限りスーツが基本です。清潔感のある髪型と服装を心がけ、明るい表情で撮影しましょう。また、万が一写真が剥がれた場合に備え、裏面には必ず「大学名・氏名」を記入しておくのがマナーです。

▼ESの写真について詳しくは以下の記事で解説しています。
エントリーシートの写真準備で迷わない!証明写真の撮り方と自己PR写真の選び方

提出時のマナー(郵送・メール・Web)

提出方法は企業の指示に従いますが、共通して締切厳守が鉄則です。

  • 郵送:書類を折らずに入る白の「角2封筒」を使用し、送付状を同封します。封筒の表には赤字で「応募書類在中」と記載しましょう。
  • メール:ファイルはPDF形式に変換し、ファイル名には「大学名・氏名」を含めます。件名は用件が分かるようにし、本文には署名を入れます。
  • Web:通信環境の良い場所で送信し、締切直前のサーバー混雑によるトラブルを避けるため、余裕を持って提出しましょう。

インターン選考のESの注意点!落ちる人の特徴とは

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en-courageの利用者インタビューによると、素晴らしい経験をしているにも関わらず、選考に落ち続けてしまう学生には特定のパターンが見られます。陥りがちな失敗と注意点を確認しましょう。

質問の意図に答えていない(結論が不明確)

最も多い失敗の一つが、質問の意図と回答がズレている、あるいは結論が最後まで不明瞭なケースです。例えば「志望動機」を聞かれているのに「自分の成長したいこと」ばかり記述して企業視点が欠けていたり、エピソードが長すぎて結局何が言いたいのか分からなかったりすると、コミュニケーション能力に懸念を持たれます。設問を熟読し、聞かれたことに対して端的に答えることを意識しましょう。

抽象的すぎて差別化できていない

「コミュニケーション能力があります」「リーダーシップを発揮しました」といった抽象的な言葉だけのESは、他の学生の中に埋もれてしまいます。「誰と」「どのような場面で」「何をして」発揮したのかという具体的なエピソード(5W1H)が伴わなければ、説得力は生まれません。固有名詞や数値を使い、あなただけのオリジナルな体験として伝わるように具体化することが差別化のポイントです。

誤字脱字がある

誤字脱字があるといった基本的なミスは、「志望度が低い」「注意力が散漫」と判断される要因になります。内容以前の問題で評価を落とさないよう、提出前には必ず読み返しを行い、可能であれば第三者にチェックしてもらうなどして、万全の状態で提出するよう心がけましょう。

よくある質問

就活のサポーターとしてよく聞かれる質問や、en-courage利用者へのインタビューで出てきた疑問への回答をご紹介します。

ESの提出期限は厳守すべき?

提出期限を守ることは社会人の最低限のルールであり、厳守すべきです。「必着(その日までに届く必要がある)」か「消印有効(その日の郵便局の消印があれば有効)」かを確認し、ギリギリではなく余裕を持って提出しましょう。期限遅れは基本的に選考対象外となります。スケジュール管理に不安がある場合は、就活エージェントなどのプロに相談し、スケジュール管理のサポートを受けることをおすすめします。

写真はスマホで撮ったものでもいい?

近年はスマホアプリも進化していますが、画質や照明の観点から、可能な限り写真館やスピード写真機で撮影したデータを使用することをおすすめします。どうしてもスマホを使用する場合は、背景や影、画質に十分注意し、証明写真として違和感のないクオリティに仕上げてください。写真のクオリティ判断に迷う場合は、就活エージェントに見てもらい、客観的な意見をもらうのが確実です。

突出した成果や珍しいエピソードがない

全国大会優勝などの華々しい実績は必須ではありません。企業が見ているのは成果の大きさよりも、そこに至る「プロセス(思考や行動)」や「学び」です。日常的なアルバイトやサークル活動であっても、課題に対してどのように工夫したかを具体的に記述できれば、十分なアピールになります。エピソードの選び方に悩む場合は、就活エージェントに壁打ちを行い、自身のアピールポイントを一緒に探してもらいましょう。

ESの作成に時間が掛かる

最初は時間がかかりますが、ある程度の「型」を作ってしまえば効率化できます。自己PRやガクチカの核となるエピソードを一つ作り込み、応募企業の求める人物像に合わせて表現や強調するポイントを微調整(カスタマイズ)して使い回すのが賢い方法です。効率的な作成方法や型の作り方が分からない場合は、就活エージェントに相談し、プロの視点で添削を受けることで作成時間を大幅に短縮できます。


監修:成田 駿

元日系大手人事/就活サポーター

日系大手事業会社で最年少部長に就任し、新卒採用に5年以上従事。戦略設計からイベント企画、選考フロー、研修まで新卒採用の入口から出口までを幅広く担当し、延べ3,000名以上の学生と接点を持つ。人事業務以外でも累計2,000名以上の就活生を個別に支援し、大手・外資・メガベンチャーなど多様な企業への内定実績を誇る。

協力:NPO法人en-courage

全国約120の大学に支部を展開し、就活生を対象としたキャリア教育支援を行うNPO法人。独自にイベントやメディアを多数運営し、年間2,500件以上のセミナーを開催。企業と学生の間に年間約80万回の接点を創出するなど、国内最大級の規模で活動している。すべての就活生が本質的なキャリアを通じて人生を最大化できるよう、個別支援やコミュニティづくりを通じたサポートを目指している。