「自己分析の作り方・書き方がわからない」「ノートに何を書けばいいかわからない」
これは多くの就活生が抱える共通の悩みです。自己分析は頭の中だけで考えていても堂々巡りになりがち。ノートに書き出して「見える化」することで、思考が整理され、ES・面接で使える言葉に変わります。
今回は元日系大手人事で、en-courageの就活サポーターとして延べ3,000名以上の学生を支援してきた成田さんや、en-courage利用者へのインタビューを基に、自己分析ノートの作り方から続けるコツ、活用法などを詳しく解説します。
自己分析ノートとは?基礎知識と目的
en-courage利用者へのインタビューでよく出てきたのが、「自己分析の進め方がわからない」「何を書けばいいかわからない」という悩みです。成田さんが学生からよく聞くのも同様の声でした。そこで本記事では、自己分析ノートの基本から実践的な作り方・書き方までを体系的に解説します。
自己分析ノートの定義・目的
自己分析ノートは、自分の過去の経験、現在の能力、未来の展望を言語化し、体系的にまとめた「自分だけのデータベース」です。作成の目的は、就職活動における「納得感のある意思決定」と「選考突破力の向上」にあります。ESや面接で問われる「自己PR」や「志望動機」の根拠となる素材を集め、整理するために活用しましょう。
就活ノートとの違い
「自己分析ノート」と「就活ノート」は、扱う情報のベクトルが異なります。自己分析ノートが自分の内面を掘り下げる「内向き」の記録であるのに対し、就活ノートは企業情報や選考スケジュールなど「外向き」の情報を管理するものです。役割の違いを理解し、自分が管理しやすい方法で運用しましょう。
▼就活ノートについて、詳細は以下の記事で解説しています。
就活ノートおすすめ作成方法!書き方のポイントを解説!
なぜ「ノートに書く」ことが重要なのか
思考は頭の中で留めているだけでは流動的で、整理がつかないまま堂々巡りになりがちです。ノートに手書きで「書き出す」ことには、以下の重要な効果があります。
- 客観視(見える化):文字にすることで、自分を他人事のように客観的に分析できます。
- 記憶の定着と発見:手を動かす行為が脳を刺激し、忘れていた記憶や新たな気づきを引き出します。
- 思考の深化:書いた内容を読み返すことで、「なぜ?」という深掘りがしやすくなります。
デジタルツールも有用ですが、自由度の高い手書きノートは、思考のプロセスを残すのに最適です。
自己分析ノートを作る4つのメリット
成田さんが人事として選考に携わる中で実感したのは、自己分析をノートで行っている学生ほど、面接での回答に一貫性があるということでした。en-courage利用者へのインタビューでも、ノートを活用して内定を獲得した学生の声が多数寄せられています。
思考が「見える化」されてスッキリ整理できる
最大のメリットは、抽象的な思考や感情を「見える化」できる点です。バラバラに存在していた過去のエピソードをノート上に並べることで、「自分はこういう時に頑張れるのか」「この価値観はずっと変わっていないな」といった共通点や法則性が見えてきます。複雑な自己情報を視覚的に整理することで、企業選びの軸が明確になり、迷いのない就職活動が可能になります。
ES・面接で使える形で言語化できる
自己分析で得た「気づき」を、選考で使える「言葉」に変換できるのも大きな利点です。漠然と「自分は粘り強い」と感じているだけでは相手に伝わりませんが、ノート上で「なぜそう思うのか」「具体的なエピソードは何か」を文章化することで、説得力のある自己PRが完成します。事前に論理構成を練っておけるため、ES作成のスピードが上がり、面接での回答もスムーズになります。
面接前に見返せる「お守り」になる
書き溜めた自己分析ノートは、面接直前の緊張を和らげる「最強のお守り」になります。「これだけ準備してきたのだから大丈夫」という自信につながるだけでなく、直前に自分の強みや伝えたいポイントを再確認するツールとしても機能します。予期せぬ質問をされた際も、ノートで深掘りした思考の蓄積があれば、軸のブレない回答ができるでしょう。
就活を通して更新・成長を実感できる
就職活動を進める中で、考え方や志向は変化していきます。ノートがあれば、就活初期の自分と現在の自分を比較し、その成長や変化の過程を確認できます。「当初は大手志向だったが、実力主義のベンチャーに魅力を感じるようになった」といった変化に気づければ、より納得感のある進路選択ができます。記録を残すことは、モチベーション維持にも寄与します。
自己分析ノートの作り方・書き方の全体像
en-courage利用者へのインタビューでよく出てきたのが、「何から手をつければいいかわからない」という声です。成田さんが考える効果的な進め方は、明確な目的と手順を持って取り組むことです。
まず1ページ目に書くこと(ノートの目的・ゴールを明記)
ノートの1ページ目には、必ず「自己分析の目的とゴール」を宣言しましょう。例えば「自分に嘘をつかない企業選びをする」「面接でどんな質問にも自信を持って答える」など、自分なりの目標を言語化します。就活中は迷いや不安が生じやすいものですが、このページを見返すことで原点に立ち返り、ブレずに活動を続けられます。ノート作成自体を目的にせず、その先にあるゴールを常に意識しましょう。
自己分析ノートを作るおすすめの3ステップ
自己分析は時系列に沿って「過去→現在→未来」の順で進めるのが定石です。
- 過去(自分史):事実に基づき、自分の価値観や行動特性の原石を探す。
- 現在(自己把握):過去の分析から、現在の強み・弱み・スキルを特定する。
- 未来(ビジョン):将来どうありたいかを描き、企業選びの軸を定める。
この手順を踏むことで、根拠のある自己PRと、一貫性のある志望動機が作成できます。
【自己分析の作り方①】過去:自分史を書く
成田さんが学生からよく聞くのは、「過去を振り返っても何も出てこない」という悩みです。しかしen-courage利用者へのインタビューでは、自分史を丁寧に作成した学生ほど、面接で説得力のあるエピソードを語れていました。
自分史とは何か
自分史とは、幼少期から現在に至るまでの主な出来事を年表形式でまとめたものです。記憶に残っているエピソードを羅列し、そこから「なぜその選択をしたのか」「何を感じたのか」を深掘りするための基礎資料となります。成功体験だけでなく、失敗や挫折、コンプレックスなどのネガティブな要素も含めて書き出すことで、より立体的な人物像が浮かび上がります。
自分史のやり方
ノートを見開き(左右2ページ)で1つの単位として使います。「中学校」「高校」「大学1年」「大学2年」など、時代ごとにページをめくって新しい見開きを使うのがおすすめです。
手順は以下の2ステップで進めます。
- 事実の書き出し:まずは記憶にある出来事を淡々と書き出します。
- 深掘り:書き出した事実の中から重要なものを選び、その時の感情や学びを書き加えます。
ノートへの書き方・レイアウト例(自分史を書く)
見開きの中心線を境にして、左右で役割を明確に分けます。
- 【左ページ】時系列の事実:実際に起きた出来事を、上から順に箇条書きで記入します。主観は入れず、客観的な事実のみを書くのがポイントです。
- 【右ページ】感情・得たもの(深掘り):左ページに書いた事実の横に、その時の気持ちや、今だからわかる意味づけを書き込みます。左ページの行と高さを合わせると見やすくなります。
-
例
- バレー部の副キャプテンを務めた。チーム内の意見対立を調整するため、全員参加のミーティングを毎週開催した:自分の意見を押し通すのではなく、まず全員の意見を傾聴し、チームとしての共通目標(県大会出場)を再確認することの重要性を学んだ。異なる立場の人の間に入り、合意形成を図る調整力を得た。
- 大学受験で、第一志望校に合格できなかった:計画の甘さと「これくらいで大丈夫だろう」という慢心があったと深く反省。努力が必ず報われるとは限らない現実を知ったが、悔しさをバネに、大学での勉強で徹底的に準備することに繋がった。
このように、「左に事実、右に解釈」と分けることで、過去の出来事を整理しながら自己分析ができます。
作成のコツ(自分史を書く)
記憶が曖昧な場合は、当時の手帳やアルバム、SNSの投稿を見返したり、家族や友人に話を聞いたりすると良いでしょう。また、色ペンを活用して「ポジティブな出来事は青」「ネガティブな出来事は赤」「転機となった出来事は緑」などと色分けすると、人生のバイオリズムが一目でわかるようになります。きれいに書くことよりも、思考の痕跡を残すことを優先してください。
【自己分析の作り方②】現在:強み・弱み・性格を書き出す
成田さんが人事として面接を行う中で感じたのは、自分の強みを「根拠」とともに語れる学生が少ないということでした。en-courage利用者へのインタビューでも、「強みが見つからない」という声は多く寄せられています。
なぜ「現在」を整理するのか
企業が知りたいのは「過去の事実」そのものではなく、そこから形成された「現在のあなたの能力や人柄」が、自社でどう活きるかです。過去の経験から共通する行動パターンや思考の癖を抽出し、「私の強みは〇〇です」と言い切れる状態にする必要があります。また、弱みを正しく認識することは、入社後のミスマッチを防ぐ上でも重要です。
強み・弱み・性格の分析のやり方
自分史のページを見返し、複数のエピソードに共通する「行動パターン」や「考え方の癖」を探します。例えば、「部活の練習メニュー改善」「バイトのマニュアル作成」という別々の経験から、「現状をより良くしようとする主体性がある」という共通点(強み)を見つけ出します。
手順は以下の2ステップです。
- キーワード抽出:自分史から浮かび上がった特徴を、端的な言葉(キャッチコピー)にします。
- 根拠づけ:そのキーワードを証明する具体的なエピソードをセットにします。
※強みと弱みは表裏一体です。「優柔不断(弱み)」を「慎重な判断力(強み)」と言い換えるなど、多面的な視点を持つことが重要です。
ノートへの書き方・レイアウト例(強み・弱み・性格を書き出す)
見開きの中心線を境にして、「左に結論(アピールポイント)、右に根拠(エピソード)」と役割を分けます。ページを3分割(上段:強み、中段:弱み、下段:性格)して使うと一覧性が高まります。
- 【左ページ】端的な表現(結論):相手に伝えたい「強み・弱み・性格」を、一言で表すキャッチコピーやキーワードとして記入します。面接官や読み手がパッと見てわかる言葉を選ぶのがポイントです。
- 【右ページ】具体的な説明(根拠エピソード):左ページのキーワードを裏付ける具体的な体験談を記入します。自分史で書いた内容から、最も説得力のあるエピソードを抜粋して書きます。
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例
- 【強み】対立意見を傾聴し、共通目標へ導く調整力:中学時代の部活動で副キャプテンとして、意見が対立する部員双方の話を個別にじっくり聞き、共通の目標(県大会出場)を再確認させることでチームをまとめた。
- 【弱み】リスクを恐れ、行動開始が遅れがちな点:新しいことへの情報収集や準備に時間をかけすぎ、行動開始が遅れることがある。ゼミのプロジェクトでも、調査開始までに他の班より時間がかかってしまった。
- 【性格】未経験の分野でも、面白そうだと感じたら飛び込む:専門分野に限らず、プログラミングや地域活性化のゼミなど、全くの未経験でも「面白そう」と感じたことには積極的に挑戦し、学ぶことを楽しむ。
このように、「左に結論、右に証拠」と整理することで、エントリーシートや面接で話す構成(結論ファースト)が自然と出来上がります。
作成のコツ(強み・弱み・性格を書き出す)
抽象的な言葉で終わらせないことが重要です。「コミュニケーション能力がある」だけでは不十分です。「相手の懐に飛び込む力」なのか「論理的に情報を伝える力」なのか、自分ならではの定義まで落とし込みましょう。また、弱みについては「どう克服しようとしているか」という改善の姿勢も併せて記述しておくと、面接での好印象につながります。
【自己分析の作り方③】未来:将来のビジョンと実現方法を描く
成田さんが学生からよく聞くのは、「将来やりたいことがわからない」という悩みです。en-courage利用者へのインタビューでも、ビジョンの描き方に苦戦する声が多く聞かれました。
なぜ「未来」を考えるのか
就活のゴールは内定ではなく、入社後の活躍と自己実現です。将来のビジョンが明確であれば、「なぜこの業界・企業でなければならないのか」という志望動機に必然性が生まれます。また、辛いことがあったときや迷ったときに立ち返る指針となり、就活の軸がブレにくくなります。短期的な就職先だけでなく、中長期的な人生の設計図を描くつもりで取り組みましょう。
将来のビジョンと実現方法を描くやり方
ノートを見開き(左右2ページ)で1つの単位として使います。ここでは「過去」や「現在」の分析を土台にして、理想の未来から現在地への「逆算」を行います。
手順は以下の2ステップで進めます。
- 理想の視覚化(Will):まずは制約を設けず、「将来どうなっていたいか」「どんな価値を提供したいか」というゴールを書き出します。
- 逆算と具体化(Must):そのゴールを実現するために必要なスキルや経験を洗い出し、それを得るために最適な環境(業界・職種・企業)を導き出します。
ノートへの書き方・レイアウト例(将来のビジョンと実現方法を描く)
見開きの中心線を境にして、「左に目的地と条件、右に具体的な手段」と役割を分けます。それぞれのページをさらに上下に分けて4つの象限を作ると整理しやすくなります。
- 【左上】将来のビジョン:どのような社会人になっていたいか
- 【左下】ビジョン実現に必要なこと:経験したい仕事、身につけたいスキル
- 【右上】ビジョンに合う業界・職種:上記が実現できそうな場所
- 【右下】ファーストキャリアで特に得たいこと:ビジョンに向けた第一歩として何を重視するか
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例
- 【将来のビジョン】チームを率いるプロジェクトマネージャーとして、多様なバックグラウンドを持つ人々の意見を調整し、社会の「不便」や「課題」を解決する新しいサービスを生み出したい。
- 【ビジョン実現に必要なこと】顧客のニーズや課題を直接ヒアリングする仕事、複数の部門や社外の人間と連携して進めるプロジェクト、(将来的には)チームリーダーとして後輩の育成やマネジメントを経験したい。課題の本質を見抜くための論理的思考力と分析力、利害関係者の意見をまとめる高度な調整力(強みの派生)、プロジェクト全体の進捗を管理する能力を身に付けたい。
- 【ビジョンに合う業界・職種】業界はIT(特にSaaSやWebサービス)、コンサルティング、広告(課題解決型)。職種は企画職、営業企画、プロジェクトマネジメント、コンサルタント。
- 【ファーストキャリアで特に得たいこと】まずは、課題解決の最前線である顧客に近い立場で、ニーズを的確に把握する力を徹底的に鍛えたい。同時に、小規模でも良いので企画立案から実行までの一連の流れを経験し、「失敗から学ぶ」(強み)サイクルを高速で回せる環境に身を置きたい。
作成のコツ(将来のビジョンと実現方法を描く)
明確なビジョンが見つからない場合は、ロールモデルを探すのが有効です。OB・OG訪問や企業の採用ページで先輩社員のキャリアパスを調べ、共感できる人を見つけましょう。「この人のようになりたい」という具体的な対象がいると、自分の目指すべき方向性が定まりやすくなります。ビジョンは仮説で構わないので、現時点でのベストな答えを言語化しておくことが大切です。
その他の分析手法をノートに取り入れる
成田さんが実際に人事として採用に携わる中で、多角的な自己分析を行った学生ほど面接での深掘りに強いと感じてきました。en-courage利用者へのインタビューでも、複数のフレームワークを組み合わせて自己分析を深めた学生から「視野が広がった」という声が寄せられています。
マインドマップ
ノートの中心に「自分」と書き、そこから連想されるキーワード(好きなこと、得意なこと、価値観など)を放射状に広げていく手法です。思考の制限を外して自由に発想できるため、自分でも意識していなかった潜在的な意識や、要素同士の意外なつながりを発見できます。アイデア出しや、志望業界を広げる際のブレインストーミングに最適です。
▼マインドマップによる自己分析について、以下の記事で詳しく解説しています。
【5STEPで解説】自己分析にマインドマップを活用する手順作成例と失敗しないコツを元日系大手人事が解説
自己分析ツールの結果の貼り付け方
適性検査やオンラインの自己分析ツールの結果は、プリントアウトしてノートに貼り付けましょう。ただし、結果を眺めるだけでは不十分です。「ここは納得できる」「ここは自分と違う気がする」といった感想や、思い当たる節(エピソード)を余白に書き込むことで、診断結果を自分事として消化し、より深い自己理解につなげられます。
▼ツールを用いた自己分析について、以下の記事で詳しく解説しています。
【2025年最新版】おすすめ自己分析ツール20選!選び方から活用法まで徹底解説
モチベーショングラフ
縦軸に「モチベーション(幸福度)」、横軸に「時間(年齢)」をとったグラフを描き、人生の浮き沈みを可視化する方法です。曲線が上がった要因(やりがいを感じた瞬間)と、下がった要因(ストレスを感じた瞬間)を分析することで、自分が「何に情熱を注げるか」「どのような環境を避けるべきか」という就活の軸が明確になります。グラフのピークとボトムには必ず理由を書き込みましょう。
ジョハリの窓
「自分から見た自分」と「他者から見た自分」のズレを認識するための心理学モデルです。「開放の窓(自他ともに知る自分)」、「盲点の窓(他人は知っているが自分は気づいていない自分)」などを整理します。特に他己分析の結果を「盲点の窓」として書き留めることで、新たな強みの発見や独りよがりの自己評価の修正に役立ちます。
Will・Can・Must
キャリアを3つの輪で考えるフレームワークです。
- Will(やりたいこと):自分の意志、夢
- Can(できること):スキル、強み
- Must(すべきこと):企業からの要求、社会ニーズ
この3つの輪が重なる部分が、自分が最も貢献でき、かつ満足度の高い仕事となります。企業研究と自己分析を結びつける仕上げの段階で活用しましょう。
▼「モチベーショングラフ」「ジョハリの窓」「Will・Can・Must」などのやり方について、以下の記事で詳しく解説しています。
自己分析を深める11のやり方目的・注意点・活用方法まで完全ガイド
自己分析ノートを続けるコツ
成田さんが学生からよく聞くのは、「ノートを作り始めたけど続かない」という悩みです。en-courage利用者へのインタビューでも、途中で挫折した経験を持つ学生は少なくありませんでした。
完璧を目指さない
最初からきれいに整理されたノートを作ろうとすると、手が止まってしまいます。誰に見せるものでもないので、殴り書きでも、図が歪んでいても構いません。「書くこと」そのものに価値があると考え、思いついたことをどんどん書き留めるスタイルで進めましょう。修正や追記も自由に行えるのがノートの良さです。
定期的に更新する
説明会、インターンシップ、面接など、就活のアクションを起こすたびにノートを開き、感じたことや新たな気づきを追記しましょう。「なぜこの企業に惹かれたのか」「面接でうまく答えられなかった質問は何か」を記録し続けることで、ノート自体が成長し、選考が進むにつれてより強固な武器となっていきます。
他己分析も記録する
自分一人での分析には限界があります。友人や家族、就活エージェントなどに「私の強みは何?」「どんな仕事が向いていると思う?」とインタビューし、その回答をノートに記録しましょう。客観的な意見は、主観的な思い込みを打破するきっかけになります。褒められた言葉を記録しておけば、自信を失いかけた時の励みにもなります。
自己分析ノートのES・面接への活用方法
成田さんは、実際に人事として選考を行う中で、自己分析ノートで取り組んだことをESや面接に活用できていないと感じたと語ります。en-courage利用者へのインタビューでも、ノートは作ったものの活用方法がわからないという声がありました。
自己PR・ガクチカ・志望動機に活用する
ノートから抽出した「強み」と「エピソード」を組み合わせ、ESの構成案を作成します。「結論(私の強みは〇〇です)→理由(なぜなら〇〇の経験があるからです)→詳細(具体的には〜)→結び(貴社でもこの強みを活かします)」というロジックをノート上で組み立ててから清書することで、論理的で伝わりやすい文章になります。企業ごとの求める人物像に合わせて、使うエピソードを取捨選択しましょう。
面接直前の準備に活用する
面接会場や待機室では、ノートの要点をまとめたページを見返します。想定問答集を作っておき、キーワードを確認するのも有効です。「これだけ自己分析をやったのだから、自分のことは自分が一番よくわかっている」という事実を再確認し、自信を持って本番に臨むための精神安定剤として活用してください。
準備するもの(紙媒体or電子媒体)
en-courage利用者へのインタビューでよく出てきたのが、「どんなノートを使えばいいかわからない」という声です。成田さんが考えるポイントは、自分にとって使い心地の良いツールを選ぶことでモチベーションを維持することです。
紙媒体派におすすめのノート・筆記具
思考を広げるためには、A4サイズなど大きめのノートやルーズリーフが推奨されます。特にルーズリーフはページの入れ替えや追加が容易なため、分析が進んで構成を変えたくなった時に便利です。無地や方眼タイプは図やマインドマップを描きやすく、自由度が高いためおすすめです。筆記具は、重要なポイントを目立たせるために3色ボールペンやマーカーを用意しましょう。
電子媒体派におすすめのツール
iPadなどのタブレット端末を使用する場合は、「GoodNotes」や「Notability」などの手書きノートアプリが最適です。手書きの思考整理効果と、デジタルならではの編集・検索機能の利便性を両立できます。画像の貼り付けやページの複製も一瞬でできるため、効率的に情報を整理したい人に向いています。
紙媒体vs電子媒体の比較
紙媒体は「脳の活性化」「記憶定着」「一覧性」に優れ、電子媒体は「検索性」「編集のしやすさ」「携帯性」に優れています。どちらが正解ということはありませんが、じっくり思考を深めたいブレインストーミング段階は手書きで行い、整理された情報を管理・持ち運ぶ段階ではデジタルを使うなど、用途に合わせて併用するのも賢い方法です。
いつから・どのくらい時間をかけて作るべき?
成田さんが学生からよく聞くのは、「いつから?」「どのくらい時間をかける?」という質問です。ここでは、開始時期とかける時間の目安を解説します。
開始時期の目安
大学3年生の春から夏(インターンシップ選考前)に始められるのが理想的です。早期に自己分析の土台ができていると、インターンの選考通過率が高まり、本選考に向けて余裕を持って準備できます。ただし、就活解禁後の3年生3月以降に始めたとしても遅すぎることはありません。その場合は、選考を受けながら実践的に自己分析を深めていくスタイルで進めましょう。
かける時間の目安
最初の土台作り(自分史作成〜強みの特定)には、累計で10〜20時間程度かけるのが一般的です。週末にまとめて行うよりも、1日1時間を2週間続けるなど、少しずつ深めていく方が新たな気づきを得やすくなります。土台完成後は、週に1回30分程度のメンテナンス時間を設け、常に最新の状態にアップデートし続けましょう。
よくある質問
就活のサポーターとしてよく聞かれる質問や、en-courage利用者へのインタビューで出てきた疑問への回答をご紹介します。
何ページくらい書けばいい?
ページ数にノルマはありません。数ページで核心にたどり着く人もいれば、何冊も書いて思考を整理する人もいます。重要なのは「量」ではなく「質と深さ」です。自分が納得してESを書けたり、面接で迷わず答えられたりする状態になれば、それが十分な量と言えます。もし「これで足りているのかわからない」と感じたら、就活エージェントなど就活のプロに相談してみましょう。客観的な視点からフィードバックを受けることで、自己分析の精度を高められます。
書くことが思いつかないときは?
ペンが止まってしまう時は、「自分への質問リスト」を活用しましょう(例:「一番悔しかったことは?」「時間を忘れて没頭できることは?」など)。具体的な問いに対する答えを書く形式なら、負担なく進められます。また、一人で考え込まず、友人と昔話をしながら思い出を掘り起こすのも効果的です。それでも行き詰まった場合は、就活エージェントに相談してみてください。プロの視点から質問を投げかけてもらうことで、自分では気づかなかった強みやエピソードが引き出されることがあります。
ノートよりも効率的なやり方はありますか?
効率だけを求めるならアプリ上の入力フォームで完結させることも可能ですが、自己分析においては「悩む時間」や「書くプロセス」自体に意味があります。泥臭く自分の手で整理した経験こそが、面接での重みのある言葉につながります。効率化ツールはあくまで補助として使い、核心部分は自分の頭と手を使って汗をかくことをおすすめします。自己分析の進め方に迷ったら、就活エージェントなど就活のプロに相談することで、効率と質を両立させる方法が見つかるでしょう。
監修:成田 駿
元日系大手人事/就活サポーター
日系大手事業会社で最年少部長に就任し、新卒採用に5年以上従事。戦略設計からイベント企画、選考フロー、研修まで新卒採用の入口から出口までを幅広く担当し、延べ3,000名以上の学生と接点を持つ。人事業務以外でも累計2,000名以上の就活生を個別に支援し、大手・外資・メガベンチャーなど多様な企業への内定実績を誇る。
協力:NPO法人en-courage
全国約120の大学に支部を展開し、就活生を対象としたキャリア教育支援を行うNPO法人。独自にイベントやメディアを多数運営し、年間2,500件以上のセミナーを開催。企業と学生の間に年間約80万回の接点を創出するなど、国内最大級の規模で活動している。すべての就活生が本質的なキャリアを通じて人生を最大化できるよう、個別支援やコミュニティづくりを通じたサポートを目指している。