公開日:
最終更新日:

「人生の岐路で必要なのは、論理的思考力ではなかった」マッキンゼー出身社長が語るキャリアの歩み方

新卒で入社してから3年後「就職活動をやり直したい」と考える社会人は約50%。 この数字を1%でも減らすため、「未来をつくる君たちへ伝えたいと」と題し、各界のエグゼクティブ達が大いに語ったイベント「Career Theater」。当記事では、株式会社プログリット 代表取締役社長 岡田氏のご登壇部分をご紹介します。岡田氏が語る、「人生の大きな決断をするときに必要なもの」。ロジカルシンキングでも、綺麗な戦略でもないものとは何か。マッキンゼーを経て、25歳で起業した岡田氏が語る、決断に対する考え方は必見です。

「とにかく成長したい」と考えた、岡田さんの就職活動

みなさんこんにちは。プログリットで代表取締役社長を務めている岡田と申します。

今28歳で、7年前、僕も皆さんと同じように就職活動をしていたのですが、皆さんの顔付きや目つきを見ていると、すごくエネルギーが伝わってきて、当時の自分とは全然違うなっていうのをひしひしと感じています。

みなさんのエネルギーに負けないような熱い話をしたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。

今日は、僕が仕事をする上で感じたことをもとに、キャリアの話をしていきたいと思っているのですが、その前に、簡単にプログリットの話をさせてください。

日本人は英語力が低いと言われて久しいですよね。プログリットは、その定説に対して「本当にそれでいいのか」という疑問を持って、私が3年前に起業した会社です。

日本人の英語力を向上して、日本人が世界で活躍できる未来を作っていく。そして日本の国力を上げていくことを目指している会社です。

さて、本題に入るのですが、まず僕の就活の話からしようかなと思います。 僕は大阪出身で、大学まで大阪に住んでいて、新卒では、マッキンゼーというコンサルティング会社に入りました。

なんでマッキンゼーに入社したのかというと、理由はとてもシンプルです。

就活を始めると、キャリアプランを考えますよね。僕は3年間企業で働いて、その後起業しようと決めていました。

3年間で起業するためには、短期間でめちゃくちゃ成長できる企業に行かないといけない。じゃあ、自分が最も成長できる環境って、どういう場所なんだろうと考えたんですね。

例えば若い頃から裁量権を持って働けるとか、自分が尊敬できる優秀な上司のもとで働けるとか。 色々あるなと思ったのですが、最終的には、「入社してみないとわからない」と思ったんですね。

なので、もっとシンプルにしようと思い、最も労働時間が長い会社に行くと決めたんですね。短期間で大きく成長するには、他の人たちより多く働けばいいと思ったんです。今思うと、めちゃくちゃですよね。(笑)

そこで、労働時間が長いイメージがあった外資系のコンサルティング会社と、外資系の投資銀行を全部受けました。その中で一番はじめに内定をいただいたのがマッキンゼーだったので、そのまま入社を決めました。

そこから2年半、マッキンゼーでコンサルタントとしてがむしゃらに働いて、その後今の会社を起業しています。

日本人の英語力をなんとかしたい。日本人がもっと世界で活躍できる世界を作りたい。そういう風に思って共同創業者と二人で会社を立ち上げました。初めは二人だった会社も今では、150名の仲間がいます。

マッキンゼーと起業を経て、社会人6年目になりました。外資コンサルティング会社での業務や、起業という大きな決断を経て、感じたことや学んだことはたくさんあります。

今日はその中でも、皆さんがキャリアや自分の人生を考える上で、僕がとても大事だと思うことを2つお伝えしたいと思います。

就活において、ロジカルシンキングよりも大事なもの

まず1つ目。人生において大事な決断をする時は、直感や感覚を大事にすることです。

就職活動していると、「論理的思考力」や「ロジック」を求められることが多いと思います。

実際、ビジネスの現場で論理的にものごとを考えるのってきわめて重要なんですよね。数億円のコストを投資する時に、「なんとなく」ではリスクがありすぎますから。

ただし、いつもそれが大事なのかというと、そうではないと思います。特に皆さん自身の人生の決断をする時、そういう時は論理的にものごとを考えるのは、実はそんなにいいことじゃないと思っています。

僕は3年前に会社を作ったのですが、実はその時、英語教育の事業で起業しようとは決めておらず、家事代行サービスで起業しようと考えていたんです。

起業する時には資金調達しなければいけない。私は投資家の方に、私たちに投資するメリットを感じてもらうべく、論理的なプレゼン資料を作りました。

売り上げがこういう風に伸びて、その中でこういう風な差別化をして、こういう風に勝っていきますと言うように、マッキンゼーで身につけたスキルを使って、綺麗な資料を持って、投資家にプレゼンをしに行きました。

すると結果はどうでしょうか。

投資家の人の共感を全く得ることができず、1円も集めることができなかったんです。

丁寧に事業プランを作り込んで、売上を上げる見立てもあったにも関わらず。

その時に「何かがおかしい。僕たちの考えは間違っているのかもしれない」そう思ったんです。

僕と共同創業者の二人で何が足りなかったのかを必死に話し合いました。そこで気付いたことは、今まで僕達は、論理的にお金儲けができる方法だけを考えていたと言うことです。

これって当たり前じゃないですか?会社を存続させるためには、利益が必要ですから。

でも、これをもうやめようと決めました。

そもそも僕達は何をしたいのか。どういうことに僕達の心がわくわくするのか。それを考えようと決めました。

つまり、僕たちに足りなかったのはその事業に対する「想い」だったんです。

僕たちが一番強い想いを持っていたのが英語教育でした。

日本の英語能力が低いという状況をなんとかしたい。もし僕達が、日本人の英語力の状況を変えることができれば、それはめちゃくちゃ大きな意味があると思ったんです。

そこに論理的な理由はありませんでしたし、お金儲けができるかどうかもわかりませんでした。論理なんて関係ない。僕達が日本の国力を上げようと。日本で最も英語力が伸びるサービスを作ろうと、そういう風に決めました。

でもこうやって決めると、色んな人に止められるんですね。英語業界は衰退産業じゃないの?とか、本当にそれビジネスになるの?とか、色んな人に言われました。

しかし、僕達の心は全く変わりませんでした。それは、論理的に決めたのではなく、自分達の直感や感覚に従った決意をしたからです。

自分の決断に、やりたいという想いが込められることで、覚悟が醸成されていくんですね。メリットやデメリットを分析するだけなら誰でもできる。そこに自分の気持ちや想いを乗せることで、周りの意見を跳ね返してでも本気でやり遂げようと思えるんです。

もしあの時、論理的に市場規模の分析をして、お金儲けができるかを考えて英語業界で起業すると決めていたら、続いていなかったかもしれません。うまくいかないときに何か言い訳をつけて、辞めていたと思います。

自分たちが、本当に想いを持てるところに挑戦することで、本気で取り組むことができているんです。

これは就職活動においても一緒です。ファーストキャリアを決めるのって、人生において大事な決断ですよね。

その決断を、「論理的に得のある会社を選ぶ」というものにしない方がいいと思います。

みなさんが、人生の大事な決断をする岐路に立っている時、多くの大人が色んなアドバイスをしてくれると思います。大人は皆さんよりも世の中のことを知っているし、ビジネスのこともよく知っています。

利益や効率だけで選ぶのであれば、この人たちに聞いたほうが絶対にいいです。

でも、皆さんの人生の答えは、皆さんの中にしかない。 自分が強い想いを持って、やり抜きたいと思えることは他人にはわかりません。

この人と一緒に働きたいなとか、何か尊敬できるなとか、この会社のミッションを一緒に実現したいな。そんな心の声に耳を傾けて、直感や感覚で選んでほしいなと思います。

問題に対してどのように向き合うか。そこで人生は大きく変わる

キャリアや自分の人生を考える上で、僕がとても大事だと思うこと。その2つ目は、問題に対する向き合い方についてです。

世の中は色んな問題や課題にあふれています。普段皆さんが生活していると、色んな問題に出会いますよね。生きている全ての人が問題と出会っている。

しかし問題に出会った時、それに対しての向き合い方は人それぞれです。僕は、問題に対する向き合い方には大きく分けて2種類あると思っています。

問題に出会った時に、その問題を解決しようとする人。そしてもう1つは、問題に出会った時に不平不満を言う人です。皆さんはどちらのタイプですか。

良い人生・キャリアを歩みたい方は、ぜひ問題を解決できる人になってください。

しかし世の中を見渡すと、多くの人が問題に出会った時、不平不満を言います。例えば、安倍総理の政権が良くないとか。そんな不満を言っていてもどうしようもありません

他にも、学校の先生がだめだとか、上司が嫌いだとか。世の中そんな会話ばかりです。でもそれじゃだめなんですよね。それだと、人生は良くなりません。 不満を言うだけでは、問題はもちろん解決されませんし、解決されないから不満を言いつづけるしかない。そんな人生嫌じゃないですか。

なので、皆さんには問題を解決する人になっていただきたいと思っています。

3年前、多くの人が日本の英語教育は全然だめだと言っていました。多くの人が、日本の英語教育は読み書きばっかりでこれだと英語を話せるようにならないんだよ、と言ってました。

確かに日本の英語教育は良くない。だったらこの問題を僕達が解決しようと。社会の不満を言う流れに流されるのではなく、日本の英語教育が良くないなら、大人になってからでも驚くほど英語力が上がるサービスを僕達が作ろう、そう決めました。

あの時、自分たちが変えていくと言う決意をしたから、今こうして皆さんの前でお話しすることができています。

皆さんも、不平不満を言う人ではなく、問題を解決する人になって欲しいと思います。

ここまで、たくさん話をしましたが、お伝えしたいことは2つだけです。

「人生の大きな決断をするときは、論理よりも直感を大事にすること」 「問題に対して不平不満を言うだけでなく、解決できるような人になること」

これらを意識すると、自分の決断が揺るがず、自信を持ってキャリアを歩めると思います。

これから社会人になる、あなたへ

最後にひとつだけ皆さんにメッセージをお伝えして、僕の話を終わりにしたいと思います。

それは「働くって最高に楽しい」ということです。

僕は大学を卒業してから社会人になって、大学生に戻りたいと思ったことは一度もありません。

働くって、仕事するって、こんなに楽しいことなんだって、ずっと思いながら仕事してます。そして今後も、思い続けると思います。

これは、自分の感覚や思いを信じて、人生の方向性を決め、課題に対して不満を言わずに向き合っているからだと思います。

皆さんの中には、楽しい大学生活があと少ししか無いな、と思っている人もいるかもしれません。でも、皆さんが卒業したあと、社会人になった後というのは、皆さんが想像できないぐらい楽しい世界が待っています。

皆さんが、是非最高に楽しい仕事をして、世界をどんどん前に進めていってくれることを祈って、僕のお話を終わりにしたいと思います。

本日はありがとうございました。