公開日:
最終更新日:

キャリアのプロが語る、地方学生にこそチャンスが広がっている理由

当記事では、前回に引き続き、法政大学キャリアデザイン学部教授、田中研之輔さんにお話を伺います。前回田中さんには「異質な環境に挑戦すること」をキャリアのコツと語っていただきました。今回お話をいただくのは「地方学生の挑戦」。機会が少ないと考えられがちな地方、地方学生だからこそ味わえる魅力とはどんなものなのでしょうか?

地方の学生は、活躍の機会が少ないのか?

ー前回は「環境を変える」という挑戦が、自らの活躍の幅を広げるコツだというお話をいただきました。エンカレッジが考えている課題感として、地方にはまだまだそういった挑戦の選択肢が少ないのでは、というものがあります。

田中:確かに地方の学生にとっては、企業でインターンをするような機会は少ないかもしれませんね。

でも、インターンのようなわかりやすいビジネスのフィールドがないからビジネス経験が積めないかというと、そんなことはないと私は考えています。

例えば、駅前商店街のお店と協力して「人が1日30人来てくれるにはどうしたらいいか」といったテーマに対して取り組むことは、立派なビジネス経験ですよね。

この商品を50個売るには、100個売るには、もっと発展的には、1000個売るにはどうしたらいいか。そんなことを考えて実行に移していけば、まさにビジネスです。

また、地方ならではの資源もたくさんあります。例えば、使われていない空き家があるとか。それを月3,000円、10,000円で借りられるのであれば、それをどんな風に活用できるかを考える。

イベントを行ったり、ビジネスの場として利用することも可能でしょう。

そのPDCAを通じて、地方自治体と一緒に協力して何かを作り上げたり、知識や足りないのであれば、ゼミの教授や先輩を巻き込むこともできるでしょう。

東京のモデルにわざわざ合わせる必要はなく、いわば地方資源を活かしたインターンをやる方法はたくさんあると思うんです。

ポイントは、大学の学びを生かすために、自分の一歩外の社会をどれだけ知るか。

その上では、東京のようにオフィスビルがあって、インターンの募集が出ていて、大学生がそれに応募して、という構造は必ずしも無くてもいいと思うんですよ。

今、地方での活動こそが面白い理由

田中:逆に言えば、地方の方がよっぽど面白いんです。例えば、今いくつかの大企業が「地方創生インターン」といったものを開催していますね。

どういうことかと言えば、企業も「東京よりも地方に面白いものがある」であったり、「地方でのインターンの方が、社会が求める力が身につくきっかけがたくさんある」と思っているということなんです。

地方の時代だと思うんですよね。面白いものがたくさんあるじゃないかと。

だからこそ、特に地方の学生の皆さんには是非一歩踏み出して欲しいんです。自分たちでインターンのプログラムは作れるぞと。そこで、自分たちが地方ならではの問題を解決するんだぞと意気込みを持って欲しいんです。

そういうアイデアが思い浮かばないよ、という人たちのために、大人がアイデアを貸してあげる必要が出てくるかもしれません。外発的動機付けのためにコンテスト形式を用意するなどの工夫で、そういった活動はより活性化するかもしれません。

でも、そこでも大人たちが「地方には機会がないから、アイデアを出してあげよう」なんていう気持ちではダメです。

学生の皆さんも「そういうアイデアやインターンの機会は大人が用意してくれるものだ」と思っていてはいけません。

地方には東京では、学べない面白い機会がたくさんあるんだということをお互いに理解した上で、東京の学生が、あるいは都会の企業たちが「なんだそれ!すごい!」と言うようなものを一緒に作っていかないといけませんよね。

―地方だからこそ挑戦できることが山ほどあるというわけですね。確かに、東京に行けばインターンという機会はあふれていますが、その全てが必ずしもいい機会だとも言い切れないですよね。

ずっと単純な作業をしているだけという話も聞いたことがあります。

田中:前編でお話しした内容から言えば、きっかけとして東京でオフィスビルに行くのも、もちろん悪いことではありませんけどね。

社会人の雰囲気や空気といったものはオフィスに行ったからこそわかることもありますし、それだけでも貴重な経験です。エクセルでの作業をひたすらやるというのも無駄な経験ではありません。

でも、それだけを何年も続けていると結局はその経験に慣れてしまう、安住してしまうという側面がありますから、「インターンをしているから満足」ではなく、日々自分が挑戦をできているか、ストレッチができているかを分析することは重要です。

おっしゃられた通り、次はこの挑戦、次はこの挑戦と活躍の幅を広げられるインターンもあれば、そうではないインターンもあるでしょう。そろそろ次に行こう、と自分で判断できるかどうかが重要です。

その点、地方での活動はここからどんどん面白くなると思います。

解決すべき社会課題もあれば、知られていない観光資源もあれば、それをなんとかしたいという大人たちもいる。そうした大人のネットワークを活用しながら、次々に挑戦の幅を広げていける環境は、東京では得られにくいと思いますから。

―日々挑戦をして自分の活躍の幅を広げる。そして、その挑戦の環境は実は地方にも大きく広がっていると。

ぜひ全国の学生の皆さん、そして特に地方大学の皆さんには、学生生活を通じてぜひ何か挑戦をしていってもらいたいですね。

田中さん、本日はありがとうございました。

前編はコチラから!