「自己PRで何をアピールすればいいかわからない」「単なる自慢話になっていないか不安」
そんな悩みをen-courage利用者からよく耳にします。
本記事では、延べ3,000名以上の学生を見てきた元日系大手人事の成田さんが、企業が本当に評価する自己PRの本質を解説します。「受かる」と「落ちる」の比較例文や、業界・強み別の具体的なアピール方法など、今日から使える実践的なテクニックをお伝えします。
1. エントリーシート(ES)の自己PRとは?
新卒採用に5年以上従事し、延べ3,000名以上の学生と接点を持ってきた元日系大手人事の成田さんは、「自己PRは単なる自慢話ではなく、自分の強みを活かして企業へ貢献できることのアピールである」と語ります。多くの学生を内定へ導いてきた経験に基づき、企業が本当に知りたい自己PRの本質と、採用担当者の視点を解説します。
1-1. そもそもエントリーシートの自己PRとは
エントリーシート(ES)における自己PRとは、企業に対して自身の強みを提示し、どのように貢献できるかをアピールするための記述です。履歴書が基本情報(氏名、住所、学歴、資格など)を伝えるものであるのに対し、ESでは強みを裏付ける具体的なエピソードや、入社後の活躍イメージまでを詳細に盛り込む点が異なります。採用担当者に「会ってみたい」と思わせるため、企業ごとに内容を最適化し、具体的な貢献可能性を示すことが重要です。
1-2. 企業が自己PRを聞く理由
企業が自己PRを求める理由は、単なる能力確認だけではありません。主に以下の3点を判断材料としています。
- 自社が求める人物像と合致しているか(マッチ度)
- 社風に馴染み、長く定着できるか(定着性)
- 入社後に具体的な成果を出せるか(再現性)
企業の視点に立ち、「この学生なら自社の課題を解決してくれる」という期待感を醸成することが求められます。
1-3. 企業が評価する自己PRの3つのポイント
エントリーシートの自己PRにおいて、採用担当者は主に以下の3つの観点で評価を行います。これらのポイントを押さえることで、単なる自慢話ではなく、ビジネスパーソンとしての資質を感じさせる自己PRを作成できます。
応募者が自社とマッチする人物かどうか
企業は、応募者が自社の企業文化や行動指針(バリュー)に合致しているかを重視します。例えば、「挑戦」を掲げる企業であれば、リスクを恐れずに新しいことに取り組んだ経験が高く評価されます。重要なのは、自分の強みが独りよがりにならず、企業の「求める人物像」と重なり合っていることです。企業の理念や人材要件を深く理解し、「誠実さ」「変革」といったキーワードと自身の経験を関連付けることが不可欠です。
入社後に活躍する姿を想像できるか
新卒採用はポテンシャル採用であり、企業は過去の実績そのもの以上に、そこから読み取れる「入社後の伸びしろ」を見ています。そのため、事実の羅列ではなく、「課題、行動、結果、学び」という成長プロセスを示し、その強みがビジネスの現場でも再現可能だと伝える必要があります。例えば、多様な意見を調整してプロジェクトを成功させた経験を示せば、コンサルタントやSIerといった職種での、顧客への伴走や利害調整などの活躍イメージを具体的に想起させられます。
論理的かつ基本的な文章力があるか
ビジネスの基礎である「伝える力」も重要な評価対象です。論理的で読みやすい文章は、それだけで実務能力の高さを予感させます。反対に、構成が整理されておらず意図が不明瞭な文章は、内容が優れていても評価されにくくなります。評価者にストレスなく読んでもらうためには、「結論ファースト」を徹底し、必要に応じて箇条書きや見出しを活用して構造化する工夫が有効です。これにより、限られた時間で多くのESを読む採用担当者に対し、効果的に存在感を示せます。
2. 受かる自己PRを書く2ステップ
en-courageの就活サポーターとして多くの就活生を見てきた成田さんは、「受かる自己PRには明確な手順がある」と説きます。いきなり書き始めるのではなく、戦略的に素材を選び、型に落とし込む。この2ステップを踏むだけで、ESの通過率は劇的に変わります。
2-1. ステップ1:強み・エピソードを選ぶ
自己PR作成の第一歩は、素材選びです。まず志望企業が求める人物像を正確に把握し、そこに合わせて自身のエピソードを選定します。どれほど素晴らしい経験でも、企業のニーズとずれていれば評価されません。詳細な選び方については「3. 【ステップ1】自己PRの強み・エピソードの選び方」で解説します。
2-2. ステップ2:構成・書き方・注意点を押さえて作成する
素材が決まったら、次はそれを効果的に伝える「型」に当てはめます。結論から書き出し、課題、行動、結果、そして入社後の展望へと繋げる論理的な構成が必須です。具体的な構成案や書き方のテクニックについては「4. 【ステップ2】受かる自己PRの書き方・構成」で詳しく説明します。
3. 【ステップ1】自己PRの強み・エピソードの選び方
「何を書けばいいかわからない」と悩む学生に対し、累計2,000名以上の就活生を見てきた成田さんは、「まず相手を知ることから始めよう」とアドバイスします。自分の言いたいことではなく、相手(企業)が聞きたいことを話すのがコミュニケーションの基本です。ここでは、採用担当者の心に刺さる強みとエピソードの選び方を解説します。
3-1. 志望企業が求める人物像を把握する
自己PRのエピソードを選ぶ際は、まず徹底的な企業研究を行い、志望企業がどのような人材を求めているか把握することが不可欠です。企業の採用ページ、経営理念、社長メッセージ、社員インタビューなどを読み込み、「誠実さ」「挑戦心」「変革力」といったキーワード(求める人物像)を抽出します。自分の持ち合わせている強みの中から、これらのキーワードに合致するもの、つまり企業との「接点」となるエピソードを戦略的に選ぶことで、採用担当者に「自社に必要な人材だ」と認識させられます。
3-2. 自分の強みの候補を洗い出す
企業の求める像を理解したら、次は自分の過去の経験(部活、アルバイト、趣味など)を棚卸しして、強みの候補を洗い出します。単に「頑張ったこと」を列挙するのではなく、「困難な状況(課題)に対して、どう考え(思考)、どう動いたか(行動)、その結果どうなったか(成果・学び)」というプロセスで経験を整理します。自分史やモチベーショングラフを活用し、成功体験だけでなく挫折経験からも強みを見出すことで、説得力のある「成長の物語」を描けるようになります。
3-3. 各強みを裏付けるエピソードを複数挙げる
「私の強みは〇〇です」という主張には、それを証明する具体的な根拠(エピソード)が必要です。説得力を高めるために、一つの強みに対して複数のエピソードを用意しておくと良いでしょう。これにより、その強みが偶然ではなく、再現性のある能力だと証明できます。また、企業の社風に合わせて最適なエピソードを使い分けることも重要です。勉強、部活、アルバイトなど、異なる場面での発揮事例を用意しておくと、面接での深掘りにも対応しやすくなります。
3-4. エピソードを3つの基準で評価
洗い出したエピソードの中からベストなものを選ぶために、以下の3つの基準で評価を行います。1つ目は「定量性」があるか、2つ目は「自分らしさ(独自性)」が伝わるか、3つ目は「企業での再現性」があるかです。これらを満たすエピソードは、他の応募者との差別化につながり、採用担当者の記憶に残る強力な自己PRとなります。
具体的な成果や数字があるか
エピソードの説得力を高める最も効果的な方法は、具体的な数字や成果を盛り込むことです。「売上が上がった」とするより、「売上が前年比120%アップした」「作業時間を30分短縮した」と書く方が、行動のインパクトが明確に伝わります。また、成果だけでなく、「150個以上の試作品を作った」「500名の生徒データを確認した」のように、プロセスの努力量を数値化することも有効です。数字は嘘をつかない客観的な指標となり、「逃げずにやり抜く力」や「泥臭い努力」を証明する強力な武器になります。
自分らしさが伝わるか
自己PRは、単なる成果報告ではなく、あなたの「人柄」や「価値観」を伝える場でもあります。他の学生と差別化するためには、ガクチカとは違う切り口を選んだり、第三者の評価(他己分析)を取り入れたりして客観性を持たせることが有効です。また、行動の背景にある「想い」や「葛藤」、「なぜその行動をとったのか」という思考プロセスを具体的に描写することで、あなたならではのキャラクター(誠実さ、熱意など)が浮かび上がり、採用担当者に深く印象づけられます。
企業で活かせる強みか
最終的に最も重要なのは、その強みが「入社後に企業で活かせるか(貢献可能性)」です。自己PRの締めくくりには、自身の強みを入社後の業務にどう接続するか、具体的なビジョンを示す必要があります。例えば、「相手の立場を理解する力」であれば、「顧客の潜在ニーズを引き出す営業として貢献したい」とつなげます。企業の理念(「ヒトの力を信じる」「パートナーシップ」など)と自身の強みをリンクさせることで、「この学生は自社で活躍できる」という確信を採用担当者に与えられます。
3-5. 最終的な強み・エピソードの組み合わせを決定する
候補となる強みとエピソードが出揃ったら、最後に「企業が求める人物像」とのマッチ度を最優先して、ベストな組み合わせを決定します。複数の強みをアピールしたくなりますが、焦点がぼやけるのを避けるため、最も自信があり、かつ企業への貢献度が高い一つに絞るのが鉄則です。企業の課題や方針に対し、自分の強みがどう機能し、どう貢献できるかというロジックが成立するかを最終確認しましょう。
4. 【ステップ2】受かる自己PRの書き方・構成
en-courage利用者へのインタビューでも、「書き出しがわからない」「論理的に書けない」という悩みは常に上位に挙がります。しかし、ビジネス文書には「型」があります。成田さんも推奨する「6要素のフレームワーク」を使えば、誰でも説得力のある自己PRが作成可能です。ここでは、その具体的な構成と書き方のテクニックを伝授します。
4-1. 当てはめるだけで書ける!自己PRの基本構成
伝わる自己PRには型があります。「結論・背景・課題・行動・実績・仕事への活用」の6要素からなる基本構成に当てはめることで、誰でも論理的な文章を作成できます。この構成は、成長のプロセスを構造化したものであり、読み手がストレスなく内容を理解できるだけでなく、あなたの経験が再現性のあるポテンシャルだと証明するのに役立ちます。
結論:一言で、あなたの強みは何か?
冒頭は「結論ファースト」で書き出します。「私の強みは〇〇です」と端的に述べるだけでなく、「〇〇という経験で培った、〇〇する力です」のように、エピソードの全体像(目標・姿勢・成果)がイメージできる一文にすると効果的です。インパクトのあるキャッチコピーや、具体的な役割・成果を含めることで、読み手の関心を惹きつけ、「続きを読みたい」と思わせる導入を目指しましょう。
背景:その強みをどのように培ったのか?
続いて、その強みが発揮された場面の「前提情報」を共有します。「いつ、どこで、どんな立場で、何を目指していたのか」を明確に記述しましょう。例えば、「部員減少の危機にあったサークルで」「売上が低迷していたアルバイト先で」など、置かれていた状況を具体的に描写することで、後の行動の難易度や価値が正しく伝わるようになります。強みの原点となる背景を語ることで、その能力が必然的に身についたものだと示せます。
課題:強みを発揮したとき、どんな課題に直面していたのか?
ここでは、直面した「困難」や「壁」を具体的に描きます。採用担当者は、順風満帆な話よりも、トラブルや挫折をどう乗り越えたか(課題解決能力)を見ています。「企画が白紙に戻った」「チームが分裂した」「前例のない取り組みだった」など、状況の厳しさを伝えることで、それに立ち向かったあなたの思考力や行動力が際立ちます。単なる愚痴にならないよう、客観的な事実として課題を提示しましょう。
行動:その課題に対して、強みを活かしてどう取り組んだのか?
自己PRの核心部分です。課題に対して「どう考え(工夫)、どう動いたか(行動)」を具体的に記述します。抽象的な表現は避け、「週に1回ミーティングを主催した」「一人ひとりと対話してニーズを聞き出した」「文献を調べてマニュアル化した」のように、映像が浮かぶレベルで行動を書きます。独自の工夫や泥臭いプロセスを描くことで、あなたの人柄や熱意、そして仕事に対する姿勢(ポテンシャル)が伝わります。
実績:その成果はどんな数値や事実で裏付けられるのか?
行動の結果、どのような成果が得られたかを「Before/After」の変化として示します。可能な限り数字(売上〇%増、〇人集客、離職率〇%減など)を用いて定量的に示すことで、説得力が格段に増します。もし数値化が難しい場合でも、「周囲の意識が変わった」「感謝の言葉をもらった」といった客観的な事実や第三者の評価を盛り込むことで、成果を裏付けられます。
仕事への活用:その強みを企業でどう活かし、貢献できるのか?
最後は未来の話で締めくくります。経験から得た学びや強みを抽象化し、志望企業のビジネスでどう活かせるか(再現性)を宣言します。「この強みを活かして、貴社の〇〇事業の拡大に貢献したい」「〇〇という姿勢で、顧客の課題解決に挑みたい」といったように、入社後の活躍イメージを具体的に提示することで、採用担当者に「採用するメリット」を強く印象づけます。
4-2. 他の学生と差をつける!自己PRの書き方
多くのESの中に埋もれず、「何も感じさせないES」から脱却するためには、プラスアルファの工夫が必要です。元人事の経験から成田さん監修の基、読み手の記憶に残るための書き方をお伝えします。
求める人物像にマッチさせる
差別化の第一歩は、企業の「求める人物像」に徹底的に寄せることです。企業の経営理念や社長の言葉からキーワードを拾い、自分のエピソードをその文脈に合わせて再構成します。例えば、協調性を重んじる企業なら「周囲を巻き込む力」を、挑戦を重んじる企業なら「自律的に変革する力」を強調します。企業が大切にしている価値観(熱意、誠意、多様性など)と共鳴させることで、「自社に合う人材」として強く認識されます。
結論ファーストで書く
採用担当者は短時間で大量のESを読みます。冒頭の一文で勝負が決まると考え、「結論ファースト」を徹底しましょう。単に強みを述べるだけでなく、「〇〇を達成した粘り強さ」「〇〇を変革したリーダーシップ」のように、全体像(成果・役割)を含んだインパクトのある書き出しにすることで、読み手の関心を引きつけます。最初に要点を伝えることで、その後のエピソードがスムーズに頭に入ります。
定量的に書く
「頑張りました」「多くのお客様」といった曖昧な表現は避け、数字を使って具体的に書きましょう。「期間(3年間)」「人数(14人)」「回数(週3回)」「成果(売上120%)」など、定量的な情報は誰が読んでも解釈がぶれません。数字は嘘をつかない客観的な証拠であり、あなたの行動の規模感や難易度、そして成果の大きさを正確に伝えるための最強のツールです。
専門用語を避ける
あなたの研究内容や特定のアルバイト用語は、採用担当者にとっては未知の言葉かもしれません。専門用語は使わず、「誰にでもわかる言葉」に噛み砕いて表現(一般化)しましょう。たとえば、「化学蓄熱」なら「熱をエネルギーに変えて保存する技術」と言い換えます。読み手にストレスを与えない配慮(ユーザビリティ)も、コミュニケーション能力の一つとして評価されます。
第三者の意見を取り入れる
「私はすごい」と自分で言うよりも、「周りから頼りにされている」と書く方が客観的な信頼性が増します。「店長から『君がいると助かる』と言われた」「友人から『相談しやすい』と評される」といった他者からの評価(他己分析の結果)をエピソードに盛り込みましょう。これにより、独りよがりなアピールにならず、周囲と良好な関係を築ける人物であることも同時に伝えられます。
限られた文字数で自分を印象づける表現を使う
文字数制限がある中で印象を残すには、言葉選びのセンスも問われます。自分の強みを「潤滑油」「起爆剤」などの比喩で表現したり、キャッチーなフレーズを使ったりするのも有効です。ただし、奇をてらいすぎず、あくまで自分らしさが伝わる表現を心がけましょう。短い言葉で本質を突く表現力は、ビジネスにおける要約力としても評価されます。
再現性を提示する
自己PRのゴールは「入社後の活躍」を予感させることです。締めくくりでは、経験から得た学びや強みが、特定の場面だけでなく、ビジネスの現場でも汎用的に使える(再現性がある)ことをアピールしましょう。「この経験で培った〇〇力は、貴社の〇〇業務でも活かせると確信しています」と言い切ることで、採用担当者に入社後のポジティブなイメージを植え付けます。
4-3. 自己PRを書く時の5つの注意点
どんなに良い内容でも、基本的なミスやルール違反があれば評価は下がります。提出前に必ず以下の5点を確認し、マイナス評価のリスクを排除しましょう。
抽象的な表現は避ける
「コミュニケーション能力があります」「努力しました」といった抽象的な言葉だけでは、あなたの本当の価値は伝わりません。必ず「具体的なエピソード(5W1H)」とセットで語りましょう。「どのように」努力したのか、「誰と」関わったのかを具体的に描写することで、初めて読み手はあなたの行動特性を理解し、共感できます。
一文を短く簡潔にする
一文が長いと主語と述語が離れ、論理構造が分かりにくくなります。一文は60文字程度を目安にし、接続詞を多用せずに短く切りましょう。簡潔な文章はリズム良く読めるため、内容が頭に入りやすくなります。無駄な修飾語を削ぎ落とし、筋肉質な文章を目指すことが、読み手(採用担当者)への配慮となります。
複数の強みを詰め込まない
アピールしたいことが多いからといって、複数の強みを詰め込むと、結局何が一番の強みなのかがぼやけてしまいます。エントリーシートでは「一点突破」が基本です。最も自信があり、企業に刺さる強みを一つに絞り、それを深掘りして伝えることで、鮮烈な印象を残しましょう。もし複数の要素を伝えたい場合は、「対集団」と「対自分」のように切り口を変えつつ、根底にある一貫性を持たせる工夫が必要です。
企業が求める人物像とずれていないか確認する
どんなに優れた強みでも、企業が求めていないものであれば評価されません(ミスマッチ)。例えば、チームワークを最優先する企業で「独断で突き進む行動力」をアピールしても逆効果です。提出前に再度、企業の採用ページや求める人物像を確認し、自分のアピール内容が企業の方向性と合致しているか(ベクトルが合っているか)を冷静にチェックしましょう。
誤字脱字がないかチェックする
誤字脱字や敬語の誤りは、注意力散漫や志望度の低さとみなされます。特に「貴社」と「御社」の使い分けや、企業名の記述ミスは致命的です。完成後は必ず読み返し、できれば声に出して読んでみる(音読)か、第三者にチェックしてもらうことをお勧めします。神は細部に宿ります。丁寧な仕事ぶりを書類からアピールしましょう。
5. 受かる自己PRの例文集
全国約120の大学支部を持つen-courageには、膨大な数のES事例が蓄積されています。成田さんが実際に添削し、大手・外資・メガベンチャーへの内定を勝ち取った事例などをもとに、業界・職種・強み別の「受かる自己PR」を厳選しました。
en-courage利用者へのアンケートによると、志望企業を絞る上で最も重視している要素の1位が業界であることから、業界をもとに企業を選ぶ学生が多いことがわかっています。ここでは、そんな「業界」ごとの例文からご紹介します。
5-1. 【業界別】自己PR例文
商社
<落ちる例文>
テニスサークルの代表として練習内容を工夫した。初心者が多く、上達が遅いことが課題だったため、練習メニューを一新することにした。まず、プロ選手の動画を参考に、基礎練習を徹底的に行うようにした。また、経験者が初心者に教える時間を増やし、サークル全体の技術向上を目指した。その結果、メンバー同士の仲も深まり、サークル全体の雰囲気が良くなった。さらに、技術的にも向上し、対外試合での勝率も上がった。この経験から、組織をまとめるには個々のメンバーに寄り添うことが重要だと学んだ。
<受かる例文>
テニスサークル代表として「映像分析」を導入し、チームを強化したことだ。8割が初心者で構成され、指導者不在により技術向上が停滞していた。私は「全員で勝つ」文化を醸成するため、練習風景を撮影し、フォームを可視化してフィードバックし合う仕組みを作った。当初は指摘し合うことに遠慮が見られたため、まずは私自身が率先して自分の欠点を公開し、改善を求めた。これにより「指摘は批判ではなく貢献」という意識が浸透。半年後、対外試合での勝率が3割から6割へ向上した。客観的な分析と率直な対話が組織を強くすることを実感した。
<ポイント>
- 全体像の提示:冒頭で「映像分析の導入」という独自の工夫と成果を端的に示し、興味を惹いています。
- 課題と行動の具体性:指導者不在という課題に対し、精神論ではなく「可視化」という具体的な解決策を講じ、さらに「遠慮」という壁を自らの行動で打破したプロセスが鮮明です。
- 成果と学び:勝率向上という定量的な成果に加え、組織運営における重要な学び(率直な対話の価値)が示されており、商社で求められるリーダーシップと重なります。
メーカー
<落ちる例文>
アパレル店でのアルバイトで、販売コンテストに参加し、店舗の売上向上に貢献した。最初はなかなか売上が伸びず、接客に自信が持てなかったが、先輩の接客を観察し、お客様に笑顔で話しかけることを意識した。また、商品知識を増やすためにカタログを読み込み、お客様に合った商品を提案するように心がけた。その結果、個人売上で店舗1位になることができ、自信がついた。この経験を通じて、努力を続ければ成果が出ることを学び、社会人になってもこの姿勢を大切にしたい。
<受かる例文>
全国展開するアパレル店の販売員として、全国300店舗参加の接客ロールプレイング大会で入賞した経験だ。当初は「売ろうとする意識」が強く、顧客の潜在ニーズを引き出せていないことが課題だった。そこで、10km離れた旗艦店に自ら志願して武者修行へ行き、トップ販売員の「聞く接客」を徹底的に観察。顧客のライフスタイルや着用シーンを深掘りする質問力を磨いた。自店に戻り、スタッフ同士で毎日15分の模擬接客を導入して実践を繰り返した結果、個人売上は前年比150%を達成。顧客の声に耳を傾け、真の要望に応える姿勢は、貴社の製品開発にも活かせると確信している。
<ポイント>
- 活動の背景と熱意:現状に満足せず、他店への武者修行という行動力の高さから、成長への強い意欲が伝わります。
- 困難と克服:自身の課題(ニーズ把握不足)を分析し、具体的な改善策(質問力の向上、模擬接客)を実行したプロセスが論理的です。
- 再現性:学んだ「聞く接客」のスキルと成果が明確で、メーカーの営業や開発において顧客視点を持てる人材だと想像させます。
金融
<落ちる例文>
私は大学で、サッカー部の活動に力を入れた。副部長としてチームをまとめる役割を担い、練習メニューの改善や部員同士のコミュニケーション促進に取り組んだ。試合で勝てない時期が続いたが、諦めずに声をかけ続け、チームの士気を高めるように努力した。また、合宿やイベントを企画し、部員の仲を深めることでチームワークを強化した。その結果、最後の大会では良い成績を残すことができた。この経験から、チームで目標に向かう大切さを学んだ。
<受かる例文>
【副部長として、リーグ降格の危機から2部昇格へ導いた大学サッカー部の組織改革】
大学3年時、副部長に就任したサッカー部はリーグ戦で連敗し、降格の危機にあった。最大の課題は、レギュラーと控え部員の間に生じた熱量の差だと分析。私は「全員戦力化」を掲げ、2つの施策を行った。①メンター制度の導入。学年を超えたペアを作り、技術や悩みを共有する時間を設け、組織の一体感を醸成。②データ班の新設。控え部員が試合分析を行い、戦術提案をする仕組みを作り、プレー以外での貢献領域を創出した。結果、チーム全体の当事者意識が高まり、最終節で逆転勝利、悲願の2部昇格を果たした。組織の課題を構造的に捉え、仕組みで解決する力を貴行でも発揮したい。
<ポイント>
- インパクトのあるタイトル:冒頭で「役割・危機・成果」を要約し、読み手に全体像をイメージさせています。
- 課題解決のアプローチ:精神論ではなく、「メンター制度」「データ班」という具体的な仕組み作りによって、組織の分断という課題を解決した手腕が光ります。
- 金融業界への適性:組織全体を俯瞰し、多様なメンバーを巻き込んで成果を出す姿勢は、金融機関の法人営業や組織運営に求められる資質と合致しています。
IT・通信
<落ちる例文>
学園祭実行委員会で、パンフレット制作のリーダーを務めた。例年よりもクオリティの高いパンフレットを作りたいと考え、メンバーと協力して制作に取り組んだ。しかし、締め切りが近づくにつれて作業が遅れ気味になり、メンバーのモチベーションも下がってしまった。そこで、作業分担を見直し、声を掛け合って励ますことでなんとか完成させた。当日は多くの来場者にパンフレットを手に取ってもらうことができ、達成感を感じた。この経験で、最後までやり抜く力を身につけた。
<受かる例文>
学園祭実行委員会で、Webパンフレットの導入を主導し、閲覧数2万PVを達成した。例年は紙媒体のみだったが、若年層への訴求不足と印刷コスト増が課題だった。そこで「スマホで完結する学園祭体験」を掲げ、Web化プロジェクトを立ち上げた。技術的な知識がないメンバーが大半だったため、ノーコードツールを活用して更新作業を簡易化し、各企画担当者がリアルタイムで情報を発信できる運用体制を構築。さらに、SNSと連動したデジタルスタンプラリーを企画し、サイトへの回遊を促した。結果、印刷コストを30%削減しつつ、来場者アンケートで「情報が見やすい」との回答が9割を超えた。技術を活用して既存の課題を解決し、新しい価値を創造するプロセスを貴社でも実践したい。
<ポイント>
- IT業界への親和性:課題に対し、デジタル技術(Web化、ノーコードツール)を用いて解決策を提示しており、IT業界への適性が高いです。
- 巻き込み力と運用視点:システムを作るだけでなく、技術力のないメンバーでも運用できる体制を構築した点に、現場への配慮とマネジメント能力が表れています。
- 定量的な成果:PV数、コスト削減率、アンケート結果など、具体的な数値で成果を示しており、ビジネスとしての説得力があります。
マスコミ・広告
<落ちる例文>
写真サークルの部長として、新入部員の勧誘に力を入れた。最近はスマホで簡単に写真が撮れるため、一眼レフに興味を持つ人が減っていた。そこで、写真の楽しさを伝えるために展示会を開いたり、SNSで活動の様子を発信したりした。また、新入生歓迎会ではカメラの使い方を教える体験会を行った。その結果、多くの新入生が入部してくれた。この経験を通して、魅力を伝えることの難しさと大切さを学んだ。貴社でもこの経験を活かしたい。
<受かる例文>
【「スマホ世代」に一眼レフの魅力を伝え、部員数を5名から30名へV字回復させた写真部での挑戦】
部長就任時、スマホの普及により一眼レフ需要が低迷し、廃部寸前の状態だった。「高画質」という機能的価値だけではスマホ世代に響かないと仮説を立て、「エモい体験」という情緒的価値への転換を図った。具体的には、新歓活動で「フィルムカメラ現像体験」を企画。暗室で写真が浮かび上がる瞬間の感動を共有し、「写真は体験だ」というメッセージを伝えた。さらに、SNSで「##ファインダー越しの私の世界」を用いたリレー投稿を実施し、部員の世界観を発信。結果、例年の6倍となる25名の新入部員を獲得した。ターゲットのインサイト(潜在心理)を捉え、言葉と体験で心を動かす企画力を貴社で発揮したい。
<ポイント>
- タイトルの訴求力:ターゲット(スマホ世代)と成果(V字回復)を対比させ、課題解決のインパクトを強めています。
- マーケティング視点:「機能的価値」から「情緒的価値」への転換という戦略的なアプローチが、広告・マスコミ業界で求められる企画力と合致しています。
- 「動かす」力:単なる勧誘ではなく、体験を通じて人の心を動かし、実際の入部行動につなげたプロセスが具体的です。
5-2. 【職種別】自己PR例文
営業職
<落ちる例文>
私は貴社の営業職として、社会に貢献したいと考えています。学生時代はカフェのアルバイトをしており、お客様に喜んでもらうことにやりがいを感じていました。貴社の商品はお客様の生活を豊かにする素晴らしいものだと思います。私は明るく元気な対応ができるので、お客様とすぐに仲良くなれます。この強みを活かして、貴社の商品を多くの人に広めていきたいです。インターンシップでは、営業のノウハウを学び、自分のスキルアップにつなげたいと考えています。
<受かる例文>
【顧客の潜在課題を解決するソリューション営業を体感したい】
私は人材広告企業の長期インターンで、採用難に悩む中小企業の支援に従事した経験がある。当初は求人枠を売ることに必死だったが、「なぜ応募が来ないのか」を突き詰めると、企業の魅力が求職者に伝わる言葉になっていないことに気づいた。そこで、社長へのヒアリングを重ね、「隠れた魅力」を言語化して求人原稿を刷新した結果、応募数が昨対比3倍になり、採用成功に貢献できた。この経験から、単なる物売りではなく、顧客の課題を本質から解決する営業に強い関心を抱いた。貴社の「顧客のビジネスを変革する」という営業スタイルを現場で学び、自身の提案力がどこまで通用するか挑戦したい。
<ポイント>
- 原体験の具体性:インターンでの失敗と成功体験(魅力の言語化による課題解決)に基づいているため、志望理由に厚みがあります。
- 営業職への理解:「物売り」と「ソリューション営業」の違いを理解し、後者を志向している点が、企業の求める営業像とマッチしやすいです。
- インターンへの意欲:「学びたい」だけでなく、「自分の力を試したい」という挑戦的な姿勢が評価されます。
企画職
<落ちる例文>
私は貴社の企画職で、新しい街づくりに携わりたいです。大学では都市計画を勉強しており、住みやすい街について考えています。貴社の開発した商業施設はとても魅力的で、私もそのような場所を作りたいと思いました。インターンシップでは、企画の仕事の流れを学び、社員の方々と交流を深めたいです。自分のアイデアを形にする楽しさを味わいたいと考えています。
<受かる例文>
【「自然と都市の共生」を実現する街づくりを学び、次世代の豊かさを提案したい】
私は大学で環境共生建築を専攻し、「緑」が人々の心理や行動に与える影響を研究している。趣味の登山を通じて、自然の持つ癒やしの力を実感したことが原点だ。貴社が掲げる「経年優化(時と共に価値を高める)」という街づくりの思想に強く共感する。特に業務企画職は、用地取得からコンセプト立案、運営まで一気通貫で関われる点に魅力を感じている。本インターンでは、単なる開発利益の追求だけでなく、地域社会や環境への貢献をどう両立させているのか、その企画の根底にある視座の高さを肌で感じ取りたい。
<ポイント>
- 専門性と原体験の融合:大学での研究(環境共生)と趣味(登山)をリンクさせ、独自の視点(自然と都市の共生)を提示できています。
- 企業研究の深さ:企業の独自キーワード(経年優化)を用いつつ、なぜその職種なのか(一気通貫)を論理的に説明しています。
- 視座の高さ:利益と社会貢献の両立という、企画職に求められる高度なバランス感覚への関心を示しています。
技術職
<落ちる例文>
私は貴社の技術力に興味があり、インターンに応募しました。大学では機械工学を専攻しており、ものづくりが好きです。貴社の製品は世界中で使われており、その開発に携わることは私の夢です。インターンでは、最先端の技術に触れ、社員の方々の働き方を見学したいです。自分の知識がどれくらい通用するか確認し、将来のエンジニア像を明確にしたいと考えています。
<受かる例文>
【洋上風力発電のメンテナンスコストを半減させるドローン点検技術の実装に挑戦したい】
私は大学院で、自律飛行ドローンを用いたインフラ点検の効率化を研究している。洋上風力は再生可能エネルギーの切り札だが、海上での保守作業の危険性とコストが普及の壁になっていることに課題を感じた。貴社はエネルギープラントの設計・施工で世界的な実績を持ちながら、デジタル技術による保全高度化(O&M)にも注力している。私の研究である「画像解析による亀裂検知AI」が、貴社の実際のフィールドでどのように社会実装できるのか、技術的な課題やビジネス上の制約を含めて学びたい。
<ポイント>
- 研究内容の具体性:ドローン×インフラ点検という具体的な研究テーマを示し、それが社会課題(洋上風力のコスト)とどう結びつくかを説明しています。
- 業務への理解と関心:単なる「技術開発」だけでなく、その後の「保守・運用(O&M)」や「社会実装」に目を向けている点が、ビジネス視点を持つ技術者として評価されます。
- マッチング:自分の研究(シーズ)と企業の事業(ニーズ)の接点が明確です。
事務職
<落ちる例文>
私は貴社の事務職として、社員の方々をサポートしたいと考えています。大学ではピアノを続けており、継続力には自信があります。事務職は地味な仕事かもしれませんが、会社を支える大切な役割だと思います。私はコツコツと作業をするのが得意なので、正確に業務をこなせます。インターンシップでは、事務の仕事のやりがいを見つけたいです。
<受かる例文>
【「物流の要」として世界経済を支える海運ビジネスのダイナミズムを体感したい】
私は15年間ピアノを続け、コンクールでの入賞を目指して練習に打ち込んできた。スランプに陥った際、感覚に頼らず音楽理論を学び直し、論理的に演奏を改善することで壁を乗り越えた経験から、「地道な努力と論理的思考」の重要性を学んだ。海運業界の事務系職種は、一見裏方に見えるが、船の運航管理や燃料調達など、論理的な判断で世界の物流を動かす司令塔だと捉えている。貴社のインターンでは、私の強みである「継続力」と「分析力」を活かし、不測の事態にも動じず最適解を導き出す業務に挑戦したい。
<ポイント>
- 強みの再定義:ピアノという個人の経験を、単なる「継続」だけでなく「論理的アプローチによる課題解決」へと昇華させ、業務適性につなげています。
- 職種理解の深化:事務職を「サポート・裏方」ではなく「司令塔・ダイナミズム」と捉え直しており、主体的なキャリア観が伝わります。
- 貢献イメージ:自身の強みが実際の業務(運航管理など)でどう活きるかを具体的にイメージできています。
マーケティング職
<落ちる例文>
私はカフェでアルバイトをしており、新商品の売り込みを行いました。お客様におすすめすることで、売上が少し上がりました。この経験から、マーケティングに興味を持ちました。貴社の商品も大好きで、もっと多くの人に知ってもらいたいと思います。インターンでは、商品の企画から販売までの流れを学びたいです。私のコミュニケーション能力を活かして、グループワークでも活躍したいです。
<受かる例文>
【「試飲体験」を通じたスタッフの推奨販売強化で、季節限定ドリンクの売上をエリア1位にした経験】
カフェのアルバイトで、新商品の売上が伸び悩む課題に対し、「商品はおいしいが、スタッフが自信を持って提案できていない」ことが原因だと仮説を立てた。そこで店長に提案し、全スタッフ向けの「試飲・勉強会」を開催。単に味を確かめるだけでなく、「どんな気分の時に合うか」「どんなフードと合うか」を議論し、具体的な提案トークを作成した。さらに、お客様の視覚に訴える手書きPOPも作成。スタッフ全員が「自分の言葉」で商品の魅力を語れるようになり、月間売上は前年比120%を達成。インナーマーケティング(内部への浸透)が顧客満足につながることを実感した。
<ポイント>
- 課題の特定:売上が伸びない原因を「スタッフの自信不足(インナー面)」に見出した着眼点が鋭いです。
- 施策の具体性:試飲会で「提案トーク」まで落とし込み、POP作成と合わせて多角的にアプローチしています。
- 成果と学び:数値成果に加え、「インナーマーケティングの重要性」というマーケティングの本質的な学びを得ており、職種への適性が高いです。
5-3. 【強み別】自己PR例文15選
主体性
<落ちる例文>
私は主体性があります。海外旅行に行った際、現地の言葉が分からず苦労しましたが、ジェスチャーでコミュニケーションを取りました。また、大学の授業では積極的に発言するようにしています。アルバイトでも、言われたことだけでなく自分で仕事を見つけて動くようにしています。このように、自分から行動することで周りの役に立ちたいと考えています。
<受かる例文>
【ベトナムでのインターンシップで、現地学生と協働して日本文化発信イベントを成功させた】
「海外で通用する実践力」を養うため、ベトナムのイベント会社でインターンをした。日本文化イベントの集客が目標だったが、当初は日本人の感覚で作った広告が現地の人に響かず、集客が難航した。私は「現地視点の欠如」が原因だと考え、現地の大学生ボランティア5名を巻き込むことを決意。彼らと毎日ミーティングを行い、ベトナムの若者に人気のSNS「Zalo」を活用したキャンペーンや、「浴衣試着」など映える体験コンテンツを企画した。結果、目標の1.5倍となる500名の来場者を記録。異文化の壁を越え、周囲を巻き込んで目的を達成する主体的な行動力が私の強みだ。
<ポイント>
- 環境のタフさ:海外というアウェイな環境で、自ら考え行動した経験は主体性の強い証明になります。
- 巻き込み力:一人で頑張るのではなく、現地の学生をパートナーとして巻き込み、成果を最大化したプロセスが評価されます。
- 戦略の転換:「日本視点」から「現地視点」へ柔軟に戦略を切り替えた点に、ビジネスセンスが感じられます。
協調性
<落ちる例文>
私は協調性を大切にしています。サークル活動では、みんなの意見を聞くように心がけました。意見が対立した時は、間に入って調整役を務めました。争いごとが苦手なので、みんなが仲良くできるように雰囲気作りを頑張りました。その結果、大きなトラブルもなく活動を終えることができました。貴社でも、チームワークを大切にして働きたいです。
<受かる例文>
【吹奏楽部のパートリーダーとして、「楽しむ派」と「技術派」の対立を解消し、コンクール金賞へ導いた】
50名の部員を抱える吹奏楽部で、練習への熱量の違いから部内の空気が悪化していた。私は「全員が納得する共通のゴール」が必要だと考え、一人ひとりと面談を実施。双方が「良い演奏をしたい」という根本の思いは同じであることを確認した。そこで、技術指導は厳しく行う一方、練習後には学年を超えた交流会を設けるなど、メリハリのある運営を提案。また、初心者には経験者がマンツーマンで教えるバディ制度を導入し、技術格差による疎外感を解消した。結果、部員の一体感が生まれ、地区大会で金賞を受賞。多様な価値観を認め、組織のベクトルを合わせる調整力を発揮した。
<ポイント>
- 対立の構造理解:よくある「やる気の差」という課題に対し、面談を通じて共通点(良い演奏をしたい)を見出した点が良いです。
- 具体的な解決策:精神論で仲良くするのではなく、「バディ制度」や「メリハリのある運営」という仕組みで解決しています。
- 協調性の定義:単に合わせるのではなく、「目的達成のために異なる意見を統合する力」として協調性を発揮しています。
行動力
<落ちる例文>
私は行動力があります。思い立ったらすぐに行動するタイプです。例えば、夏休みに急に思い立って一人旅に行きました。計画を立てずに現地に行きましたが、現地の人に話しかけておすすめの場所を教えてもらいました。このように、失敗を恐れずに挑戦することができます。貴社でも、新しいことにどんどん挑戦していきたいです。
<受かる例文>
【東南アジアの村で井戸掘りボランティアに参加し、資材不足の危機を現地交渉で突破した】
大学2年時、「自分の目で世界の課題を見たい」と思い、カンボジアの農村支援に参加した。井戸建設のプロジェクトリーダーを任されたが、作業初日に主要な掘削機材が故障し、計画中止の危機に直面した。「待っていては何も変わらない」と考え、私は片言の現地語と身振り手振りで、隣町の建設業者や農家を20軒以上回り、機材の借用を交渉した。最初は門前払いだったが、活動の目的を熱意を持って伝え続け、最終的に地元の有力者の協力を得ることに成功。予定通り井戸を完成させ、村人から感謝の言葉をもらった。困難な状況でも思考停止せず、泥臭く道を切り拓く行動力は誰にも負けない。
<ポイント>
- 危機の深刻さ:「機材故障で中止の危機」という明確なピンチを設定することで、行動力の価値を高めています。
- 泥臭い行動:20軒以上回る、言葉の壁を越えて交渉するなど、具体的で熱量のある行動が描写されています。
- 結果のインパクト:単なる体験談で終わらせず、プロジェクトを完遂させたという結果につなげています。
コミュニケーション能力
<落ちる例文>
私はコミュニケーション能力に自信があります。家庭教師のアルバイトをしていましたが、生徒と仲良くなることを意識しました。勉強の話だけでなく、趣味の話などもして信頼関係を築きました。その結果、生徒も楽しく勉強してくれるようになり、成績も上がりました。人と話すことが好きなので、営業の仕事でもこの力を活かしたいです。
<受かる例文>
【不登校気味だった生徒の心を「交換日記」で開き、志望校合格へ導いた家庭教師の経験】
中学2年生の生徒を担当したが、当初は全く心を開いてくれず、授業も上の空だった。勉強以前に信頼関係の構築が先決だと考え、口頭での会話が苦手な生徒のために「交換日記」を提案した。日記では勉強の進捗だけでなく、日々の些細な悩みや趣味のアニメの話にも全力で応答し、「あなたの味方である」というメッセージを伝え続けた。3ヶ月続けると生徒から自発的に質問が出るようになり、「先生のためにも頑張りたい」と言ってくれるまでになった。結果、偏差値は10上がり、第一志望校に合格。相手の特性に合わせたアプローチで懐に入り込む対話力が私の武器だ。
<ポイント>
- 課題の難易度:「不登校気味」「心を開かない」という難しい状況からスタートしています。
- 手段の工夫:一般的な会話ではなく、「交換日記」という生徒の特性に合わせたユニークな手段を選んだ点が評価されます。
- 信頼の変化:生徒の意識変容(先生のために頑張りたい)が描かれており、深い信頼関係を築いたことが伝わります。
継続力
<落ちる例文>
私は継続力があります。毎日ジョギングを欠かさず行っています。雨の日も風の日も走り続けました。最初は3キロくらいしか走れませんでしたが、今では10キロ走れるようになりました。また、日記も毎日書いています。このように、決めたことをやり抜く力があります。仕事でも、どんなに大変なことでも諦めずに続けたいと思います。
<受かる例文>
【データ分析コンペで上位入賞を目指し、100以上のモデル改善を3ヶ月間やり抜いた経験】
大学の講義でデータ分析に興味を持ち、企業のビッグデータを活用して売上予測を行うコンペに参加した。当初は精度が上がらず、順位も参加500チーム中300位台と低迷した。しかし、「絶対にトップ10に入る」と決め、毎日2時間の論文調査とコード修正を自分に課した。既存の手法だけでなく、最新のアンサンブル学習などの手法も独学で実装し、エラーが出ても原因を特定するまで寝ないという執念で改善を繰り返した。3ヶ月で作成したモデルは100を超え、最終的に15位に入賞。高い目標に向けて、地道な作業を苦にせず泥臭く継続する力を、貴社のシステム開発でも活かしたい。
<ポイント>
- 目標と行動の量:「トップ10」という目標に対し、「100以上のモデル改善」「毎日2時間の調査」という圧倒的な行動量が継続力を裏付けています。
- 試行錯誤の質:ただ続けただけでなく、最新手法の導入やエラー解決など、質を高める努力を継続しています。
- 執念:入賞には届かなかったとしても(15位)、そこに至るまでのプロセスの粘り強さがエンジニアとしての適性を示しています。
6. 自己PRを書く前に押さえておきたい準備
「自己PRは準備が9割」と成田さんは断言します。成果を出す人はすべからく準備に時間をかけていると人事は考えていることから、準備をしっかりしているかどうかは評価ポイントとなるようです。いきなり文章を書こうとするのではなく、自分と相手(企業)を深く理解するプロセスを経ることで、初めて「採用したい」と思わせるESが完成します。
6-1. 自己分析
自己PRの質を高めるには、徹底的な自己分析が欠かせません。まずは過去の経験(頑張ったこと、辛かったこと、没頭したこと)を洗い出し、自分史やモチベーショングラフを作成して可視化しましょう。さらに、「将来どうなりたいか」というビジョンを描く「キャリア戦略マップ」を作成し、そこから逆算して「なぜ今の自分にこの強みが必要なのか」を定義づけることも有効です。これにより、過去・現在・未来が一貫した、説得力のある自己PRが完成します。
▼自己分析については以下の記事で詳しく解説しています。
自己分析を深める11のやり方目的・注意点・活用方法まで完全ガイド
6-2. 業界研究
自分の強みをどう表現するかは、業界の特性によって変わります。志望する業界がどのようなビジネスモデルで、どのような課題を抱えているかを調査しましょう。業界地図やニュース、専門誌などを活用し、その業界で活躍する人材に共通する特徴(行動特性)を掴むことが重要です。これにより、独りよがりではない、業界のニーズに即したアピールが可能になります。
▼業界研究については以下の記事で詳しく解説しています。
【資料付き】主要13業界総まとめと業界研究の効率的な分析方法とは
6-3. 企業研究
業界研究の次は、個別の企業研究です。HP、採用サイト、有価証券報告書、社長メッセージなどを読み込み、その企業の「DNA(価値観・社風)」を解読します。さらに、現状だけでなく未来を予測する「近未来分析」を行い、その企業が今後どのような事業展開を目指し、そこでどんな能力(個人力や専門性)を求めているかを推測します。この視点を盛り込むことで、「企業の未来を共に創るパートナー」としての資質をアピールできます。
▼企業研究については以下の記事で詳しく解説しています。
社会人が教える企業研究!企業研究の方法とは
7. どうしても強みが見つからない時の対処法
en-courageで多くの学生と面談してきた成田さんによると、「自分には誇れる強みがない」と自信を失っている学生は非常に多いそうです。しかし、それは「強みがない」のではなく、「気づいていない」あるいは「言語化できていない」だけです。視点を少し変えるだけで、誰もが必ず輝く原石を持っています。
7-1. 3つの方法で視点を変えて強みを見つける
「強みがない」と悩む人の多くは、強みがないのではなく、まだ「言語化できていない」だけです。視点を変える以下の3つの方法を試してみましょう。
- 成果や感情を度外視して、行動ベースで考える
- 当たり前だと思っていることの再評価(継続力など)
- 些細なエピソードの物語化
以上の視点から見つけた要素について、「課題・思考・行動」を掘り下げれば、あなただけの立派な「成長の物語」になります。
7-2. 他己分析で客観的な強みを発見する
自分のことは自分が一番よくわかっていないものです。家族、友人、先輩などに「私の強みは何だと思う?」と聞いてみましょう(他己分析)。自分では当たり前だと思っていた行動が、他者から見れば「すごいこと」として評価されている場合があります。第三者の客観的な意見は、自己PRの説得力を高める材料にもなりますし、新たな自分の可能性に気づくきっかけにもなります。
7-3. 弱みを強みに言い換える
短所と長所は表裏一体です。弱みばかり思いつく場合は、それをポジティブな言葉に変換してみましょう。例えば、「優柔不断」は「慎重さ・思慮深さ」、「心配性」は「リスク管理能力・計画性」、「頑固」は「意志の強さ・信念」と言い換えられます。また、「プロフェッショナルには課題解決力が求められる」という視点から、弱みを克服しようと努力したプロセスそのものを「課題解決力」や「成長性」としてアピールすることも可能です。
8. 自己PRに関するよくある質問
就活のサポーターとしてよく聞かれる質問や、en-courage利用者へのインタビューで出てきた疑問への回答をご紹介します。
8-1.自己PRは複数パターン用意すべき?
はい、複数パターン用意することをお勧めします。企業によって求める人物像は異なるため、提出先に合わせて最適な強み(アピールポイント)を使い分けるのがベストです。また、同じ強みでもエピソードを変えることで、面接での深掘り質問に対応しやすくなります。「対集団でのリーダーシップ」と「個人での粘り強さ」など、異なる角度のエピソードを持っておくと、あなたの多面的な魅力を伝えられます。どのパターンが自分に合っているか悩む場合は、就活のプロ(就活エージェント)に相談して客観的なアドバイスをもらうと良いでしょう。
8-2.ESに書いた自己PRは、面接でも同じ内容を回答していいですか?
基本的には同じ内容で構いません。ESは面接の資料となるため、内容が矛盾していると不信感を与えます。ただし、面接はESの読み上げ会ではなく「対話」の場です。ESの内容をベースにしつつ、当時の感情や細かい状況描写、そしてあなたの「熱意」や「覚悟」といった非言語情報を乗せて語りましょう。面接官との「相思相愛」を確認する場として、ES以上の深みを持たせることが重要です。面接での伝え方に不安がある場合は、就活のプロ(就活エージェント)に相談し、模擬面接を通してブラッシュアップすることをお勧めします。
8-3.自己PRの指定の文字数に収めるコツは?
指定文字数に合わせて情報を取捨選択する技術が必要です。文字数が少ない(200字程度)場合は、要素を削ぎ落とし、結論と成果を中心に端的に伝えます。多い(400字以上)場合は、エピソードの具体性(背景、苦労した点、工夫した点)を厚くし、物語としての解像度を高めます。常に「結論→エピソード→展望」の構成を崩さず、文字数に応じて各パーツのボリュームを調整しましょう。文章の添削や構成の調整は一人では難しいため、就活のプロ(就活エージェント)に相談して、完成度を高めるのが近道です。
監修:成田 駿
元日系大手人事/就活サポーター
日系大手事業会社で最年少部長に就任し、新卒採用に5年以上従事。戦略設計からイベント企画、選考フロー、研修まで新卒採用の入口から出口までを幅広く担当し、延べ3,000名以上の学生と接点を持つ。人事業務以外でも累計2,000名以上の就活生を個別に支援し、大手・外資・メガベンチャーなど多様な企業への内定実績を誇る。
協力:NPO法人en-courage
全国約120の大学に支部を展開し、就活生を対象としたキャリア教育支援を行うNPO法人。独自にイベントやメディアを多数運営し、年間2,500件以上のセミナーを開催。企業と学生の間に年間約80万回の接点を創出するなど、国内最大級の規模で活動している。すべての就活生が本質的なキャリアを通じて人生を最大化できるよう、個別支援やコミュニティづくりを通じたサポートを目指している。