「協調性って長所になるの?」「他の学生と被らない?」
これは多くの就活生が抱える共通の悩みです。
協調性は十分評価される長所ですが、伝え方を工夫しないと他の学生に埋もれてしまいます。また、「主体性がない」「八方美人」というマイナスイメージにつながるリスクもあります。
今回は、元日系大手人事で、en-courageの就活サポーターとして延べ3,000名以上の学生を支援してきた成田さんの経験やen-courage利用者へのインタビューを基に、協調性を長所として効果的に伝える方法を詳しく解説します。
「協調性」を長所にする際、まず押さえておくべきこと
協調性は十分評価される長所ですが、伝え方に工夫が必要です。まずは押さえておくべきポイントを解説します。
企業が求める「協調性」とは
企業が求める「協調性」とは、単にチームの和を乱さない、トラブルを起こさないといった消極的な姿勢ではありません。異なる意見を持つ人々と調和を図りながら、問題を解決し仕事を前に進める力こそが、企業が評価する「協調性」です。アピールする際は、主体性も併せて伝えることを意識しましょう。
協調性だけでは埋もれてしまう
「協調性」は多くの学生がアピールするため、「協調性があります」とそのまま伝えるだけでは、他の学生に埋もれてしまいます。また、「協調性」という言葉は抽象的で、入社後にどう活躍するかが伝わりにくいというリスクもあります。具体的な言葉に言い換えたり、エピソードで裏付けたりする工夫が必要です。
伝え方を誤ると、ネガティブな印象になることも
協調性は伝え方を誤ると、以下のようなマイナスイメージにつながる可能性があります。
- 八方美人:誰にでも良い顔をしてそう
- 主体性がない:自分の意見を持っていなさそう
- 優柔不断:周りに流されやすそう
こうした印象を与えないためには、主体性や自分の意見もあることを併せてアピールすることが重要です。
協調性を長所として効果的に伝えるポイント
「協調性があります」だけでは、面接官の記憶に残りません。成田さんが人事として採用に関わっていた頃、この点で損をしている学生を数多く見てきました。ここでは、協調性を長所として効果的に伝えるためのポイントを紹介します。
【最重要】具体性のある言葉に言い換える
「協調性」という抽象的な言葉をそのまま使うのではなく、「異なる意見を調整してまとめる力」「相手の立場に立って共感する力」など、具体的な言葉に言い換えて伝えることが重要です。
言い換え例一覧
「協調性」と一言で伝えても、採用担当者には具体的に伝わりにくいものです。以下の4つのカテゴリで言い換え例を紹介します。自分に合った言い換え表現を選びましょう。
傾聴・共感型
- 相手の話を最後まで聴き、理解する力
- 相手の立場に立って共感する力
- 相手が言いにくいことも引き出す力
調整・仲介型
- 異なる意見を調整してまとめる力
- 対立する立場の間に入り合意形成を図る力
- 全体最適を考えて提案する力
チームワーク型
- チーム全体の力を引き出す力
- 自分の役割を理解し周囲と連携する力
- チームの雰囲気を良くする力
サポート型
- 周囲を巻き込んで成果を出す力
- チームメンバーをサポートする力
- 縁の下の力持ちとしてチームに貢献する力
自分に合った言葉を選ぶコツ
自分に合った言葉を選ぶためには、以下の3つのポイントを意識しましょう。
- エピソードに合うものを選ぶ:自身のエピソードの内容と、選んだ言葉の持つニュアンスが合致しているか確認しましょう。エピソードと言葉がずれていると、説得力が下がります。
- 企業の求める人物像に合うものを選ぶ:志望企業の社風や「求める人物像」と照らし合わせましょう。企業が重視する価値観に合った言葉を選ぶことで、マッチ度をアピールできます。
- 第三者に合う言葉を聞く:就活エージェントなどに相談し、人事の視点で分析してもらいましょう。客観的なフィードバックを得ることで、より適切な言葉を選べます。
説得力のある構成で伝える
長所を効果的に伝えるには、説得力のある構成が重要です。以下の5つの順序で構成しましょう。
- 結論:あなたの長所は何か?(具体的に言い換えた表現で伝える)
- 価値観:その長所を大切にしている理由は?(なぜその力を重視するのか)
- 具体例:長所が発揮された場面は?(エピソードで裏付ける)
- 周囲への影響:自分の行動が周りにどんな影響を与えたか?(客観的な評価や成果)
- 仕事への活用:入社後、その長所をどう活かすか?(企業での貢献イメージ)
この構成に沿って話すことで、論理的で説得力のある長所の回答になります。
▼長所の構成について、詳細は以下の記事で解説しています。
面接で長所・短所を聞かれたら?元人事が教える正しい答え方と例文
主体性も併せてアピールする
協調性は「周りに合わせるだけ」「自分の意見がない」と受け取られるリスクがあります。これを払拭するために、主体性も併せてアピールしましょう。「周りに合わせた」という表現よりも、「全員の意見を聞いた上で、自分なりの案を提案した」という表現の方が、主体性も伝わり好印象です。
短所との一貫性を保つ
長所と短所の両方を伝える際、この2つは表裏一体で考えて一貫性を保つことが重要です。協調性を長所にするなら、短所も協調性の裏返しとして矛盾しないものを選びましょう。
例えば「周りを気にしすぎる」「優柔不断になりがち」「自己主張が苦手」などは、協調性から派生する短所として自然です。逆に「自己中心的」「協力するのが苦手」といった短所を挙げると、協調性との矛盾が生じ、話の信憑性が低くなってしまいます。
面接で協調性を深掘りされることを想定する
面接では、長所の内容について深掘りされることが一般的です。協調性をアピールする場合、以下のような質問が想定されます。
- なぜ協調性が長所だと思うのですか?
- 具体的にどんな場面で発揮されましたか?
- 意見が対立したときはどうしましたか?
- 協調性が裏目に出た経験はありますか?
これらの質問に対して、具体的なエピソードや学びを準備しておきましょう。ESに書いた内容だけでなく、より詳細な経験を語れるようにしておくことが重要です。
協調性を長所にする時の注意点
協調性をアピールする際、伝え方を誤ると逆効果になることもあります。成田さんが面接官として見てきた中でも、もったいない失敗をしている学生は少なくありませんでした。避けるべきポイントを押さえておきましょう。
八方美人と受け取られる表現は避ける
「誰とでも仲良くできます」「相手に合わせるのが得意です」といった表現は、「相手によって態度を変える人」「誰にでもいい顔をする人」という印象を与えかねません。「チームで成果を出すために、メンバー間の調整役を担いました」「意見が対立した際も、全体最適の視点から折衷案を提案しました」など、個人に気に入られるためではなく、チームの目標のために協力したことを示しましょう。
企業の求める人物像とずれたものは避ける
長所として伝える内容が、志望企業の求める人物像とずれていると、マッチ度が低いと判断されてしまいます。協調性はどの企業でも必要とされますが、具体的に求められる能力は会社によって異なります。企業研究を十分に行い、求める人物像を把握した上でアピール内容を調整しましょう。
主体性がない・自分の意見がないと思われる表現は避ける
「みんなの意見を尊重しました」「周りの意見に従いました」といった表現は、「自分から動けない人」「指示待ちの人」という印象を与えます。「課題に気づき、自分からミーティングを提案しました」「全員の意見を聞いた上で、自分なりの案を発案しました」など、自ら行動を起こしたことが伝わる表現を心がけましょう。
▼その他、基本的な避けるべき表現については、こちらの記事もご参照ください。
落ちないエントリーシートの書き方企業が見ているポイントと対策まとめ
協調性を長所としてアピールする例文5選
「具体的にどう書けばいいかわからない」という声は、en-courage利用者へのインタビューでもよく聞かれます。ここでは、エピソード別に5つの例文を紹介します。自分の経験に近いものを参考にしてください。
アルバイト
【例文】
私の長所は、相手の立場に立って共感する力です。私は相手を理解することが、良い関係を築く第一歩だと考えています。カフェでアルバイトをしていた際、新人スタッフの離職率が高いことが課題でした。私は自ら新人一人ひとりに声をかけ、困っていることや不安に思っていることを聞き出しました。その情報をもとにマニュアルの改善を店長に提案した結果、新人の離職率が前年比で30%改善しました。店長からも「相談しやすい雰囲気を作ってくれた」と評価されました。入社後は、この相手の立場に立って共感する力を活かしてお客様やチームメンバーの声に耳を傾け、より良いサービスや職場環境づくりに貢献したいと考えています。
【ポイント】
- 「相手の立場に立って共感する力」という言い換え例を使用している
- 「自ら声をかけ」「提案した」と主体的な行動を示している
- 離職率30%改善という数字で成果を明確にしている
ゼミ・研究活動
【例文】
私の長所は、チーム全体の力を引き出す力です。私は一人ひとりの強みを活かすことで、チーム全体のパフォーマンスが最大化すると考えています。ゼミのグループ研究でリーダーを務めた際、メンバーそれぞれの得意分野を把握し、それに合った役割分担を自ら提案しました。また、週1回の進捗確認ミーティングを私から発案して実施し、遅れが出そうなメンバーには早めにフォローを入れる体制を作りました。その結果、予定通りに研究を完了させ、学内発表会で優秀賞を受賞しました。入社後は、このチーム全体の力を引き出す力を活かしてメンバーの強みを引き出し、プロジェクトを成功に導きたいと考えています。
【ポイント】
- 「チーム全体の力を引き出す力」という言い換え例を使用
- 「自ら提案」「私から発案」と主体的な行動を明記
- 優秀賞受賞というチームの成果で説得力を担保
部活・サークル
【例文】
私の長所は、異なる意見を調整してまとめる力です。私はチームで成果を出すには、メンバー全員が納得して動ける環境が必要だと考えています。大学のテニスサークルで幹部を務めていた際、練習メニューについて意見が対立したことがありました。私は双方の意見を丁寧にヒアリングし、それぞれの要望を取り入れた折衷案を自ら提案しました。その結果、チーム内の雰囲気が改善され、大会でも過去最高の成績を収めることができました。入社後は、この異なる意見を調整してまとめる力を活かして部署間や立場の異なるメンバー間の調整役として、チーム全体の成果に貢献したいと考えています。
【ポイント】
- 「異なる意見を調整してまとめる力」という言い換え例で協調性を表現
- 対立を解決したエピソードで調整力を証明
- チーム成績向上で周囲への貢献を示している
長期インターン
【例文】
私の長所は、相手が言いにくいことも引き出す力です。私はチームで働く上で、メンバーの感情を理解し、安心して意見を言える環境を作ることが大切だと考えています。長期インターンでSNS運用チームに所属していた際、目標未達成が続きモチベーションが下がっていました。私は一人ひとりと個別に話し、不満や不安を聞き出した上で、チームミーティングで「まず小さな成功体験を積もう」と提案しました。その結果、チームの雰囲気が前向きになり、3ヶ月後には目標を達成できるようになりました。入社後は、この相手が言いにくいことも引き出す力を活かしてチームメンバーに寄り添い、全員が力を発揮できる環境づくりに貢献したいと考えています。
【ポイント】
- 「相手が言いにくいことも引き出す力」という言い換え例で協調性を具体化
- チームの課題解決に主体的に動いたことを示している
- 3ヶ月後に目標達成という成果で説得力がある
ボランティア活動
【例文】
私の長所は、周囲を巻き込んで成果を出す力です。私は多様な人と協力することで、より大きな成果が生まれると考えています。地域の清掃ボランティアに参加した際、参加者の大半が40代〜60代で、学生は私一人でした。最初は遠慮していましたが、自分から積極的に声をかけ、SNSでの活動発信を私から提案しました。その結果、若い世代の参加者が増え、活動の幅が広がりました。「若い人の視点を取り入れてくれてよかった」と感謝の言葉もいただきました。入社後は、この周囲を巻き込んで成果を出す力を活かして世代や立場を超えて周囲を巻き込み、組織全体で成果を出すことに貢献したいと考えています。
【ポイント】
- 「周囲を巻き込んで成果を出す力」という言い換え例を使用
- 「自分から積極的に」「私から提案」と主体性を明示
- 世代を超えた協働で協調性を証明している
よくある質問
就活のサポーターとしてよく聞かれる質問や、en-courage利用者へのインタビューで出てきた疑問への回答をご紹介します。
Q. 協調性を長所にするのは本当に良いの?
問題ありません。ただし「協調性があります」とそのまま伝えるのではなく、「傾聴力」「調整力」「チームワーク力」など具体的な言葉に言い換えることがポイントです。自分に合った言い換え表現がわからない場合は、就活エージェントに相談して客観的なアドバイスをもらうのがおすすめです。
Q. 協調性をアピールするときのNG例は?
代表的なNGは、「協調性があります」だけで具体性がない、エピソードがない、「誰とでも仲良くできます」など八方美人に見える表現、「周りに合わせました」など主体性がない表現の4つです。自分の長所の回答に当てはまっていないか不安な場合は、就活エージェントに添削してもらうと客観的なフィードバックがもらえます。
Q. 協調性を長所にした場合、短所は何を言えばいい?
協調性の裏返しとなる短所を選ぶと一貫性が保てます。おすすめは「周りを気にしすぎる」「優柔不断になりがち」「自己主張が苦手」などです。短所を伝える際は、改善に向けて努力していることも添えると好印象になります。一貫性があるかどうか不安なら、就活エージェントに模擬面接をお願いすると実践的なアドバイスがもらえます。
監修:成田 駿
元日系大手人事/就活サポーター
日系大手事業会社で最年少部長に就任し、新卒採用に5年以上従事。戦略設計からイベント企画、選考フロー、研修まで新卒採用の入口から出口までを幅広く担当し、延べ3,000名以上の学生と接点を持つ。人事業務以外でも累計2,000名以上の就活生を個別に支援し、大手・外資・メガベンチャーなど多様な企業への内定実績を誇る。
協力:NPO法人en-courage
全国約120の大学に支部を展開し、就活生を対象としたキャリア教育支援を行うNPO法人。独自にイベントやメディアを多数運営し、年間2,500件以上のセミナーを開催。企業と学生の間に年間約80万回の接点を創出するなど、国内最大級の規模で活動している。すべての就活生が本質的なキャリアを通じて人生を最大化できるよう、個別支援やコミュニティづくりを通じたサポートを目指している。