「メーカーや物流ではなく、なぜ商社なのか言語化できない」
「各社の違いが見えず、志望理由が使い回しになってしまう」
これは、商社志望の学生がよくぶつかる壁です。
説得力のある志望動機を作るには、憧れだけではなく、ビジネスモデルへの理解に基づいた論理的な構成が欠かせません。
本記事では、元日系大手人事で、en-courageの就活サポーターとしても学生を支援している成田さんの解説と、en-courage利用者へのインタビューを基に、採用担当者に響く志望動機を作る7つのステップをお伝えします。業界の基礎知識から構成・書き方のポイント、業態・職種別の例文まで掲載していますので、ぜひお役立てください。
商社業界の採用担当者が志望動機で見ているポイント
商社業界において志望動機は、単なる熱意のアピールにとどまらず、入社後の活躍可能性を測る重要な判断材料となります。ここでは、元日系大手人事の成田さんの視点を踏まえ、採用担当者が重視するポイントを解説します。
【最重要】「なぜ商社か」を言語化できているか
志望動機を作成する際、最大の壁となるのが「なぜ商社なのか」という点の言語化です。ここが曖昧だと、「特定の商品を作りたいならメーカーでは?」「運びたいなら物流では?」という指摘を受けることになります。
商社志望の説得力を持たせるには、「自らの人間力や構想力でビジネスを動かしたい」「特定の商材に限らず、バリューチェーン全体に関わり課題解決をしたい」といった、商社ならではの機能や役割に焦点を当てることが不可欠です。
なぜそのビジネスモデル(総合商社or専門商社)か
商社業界には「総合商社」と「専門商社」という大きく異なる2つの業態が存在します。どちらのビジネスモデルが自分の志向に合致しているかを明確にする必要があります。
- 総合商社:規模の大きなビジネスで社会インフラを支えたい、多様な事業を掛け合わせたい
- 専門商社:特定分野のプロフェッショナルとして深く顧客に入り込みたい
このように、自分の価値観とビジネスモデルの整合性を図りましょう。ここが曖昧だと、業界研究不足とみなされる可能性があります。
なぜその企業か(7大商社・専門商社間の差別化)
「商社業界」への志望理由が固まったら、次は「なぜその会社なのか」という競合他社との差別化が必要です。特に総合商社(7大商社)は事業内容が似通っているため、対策が必須となります。
各社の「資源・非資源の比率」や「注力地域」、そして「企業理念や社風(組織の三菱、人の三井など)」の違いを理解し、その企業固有の要素を挙げて志望理由を構成することで、熱意と納得感を高められます。
入社後にどう貢献できるか
採用担当者が最も知りたいのは、「この学生が入社後にどう活躍してくれるか」という点です。単なる憧れや「成長させてほしい」という受け身の姿勢ではなく、自らの強みを活かしてどう貢献できるかを提示する必要があります。
部活動で培ったタフネスや、研究で培った論理的思考力など、自身の強みと商社の業務(トレーディングや事業投資)を具体的に結びつけましょう。泥臭い仕事にも真摯に取り組める姿勢を示すことが重要です。
商社の志望動機を作る7つのステップ
en-courage利用者へのインタビューや、多くの就活生を支援してきた成田さんの知見に基づくと、商社の志望動機を作成するには7つのステップを踏むと内定に近づくことがわかりました。次のセクション以降では、以下のステップに沿って解説していきます。
- ステップ①:商社業界の基礎知識を押さえる
- ステップ②:商社業界にどういう魅力を感じたのかを整理する
- ステップ③:その企業にどういう魅力を感じたのかを整理する
- ステップ④:商社業界で活かせる自分の強みを整理する
- ステップ⑤:構成・書き方・注意点を押さえる
- ステップ⑥:例文を参考にしながら書く
- ステップ⑦:就活のプロに添削してもらう
【ステップ①】商社業界の基礎知識を押さえる
説得力のある志望動機を作るには、土台となる業界知識が欠かせません。成田さんは、「商社の機能は貿易から事業経営へシフトしている。この変化を理解しているかが鍵」と指摘します。まずは業界の全体像を把握しましょう。
商社の2大機能:「トレーディング」と「事業投資」の違い
商社のビジネスモデルは大きく分けて「トレーディング」と「事業投資」の2つがあります。
- トレーディング(トレード):輸出入や国内取引において、売り手と買い手の間に入り仲介を行う伝統的な業務です。物流手配、金融機能、情報提供などを付加し、手数料を得ます。
- 事業投資:企業に出資を行い、経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報)を投入することで企業価値を向上させ、収益を得るビジネスです。商社マン自身が経営に参画するケースも増えています。
商社の種類と特徴
商社は取り扱う商品の幅広さによって「総合商社」と「専門商社」に分類されます。それぞれの特徴を理解し、どちらが自分の志向に合うかを見極めましょう。
総合商社
「ラーメンからロケットまで」と形容されるように、あらゆる商材を扱い、世界規模でビジネスを展開しています。三菱商事、三井物産、伊藤忠商事、住友商事、丸紅、豊田通商、双日の7社が代表的です。
圧倒的な資本力を背景にした大規模な事業投資や、資源・インフラ開発などの巨大プロジェクトが特徴。「経営人材」としてのキャリアや、地球規模の課題解決に関わりたい人に適しています。
専門商社
特定の分野(鉄鋼、食品、化学、繊維など)に特化し、売上高の50%以上を特定商品が占める企業を指します。
その分野における深い専門知識と、顧客との強固な信頼関係が特徴です。顧客の懐に入り込む「深耕営業」ができるのが魅力で、特定分野のプロフェッショナルを目指したい人に適しています。
主な職種
商社にはさまざまな職種があり、それぞれ役割が異なります。
- 営業職:トレーディングや投資案件の発掘・実行を担います。泥臭い信頼関係構築やタフな交渉力が求められます。
- 事業企画・事業投資職:投資先企業の経営管理や、新規事業の立案・推進を行います。
- 貿易事務職:輸出入に関わる書類作成や決済業務などを行い、物流を円滑に進めるスペシャリストです。
- コーポレート職:経理、財務、人事、法務など、会社全体の運営を支え、リスク管理を行います。
総合職と一般職(事務職)の役割の違い
多くの商社では「総合職」と「一般職(事務職)」というコース別採用を行っています。
- 総合職:基幹業務を担当し、国内外への転勤や出向があります。将来的には経営幹部候補として、高い成果と責任が求められます。
- 一般職(事務職):主に総合職のサポートや事務処理を担当します。商社では貿易実務や語学力など高い専門性が求められ、「チームを支えるプロフェッショナル」としての役割が期待されます。
押さえておきたい業界キーワード
志望動機や面接で役立つ、商社特有のキーワードを押さえておきましょう。
- バリューチェーン:原材料の調達から販売までの一連の流れ。商社はこの全体を最適化して利益を生みます。
- 川上・川中・川下:ビジネスの流れの例え。川上(資源開発)、川中(製造)、川下(販売)のすべてに関わります。
- 資源/非資源:収益構造の区分。エネルギー等の「資源」は利益が大きいが価格変動リスクがあり、食料等の「非資源」は安定収益が見込めます。
【ステップ②】商社業界にどういう魅力を感じたのかを整理する
成田さん曰く、選考を通過する学生は「なぜ商社でなければならないのか」を自分の言葉で語っていると言います。「なんとなくかっこいい」ではなく、自身の価値観と照らし合わせて魅力を整理しましょう。
メーカー・物流・金融/コンサルとの違い(商社でなければならない理由)
近接する業界との違いを理解することで、志望動機が明確になります。
- メーカーとの違い:「自社製品」に縛られず、最適なものを組み合わせて提案できる自由度があります。
- 物流との違い:単に運ぶだけでなく、商流(所有権)に関わり、販売や金融機能まで提供してビジネスを主導します。
- 金融/コンサルとの違い:アドバイスだけでなく、自らもリスクを取って「当事者」としてビジネスを動かします。
商社ならではの仕事の魅力・やりがい
商社で働くことの醍醐味はどこにあるのでしょうか。主なやりがいは以下のとおりです。
自分の人間力で勝負できる(商品を持たない強み)
商社には自社製品がありません。顧客が商社を選ぶ理由は「あなただから頼みたい」という信頼関係です。自分自身が商品となり、人間的魅力や交渉力で付加価値を生み出すことにやりがいを感じる人には最適な環境です。
グローバルなフィールドで活躍できる
世界各国に拠点を持ち、国境を越えたビジネスを展開しています。語学力だけでなく、多様な価値観を受け入れ、現地の商習慣に合わせてビジネスを成立させるタフな国際感覚を養うことができます。
経営視点(事業投資)と現場視点(トレーディング)の両方を持てる
現場でのトレーディング業務でリアルな商売感覚を身につけ、事業投資先の管理を通じて経営者視点を養う。「現場感を持った経営人材」として成長できる環境は、商社ならではのキャリアステップです。
規模の大きなビジネスで社会インフラを支える
エネルギー開発や食料供給など、国家規模や社会インフラに関わるビジネスを手掛けます。自分の仕事が社会を根底から支えているという大きな使命感を感じることができます。
「憧れ」を「志望動機」に変換する思考法
「海外で働きたい」といった憧れは、そのままでは志望動機になりません。企業は「利益をもたらす社員」を求めているからです。「なぜその憧れを持ったのか(原体験)」と「その憧れを商社でどう実現し、貢献するか(再現性)」を深掘りしましょう。例えば、「留学で異文化交流に苦労した経験(原体験)」から、「現地の調整役としてプロジェクトを推進したい(貢献)」と変換することで、説得力のある志望動機になります。
【ステップ③】その企業にどういう魅力を感じたのかを整理する
en-courage利用者へのインタビューでは、内定者の多くが「企業ごとの独自性を徹底的にリサーチした」と回答しています。特に総合商社は一見似ているため、徹底的な差別化が必要です。
総合商社の差別化ポイント(7大商社の特徴)
各社には明確な違いがあります。これらを理解し、自分の強みや価値観とマッチするポイントを見つけましょう。
- 三菱商事:「組織の三菱」。業界トップクラスの総合力を持ち、経営人材育成に注力。
- 三井物産:「人の三井」。個の力と自由闊達な風土。資源エネルギーに強く、創造的なビジネスを重視。
- 伊藤忠商事:「野武士集団」。非資源(繊維・食料など)に圧倒的な強み。個の営業力が強い。
- 住友商事:「信用・確実」。メディア・デジタル、不動産、インフラ分野に強み。
- 丸紅:「とがった丸紅」。電力・穀物分野でトップクラス。若手の挑戦を推奨。
- 双日:航空機、自動車などに強み。若手から裁量権を持てる環境や新興国開拓に積極的。
- 豊田通商:トヨタグループの中核。自動車関連やアフリカ市場での展開に独自性がある。
専門商社の差別化ポイント
専門商社を差別化する際は、以下の視点が重要です。
- 親会社・系列:メーカー系(技術力)、商社系(グローバル網)、独立系(自由度)の違い。
- 取扱商材とシェア:「鉄鋼なら〇〇」といった特定分野でのシェアや強み。
- 機能・付加価値:加工機能や物流機能など、どのような付加価値を提供しているか。
企業研究の具体的なやり方
Web上の情報だけでなく、深い理解が必要です。
- 統合報告書:経営戦略や事業詳細を確認し、会社が目指す方向性を読み解きます。
- 中期経営計画:今後注力する分野を知ることで、将来の貢献イメージを具体化します。
- OB・OG訪問:Webでは分からない「社風」や「泥臭さ」を知る最良の手段です。
【ステップ④】商社業界で活かせる自分の強みを整理する
採用担当者が知りたいのは、あなたが「商社というタフな環境で活躍できる適性」を持っているかどうかです。以下のリストをご自身の経験と照らし合わせ、アピールポイントを見つけ出しましょう。
商社業界で求められる人物像
商社業界では、変化の激しい環境下で多様な関係者をまとめ上げ、価値を創造できる人材が求められます。具体的には以下の要素がキーワードになります。
- タフネス・ストレス耐性:泥臭い仕事もやり抜く力
- コミュニケーション能力・交渉力:信頼関係を構築し、合意形成を図る力
- 語学力・異文化受容力:価値観の異なる人々と協働できる力
- チャレンジ精神・行動力:前例のないことに挑み、自ら動く力
商社の種類や配属部門によって重視される要素は異なりますが、タフネスと信頼構築力はどの商社でも共通して求められる資質です。
求める人物像に合う強みとエピソードを探す
以下の問いかけを参考に、求められている強みやそれを裏付けるエピソードがあるかを確認してみましょう。
-
タフネス・ストレス耐性
- 肉体的・精神的にハードな状況でも、逃げずに最後までやり遂げた経験はあるか?
- 周囲が諦めそうな困難に直面しても、泥臭く粘り強く取り組み続けた経験はあるか?
-
コミュニケーション能力・交渉力
- 利害が対立する相手と粘り強く交渉し、双方が納得する合意点を見つけた経験はあるか?
- 立場や価値観の異なる人々の間に立ち、信頼関係を築きながらプロジェクトを進めた経験はあるか?
-
語学力・異文化受容力
- 自分とは異なる文化や価値観を持つ人々と協働し、成果を出した経験はあるか?
- 言葉や習慣の壁を乗り越え、相手を理解しようと努力した経験はあるか?
-
チャレンジ精神・行動力
- 前例のないことや、誰もやりたがらないことに自ら手を挙げて挑戦した経験はあるか?
- 指示を待つのではなく、自ら課題を見つけて行動を起こし、周囲を巻き込んだ経験はあるか?
【ステップ⑤】構成・書き方・注意点を押さえる
成田さんが多くのESを添削する中で、内容が良くても構成で損をしているケースが見られます。読み手である採用担当者にストレスなく内容を届けるためには、論理的な構成が不可欠です。
志望動機の基本構成
わかりやすい志望動機は、基本的に以下の順番で構成されています。この型を守ることで、話のブレを防ぎ、採用担当者に要点を的確に伝えることができます。
- 書き出し(結論):「なぜ志望するのか」という結論を冒頭で一言で述べ、採用担当者に第一印象で理由を明確に伝えます。
- 将来像(ビジョン):入社直後だけでなく、5年後などにどう成長していたいかというキャリアビジョンを語り、企業と共に未来を描く姿勢を示します。
- 原体験(背景):その業界や企業に興味を持ったきっかけとなる具体的な過去の経験(エピソード)を述べ、志望理由に説得力と独自性を持たせます。
- この業界を選んだ理由:業界全体の特徴や魅力を理解した上で、それが自身の価値観や経験とどう結びついているかを説明します。
- この企業を選んだ理由:同業他社ではなく、その企業独自の強み(理念・事業・社風など)を挙げ、「なぜこの会社でなければならないか」を明確にします。
- 締めくくり(結論の強調):自分の強みや経験を活かして、入社後に具体的にどのような形で貢献したいかを宣言し、熱意をアピールして結びます。
書き方のポイント
読みやすく、かつ評価される文章にするためのテクニックを紹介します。これらを意識するだけで、文章の質がグッと向上します。
- 求める人物像にマッチさせる:自分の強みや価値観を企業の理念や仕事内容と結びつけ、単なる熱意だけでなく「入社後に働いている姿」を具体的にイメージさせます。
- 結論ファーストで書く:「なぜ志望するのか」という結論を冒頭で明確に伝え、採用担当者が続きを理解しやすい構成にします。
- 定量的に書く:取り組みの成果や規模を具体的な数字(例:「20%向上」)で表すことで、説得力を高め、読み手との認識のズレを防ぎます。
- 他社にはない企業の強みに言及する:企業研究に基づき、競合他社にはないその企業独自の特徴や魅力に触れることで、高い志望度を伝えます。
- 原体験を具体的に述べる:無理に「その企業でなければならない理由」を作るのではなく、自身のライフヒストリー(過去の経験や価値観)に基づいた正直な理由を伝えます。
- インパクトのある書き出しと締めくくりにする:書き出しで読み手の興味を惹きつけ、締めくくりで入社後の活躍を強く印象づけることで、評価を高めます。
やってはいけないNG例・注意点
避けるべき表現を知ることで、マイナス評価を防ぐことができます。よくある失敗例とその改善策を確認しましょう。
- 「海外に行きたい」だけ:「旅行代理店でもよいのでは?」と言われないよう、ビジネスの視点を忘れないようにしましょう。
- メーカーと混同している:製品への愛着よりも、「商売の仕組み」への関心を示すべきです。
- 「成長したい」「学びたい」など受け身:企業は学校ではありません。主体的な貢献意欲を示しましょう。
- 待遇・ステータスだけが理由:仕事への熱意が無いと見なされるリスクがあります。
- どの企業でも通用する抽象的な内容:社名を入れ替えれば他社でも通じる内容は避け、固有の要素を盛り込みましょう。
▼志望動機の構成・ポイント・注意点について詳しく知りたい方は、以下の記事もご参照ください。
エントリーシートの志望動機の構成と書き方!周りと差をつけるポイントを元日系大手人事が解説
【ステップ⑥】例文を参考にしながら書く
ここでは、商社の業態や職種別の志望動機例文を紹介します。成田さんが実際に添削してきた事例をもとに、ポイントも解説しています。これらをヒントに、自分だけのエピソードを盛り込んで作成してください。
【業態別】商社の志望動機例文
総合商社(組織力・経営人材への志向)
<例文>
貴社の強固な組織力とグローバルな事業基盤のもと、エネルギーの安定供給という社会的使命を果たしたいと考え志望します。私は大学時代、体育会ラグビー部の主将として100名を超える部員を統率し、全国大会出場という目標に向けて組織改革を行いました。この経験から、個々の力を結集し、組織として大きな成果を出すことに喜びを感じています。貴社は「組織の総合力」を強みとし、全社一丸となって資源エネルギー分野の課題解決に取り組んでいます。私の強みである「組織を牽引するリーダーシップ」と「粘り強さ」を活かし、貴社の巨大プロジェクトを成功に導く一翼を担いたいと考えています。
<ポイント>
- 組織への志向:ラグビー部の主将経験から、組織で成果を出すこだわりを提示
- 企業の特徴との合致:「組織の総合力」と自身のリーダーシップをリンク
- スケール感:エネルギー供給という社会インフラへの貢献意欲を提示
総合商社(個の力・自由闊達な風土への共感)
<例文>
「個」の力を最大限に尊重し、若手から挑戦できる貴社の風土に惹かれ志望します。私は学生時代、バックパッカーとして世界30カ国を巡り、現地の人々と交渉しながら旅を続けました。トラブルに直面しても、自らの判断と行動力で切り抜けてきた経験から、自分の人間力で勝負できる環境で働きたいと考えています。貴社は「自由闊達」な社風のもと、社員一人ひとりが起業家精神を持ってビジネスを創出しています。私の強みである「バイタリティ」と「異文化適応力」を活かし、未開拓の市場で新たな商流を生み出す「個」として活躍したいです。
<ポイント>
- 個の力へのフォーカス:バックパッカー経験で培った「個で生き抜く力」をアピール
- 社風とのマッチ:「自由闊達」「起業家精神」というキーワードを盛り込む
- 強みの活かし方:バイタリティを新規市場開拓という業務に結びつける
専門商社(鉄鋼・金属分野のスペシャリスト志向)
<例文>
鉄鋼という産業のコメを通じて、日本のモノづくりを根底から支えたいと考え志望します。私は大学で材料工学を専攻し、素材が製品の性能を左右する重要性を学びました。貴社は鉄鋼専門商社として世界的なネットワークを持ち、単なる供給だけでなく、加工や物流まで含めたソリューション提案を行っています。私の「素材への知見」と、研究室で培った「課題解決に向けた粘り強さ」を活かし、メーカーの技術的な要望に対して最適な鋼材と加工方法を提案するスペシャリストとして、貴社のプレゼンス向上に貢献したいです。
<ポイント>
- 専門性への意欲:専攻内容(材料工学)をフックに正当性を主張
- 機能への理解:加工やソリューション提案という付加価値に言及
- 貢献イメージ:知識を活かした提案型営業という働き方をイメージさせる
専門商社(食品・繊維分野などの生活密着型)
<例文>
「食」を通じて人々の生活を豊かにし、笑顔を届けたいという想いから貴社を志望します。飲食店でのアルバイトリーダーとして、廃棄ロス削減と売上向上を両立させるメニュー開発に取り組んだ経験があります。この時、食材の調達から提供までの流れを最適化することの面白さと難しさを学びました。貴社は食品流通において圧倒的なシェアを持ちながら、食の安全や環境問題にも積極的に取り組んでいます。私の「現場目線での改善力」と「食への情熱」を活かし、変化する消費者ニーズを捉えた新たな食のトレンドを貴社と共に創りたいです。
<ポイント>
- 身近な原体験:飲食店の経験から流通や課題解決への関心につなげる
- 業界課題への視点:廃棄ロスなどの課題に触れ、ビジネス視点を提示
- 企業の強みへの言及:食の安全や環境への取り組みへの共感を示す
専門商社(化学・医薬品などの技術提案型)
<例文>
化学の力で産業の発展に貢献する貴社の技術提案力に魅力を感じ、志望します。化学メーカーとの共同研究において、素材の選定一つで実験結果が大きく変わる経験をし、最適な素材を提案する役割の重要性を実感しました。貴社は化学品専門商社として高度な技術サポート機能を持ち、顧客の製品開発に深く入り込むスタイルを確立しています。研究で培った「論理的思考力」と「専門知識」を武器に、顧客の潜在的な課題を引き出し、技術とビジネスの両面から解決策を提示できる営業職として活躍したいと考えています。
<ポイント>
- 技術営業への適性:研究経験から「素材提案の重要性」への気づきを語る
- ビジネスモデル理解:開発に入り込む「技術サポート機能」への理解を示す
- 強みの活用:専門知識と論理的思考力をどう活かすかを明示
【職種別】商社の志望動機例文
営業職(トレーディング・現場での信頼関係構築)
<例文>
最前線の現場で、人と人との信頼関係を基盤にビジネスを動かしたいと考え、営業職を志望します。学生時代、訪日外国人向けのガイドボランティア団体の代表を務めました。当初は文化の違いからメンバー間の衝突が絶えませんでしたが、一人ひとりと対話を重ね、共通の目標を浸透させることでチームを再生させました。この経験から、泥臭い対話を通じて信頼を築くことの重要性を学びました。商社の営業職として、国内外のステークホルダーの間に立ち、粘り強い交渉と調整を行うことで、貴社のビジネス拡大に貢献したいです。
<ポイント>
- 泥臭さの強調:対話や調整の苦労を乗り越えた経験を提示
- 信頼関係構築力:営業職の核となる「信頼」をキーワードにアピール
- 現場志向:最前線で汗をかく覚悟を示す
事業企画・事業投資職(新規事業の立案・経営管理)
<例文>
事業投資を通じて企業の価値を最大化し、持続可能な社会の実現に貢献したく、事業企画職を志望します。大学のゼミでは、地方企業の経営再建策を立案するプロジェクトに参加しました。財務データの分析だけでなく、現場の実情を踏まえた施策を提案し、実際に採用された経験から、経営視点で事業を動かすやりがいを感じました。貴社は事業投資に注力し、投資先のハンズオン支援を行っています。私の「分析力」と「経営視点」を活かし、投資案件の目利きから投資後のバリューアップまで一貫して関わることで、貴社の収益基盤強化に貢献したいです。
<ポイント>
- 経営視点の提示:計数管理や戦略立案への適性をアピール
- ハンズオン支援への意欲:投資後の価値向上に関わりたい意欲を示す
- 実務能力の示唆:分析力や提案力が業務に直結することを伝える
貿易事務職(輸出入実務・語学力を活かす専門職)
<例文>
国際物流の要として、確実かつ円滑な取引を支える貿易事務職を志望します。留学中に現地の物流会社でインターンシップを行い、一つの荷物が届く背景には、膨大な書類手続きと緻密な調整があることを学びました。また、トラブル発生時に英語で粘り強く交渉し、解決に導いた経験があります。この経験から、語学力と事務処理能力を活かして商社のビジネスを足元から支えたいと考えるようになりました。貴社の貿易事務職として、正確な実務遂行と先回りした対応を行い、営業担当者が安心して商談に集中できる環境を作りたいです。
<ポイント>
- 実務への理解:貿易実務の重要性と大変さを理解していることをアピール
- サポート能力:語学力に加え、トラブル対応力や調整力を提示
- チームへの貢献:営業を支えるという役割認識を示す
営業事務・一般職(チームのサポート・事務処理能力)
<例文>
チームの成果を最大化するために、周囲を細やかにサポートする役割を担いたく、一般職を志望します。所属するオーケストラサークルでは、会計係として100名分の経費精算や合宿の手配をミスなく遂行しました。また、練習の進捗状況を先読みして資料を準備するなど、メンバーが演奏に集中できる環境作りに注力しました。貴社の一般職は、高い事務処理能力と主体的なサポートが求められると認識しています。私の「正確性」と「ホスピタリティ」を活かし、忙しい営業担当者を多角的にサポートすることで、チーム全体の業績向上に貢献したいと考えています。
<ポイント>
- 正確性と気配り:正確な実務能力と、先回りして動く気配りをアピール
- 主体的なサポート:自ら考えて動く「主体的な一般職」としての姿勢を強調
- チーム貢献:自分の仕事がチームの成果につながる意識を示す
コーポレート職(経理・人事・法務などの管理部門)
<例文>
経営資源である「ヒト・モノ・カネ」の管理を通じて、貴社のグローバル展開を強固に支えたいと考え、コーポレート職を志望します。簿記1級の資格取得に向けた勉強の中で、数字は企業の健康状態を表す重要な指標であると痛感しました。貴社は複雑化する世界情勢の中で、リスク管理とガバナンスの強化を掲げています。私の「数字への強さ」と「客観的な分析力」を活かし、経理・財務のプロフェッショナルとして、攻めの経営を裏側から守り、支える役割を果たしたいです。
<ポイント>
- 専門性への意欲:経理・財務分野への高い関心と適性をアピール
- 守りの重要性:リスク管理やガバナンスの重要性を理解していることを示す
- 経営への貢献:「攻めの経営を守る」という役割意識を伝える
【ステップ⑦】就活のプロに添削してもらう
成田さんが実際に人事として選考を行う中で感じたのは、添削を経た志望動機とそうでないものには明確な差があるということです。志望動機の完成度を高める最終工程として、第三者によるチェックは不可欠です。
なぜ第三者の添削が必要か
第三者に読んでもらうことで、自分では気づかない誤字脱字や表現の曖昧さを発見できます。また、自分の中では伝わっているつもりでも、他者には理解しづらい部分があるかもしれません。客観的な視点でのフィードバックにより、より完成度の高い志望動機に仕上げられます。
添削を受ける際のポイント
添削を依頼する相手としては、特に就活エージェントがおすすめです。多くの学生の志望動機を見てきた経験から、企業目線での具体的なアドバイスを得られます。
添削時にチェックしてもらうべきポイントは以下の通りです。
- 論理的な構成になっているか
- 誤字脱字がないか
- 敬語の使い方が正しいか(特に「御社」と「貴社」の使い分け)
- 結論ファーストになっているか
- 抽象的な表現が多くないか
これらの観点で具体的な改善案をもらうことで、説得力のある志望動機に仕上げられます。
就活エージェントを活用するメリット
就活エージェントを活用すると、志望動機の添削だけでなく、業界や企業に関する専門的なアドバイスを受けられます。多くの学生を見てきた経験から、効果的な表現方法や改善ポイントを具体的に教えてもらえますので、積極的に活用しましょう。
よくある質問・FAQ
就活のサポーターとしてよく聞かれる質問や、en-courage利用者へのインタビューで出てきた疑問への回答をご紹介します。
英語力(TOEIC)はどれくらい必要?
総合商社であればTOEIC730〜800点程度が目安といわれますが、選考時点で必須ではない企業も多いです。重要なのは「入社後に英語を使って仕事をする気概」です。不安な点は就活エージェントに相談し、今のスコアでどう戦うか戦略を練るとよいでしょう。
「配属リスク」についてはどう答えればいい?
商社にはたしかに「配属ガチャ」の側面があります。しかし、面接では「希望部署で強みを活かしたいが、商社のビジネスの根幹は同じ。どの部署でも貢献し、将来的に希望分野に関われるよう成長したい」と、前向きな柔軟性を示すのが正解です。具体的な言い回しは、就活エージェントに相談して対策することをおすすめします。
体育会系でないと受からない?
「商社=体育会系」のイメージは強いですが、必須ではありません。重要なのは「目標に向かってチームで粘り強く努力できる資質」です。文化系や研究活動であっても、その経験をどうアピールすれば効果的か、就活エージェントに相談してみるとよいでしょう。
OB・OG訪問は必須?
必須ではありませんが、強く推奨されます。商社は「人」が商材であり、Webにはないリアルな情報を得ることで志望動機に深みが出ます。ツテがない場合やアプローチ方法は、就活エージェントに相談することでサポートを受けられます。
監修:成田 駿
元日系大手人事/就活サポーター
日系大手事業会社で最年少部長に就任し、新卒採用に5年以上従事。戦略設計からイベント企画、選考フロー、研修まで新卒採用の入口から出口までを幅広く担当し、延べ3,000名以上の学生と接点を持つ。人事業務以外でも累計2,000名以上の就活生を個別に支援し、大手・外資・メガベンチャーなど多様な企業への内定実績を誇る。
協力:NPO法人en-courage
全国約120の大学に支部を展開し、就活生を対象としたキャリア教育支援を行うNPO法人。独自にイベントやメディアを多数運営し、年間2,500件以上のセミナーを開催。企業と学生の間に年間約80万回の接点を創出するなど、国内最大級の規模で活動している。すべての就活生が本質的なキャリアを通じて人生を最大化できるよう、個別支援やコミュニティづくりを通じたサポートを目指している。