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【まずは3つでOK】受かる自己分析シート大全|種類・使い方・ESや面接での活用法などを元日系大手人事が解説

自己分析シートの正しい使い方や活用法がわからず困っていませんか?本記事では、自己分析シートのメリットや種類別の使い方・ポイント、注意点、完成したシートのES・面接での活用方法などを解説します。

「自己分析シートって、結局何をどこまでやればいいの?」
「自分史や強み分析を始めたけど、これで合ってるか不安」
こうした声はen-courage利用者からよく耳にします。

元日系大手人事で就活サポーターの成田さんは「自己分析シートは、①ESや面接で質問に困らないようにする、②納得のいく企業選びの土台をつくることが目的。そして、3種類のシートだけでその目的は達成できる」と言います。

この記事では成田さん監修の基、自己分析シートの種類と使い方をご紹介。また、自己分析シートのメリットやおすすめのシート3種類、注意点、完成したシートのES・面接での活用方法なども徹底的に解説します。

そもそも自己分析とは

就職活動における自己分析とは、自身の長所や短所、価値観などを正確に把握し、それを言葉にする作業のことです。これまでの経験や考え方を振り返って整理することで、自分だけの「企業選びの軸」を明確にします。

多くの就活生が「どうやってやればいいかわからない」と悩みがちなプロセスですが、自己分析は自分を効果的にアピールするための土台作りであり、数多くの企業のなかから自分に合った一社を見つけ、説得力のある自己PRや志望動機を作成するための重要な第一歩といえるでしょう。

▼自己分析の定義や目的、メリット、やり方などは以下の記事もご参照ください。
自己分析を深める11のやり方目的・注意点・活用方法まで完全ガイド

自己分析シートとは

自己分析シートとは、過去の経験や出来事を振り返りながら、自分の強み・弱み、価値観、将来のキャリアの方向性を整理し、明らかにするための分析シートです。手順に沿ってシートに記入することで、客観的に自己分析を進められます。

自分史やモチベーショングラフといったフレームワークを活用することで、自己理解を深められます。就活の軸や方向性を見つけやすくなり、一貫性のある志望動機や自己PRを作成する土台作りにも役立ちます。

自己分析シートのメリット

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自己分析シートの作成を面倒だと感じていませんか?しかし、元人事の成田さんは「このシートが、後の選考プロセスをどれだけ楽にしてくれるかを知ってほしい」と語ります。

シートは、単なる自己満足ではなく、選考通過率の向上やキャリアの軸の明確化に直結します。ここでは、成田さんが解説する、自己分析シートを活用することで得られる4つの具体的なメリットをご紹介します。

どんな質問が来ても答えられるようになる

自己分析シートで自己理解を深めると、選考での多様な質問に対応しやすくなります。就活では自己PRやガクチカ、長所・短所など様々な質問がされますが、分析が浅いと回答に一貫性や具体性が欠け、説得力のない内容になりがちです。シートで経験や強み・弱みを深掘りし整理しておけば、どんな質問にも自信を持って具体的に答えられ、選考の通過率向上につながります。

就活の軸やキャリアの方向性が明確になる

自己分析シートで価値観や強みを理解すると、キャリアで重視する「就活の軸」が明確になります。軸が定まれば、多数の企業のなかから自分に合う業界や職種を絞り込みやすくなります。また、将来のビジョンから逆算してキャリアプランを考えられ、志望動機にも説得力を持たせられます。価値観に合うかで判断できるため、入社後のミスマッチ防止にも役立つでしょう。

自分を客観視することができる

自己分析シートに経験や考えを書き出すと、自分を客観的に見つめ直せます。「自分はこういう人間だ」という思い込みも、書き出して可視化することで、主観から離れて自分を捉え直しやすくなります。当たり前だと思っていたことが強みだと気づいたり、認識していなかった自分の一面を発見したりすることもあるでしょう。こうした気づきが、自己理解を多角的に深めることにつながります。

効率的に自己分析を進められる

自己分析シートは、手順に沿って分析を進められるよう設計されています。何から手をつければよいか分からず漠然と始めるのは非効率ですが、シートを使えば経験や価値観、強み・弱みを体系的に整理可能です。頭の中の考えを書き出すことで、自分の資質を鮮明かつ効率的に把握できます。情報の整理や見直しもしやすいため、限られた時間で自己分析を進めるのに有効なツールです。

自己分析シートの種類・方法

「自己分析シートの種類が多すぎて、結局どれが自分に合っているの?」en-courageには、そんな「手段選び」の段階でつまずいている学生からの相談も寄せられます。

元人事の成田さんは「まずは『過去・現在・未来』の3つの視点さえ押さえれば、選考は乗り切れる」と断言します。ここでは、その3つの必須分析方法に加え、必要に応じて使い分けたい他の代表的なシートについても解説します。

おすすめの自己分析方法3選

自己分析シートには多くの種類がありますが、まずはおすすめする3つの方法に取り組むだけでも十分です。就活における自己分析のゴールは、主に「選考で自分についての質問に答えること」と「企業選びの『就活の軸』を決めること」の2つです。

このゴールは、「過去」「現在」「未来」という3つの時間軸で自分を深掘りすることで達成できます。この3つの視点で分析を行えば、選考で問われる様々な質問に答えられ、将来から逆算してキャリア戦略を考え、「就活の軸」を自信を持って説明できるようになります。

【過去】自分史

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「自分史」は、過去の経験を時系列で振り返り、そこから自身の傾向や価値観を洗い出すためのシートです。過去の事実(出来事)と、それに対する自分なりの解釈(考えや学び)を整理していきます。

自分史のやり方

  1. 時期ごとに経験を列挙する:「小学校時代」「中学校時代」「高校時代」「大学時代」といった時期ごとに、印象に残っている出来事や所属していた組織での経験といった「事実」を書き出します。
  2. 解釈や学びを書き出す:それぞれの経験や出来事に対し、「自分はそこで何を考えたか?」「何を学んだか?」といった「解釈」を記入します。
  3. 特に影響のあった経験を特定する:書き出した経験のなかで、自分にとって特に大きな影響を与えたものを特定します。
  4. 経験を深掘りする:特定した経験について、「どのような課題や困難があったか」「それをどう乗り越えようと考えたか」を具体的にします。
  5. 行動と結果を言語化する:そのプロセスで、「具体的にどんな行動をしたか」「その結果どうなったか」を言語化します。

自分史作成のコツ

  • まずは事実を列挙:最初からうまくまとめようとせず、まずは印象に残っている出来事をとにかく書き出すことに集中しましょう。
  • ネガティブな経験も書く:失敗や挫折といったネガティブな経験も、それをどう乗り越えたかを分析することで、大きな学びや強みになります。
  • 「なぜ」を繰り返す:各出来事や行動に対して「なぜそうしたのか?」と問いかけることで、表面的な事実の奥にある自分の価値観が見えてきます。

【現在】強み・弱み・性格を書き出す

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過去の分析(自分史)ができたら、次は「現在」の自分、つまり自身の強み・弱み、性格を書き出します。

強み・弱み・性格の書き出し方

  1. 強み・弱み・性格をブレインストーミングする:「自分史」を参考にしたり、友人や家族からよく言われることを思い浮かべたりしながら、自分の「強み」「弱み」「性格的な側面」だと思えるものを、思いつく限りすべて書き出します。
  2. 3〜5個に絞り込む:書き出したもののなかから、特に自分を表していると感じるものを、強み・弱み・性格それぞれ3〜5個程度選びます。
  3. 「端的な表現」と「具体的な説明」をセットにする:選んだもの(例:「コミュニケーション能力」)を、まずは「端的なキーワードやフレーズ」として捉えます。次に、それが「(どのような)〇〇な力」なのかを具体的に説明できるようにします(例:「相手の意図を汲み取って話す力」)。特に、エピソードを紐づけられると、説得力が増します。

作成のコツ

  • 弱みも正直に書く:強みだけでなく、弱みもしっかりと書き出します。弱みは「改善努力」とセットで伝えることで、自己認識能力のアピールにもなります。
  • 具体化を意識する:「コミュニケーション能力」といった抽象的な表現は避け、「(どのような)〇〇な力」(例:「相手の意図を汲み取って話す力」)のように、それ自体で伝わるレベルの「端的な表現」を見つけることが重要です。さらに、それを裏付ける「具体的なエピソード」をセットで用意し、誰が聞いても同じ場面をイメージできるレベルにします。

【未来】将来のビジョンと実現方法を描く

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過去(自分史)と現在(自分の資質)の分析が終わったら、最後は「未来」のキャリアプランを描くシートを作成します。就活では、将来どのような社会人になりたいかをイメージし、そこからファーストキャリアを考える視点も大切です。

将来ビジョンと実現方法の描き方

  1. 将来のビジョン(なりたい姿)を決める:「仕事を通じて将来どんな姿を目指したいか」を定義します。「新しい価値を生み出す企画に携わりたい」「グローバルな舞台で活躍したい」など、現時点での理想像を決めます。
  2. 実現までのプロセスを考える:「なりたい姿」に到達するために「どのような仕事を経験したいか」「どんなスキルを身につけたいか」を書き出します。
  3. ビジョンに合う業界・業種を絞り込む:設定した将来ビジョンを踏まえ、それが実現できそうな「業界」や「職種」を考えます。
  4. ファーストキャリア(1〜3年後)で特に得たいことを明確にする:ビジョンに向けた第一歩として「何を重視するか」を定義します。最初の1〜3年で「まず何を身につけるべきか」「どんな経験を積むことが、将来のビジョンへの最短距離になるか」を具体化します。

作成のコツ

  • 完璧を目指さない:将来のことは変わる可能性が高いものです。完璧なビジョンを描く必要はなく、「現時点でのベスト」を考えるという意識で取り組みましょう。
  • ゴールから考える:「今できること」から積み上げて考えるだけでなく、「将来のゴール」を先に設定し、そこに至るために「今、どの企業を選ぶべきか」を考えることで、キャリアの軸がブレにくくなります。

その他の自己分析シート

ここまで紹介した「過去・現在・未来」を深掘りする3つの方法がおすすめですが、自己分析シートには他にも様々な種類があります。これらの方法を併用することで、特定の側面(例:モチベーションの源泉)を強化し、自己分析をさらに深めることができます。

モチベーショングラフ

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「モチベーショングラフ」は、横軸に時間(年齢)、縦軸にモチベーションの高低を設定し、これまでの人生における感情の浮き沈みを折れ線グラフで可視化する手法です。自分がどのような出来事に喜びを感じ、逆にどのような状況で意欲が低下するのかを視覚的に把握できます。

モチベーショングラフのやり方

  1. グラフの軸を設定する:横軸に時間(幼少期、小学生、中学生、高校生、大学生など)、縦軸にモチベーションの高さを設定します。
  2. モチベーションの変化を曲線で描く:過去の出来事を振り返りながら、その時々のモチベーションの高低を点で打ち、それらを線で結んでグラフにします。
  3. 変化点に出来事を書き込む:モチベーションが大きく上がった(下がった)ポイントに、その原因となった具体的な出来事を書き込みます。
  4. 感情の理由を深掘りする:各ポイントで「なぜモチベーションが上がったのか」「なぜ下がったのか」を深掘りし、言語化します。
  5. 共通点を探る:グラフ全体を眺め、モチベーションが上がる(下がる)時の共通点を探します。

作成のコツ

  • 直感で描く:あまり深く考えすぎず、当時の感情を思い出しながら直感的にグラフを描いてみましょう。
  • 「なぜ」を重視する:グラフを描いて終わりではなく、「なぜ」その感情になったのかを言語化するプロセスが最も重要です。その理由に、あなたの価値観が隠されています。
  • 共通点を見つける:モチベーションが上がる時の共通点(例:「新しいことに挑戦した時」「チームで協力した時」)が、あなたの強みや仕事選びの指針になります。

ジョハリの窓

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「ジョハリの窓」は、「自分から見た自分(自己評価)」と「他人から見た自分(他者評価)」の認識を4つの領域に分類し、そのズレを把握することで自己理解を深めるフレームワークです。他己分析と組み合わせて行います。

4つの窓は以下のように分類されます。

  • 開放の窓:自分も他人も知っている自分(自己PRの核となる部分)
  • 秘密の窓:自分は知っているが他人は知らない自分(アピールすることで新たな魅力を伝えられる部分)
  • 盲点の窓:自分は気づいていないが他人は知っている自分(他己分析によって発見できる新たな強み)
  • 未知の窓:誰からもまだ知られていない自分(今後の可能性を秘めた部分)

ジョハリの窓のやり方

  1. 自分の特徴を書き出す:自分が思う自身の性格や特徴(強み・弱み)を書き出します。
  2. 他者(友人・家族など)に自分の特徴を聞く:周囲の人に「自分はどんな人に見えるか」を尋ね、他者から見たあなたの特徴を集めます(他己分析)。
  3. 4つの窓に分類する:1と2で出た特徴を、上記の4つの窓の定義に従って分類していきます。
  4. 結果を分析する:分類結果を眺め、自己評価と他者評価のギャップを認識します。

作成のコツ

  • 「盲点の窓」に注目する:特に重要なのが「盲点の窓」です。これは、自分では気づいていない、他者が見出してくれているあなたの強みや魅力です。なぜそう見えるのかを尋ねることで、新たな自己PRの材料になります。
  • 複数人に聞く:他己分析は、できるだけ多くの人(例:友人、家族、アルバイト先の同僚など)に協力してもらうと、より客観性が高まります。
  • 自己PRの幅を広げる:「盲点の窓」で発見した強みや、「秘密の窓」の要素をうまくアピールすることで、自己PRに深みを持たせることができます。

企業分析/比較シートを作成する

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自己分析で自身の強みや価値観が明確になったら、それが企業の求める人物像や文化と合致するかを見極めるために「企業分析/比較シート」を作成します。自己分析と企業研究を掛け合わせることが重要です。
企業分析/比較シートのやり方

  1. 分析する観点を設定する:興味のある企業を分析・比較するための観点を設定します。例えば、以下のような「4つのP」で整理するのがおすすめです。
    • People(人・風土):働いている人の雰囲気、企業文化、価値観など
    • Profession(仕事・事業):事業内容、仕事の進め方、成長性など
    • Philosophy(理念・目標):企業のミッション、ビジョン、経営理念など
    • Privilege(制度・待遇):福利厚生、給与、働き方、研修制度など
  2. 企業情報を収集・記入する:複数の企業について、設定した観点ごとに採用サイトや説明会、OB・OG訪問などで情報を収集し、シートに記入していきます。
  3. 自分とのマッチ度を判断する:収集した各情報に対し、自己分析の結果(自分の価値観、就活の軸)と照らし合わせ、自分がその企業に「合う」か「合わない」かを判断し、その「理由」も具体的に書き出します。

作成のコツ

  • 複数社を比較する:必ず複数の企業(特に同業界内)で比較しましょう。比較することで、各社の特徴が明確になるだけでなく、自分が企業選びにおいて何を重視しているのかがより鮮明になります。
  • 「合う/合わない」の理由を言語化する:単に情報を集めるだけでなく、「なぜ自分はそう感じるのか」という理由を言語化するプロセスが、自己分析を深め、志望動機を作成するうえで役立ちます。
  • ミスマッチを防ぐ:このシートを活用することで、自己分析と企業研究が連動し、「自分の〇〇という価値観と、御社の〇〇という理念が合致する」という明確な理由を持って企業を選ぶことができ、入社後のミスマッチを防げます。

Will・Can・Must

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「Will・Can・Must」は、キャリアプランニングに有効なフレームワークです。「Will(やりたいこと)」「Can(できること)」「Must(やるべきこと)」という3つの要素を洗い出し、それらが重なる領域から自分に最適な仕事やキャリアの方向性を見つけます。

  • Will(やりたいこと):自分の価値観に基づき、将来実現したいこと、挑戦したいこと。
  • Can(できること):これまでの経験から得た、現在持っているスキルや強み、得意なこと。
  • Must(やるべきこと):企業や社会から求められている役割、ミッション。

Will・Can・Mustのやり方

  1. 「Can(できること)」を書き出す:まず、自己分析(自分史や強み分析)の結果をもとに、自分の「Can」をできるだけ多く書き出します。
  2. 「Will(やりたいこと)」を書き出す:次に、自分の価値観や興味・関心から、「Will」を書き出します。1で書き出した「Can」を活かして実現したい「Will」を考えると、より現実的になります。
  3. 「Must(やるべきこと)」を書き出す:企業研究や業界研究を通じて、企業や社会が求めていること、ビジネスパーソンとして「Must」とされることを調べ、書き出します。
  4. 3つの円が重なる領域を考える:3つの要素を書き出し、それらが重なる部分はどこかを考えます。この重なる領域が、自分の能力を活かし、高い意欲で働ける理想的な仕事やキャリアを示唆します。

作成のコツ

  • 「Can」から始める:「やりたいこと(Will)」がすぐに見つからない場合は、まず「できること(Can)」を洗い出し、それをどう活かせるか、という視点で「Will」を考えてみると描きやすくなります。
  • 「Must」は企業研究で明確に:「Must」は、企業研究によって解像度が上がります。志望する企業がどのような「Must」を求めているかを理解することで、具体的なキャリアプランを描けます。
  • バランスが重要:3つの円がすべて重なる仕事が理想ですが、最初は重ならないことも多いです。まずは「Can」と「Must」が重なる領域で経験を積みながら、「Will」に近づけていく、といった長期的な視点も持ちましょう。

自己分析シート以外の自己分析方法

自己分析シート(フレームワーク)以外にも、自己理解を深める方法はいくつかあります。

就活エージェントに相談する

キャリア相談のプロである就活エージェントは、客観的な視点であなたの強みや価値観を引き出し、言語化する手助けをしてくれます。企業が求める人物像も熟知しているため、自己分析の結果をどうアピールすれば効果的か、具体的なアドバイスも得られます。

マインドマップを作成する

中心のテーマ(例:「自分」)から関連する言葉(例:「好きなこと」「得意なこと」)を放射線状に広げ、思考を可視化する手法です。頭の中にある抽象的な考えを整理し、新たな自分の側面を発見するのに役立ちます。

「なぜ?」を繰り返して深掘りする

印象に残っている経験や決断に対し、「なぜそうしたのか?」という問いを5回ほど繰り返す手法です。表面的な理由の奥にある、自分の根本的な行動原理や価値観にたどり着くことができます。

他己分析を行う

友人や家族など、身近な人に自分について尋ね、客観的な視点を得る手法です。自分一人では気づきにくい長所や短所を知ることができ、自己評価とのギャップを認識できます。

自己分析ツールを活用する

Webサイト上で質問に答えるだけで、自分の性格や強み、向いている仕事の傾向などを客観的に示してくれる診断サービスです。自己理解を深める「きっかけ」として手軽に利用できますが、結果はあくまで参考とし、自身の経験と照らし合わせて考えることが大切です。

▼自己分析ツールの種類や選び方、使い方は以下の記事で詳しく解説しています。
【2025年最新版】おすすめ自己分析ツール20選!選び方から活用法まで徹底解説

自己分析シートのポイント・注意点

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en-courage利用者からは「シートを正直に書けず、企業の求める人物像に寄せてしまう」「強みが見つからず、弱みばかり書き出してしまう」といったリアルな悩みをよく聞きます。

元人事の成田さんは、「その『正直になれない』『強みが見つからない』状態こそが、自己分析で乗り越えるべき最初の壁」と語ります。ここでは、そうした壁を突破し、有意義な分析にするためのポイントと注意点を解説します。

強みも弱みも正直に書き出す

自己分析シートを作成する際は、企業の求める人物像に合わせようとしすぎず、自分の強みも弱みも正直に書き出すことが大切です。強みばかりを強調したり、弱みを隠したりして理想像に合わせると、入社後に現実とのギャップで苦しむ可能性があります。

選考で短所(弱み)を質問されるのは、応募者が自分を客観的に理解しているかを確認するためです。弱みを正直に認識し、それをどう克服しようと努力しているかをセットで考えることで、自己理解の深さを示せます。

具体的に言語化する

自己分析シートの作成は、自分の考えを具体的な言葉に落とし込む作業が重要です。「協調性がある」といった抽象的な言葉だけでは、他の就活生との差別化はできません。

例えば「チーム内で意見が対立した際に、双方の意図を汲み取って調整役を担える」のように、どのような状況で発揮されるのかを具体的に言語化することが重要です。結果を具体的なエピソードとともに説得力のある言葉で表現できれば、採用担当者に「自社で活躍する姿」を明確にイメージしてもらえます。

他己分析も取り入れる

自己分析はどうしても主観的になりがちです。そこで、友人や先輩、家族、就活エージェントなど、第三者に自分の評価を尋ねる「他己分析」も取り入れることをおすすめします。自分では当たり前だと思っていたことが、他人から見ると「すごい強み」として認識されていることがあります。

逆に、自分では気づかなかった短所(改善点)を指摘してもらえる場合もあります。客観的な視点を取り入れることで、自己評価と他者評価のギャップに気づき、より多角的で説得力のある自己理解が可能になります。

▼他己分析のやり方について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
他己分析のやり方とは?友達と一緒に就活対策をしよう!

作成して終わりにせず、定期的に見直す

自己分析シートは、一度作成したら終わりではありません。就活を進めるなかで、説明会やOB・OG訪問などを通じて新たな気づきを得て、価値観が変化することもあります。

シートは「現時点でのベスト」として捉え、定期的に見直し、必要に応じて内容をアップデート(更新)していくことが重要です。作成したシートは選考対策に活用してこそ意味があります。面接前に何度も読み返し、自分の言葉で説明できるように準備しましょう。

完成した自己分析シートの活用方法

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元人事の成田さんは、「シートはあくまで”素材”であり、それをどう”料理”して企業に提示するかが勝負です。」と言います。ここでは、成田さんが人事目線で「こう使えば響く」と語る、完成したシートを就活の各場面で最大限に活用する方法を解説します。

就活の軸を明確にする

自己分析シートで明らかになった強み、価値観、興味関心は、企業選びの基準となる「就活の軸」を明確にする材料となります。「若いうちから裁量を持って働きたい」「チームで協力して成果を出したい」など、仕事選びで譲れない条件や優先したいポイントが就活の軸です。

軸が明確になれば、多くの企業のなかから、自分の価値観に合致する企業を効率的に絞り込めます。就活の軸は面接でも頻繁に問われるため、シートをもとに、なぜその軸を大切にしているのかを具体的に説明できるように準備しましょう。

▼就活の軸を明確にし、就活を有利に進める方法は以下の記事で解説しています。
”就活が有利になる”就活の軸とは?見つける5STEPと厳選120例

ES対策に活かす

自己分析シートで言語化・整理した内容は、エントリーシート(ES)を作成する際の核となります。「自己PR」や「ガクチカ」、「長所・短所」といった頻出の設問には、自己分析で深掘りした「具体的なエピソード」が不可欠です。

「端的な説明」「具体的な説明や例」を両方用意しておくと、結論ファーストで説得力のある文章をスムーズに作成できます。「志望動機」を作成する際も、自己分析と企業分析を照らし合わせ、「なぜ他社ではなく、その企業なのか」を明確に示す根拠として活用できます。

▼ES対策の既存や、ESの書き方・構成などは以下の記事に詳しく記載しています。
落ちないエントリーシートの書き方企業が見ているポイントと対策まとめ

面接対策に活かす

自己分析シートは、面接での回答の「台本」そのものになります。面接では、ESの内容を深掘りされたり、予期せぬ角度から質問されたりします。シートで「なぜそうしたのか」といった思考プロセスや、強みを裏付ける具体例を詳細に整理しておけば、どんな質問にも一貫性を持って自信を持って答えられます。

特に志望動機では、自己分析の結果を組み合わせ、「自分の価値観が御社のこの点に強く共感している」と、論理的かつ熱意を持って主張するための強力な武器となります。

▼面接対策の基本的なノウハウは以下で紹介しています。
面接のコツとは?面接の通過率を向上させる4つのコツ

業界・企業研究に活かす

自己分析シートで明らかになった「自分の軸」や「強み」「価値観」は、業界・企業研究を進めるうえでの「羅針盤」となります。やみくもに調べるのではなく、「自分が重視すること」(例:チームワーク、成長環境)を基準に、合致しそうな業界や企業から優先的に研究を進めると効率的です。

逆に、企業研究で「この企業のこういう部分に強く惹かれる」と感じることもあるでしょう。その「なぜ」を深掘りすることが、自己分析をさらに深めるきっかけにもなります。

▼業界研究について、以下の記事で詳しく解説しています。
【資料付き】主要13業界総まとめと業界研究の効率的な分析方法とは

よくある質問

就活のサポーターとしてよく聞かれる質問や、en-courage利用者へのインタビューで出てきた疑問への回答をご紹介します。

自己分析シートがうまく埋まらない場合は?

まず、完璧を目指さず焦らないことが大切です。うまく書けない場合は、些細な出来事でも書き出してみましょう。行き詰まるなら、客観的な視点を取り入れるのが有効です。友人や家族に「自分はどんな人間か」を聞く(他己分析)と、ヒントが得られることがあります。適職診断ツールの結果を参考にするのも一つの手です。難しい場合は、就活エージェントに対話を通じて考えを整理してもらうのも良いでしょう。

強みが見つからず、弱みばかり出てくる場合は?

強みがない人はいません。弱みばかりが目につく場合、二つのアプローチを試しましょう。一つは、「弱み」をポジティブな言葉に「言い換える」ことです。例えば、「優柔不断」は「柔軟性がある・慎重」、「頑固」は「信念がある」のように、視点を変えれば強みになります。もう一つは「他己分析」です。自分では弱みだと思っていたり、当たり前すぎて強みと認識していなかったりすることでも、他人から見れば強みであることはよくあります。就活エージェントなど第三者を頼ることが重要です。

自己分析をしないとどうなりますか?

自己分析をしないと、問題が生じる可能性が高くなります。企業選びの軸が定まらず、知名度などで選んでしまい、入社後のミスマッチが起こりやすくなります。

ESや面接で、強みや価値観を理解していないため、説得力のある回答ができず、選考を通過しにくくなります。向いている企業が分からず手当たり次第にエントリーし、時間を無駄にする可能性もあります。
自己分析は納得のいく就活の土台です。難しければ早めに専門家に相談しましょう。


成田 駿

元日系大手人事/就活サポーター

日系大手事業会社で最年少部長に就任し、新卒採用に5年以上従事。戦略設計からイベント企画、選考フロー、研修まで新卒採用の入口から出口までを幅広く担当し、延べ3,000名以上の学生と接点を持つ。人事業務以外でも累計2,000名以上の就活生を個別に支援し、大手・外資・メガベンチャーなど多様な企業への内定実績を誇る。

協力:NPO法人en-courage

en-courage(エンカレッジ)は、就活生のキャリア形成を支援する日本最大級のNPO法人です。全国約120大学に支部を展開し、約2,000名のメンターが在籍しています。メンターは就活を終えたばかりの一つ上の先輩で、週次の面談を通じて担当する就活生のキャリア支援を行っています。 常に最新かつリアルな就活情報を収集できるため、学生の視点に立った信頼性の高いキャリア情報や実践的な就職活動ノウハウを発信できます。