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誰もが楽しくはたらける社会を。 そんな理想論に本気だからこそ、UTはここまでやり切る。

技術者派遣を主軸事業として、OA機器の販売や事務職の派遣事業等、順調に事業を拡大成長させてきたUTグループ。そんな同社の掲げる採用コンセプトが「生のままでいい」だ。入社後の成長環境を整えていることを謳う企業が多い中、学生の“あるがまま”を“そのまま”受け入れるという、このコンセプトは異彩を放っているように映る。果たして、どのような想いからこの言葉を掲げるに至ったのか。その裏にある企業としてのフィロソフィーはどのようなものなのか。新卒採用を担当されている佐藤李発(さとうりはつ)氏にお話を伺った。

インタビュイープロフィール

佐藤 李発 Rihatsu Sato

グループ採用室 新卒採用ユニット リクルーターセクション

派遣業でありながら正社員雇用を続ける理由は、スタッフへの強い想い。

−本日は、どうぞよろしくお願いいたします。まずはじめに、御社が手がけている事業概要についてお伺いできますか。

佐藤:主軸となる事業は製造技術者の派遣です。その他、OA機器の販売や事務系職種の派遣も行っていますが、技術者派遣が売上の9割ほどを占めています。

この技術者派遣事業における弊社の特徴として挙げられるのが、スタッフを正社員雇用しているという点です。契約社員としてスタッフを採用して、顧客へ派遣している企業が多い中で全てのスタッフを正社員として採用しています。

−あえて正社員として採用している裏には、何か特別な想いがあるのでしょうか。

佐藤:スタッフのキャリアを第一に考えたいという想いが根底にあります。

必要な福利厚生をきちんと活用してもらえる環境や研修制度等による十分なキャリア支援を実現するためには、正社員としての雇用が必須だと考えているのですが、そこには社長の原体験が大きく関係しています。

−社長の原体験とは、どのようなものでしょうか。

佐藤:まだ創業から間もない頃、当時30代前半だった社長が50代くらいのあるスタッフを担当していたことがあったそうです。

その方の派遣先は無事に見つかったそうなのですが、彼が工場へ出勤していく様子を見送っていた時に、「はたらいてお金を生み出してくれているのはこの方なのに、自分はこうして見送るだけでよいのか。年齢で言えば、自分の方が若いのに。」と感じたらしいのです。

その方が、当時の社長の父親と同年代だったこともあり、若くてはたらき盛りの自分が見送るだけの状況に、歯痒さと申し訳なさを覚えたのです。

そこで後日「僕に何かできることはありませんか?」と聞いたところ「社会保険が欲しい」と。その時、自分にできることはスタッフが楽しく安心して働ける環境を作ることだと気付いた社長は、全スタッフに社会保険を適用し、雇用形態も正社員へ変更。

当時は会社としてそれほど規模も大きくはないですから、正社員採用にすると利益はほとんど出ません。それでもなお決断したということは、それだけスタッフへ寄り添う想いが強かったのだと思います。

−UTという会社の創成期から、すでにスタッフを第一とする風土があったのですね。

佐藤:そもそも社長が創業した理由も、当時はたらいていた人材派遣会社で、あまりに雇用条件が厳しすぎると感じたからでした。

もっとスタッフ側の視点に立って、誰もがイキイキとはたらける環境を作りたい。そんな想いで、当社の前身となる会社を立ち上げたと聞いています。

ですから今でも、当社の価値基準の根底には『「はたらくって楽しい」と思ってもらいたい』という想いが強く根付いています。

個々人の理想とするはたらき方を実現するため、あらゆる制度を整備。

−会社の根底にある「はたらくことを楽しんでほしい」という想いは、正社員雇用以外でも形として表れているのですか。

佐藤:経営判断の主軸がそこにあるので、全ての制度や基準に反映されていると言ってもいいのではないかと思います。

特にわかりやすい制度を挙げるとすれば、「One UT」と「Next UT」という制度です。

「One UT」とは、UTグループ全社員を対象に、社内転職によるキャリア形成を支援する制度。自分がはたらいていて楽しいと思えるキャリアを描くため、いつでも誰でもグループ内の好きな職場へ異動できる仕組みになっています。

この「One UT」でジョブチェンジした人数は1700名を超えており、この利用人数の多さも、はたらくことを楽しむことを本気で応援しているという根拠になるのではないでしょうか。

−たしかに制度自体も素晴らしいですが、形骸化せずに多くの方が活用していることも特徴的ですね。

佐藤:「Next UT」に関しても、スタッフに遠慮なく活用いただいています。

この制度は、出向先への転籍を応援する制度です。当社顧客企業には大手メーカーなども多数ございますが、そういった優良企業への転籍を積極的にサポートしています。

この制度を活用して転籍した社員は約2000名。派遣事業、中でもスキルが要求される技術者派遣という領域においては、他社に優秀なスタッフが転籍することは売上に対する大きな毀損となり得ます。

そうした中でも、社内やグループ内の異動だけでなく、社外へ飛び出すことすらも応援するという制度を整え、かつこれだけの規模で活用されている会社はなかなかないと思います。

また、いくら制度が整えられていると言っても、自分がどんなキャリアを描きたいのかがわからないという方もいると思います。そうした方のことも考えて、全スタッフにキャリアカウンセラーもつけています。

どうすれば楽しくはたらけるか、根っこの部分から一緒になって考え、実現するところまで応援している形です。

−会社としての短期的な売上よりも、やはりスタッフの気持ちを大事にするということですね。

佐藤:その通りです。何度も言うようですが、当社が目指すのは楽しんではたらく人を増やすこと。それより大事なことはないと思っています。

そんな姿勢がよく表れているのが、営業の評価基準。当社の基準はかなり独特なのですが、一般的に営業の評価基準と聞いて、どんなものを思い浮かべますか?

−売上や粗利、あとは新規顧客開拓数やリピート率等でしょうか。

佐藤:そうですよね。当然、今挙げていただいた数字は、当社でもしっかりと評価されます。

しかし、それ以上に評価されるのは「どれだけスタッフの労働環境を改善したか」という点なのです。

時給を上げるとか、社宅を無料にするとか、スタッフが嬉しいと思うことをした営業が最も評価される仕組みになっています。だから、自然と社員全員が「どうしたらもっとスタッフが楽しくはたらけるだろう」と考えるようになっているのだと思います。

皆がスーパーマンを目指す息苦しさに、抗う存在でありたい。

−スタッフが楽しくはたらける環境を追い求める姿勢が深く根付いていることは伝わってきたのですが、採用コンセプトである「生のままでいい」も共通する想いから掲げられているのでしょうか。

佐藤:そうですね。言葉は違えど、根底にある想いは同じです。これは個人的な考えですが、今の若い方々がはたらくことに息苦しさを感じている大きな理由は"任される仕事や目指すべき目標が高度化しすぎている"という部分があるのではないかと思っています。

30年前は、入社して最初の仕事が資料のホチキス留めや資料のコピーだけだったみたいなことも珍しくなかったと思うんです。

ところが、技術開発が著しく進んだことで、今では印刷からホチキス留めまで全部機械がやってくれる。これはあくまで一例ですが、そんな風に簡単な仕事はどんどん自動化されて、人間がやる仕事は難しくなっていく。

それに伴って、求められるスキルや知見のレベルも上がり、スーパーマンみたいな社会人を目指さないといけないような空気感が充満しているように感じています。

−たしかに、利便性が高まる一方で、仕事の難易度も高まっているように思います。

佐藤:そうした難しい仕事を楽しんでスーパーマンを目指すことにやりがいを感じる人もいると思います。それはそれで素晴らしいことで、否定する気は全くありません。

しかし、そうではない人もたくさんいる。では、そうではない人が一概に仕事ができない人間なのかというと、全くそんなことはないと思うんです。

よく長所短所と言いますが、それは見方や状況次第で簡単に裏返るもの。つまりは、一人ひとりの個性なのではないかと。

だから、どんな個性を持つ人でも楽しくはたらけるんだよと、少なくとも私達はそうした環境を提供するためにこそ存在しているんだよと伝えたくて、「生のままでいい」というメッセージを掲げることにしました。

−実際に社内制度や評価基準にまで、そうした想いが反映されている御社だからこそ、言葉に説得力がありますね。

佐藤:掲げるだけで、中身が伴っていなければ意味がありませんからね。「生のままでいい」と言っておきながら、ありのままで来てくれた方々を次々に不採用にしていたら説得力がありません。

実際に当社の採用における合格率は、およそ92%です。残りの8%についても、持病等の関係で当社の業務に就くと命に関わるかもしれないといった、やむを得ない事情がある場合に限られています。

そうした特別な事情がない限りは、どんな個性の方でもイキイキと楽しくはたらくことができる。不採用を通知するということは、「あなたはここでは楽しくはたらけませんよ」と告げることですから、当社においては滅多なことでなければ許されません。

そのため、当社で不採用を定義するには、上席も含めて何度も何度も会議を重ね、関係者全員の許可を取る必要があります。

本当に不採用以外に手はないのか、どこかに適性のある派遣先はないか、ないなら今から開拓できないのか。あらゆる方面から検討を重ねて、本当にどうしようもない場合にだけ不採用通知を出す。

普通の会社の場合、本当に採用していいのかについて綿密に会議をすると思うので、発想が全く逆なんです。

−とても御社らしい採用スタンスですね。そんな想いを持つ御社から、就職活動を行う方々へ何か伝えたいことはありますか。

佐藤:就職活動を通じて、あまり自分を追い込まないでほしいということですね。

就職活動がうまくいかないと人生も失敗してしまうとか、不合格にされるということは自分に欠陥があるんじゃないかとか。そう考えてしまう気持ちはよくわかります。

でも、そんなことはないんです。転職することも当たり前になり、終身雇用というシステムも廃れつつあります。1社目で人生が決まるなんてことはないし、どんな個性でも活かせる場所は必ずある。

だから、あまり重く考えすぎないでほしいなと思います。そして、はたらくことに対してもネガティブなイメージを持ってほしくないと思っています。

どうしてもはたらくことを楽しめる気がしないという方は、よければ一度当社にきていただければ嬉しいです。どの会社よりも、どんな人でも楽しくはたらける環境作りに本気で取り組んでいる自信はありますので。

−「生のままでいい」という採用コンセプトに込めた想い、そして心から楽しんではたらいてもらいたいという想いが強く伝わってくるお話でした。さらに、強い想いを抱いているだけでなく、制度や評価基準として形にした上で運用までしっかりと行っている点にも深く感銘を受けました。スーパーマンでなくても、誰もが楽しくイキイキとはたらける社会の実現を強く期待したいと思います。