公開日:
最終更新日:

ゼロからのスタート 6,000億円を突破 日本発の金融モデルで世界経済を底上げする

ビッグデータを活用して信用を可視化し、独自のビジネスモデルでリスクを流動化。経済インフラとしての機能を果たし、自らも高成長を続けているのがイー・ギャランティだ。 コロナ禍により企業は中長期的な計画が立てにくくなり、企業間取引におけるリスクヘッジニーズは高まっている。 江藤公則社長に、今後のビジネス展開とビジョンについて聞いた。

Masanori Eto 江藤 公則 代表取締役社長

1998年、神戸大学を卒業して伊藤忠商事に入社。金融・不動産・保険・物流カンパニーに配属されるも、思い描いていた夢と大きくかけ離れた仕事に落胆。IT・金融系の事業にこだわり、自ら事業を立案し、2000年に社内ベンチャーとしてイー・ギャランティを設立。営業マネージャーとして出向する。2004年に取締役、2005年に現職、2006年に伊藤忠商事を退職しプロパーに。2007年ジャスダック上場、2011年東証二部上場、2012年には東証一部上場を果たす。

信用リスクを引き受け流動化 独自の金融モデルを構築

優れた技術やサービスを保有していても、あるいはその技術やサービスを利用したいと思っても、知名度が低い、事業年数が浅いといった理由から「信用」がハードルとなり、望んでいる企業間取引を実現できないケースは少なくありません。

企業間の取引は後払いが一般的なので、受注側は「支払いは大丈夫だろうか?」という不安があると怖くて仕事を受けられず、その金額が大きければ大きいほど尻込みしてしまうからです。  

イー・ギャランティでは、企業間取引で発生する信用リスクをヘッジする「保証サービス」を提供しています。

膨大な取引データから算出した倒産確率に応じて保証料を受け取り、万が一債権の焦げ付きが生じた場合、回収できなかった代金を取引先の代わりにお支払いするというもの。

数千億円の利益を出している大企業であれば、数億円の貸し倒れは大きな痛みではないのですが、中小企業にとっては死活問題。中小企業に大企業と同じようなリスク許容量を持たせてあげることでチャレンジが可能になり、ビジネスの活性化につながります。

貸倒れ損失を回避できるばかりでなく、与信管理業務も軽減されるため、経営資源を本業に集中させることができるというメリットもあります。  

当社のビジネスの最大の特長は、引き受けたリスクを審査・分析・再組成して外部の機関投資家へ流動化していることです。

例えば、1億円のリスクを100万円ずつに分けて、運用手法の一環として投資できる形に変換して提供すれば、投資家は自身のリスク選好に応じたポートフォリオを組成できるため、リスクを分散しながら運用できるようになります。

目指しているのは、リスクヘッジしたい企業とリスクテイクによって収益を得たい投資家を結ぶ仲介者=『リスクの市場(いちば)』。

カレー屋さんが市場で材料を調達するのと同じで、ジャガイモ生産者はそれだけを大量に売りたい、買い手はいろいろな材料を必要な分だけほしい、双方のニーズに応えるのが市場の役割。

イー・ギャランティは、金融業界に、リスクの仕入れ、値付け、分配という3つの市場の機能を提供し、日本経済の発展に貢献しています。

ビッグデータの活用で「信用」を可視化

ゼロからスタートした保証残高は6000億円を突破。19期連続で増収増益を達成しています。

そのカギとなるのがビッグデータの活用です。これまでの信用調査は、担保となる土地や資産、決算書などをもとにした静的審査が中心でしたが、現在は、まさに今起きている動的な情報をベースに審査するようになりました。また、売上や利益率で判断するのではなく、事業の価値や将来性を審査材料に加える、定量化から定性化への動きもあります。

そういった金融業界の流れの最先端にいるのがイー・ギャランティです。

例えば、同じような素養を持ったベンチャー企業300社の動きを追い続け、1年後に3社倒産したらそのリスクは1%というふうに、定性データを定量化。月に3万社弱、年間30万社の企業を審査してリスクを引き受け(仕入れ)る中で膨大な情報が当社に集っているため、算出したリスクは精度が高い。  

そのリスク量に見合った保証料を設定(値付け)することで、適正なコストで保証サービスを提供できる。また、流動化(分配)の仕組みがあるため当社自体のリスクもヘッジできている。これが、お客さまから支持されている理由です。

新たなビジネスモデルを日本からアジアへ

当社の情報力・データ分析力を生かして、今後もビジネスを拡大していく予定です。

保証サービスの国内マーケットは、「企業間取引」分野で200兆円、「間接金融」分野で400兆円、「直接金融」分野で200兆円の規模。現在当社では、「企業間取引」分野において、各種債権の未回収リスクを保証しています。「間接金融」分野では、融資保証にも注力。

資金調達したいベンチャーやスタートアップ企業には「信用」の壁があり、従来の信用保証協会のサービスを利用しても金融機関から十分な融資を受けられないこともしばしば。当社独自の保証サービスで、可能性を秘めた企業のビジネスを支援すると同時に、金融機関の新たなサービス開発や収益機会の拡大にも貢献します。  

既にベンチャー企業等に出資する際の出資金保証は提供していますが、今後は社債をはじめとする「直接金融」分野の保証にもチャレンジしていきたいですね。  

欧米では浸透率が高い信用リスク保証ビジネスですが、日本における浸透率はまだ1%未満。市場拡大の余地は膨大にあります。また、経済が著しく成長しているアジア諸国は、これからの世界経済を底上げする存在。しかし、資本力に乏しく歴史も実績も浅い企業が多いため、信用を基軸とした金融ビジネスが必要となるはずです。

「信用リスク受託・流動化という新たなビジネスモデルを、日本からアジアへ」。イー・ギャランティは、独自の金融モデルでアジアの経済発展に貢献し、日本を起点とする世界経済の底上げを目指しています。

信用リスク受託・流動化という 新たなビジネスモデルを、日本からアジアへ

信用リスクを受託し流動化させる金融モデルはイー・ギャランティ独自のもの。つまり、この金融モデルの専門家は同社の社員161名だけだ。新人でも第一人者として企業の経営者と商談する。この仕事の醍醐味は他社では決して味わえない。

Yasunobu Kurotani 黒谷 泰伸

執行役員 営業部門長代行 2009年新卒入社 法学部 卒

じっくり考える営業は 深みがあっておもしろい

音楽が好きで最初は音楽業界に絞って就活していたのですが、業界全体の景気が悪く熟慮の末に断念。その後、成長マーケットで、自分の頑張りが会社の成長にダイレクトにつながるような会社を探していて、イー・ギャランティを見つけました。音楽イベントの運営など、何かをつくり上げることにやりがいを感じていたため、未成熟ながら最も成長性と将来性を感じた当社に決めました。  

入社後は営業部門に配属となり栃木県担当として営業活動を行い、入社5年目で課長に昇進。7年目にグループ長、8年目に執行役員になりました。現在はプレイングマネージャーとして営業活動を続けながら、メンバーのマネジメントに注力。また、経営方針や戦略など重要事項を審議・決定する経営会議に参加するなど、会社全体の運営にも携わっています。

当社の営業は、決められた商品やサービスを売って数字を稼ぐようなルーチン営業ではなく、お客さまの経営課題をお聞きしたうえで解決策をじっくり考え、顧客ごとに異なるソリューションを提供するスタイル。仕事に深みがあるので、おもしろいですね。

また、営業目標はあるのですが、アプローチの方法は自由。登る山が決まっていて、登り方は社員一人ひとりが自分流にアレンジできるという点も当社の特徴。私の営業ポリシーは、どんなご要望にも「できません」と言わないこと。

新人の頃、クレームからスタートしたお客さまのところに足しげく通って関係構築に努め、年間200万円だった保証契約を3500万円にしていただいたときは、本当に嬉しかったですね。

頑張りが評価されるからやりがいがある

商談の相手が企業の経営層の方たちなので、お客さまから教わることも多い。加えて、責任ある仕事を若いうちから任されるので、成長スピードが速いですね。

私自身、入社2年目に日系大手金融機関との業務提携という責任ある仕事を任せていただき、苦労しながら半年かかって実現した経験は、大きな自信につながりました。当社にも先方の会社にとっても新しい取り組み。提携スキームが完成したときは、大きな達成感があり、自分の成長を実感できました。

また、当社では20代で課長職やグループ長職への登用もあり、自分の頑張りを評価してもらえるので、やりがいも大きいですね。  

「信用リスクを保証する」というビジネスの核は変わりませんが、顧客ニーズが多様化しているので、さまざまな新サービスが生まれる可能性は大。将来は取締役として深く経営に携わり当社のビジネスを拡大・普及させていくことが目標。日本はもちろん、アジア全体の経済の活性化に貢献したいですね。

信用リスクの壁を取り除き、ビジネスを加速させる

Rei Ezaki 江﨑 怜

営業部門 営業第六グループ 第十課 2019年新卒入社 商学部 卒

急速に時代が変化する中で、人材、不動産、金融など「将来性」を軸に多くの企業を見て回りました。

イー・ギャランティを選んだのは、不況下でも役立つサービスを展開していて、設立から増収増益を続けていたから。信用リスク保証事業の日本における浸透率はわずか0.6%。アジアのみならず国内市場の将来性が高い点にも惹かれました。  

入社後は営業部門に配属され、金融機関からお客さまを紹介していただくためのマーケティングを担当。段階的に既存顧客、新規顧客を任せられるようになり、現在は一連の業務すべてを担当しています。

サービスは基本的に1年契約で、毎年更新していくスタイル。既存のお客さまの商流の変化に合わせたサービスの最適化や情報連携を通じたフォローを行う一方、新規のお客さまには保証を活用した経営課題の解決策をご提案します。

どちらの場合も顧客企業のビジネスの拡大や成長をサポートするのが私の役割。専門知識を貪欲に吸収して自分を磨き、相談の一つひとつに真摯に応えるよう心掛けています。

優れた技術やサービスを持っていても信用リスクが壁になって社会に広がらない。そんな企業の悩みを解決し、ステージを上げることができるのが当社のサービス。成長請負人としてより多くの企業の課題解決に応えられるよう勉強の毎日です。

社会貢献度の高さを肌で感じているからこそ その魅力を多くの人に伝えたい

薗田 怜奈 経営企画部

営業推進チーム長 2015年新卒入社 経営学部 卒

若いうちからさまざまなチャレンジができるベンチャー企業に絞って就職活動を進めてきました。ベンチャーの持つ自由度や裁量に魅力を感じる一方「5年後に存在しているだろうか?」と不安を感じていた時期にイー・ギャランティを発見。ベンチャー気質ながら強固なバックボーンを持つバランスの良さが決め手になり、入社を決めました。

入社後は経営企画チームに配属され、社内の多岐にわたる会議の運営に携わる中で多くの知識を吸収していきました。3カ月後に社長室に異動。「どうすれば商品が売れるか」より「お客さまにとって何がメリットか」を常に考えている上司や先輩から、仕事に対する姿勢を学びました。

3~4年目からは、お客さま向けパンフレットの作成や研修企画に携わるようになり、業務の効率化と会社のブランディングに貢献。その経験を生かして2019年にブランドマネジメント強化を目的として新組織を立ち上げ、社内外に対する情報発信を強化しました。

コロナ禍で必要とされている医療商材やアクリル板の中にはイー・ギャランティが介在しなければ流通しなかったものもあり、当社の社会貢献度の高さを肌で感じている毎日です。学生の皆さまにも、当社の事業や仕事について知ってもらえるよう、今後も情報を発信していきたいと思います。