Kentaro Sakata 坂田 健太郎
2006年入行 一橋大学 法学部 卒 三井住友銀行 デジタル戦略部 上席部長代理 三井住友フィナンシャルグループ デジタル戦略部 上席部長代理 株式会社プラスメディ 取締役 兼 社長室室長
情報銀行の社会実装に向けて動きを加速させる
SMBCでは、総務省から情報銀行に係る実証事業の委託を受け、2018年7月、情報銀行を社会実装するための取り組みをスタートさせました。
情報銀行とは「個人との契約等に基づき個人データを管理し、個人の指示または予め指定した条件に基づきデータを第三者に提供する事業」のこと。パーソナルデータの新たな流通の仕組みとして注目されています。
Society5.0、データ駆動型社会の実現に向けてデータの利活用が求められる中、パーソナルデータが使われることへの不安や、利益や利便が還元されないことへの不満が課題になっています。
「安心してデータを預けられて、個人がデータを使えて、かつ自分のためになる」ことを「じゃあ誰がやるの?」といったときに、信頼が大事だとすると、まさに銀行が取り組むべきテーマではないかと考えたのです。
ではどの分野のデータを扱うのか、主戦場はどこか。私たちが着目したのが医療・介護・ヘルスケア分野でした。
データの利活用の結果が、個人の健康促進や健康寿命の延伸につながることが期待され、利益や利便が直接的で分かりやすいからです。
医療データを取り扱う際の法務面、システム面、ユーザー面、ビジネスモデル面から要件を整理し、実証実験としてある大学病院にご協力いただき、医療データを個人に返すところから始めました。
その動きを加速させるために、プラスメディをグループ会社に迎え入れたのが2020年9月。
情報銀行はまだ参入している企業が少なく、加えて医療分野でのデータ活用となるとさらにプレーヤーが限られていて、プラスメディとは以前から数少ない同業者としてのつながりがありました。
「目指す世界をこれから創っていく」というスタンスで情報交換している中で、シンプルに方向性、ビジョンが同じだったため、「一緒にやろう!」となったのです。
目指す世界のために 必ずやり遂げる
プラスメディが運営する「My Hospital」というアプリには、機能群が二つあります。
一つは通院・診療をサポートする機能です。病院での診察待ちの順番をスマートフォンで確認できるため、病院外で待つことができます。
また医療費の支払いを後払いにでき、会計で待つ必要がなくなりました。さらに処方箋情報を薬局に送信して薬を受け取るまでの時間短縮も実現しています。
もう一つが、自分の健康・医療データを管理できる機能です。電子カルテに保存されているデータやお薬情報を自分で閲覧し管理できるというもの。
こちらは当行が情報銀行として進めてきたことと同じです。
プラスメディの連結子会社化によるSMBCのメリットは、まだないものを創り上げていく観点で、銀行にはないベンチャーならではのユニークな発想や創意工夫が強みになること。
病院の電子カルテと連携するためには、病院にシステムを導入してもらわなければなりませんが、病院へのアピールとしてただ「個人に情報を返す」だけでなく、「患者さんがより便利になる」という機能が追加されれば、普及がスピードアップします。
プラスメディのメリットとしては、社会的信用や事業展開力が加わったこと。医療の情報は非常にデリケートでセンシティブなので、患者さんは預け先をシビアに選ばれると思います。
その点、銀行は本人確認や口座開設も大変というくらい情報に対して堅牢性が高く、信頼をいただいているので、その水準をアプリに適用することで、お客さまに安心してご利用いただくことが可能になりました。
大学病院での実証実験でニーズの確認ができ、期待が高まる中、普及・展開に向けての課題は山積しています。
より多くの病院やクリニックにこの仕組みをご採用いただき、より多くの患者さまにご利用いただくために、病院、患者、それぞれにとっての価値を最大化していくことが必要です。
時間もかかるでしょうし、鶏が先か卵が先かという問題もありますが、私たちは必ずやり遂げるという強い意志を持って事業に臨んでいます。
まだないプラットフォームを 創りあげるという挑戦
SMBCの考える情報銀行は、個人の意思に基づいて個人の利益のためにデータを管理・利活用する「個人起点のサービス」です。
預かった情報を誰かに提供するというとデータ売買が目的のように思われがちですが、決してそうではなく、私たちは「ユーザーにとって良いことが起こる」ことに徹底的にフォーカスしています。
データを見て自分のことをよく理解できるだけでなく、他者に見せることで自分のことを正しく理解してもらえる、そのうえで自分のために個別最適化されたサービスを受けられて、結果的に豊かな生活が実現する。
目指しているのはこういう世界観。今はまだない新しい時代の情報プラットフォームを、まさにこれから私たちが創っていこうとしているのです。
経営理念にある「社会課題の解決を通じ、持続可能な社会の実現に貢献する」を実現するためには、金融の枠を超えたサービスを提供していかなければなりません。
激変する社会環境の中では、銀行も変わる必要があるということ。その挑戦の一つが、情報銀行への取り組みです。
SMBCのカルチャーで、私が好きなのは挑戦させてくれるところ。情報や医療というと、本来の銀行業からはかなり外れた話ですよね。
しかも黎明期でこれからどうなるか分からない状況で、「こういう世界を目指す」と言ったら「やれ」と言ってくれる。周りを見ても、SMBCではそんな新しいチャレンジがどんどん生まれています。
取れるリスクを見極め お客さまの役に立つ
Yusuke Yoshida 吉田 悠祐
葛西法人営業部 与信グループ長 2009年入行 東北大学 経済学部 卒
山形出身で東北大学に進学し、SMBCに入行後3年半は東北法人営業部に所属。26歳で初めて東北を離れ、以降、法人審査部、葛西法人営業部の与信グループ長として活躍する審査部門の第一人者。社内からの人望も厚い。
営業から頼られる審査部門の第一人者に
私は、永年審査畑を歩んできました。銀行の審査部とは、取引先の返済能力や案件のリスクを見極め、融資などの条件を判断していく部署です。
営業部から上がってきた稟議(申請書)を検証し「お客さまの利益と銀行のリスクリターンの接点を見出し、判断していくこと」を使命としています。
リスクを完全になくすことはできないので、緻密に分析し、条件や指示をつけるなどして極小化できないかを考えています。
法人審査部に異動になった当初は、営業部専属の審査役として4〜5カ店の担当を持ち、その後は業種別の担当審査役としてITや通信、システム、サービス、外食などの業種を担当しました。
加えてM&Aファイナンスの一つであるLBO(※)の審査担当をしていました。
業種別審査の知見を生かしながら、さまざまな角度でアドバイスを行ったことで、行内では第一人者として頼られる存在になれたのかなと思います。
法人審査部には8年半在籍し、2021年4月に葛西法人営業部に異動。現在は与信グループ長として営業部の融資・事務を統括しています。また、若手の部下指導もミッションの一つです。
※LBO(Leveraged Buyoutの略):借入金を活用した企業・事業買収を指し、買い手は少ない手元資金で買収が可能。
自分のアイデアで付加価値のある審査を実施
最近嬉しいのは法人審査部を離れたあとも「吉田の意見を聞きたい」と多方面からご連絡をいただけること。
また、当行の評価体系の一つ「360度評価」で、過去一緒に仕事をした営業部の人から「一緒に案件をつくり喜びを分かち合えた」というコメントをいただいたことです。
審査部時代の私は、比較的厳しく、細かく理詰めしていくタイプでした。でもそれはリスクを正しく取りお客さまの役に立ちたいという強い想いからでした。
ですので、私ができると判断し、上の権限者に説明するときには徹底的に営業の味方になっていました。
ともすればミッションの違いから、審査部は営業と敵対しやすい構造にありますが、お客さまを考える気持ちが通じたことが嬉しかったし、自分のアイデアで付加価値を創造していきたいと改めて思いました。
劇的な変化を楽しめる 今がおもしろい
金融業界は今、劇的なパラダイムシフトの真っただ中。SMBCでも、「カラを、破ろう」を合言葉に皆で一丸となって変わろうとしています。
また持論になりますが、時代の中心となる企業は目まぐるしく変わる一方で、その企業の隣には、必ずパートナーとして銀行・金融が存在していると思っています。
時代の変化の波の最先端に身を置きつつ自身もすごいスピードで変わっていくという大変な業界ですが、好奇心旺盛な方にはおすすめしたいと思います。
高度な金融ニーズ 新たなリスクへのチャレンジ
Masahiro Narita 成田 昌浩
スペシャライズドファイナンス部 事業再生グループ 部長代理 2009年入行 慶應義塾大学 経済学部 卒
経済の血液に例えられる金融に魅力を感じ、多彩なソリューションで社会を支えたいとSMBCに入行。以降10年にわたり法人営業を担当し、2020年7月から再生ビジネスに従事。新規事業を通して銀行が本来あるべき姿の具現化に挑戦している。
金融で社会を支える ダイナミックな仕事
当行は、行員が発案した新規事業や新規施策のアイデアを頭取に直接発表する「SMBC Pitch Contest」入賞をきっかけに再生ビジネスに本格参入しました。
事業再生グループでは、経営の危機に瀕した企業に対して、DIP(※)ファイナンスと呼ばれる事業継続のための融資をはじめ、資金繰りに関するアドバイス、弁護士はじめ外部専門家との意見交換など、包括的なサービスを提供しています。
サプライチェーンや地域に欠かせない重要な産業、雇用を守ることが、私たちの使命。
経営者だけでなく、取引先や従業員などにもヒアリングを行い、事業に対する想い、歴史や文化、信頼、ブランドなどを理解したうえで、お客さまの状況に合わせたフルオーダーメイドのきめ細かい対応を行っています。
社会的意義の高い事業が継続し、産業や雇用、伝統が守られ、地域が活気を取り戻す、まさに金融で社会を支えていることを実感できる、ダイナミックな仕事です。
※DIP(Debtor in Possessionの略):旧経営陣が残り、再建にあたっている企業を指す。 DIPファイナンスは、倒産手続き開始後も旧経営陣に経営を任せつつ、新たな資金を提供する手法。
新規ビジネスの 仕組みづくりに邁進
通常のファイナンスでは、過去の決算書などから今後を予測して与信判断を行いますが、私たちのお客さまの中にはすでに経営破綻されている方もいらっしゃるため、多方面からヒアリングを重ねて「経済社会やサプライチェーンの中でどれくらい必要とされているのか」を見ていきます。
したがって、審査についても銀行の一般のラインと分けて考えなければなりません。リスクを見るだけでなく、将来のアップサイドを評価していく枠組みづくりを含め、私たち自身も研究しながら、ビジネスの仕組みをつくり上げているところです。
誰もやらなかったことに 挑戦するのが当行らしさ
必要なところに適切にお金を回していくことこそ、銀行が果たすべき役割だと考えています。
しかし、元気な企業をより元気にすることは得意でも、苦しんでいる企業に手を差し伸べるのは、リスクが高く二の足を踏んでしまっているのが現状です。
当行では、コロナ以前から新規事業として再生ビジネスをスタート。仕組みはまだ途上段階ですが、業界では断トツに進んでいると思います。
誰もやらなかったことに一歩踏み込んで挑戦していくところが、SMBCらしさ。誇りを持つと同時に、「この社会的意義の高いビジネスを必ず成功させる」という使命感を持って、日々の仕事に臨んでいます。
学生さんたちには、目的意識を持って取り組み、たくさんの気付きを得ながら自分自身としっかりと向き合い、自分が大切にしたいことを見定めて欲しいと思います。
閉塞感があり、苦しい今だからこそ、それを乗り越えたときには一回りも二回りも成長できると思いますし、それが将来の原動力になると信じています。
企業のサステナブルな取り組みを 金融を超えたサービスで支援
Ayaka Kubota 窪田 彩花
ホールセール統括部 サステナブルビジネス推進室 成長産業クラスターグループ 室長代理 2012年入行 筑波大学 国際総合学類 卒
大学時代、アメリカ留学中に日本の技術のすばらしさを実感。日本のものづくり企業を金融の立場で支えたいと思い、SMBCに入行。3年間営業を経験したあと現職に就き、環境・エネルギー分野において産業創出に向けたお客さまとの事業共創・銀行内の業務開発を行っている。
産業創出に向け、お客さまと 共に事業を創る
サステナブルビジネス推進室は、お客さまのサステナブルな取り組みを支援する部署。
私は、成長産業クラスターグループに所属し、環境・エネルギー分野において、お客さまと産業創出に向けた事業共創や、銀行内の業務開発を行っています。
ファイナンスにはまだ早い事業にもアーリーステージから関わり、案件組成時に必要となる資金の調達手法の検討や公的機関の有効活用などのアドバイスを行い、最終的には当行の新たなビジネス機会につなげていくという仕事です。
カーボンニュートラルの実現に向けて、今、注目が集まっているのが水素エネルギー。水素サプライチェーンの実証実験が進められており、経済産業省は、2030年に最大300万トンの水素を活用する目標を発表しています。
そんな中、2020年3月に当行はパートナー企業と共に、大規模な水素利用の方策を検討し、社会実装に向けた取り組みを進めていく「中部圏水素利用協議会」を設立。水素の需要量の試算や受入候補地の洗い出しなどを行いました。
お客さまの支援の幅を さらに広げていきたい
「中部圏水素利用協議会」は、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の「水素社会構築技術開発事業/地域水素利活用技術開発」に採択されたため、今後は国のプロジェクトの一つとして大規模水素サプライチェーン構築に向けた活動を引き続き進めていくことになりました。
私はNEDOに2年間出向していたため、その経験・知見を生かしてお客さまと共にプロジェクトを生み出すことができて嬉しかったですね。
また、業務開発の分野では、開発途上国に気候変動対策資金を提供するために国連が設立したGCF(Green Climate Fund)を活用できるようにすべく、4年間かけてGCFと交渉を行ってきました。
今回、当行のプロジェクト運営・管理能力や、環境・社会配慮への姿勢が認められ、GCFへ事業提案・資金アクセスを行うことができるようになったため、従来、民間金融機関だけでは支援の難しかった開発途上国の気候変動対策事業や、脱炭素社会・サステナビリティ実現に向けたイノベーションをもたらす事業に対する支援も検討できるようになりました。
従来の金融機関の枠にとらわれることなく、これからも、もっともっとお客さまの支援の幅を広げていきたいですね。
SMBCに入ったからといって成長できるかと言われると、必ずしもそうとは言い切れません。会社は箱でしかなく、そこでどう考え、どう行動するかが重要です。ただ、若いうちから責任ある仕事を任せてもらえる、それがSMBCの良いところです。自分自身の意欲と心持ち次第で成長できるフィールドは無限に広がると思います。
お客さまが抱える課題を 金融ソリューションで解決
Yuhei Tamaki 玉木 裕平
大阪本店第一営業部 部長代理 2011年入行 関西大学 総合情報学部 卒
浜松町法人営業部に3年、本店法人営業部に2年半在籍し、大阪本店第一営業部に異動。製薬業界の大企業のお客さまに対して課題解決のためのソリューションを提供する法人営業のプロフェッショナル。
自由度・難易度が高いから 法人営業はおもしろい
法人のお客さまの経営課題にお応えし、企業価値向上に貢献する。それがフロントの役割です。
法人営業は決められたことの繰り返しではなく、1社1社のお客さまが抱える課題を分析し、解決策を提案して、アウトプットにつなげていく仕事。自由度・難易度が高い点が醍醐味であり、その分、成果をあげられたときの喜びは大きいですね。
とはいえ、やみくもに提案をすればいいというわけではありません。日常的にお客さまとのリレーションシップを図り、仮説提案してフィードバックをいただき、トライアル&エラーを繰り返しながら、核心に近づけていくことが大切。
提案する相手も、お客さまの経理財務部門に留まらず、例えば、経営企画部に新規事業の提案を行ったり、研究部門にベンチャー企業とのマッチングを行ったりと、多岐にわたります。
こういった地道な一つひとつの活動の先にお客さまとの信頼関係が生まれ、長く深いお付き合いが可能になります。
高いハードルを乗り越えた その先に成長がある
私は大企業営業の中でも、製薬業界を担当しています。
お客さまとビジネスにつながる深い議論を交わすためには、金融知識だけでなく、製薬業界の専門知識が必要で、日々情報をアップデートしていくのに苦労しています。
また、M&Aなど再編の動きが活発化しており、海外に成長を見出す企業も増えています。
例えば、アメリカの現地スタッフやSMBC日興証券と連携してM&Aの相手先を探してきたり、資金調達や為替リスクヘッジの戦略を提案したりと、国内にいながらもグローバルベースで高度な仕事をする機会が多くなってきました。
日々苦労の連続ですが、努力して乗り越えた先には成長があり、成長によってお客さまに大きく貢献することができます。
チャレンジ精神を発揮し 更なる成長を目指す
社会人になるときは、学生時代の経験や実績に関係なく皆が同じスタートラインにつきます。そこから、いかに成長していけるかが大事。
当行は一緒に働く人のレベルが高いので、切磋琢磨しながら大きく育っていけます。キャリアが幅広いので、明確にやりたいことが決まっていなくても成長していけます。
また、年次に関係なく挑戦でき、挑戦した人が評価される文化があることもSMBCの特徴。
私が今、挑戦したいことは、海外で勤務すること。
お客さまの海外進出の動きが活発で、国内にいながらも海外とやり取りする機会が多くなってきましたが、やはりその場に足を踏み入れてみないと分からないこともあります。
入行6年目から大企業営業を任され、多くの経験をさせていただきました。次のステップでは、その経験をグローバルベースで発揮し、より周囲から信頼されるビジネスパーソンになりたいです。
会社概要
株式会社三井住友銀行 創業/設立 1996年 本店所在地 東京都千代田区丸の内1-1-2 資本金 1兆7,709億円(2021年3月末) 総資産 215兆8,467億円(2021年3月末) 従業員数 28,104名 事業内容 普通銀行業