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47インターン2年連続参加 金融業だけにとらわれない、三井住友銀行の挑戦と生み出す価値

全国47都道府県の学生が集い、企業と共に「社会課題の発見/解決」に挑む”47INTERNSHIP”。今回は、47INTERNSHIPにメンターとして参加いただいた、三井住友銀行 人事部 採用グループの矢野 遼介さん、47INTERNSHIPの運営を務めた、en-courageメンターの長澤 直和さん、南部亜紀さんをお招きし、三井住友銀行(以下SMBC)が挑む、地方活性化の取り組みについてお話を伺いました。Customer Firstを重視し、金融業にこだわらずあらゆるソリューションで顧客の課題を解決する、そのSMBCの哲学は、金融志望者以外も必見です。

47INTERNSHIPの意義と、SMBCの想い

ー本日は、よろしくお願いします。

まず簡単に、47INTERNSHIPの内容や開催の背景をお伝えいただけますか。

長澤:47INTERNSHIPは"47"という名前の通り、全国47都道府県から1名ずつ、47名を選出。各業界のリーディングカンパニーと共に「社会課題の発見/解決」に取り組む、複数企業合同インターンシップです。

就職活動では関東/関西/地方に機会の格差があり、生活拠点によって選択肢が限られていると感じてしまう人もいます。

その背景を踏まえて考えられた47INTERNSHIPのテーマは「どこにいてもチャンスが掴める」というもの。

全国の学生が自宅に居ながらにして、日本を代表する企業と接し、一緒になって「地域課題への挑戦」いうワークに取り組む。そして47都道府県、様々な背景を持った人々が出会うからこそのアイデアや考えを生み出す。そんなインターンシップを作り上げました。

また、その中でも「課題解決」ではなく「課題発見」をワークの主眼としています。

様々なテクノロジーやビジネスプロセスによって課題を解決する力が発展した現代においては、課題解決力よりも、そもそも解決すべき課題を発見する能力が重要になる。

そんな中で、参加する学生の皆さんには「課題発見の重要性」を感じてほしい。そうした想いからワーク内容が設計されています。

―SMBCは、47INTERNSHIPに2年連続でのご参加を頂いています。こちらはどういった背景なのでしょうか。

矢野:私たちSMBCグループは、社員の個性や価値観を活かすという考えの元、ダイバーシティ&インクルージョンを重要視しています。

「多様性は、可能性」というメッセージを社長が打ち出しており、色々な価値観や考え方がぶつかることで新しい考え方やアイデアが生まれてくると考え、実際に多くのものを生み出しています。

47INTERNSHIPという機会は、日本の中という括りではありますが「多様性がぶつかり合う機会」としては、今までにないものだと感じました。

そこに私たちが参加し経験をお伝えすることで、参加者の皆様に「可能性」を感じていただきたい、また「機会が少ない」と感じている地方の皆様にも、ワークを通じて自らの挑戦が生み出す可能性を感じていただきたいと思いました。

また私自身、人事担当者として、SMBCという名前は日本全国47都道府県に響き渡っているわけではないと感じています。こうした機会で様々な方に出会って、SMBCという会社の魅力を感じていただきたいとも考えて参加いたしました。

そして、「課題発見を重視する」という文脈でも、私たちSMBCの価値観と非常に合致したプログラムだと思います。

私たちは金融機関として「融資」だけを行う会社として認知をしている方も多いかも知れません。しかし、私たちの事業は融資だけでなく、お客さまと伴走する中で課題を見つけ、様々な手法を通じて解決をするというもの。

「課題発見」という部分が重要だというコンセプトにも強く共感をしましたし、私たちの経験や感覚を伝えることで、参加者の皆さんにも「課題発見」の重要性を知っていただきたいと思いました。

<写真左> 三井住友銀行 人事部 採用グループ 矢野 遼介さん

<写真中央> エンカレッジ メンター 47INTERNSHIP統括 長澤 直和さん

<写真右> エンカレッジ メンター 47INTERNSHIP統括 南部 亜紀さん

社会課題の発見/解決と当事者意識

―矢野さんと南部さんには、メンターとして学生とのワークに参加していただいたとのことですが、課題発見/解決の議論は、なかなか苦戦されたと伺っています。

南部:私が担当した班では「大学生が直面している課題」と「地方企業が直面している課題」について議論したのですが、特に後者については、参加者の皆さんはかなり苦戦されていました。

前者については、すごく話が弾んでいた印象です。コロナ禍で大学に行く機会が減少することで、学習や人間関係の機会が減ってしまっている。そうした課題を明確化し、その解決策にも様々なアイデアが出てきました。

一方で「地方企業が直面する課題」は自分自身が体験した範疇を超えてしまうため、どうしてもその課題や解決策が見つけづらい。

課題を自分ごと化できているかという点が、うまくいく/いかないの差になったように思いました。

矢野:おっしゃられた通りで、課題に対しての自分ごと化や実感というものがボトルネックになっていましたね。

地方企業が直面する課題の中でも特に「地方の会社の人員不足」を課題のテーマとしてとりあげていましたが、やはり皆さん、そこに対する実感は少ない。

「製造業の従業員が足りない」と、なんとなくのイメージは持っているものの「具体的にどれくらい人が足りないのか」「どんな仕事をする人が足りないのか」あるいは「その会社がどのような状態になれば理想なのか」まで考えが及んでいませんでした。

理想と現状の間にあるものが課題だと考えると、理想も現状もわからなければ、課題発見も課題解決もできない。

そうした壁にぶつかっていたように感じました。

南部:実体験から超えた範囲の領域についての情報を取りに行って、それを整理して課題を発見/解決する。その難しさを感じていましたね。

当事者意識と豊富なアセットを持って地方活性化に挑む、SMBCの取り組み

長澤:47INTERNSHIPでは、課題発見/解決のサンプルとして、矢野さんに「太宰府の観光まちづくり」「秋田での農業」など、SMBCが実際に取り組んでいる事例をお話いただきました。

まさに、地方の課題を発見して解決した事例ですよね。

そもそも、金融/銀行というイメージの強いSMBCが、地方で観光/農業といった側面から課題解決に取り組んでいることに、少し意外性も感じました。SMBCはなぜこうした取り組みに挑戦しているのでしょうか?

矢野:簡単に言えば、課題を持つお客さまを手助けすることや、地方活性化に貢献することが、回り回って私たちの利益にも繋がるからです。

私たちが行う金融業務は、GDP連動ビジネスと言われています。言い換えれば、社会でお金が動けば動くほど、私たちが利益を得られるというビジネスです。

お金を使いたい人が増えて、自分が持っているキャッシュ以上にお金が必要な人や会社がいれば、私たちがご融資をすることで利息をいただけます。また、お金が移動する際には銀行口座をご利用いただきますから、経済が循環すれば、為替業務による手数料をいただくことができます。

SMBCは営利企業ですし、株式会社として株主への還元も必要ですから、当然利益を生み出すことが求められます。

しかし、お客さまの成長のために活動していれば、回り回って私たちのビジネスにつながってくる。お客さまへの貢献が自分たちの利益に繋がるという点は、私たちの仕事の大きな魅力、やりがいだと思います。

南部:先程のお話では「課題発見/解決」のためには「自分ごと化/実感」が必要だというお話がありました。SMBCとして、そうした課題に対して当事者意識を持ち、取り組めているのはなぜなのでしょうか?

矢野:各地の拠点で、SMBCの行員たちが数多くのお客さまとお付き合いをさせていただいているという点が大きいと思います。

それぞれの行員が、目の前のお客さまが困っている姿を実際に目にし、それが徐々に自分ごとになっていく。彼らの信頼に応えたい、なんとか助けになりたいと思って、お客さまの課題発見と解決に取り組む。

また、SMBCが保有する多くのアセットを活用すれば、多くのお客さまの課題を解決できるという自信も、各地での取り組みにつながっていると感じます。

地方のお客さまは、困りごとがあるけれど、そもそもそれを解決することができるのか、それを解決するためにどうすればいいのかがわからないことがほとんどです。

そこで、私たちが何をできるかと言えば、まずは経営/金融のノウハウを提供させていただくこと。担当者自身/SMBC全体が積み上げた経営/金融の知恵を通じて、お客さまの課題を特定し、解決できないかと模索していきます。

私たちだけで課題が解決できない場合は、グループ会社の力を借りることもできます。例えば決済に課題があれば三井住友カードの力を借りる。証券に関する課題があればSMBC日興証券。それでもできないことがあれば、課題に合ったお客さまをご紹介することも。

難しい課題であっても、色々な力を借りて、解決することができる。それは数多くのアセットがあるSMBCグループだからこその魅力です。

長澤:行員が当事者意識を持って社会課題に取り組み、またSMBCグループのアセットがあるからこそ、解決ができる。

事例としてお話いただいた件も、まさにそれを表していましたね。

矢野:そうですね。例えば「太宰府の観光まちづくり」という事例も、まさにSMBCグループならではの地方創生だと思います。

観光名所として有名な太宰府ですが、その地域では、実は観光産業の発達に頭を抱えていました。多くの人が太宰府を見にくるものの、滞在時間が短く、結果としてその地域での消費が伸びていなかったのです。

宿泊用の「立派なホテルを建てよう」などの、直接的な解決策は簡単に思いつきます。しかし、それでは、そのホテルを経営する企業は儲かるけど、周りのお店やレストランは儲からない。それでは地方創生にはならないですね。

そこで担当者が、観光資源である古民家を利活用した、エリア一体型の宿泊施設を作ろうというプロジェクトを立ち上げました。

その際に、銀行のソリューションだけではそのプロジェクトは完遂できないので、三井住友ファイナンス&リースというグループ会社を巻き込み、古民家を改修してリースする、という形で新しい価値を生み出しました。

それぞれの古民家を宿泊施設やレストランなどにリノベーションすることで、エリアに滞在する観光スポットに。それによって、街全体でお金を使っていただくような観光地を作り上げたんです。

まさに、当事者意識を持った社会課題の発見と、SMBCグループならではの課題解決を表した事例だと思います。

「Customer First」「人」の哲学と、柔軟に変化するSMBCのあり方

長澤:私自身、金融は堅苦しいという印象があって、全く触れることのないまま就活を終えてしまったのですが、お客さまへの当事者意識や、Customer Firstの気持ちという点はすごく印象的でした。

「ビジネスでお金を稼ぐ」という点になんとなく抵抗があって、公務員として地方に貢献したいという就活生も多いと思いますが、そういう人たちにとっての選択肢になり得ると感じました。

矢野:中長期ビジョンの中に「最高の信頼を通じて」という言葉が入っているように、「Customer First」や「信頼」というところは、私たちとしても重要視していますし、また我々の武器でもあると感じています。

先ほども申し上げたように、Customer Firstでお客さまのことを考え続けることが、回り回って自分たちの利益に繋がる。それを続けていくことで「矢野さんだからこの仕事をお願いしたい」などとお声かけいただいたこともありました。

Customer Firstで仕事に取り組める点や、会社だけでなく「人」に紐づくビジネスという点も私たちの魅力だと思います。

顧客の課題を解決する。その上で、Customer Firstで顧客に貢献したい、人として信じて頼られたいという方がいたら、銀行を覗いてみて欲しいと思いますね。

南部:私も、エンカレッジのメンターとして、1学年下の就活生とお話をさせていただいている中で「地方創生」という話が出てくることがあるのですが、地方創生に関われる企業はすごく限られているという印象を持っていました。

「金融業界」というイメージのあったSMBCがそこに対して取り組んでいることは意外であると同時に、魅力的に感じました。

矢野:確かに、我々は「銀行/金融企業」というイメージから、「融資」や「為替」のビジネスをやっているというイメージもあるかもしれませんが、それはあくまでも一つの手法であって「お客さまの課題を解決する」ということがターゲットなんですね。

実は、SMBCグループの中長期ビジョンでは「最高の信頼を通じて、お客さま・社会と共に発展する グローバルソリューションプロバイダー」と標榜しており、そこに「金融」という言葉は入っていません。

これはある意味「金融にはこだわらない」ということを表していて、会社の方針として強く意識しているのです。

マイナス金利で金融業は辛いんじゃないか、Fintech企業の台頭で銀行は不要になるんじゃないか、そうした話を聞いたことがある人もいると思います。

そんな中で、本当に銀行が不要だと言われるなら、銀行じゃなくてよい。 世の中から求められる私たちの役割やサービスとはなんだろうと考えて、そこに当てはまるように変化していく、それが私たちの考えです。

これまでお話しした地方での取り組みの話も、もちろんその一例となります。お客さまの課題を、様々なソリューションで解決していく。もし金融業での貢献ができなければ、経営のノウハウを提供する他、グループ会社やお客さまを巻き込んで解決していく。

お客さまの課題を解決するために、変化していく。それがソリューションプロバイダーとしてのSMBCの姿勢です。逆に、「融資だけやっていればいいんでしょ」という人は、もしかしたらSMBCには当てはまらないかもしれません。若手であっても、先ほどの事例のような機会に対して飛び込んでいく。そうした姿勢も求められます。

お客さまのことを必死に考えたい。お客さまと一緒に課題を発見して解決し、ともに発展したい。そうした人に、ぜひSMBCに来ていただきたいですね。

南部:金融業だけにこだわらず、あらゆるソリューションでお客さまの課題を解決する。コンサルティング企業や商社などを目指している就活生にとっても、魅力的な選択肢になりそうですね。

長澤:「Customer First」「信頼」という哲学や、「地方創生」や「あらゆるソリューションでの貢献」など、今まで知らなかったSMBCの新しい側面を知ることができました。

私のように、金融業界は見ていなかったという人であっても、ぜひSMBCという会社には一度触れてみてほしいですね。

矢野さん、南部さん、本日はありがとうございました。