マーケティングとは?
マーケティングと聞いてどんな仕事を思い浮かべますか?
マーケティングと聞くと「なんかかっこいい」「メーカーの仕事」と思われがちですが、実際には、あらゆる商品・サービスを販売している企業において、マーケティングの仕事が行われています。
〇マーケティングといえば、以下のような業界が代表的です。
外資消費財メーカー(ネスレ日本、P&Gジャパン、日本ロレアルなど) 日系大手企業(資生堂、花王など)
例えば百貨店コスメブランドのランコム、shu uemuraを聞いたことがある人もいるでしょう。 これらは日本ロレアルのブランドです。
こうした商品が世の中に認知され、消費者に購入される過程を築くプロセスがマーケティングになります。
こうして見ると、マーケティングってかっこいい! 世の中に認知され、いかに買ってもらうかを考えるのは面白そう! 興味のある商品や好きなブランドのマーケティングをしてみたい! と思う人も多いかもしれません。
しかし、就活面接で「マーケティングをしたい」と志望動機を言っても、マーケティングのプロセスは多岐に渡るため、「マーケティングの何をしたいのか」と面接官に思われてしまいがち。
この記事を読んで、「マーケティングとは何か」を知ったうえで、「自分はどの業界でどんな仕事をしたいのか、マーケティングのプロセスのなかで何に関わりたいのか」を考えるようにしましょう。
〇マーケティングとは 改めて、マーケティングとは一言でいうと何を指すでしょう。
マーケティングとは、「買ってください」と消費者に売り込むことと思っている人もいるかもしれませんが、それはマーケティングではなく「プロモーション」或いは「プロモーションの一種」になります。
マーケティングとは、一言でいうと「買ってください」と売り込まなくとも、自然に売れてしまう状態を作ることです。
マーケティング=プロモーションであると考えている人もいるかもしれませんが、プロモーションはマーケティング活動の一部を指します。
そもそもの製品設計の段階も含めて、「売れる仕組み」を作ること。 これがマーケティングなのです。
最適なマーケティングとは 3つの柱
ではどうすれば売り込まなくとも自然に買いたいと思わせられるのでしょうか?
最適なマーケティングをするためには3つ基本となる柱があります。 ・誰に ・どのような価値を ・どのように提供するか
それぞれ詳しく見ていきましょう。
マーケティングとは~誰に?
マーケティングをするにあたり、まず「誰に」マーケティングをするのかを考えます。
東京で一人暮らしをする20代の就活中の大学生の女性と、地方で妻と中学生の息子と三人で暮らしている40代のサラリーマンでは、求めているもの、買おうとしているものが違いますよね?
前者は就活に必要なスーツや適性検査の対策本、身だしなみを整えるためのメイク道具などを欲しいと思っているかもしれませんし、後者は車を買い替えたい、在宅勤務を快適にするためのモニターが欲しいと思っているかもしれません。
このように、消費者は、それぞれに異なるニーズを持っています。
はじめに、売れる商品を企画するためには、「消費者が求めているもの(=ニーズ)」を知る必要があります。
〇市場調査(マーケティングリサーチ)
消費者のニーズを知るために行われるのが「市場調査(マーケティングリサーチ)」です。
モニターへのアンケート調査を行ったり、政府が出している統計データを調べたり、消費者向け座談会を行ったり、商品を使ってもらい意見を募ったりします。
この市場調査、マーケティングにおいては非常に重要で、市場調査を事業の柱とする企業もあります。これらの企業はリサーチ会社、調査会社と呼ばれます。
市場調査で消費者のニーズを知ったら、次に消費者を絞り込み、何を求めているのかをはっきりさせる必要があります。 そうすることで、その後の戦略を明確にすることができるからです。
この、対象とする消費者を決めるためには、「セグメンテーション」「ターゲティング」を行います。
〇セグメンテーション
セグメンテーションとは、「区分」を意味し、市場にいる不特定多数の消費者をさまざまな切り口で分類し、特定の属性ごとにグループを作ることを意味します。
分類するための評価軸には、地域、年齢や趣味趣向、過去の行動データなど、さまざまなものが考えられます。
自社の商品がどの層にとって意味があるのかを見極めるためにセグメンテーションを行います。
分類の仕方によってその後の戦略は大きく変わってくるため、セグメンテーションはマーケティングにおいて土台となるプロセスです。
〇ターゲティング
次に分類された市場のどれをターゲットとしていくのかを決める「ターゲティング」を行います。
自社の強みを生かし、競合他社と比べてはっきりした優位性があるか。 消費者のニーズを自分の課題として捉え、それを満たしていくような製品・サービスであるか。
こうしたことを考えていくのが重要になります。
マーケティングとは~どのような価値を?
「誰に」マーケティングをするのかが決まったら、「どのような価値」を提供するのかを決めます。
〇ベネフィット
ベネフィットとは、商品やサービスが持つ「価値」です。 「価値」とはなんでしょうか。
ここでマーケティングの考え方を知るうえで最も有名な格言をご紹介します。 「ドリルを買いに来た人が欲しいのは、ドリルではなく『穴』である」
アメリカの学者レビットの『マーケティング発想法』(1968年)で紹介されたものです。 大学の授業などで聞いたことがある人もいるかもしれません。
あるホームセンターに来た男性が「6mmのドリルはありますか」と店員に尋ねます。 店員が「品切れです」と言うと男性は帰ってしまいます。
このことから、この男性のニーズを考えてみましょう。
男性がドリルを購入するのは、器具としてのドリルに関心があるからではなく、「穴を空ける」という「価値」を求めているからです。
店員とのやり取りのなかで「それは何をするのに必要ですか」と聞いていれば、男性のニーズは満たせたかもしれません。 少量の穴であればキリが使えますし、穴あけサービスや、穴の開いた板の販売でも良かったかもしれません。
消費者は課題解決の方法を求めて商品を購入しようとします。
消費者が購入しようとしているものの先に、「どんな課題解決の方法を求めているか」を考え、それを提供するのがマーケティングにとって大切なことであり、商品・サービスの「価値」といえるものです。
〇差別化
この「価値」を考えたうえで、次に考えるのが「競合他社との差別化」です。
良いマーケティング戦略は「3C分析」がされているものと言われています。
3Cとは、「市場/顧客」(Customer)「競合」(Competitor)、「自社」(Company)のこと。
差別化とはこの競合つまり他社と自社製品の差別化のこと。
自分の提供する商品は、他社とどう違うかを差別化できなければならなりません。 なぜなら、自社の製品が競合他社と同じ「価値」を提供している場合、消費者は自社の製品か競合他社の製品のどちらを買うかで、価格が安い方を選ぶからです。
自社の製品と競合他社の製品が差別化できず、価格の安い方が選ばれるようになった場合、「価格競争に陥っている状態」となります。
価格競争に陥らないようにするためには、自社が提供する商品やサービスが他社とどのように違うのかを、消費者に訴えなければなりません。
差別化をするためには、機能やサービスを高める、デザイン性を高める、消費者との接点を深めるなど、さまざまな方法があります。
マーケティングとは~どのように提供するか?
ここまで、 「誰に」製品を提供するか 「どのような価値を」提供するか を考えてきました。
これらを具体化したうえで、最後に「どのように提供するのか」を考える必要があります。
○4Pと4C
どのように提供するかを考える考え方に4P、4Cというものがあります。
まず、1960年代に提唱されたのが「4P」という考え方。 ・Product ...製品・サービス ・Price ...価格や価格体系 ・Promotion ...広告などを含めた販売方法 ・Placement ...販路
もう少し具体的にいうと ・Product ...製品そのものや含まれる成分、包装やパッケージ ・Price ...定価はいくらにするか、値引きはするのか ・Promotion ...テレビCMを流すか、製品カタログを出すか、営業マンが売り込むか、店頭でプロモーション活動をするか ・Placement ...ネット販売か、百貨店で売るか、コンビニで売るかなど
「どのように提供するか」を考える際、これらの効果的に組み合わせ考えることが多いです。
しかし、これらは企業視点であるため、購入する側の視点が欠けているという批判から、1990年代に提唱されたのが「4C」になります。
・Customer Value ...顧客価値 ・Cost ...顧客が負担するコスト ・Convenience ...顧客の利便性 ・Communication ...顧客とのコミュニケーション
こちらも具体的にみていきましょう。
・Customer Value ...その製品が顧客にとってもたらす価値 ・Cost ...その価値を手に入れるのに顧客はどれだけコストを負担するか ・Convenience ...近くの店にあるかやネットで買えるかなど、顧客の求める価値に合致した入手容易性。容易であるのが必ずしも良いとは限らず、逆に高級品であれば入手困難なものへ人気が集中する。入手が容易が否かは、求める価値に合致させているかが重要。 ・Communication ...企業側のメッセージが顧客に届いているか、また、顧客の声が企業に届いているか。
4Pに比べ、4Cはより顧客視点に立った考え方になっていますね?
現在では「4P」「4C」を組み合わせて最大の効果を上げるようにするのが良いマーケティングとされています。
○広告宣伝活動
4Pの説明のなかでPromotionを紹介しました。 プロモーションとは広告宣伝活動を指します。
せっかく良い製品をつくっても、知ってもらえなければ製品は売れません。
「どのように提供するか」を考えるにあたり、このプロモーションは重要になります。
・マス・メディア:テレビ・新聞・雑誌・ラジオの「4マスメディア」と呼ばれる媒体に広告を載せる手法。
・デジタルマーケティング:インターネットを使った検索エンジン、Eメール、ポータルサイト、ソーシャルメディアからアクセスを集める方法など、インターネットを使った手法。マス・メディアに比べ、絞られたターゲットに行き届けられる。
・PR広告:交通機関や屋外に掲出されている看板・サインボードの他、DMやチラシ、展示物など。
そのほかにも、マスコミに記事として無料で取り上げてもらう「PR(パブリシティ)」や、口コミを広める「バズ・マーケティング」など「どのように提供するか」の方法はさまざまです。
マーケティングとは主眼は顧客に置かれるもの
上述したプロモーションを=マーケティングと思っていた人も多いかと思います。
しかしこれはあくまでマーケティング機能の一つです。
プロモーションだけを考えるのではなく、上記で解説したセグメンテーションとターゲティング、ベネフィットと差別化で得られた「対象とする顧客と提供する価値」を具体的に考えたうえで、「適切な相手に、適切な価値を、適切な方法で提供する」のが良いマーケティングと言われています。
商品やサービスを選んで買うのは顧客であることから、マーケティングの主眼は「お客様」に置かれているといえるでしょう。
プロモーションを効果的に行い、売れる仕組みを作り出すことが最適なマーケティングといえます。
〇自社と顧客の双方がwin-winであることが最適なマーケティング
マーケティングとは自社が商品を売り込んでいる以上、自社がwinであると思われがちですが、それはマーケティングとは言えません。 最適なマーケティングは顧客にとってもwinであるのです。
なぜお金を払った顧客がwinとなるのか。
顧客は商品やサービスに対して代金を払ってもそれ以上の価値が得られれば「儲けた」という満足感を得られるからです。
その満足感があれば、再度商品を購入します。 つまり自社の商品はまた売れることになります。 この繰り返しが自社と顧客のwin-winの関係といえるでしょう。
これからのマーケティングとは
マーケティングにおけるプロモーションは、昔ながらのマス・メディアの他に、インターネットを使ったデジタルマーケティングなども紹介しました。
いまの時代は、IT化に伴い、デジタルマーケティング、Webマーケティングの分野を中心に、技術革新によって新しい考え方が次々に登場しています。
消費者が多様化してくるこれからのマーケティングには、前述した「顧客にどのようにアプローチをするか」という戦略の他に、消費者の興味・行動に合わせた提供情報の最適化やIT化を活用した手法も重要になってきています。
具体的には、スマートフォンの普及により「書店で気になった本をネットで買う」や「SNS広告に出て来たお店に実際に行ってみる」など、インターネットと実際の店舗をまたいだ購買行動が見られるようになってきたのです。
インターネット上のサイトや、実際の店舗など、企業と消費者の接点になる場を「チャネル」と呼び、このような複数のチャネルを連携させて消費者にアプローチする手法を「オムニチャネル」と呼びます。
マーケティングの主眼が顧客に置かれるようになった今、その動きにともなって、店舗とインターネット上のサイトなど、複数のチャネルをまたいで行動する顧客をスムーズに購入へと導くマーケティング手法が盛んに研究されています。
マーケティングの仕事に携わる際は、これらの手法を駆使し、購入する側に最適にアプローチをすることが重要になってきます。
マーケティングとは 就活に向けて
マーケティングというとプロモーションのことを指していると思われがちですが、マーケティングとは、商品・サービスが選ばれる、つまり消費者が買いたくなる仕組み作り全般を指すといえます。
マーケティングと聞くとメーカーの仕事と思われがちですが、広告業界やIT企業、コンサルなど幅広い業界の仕事にマーケティングの仕事があります。
ITを使ってアプローチしたいのであればIT業界、マスメディアや様々なチャネルを駆使してプロモーションを考えたいのであれば広告業界など、マーケティングの領域は、メーカーだけの領域にとどまりません。
就活でどんな仕事をしたいかを考えるにあたり、「マーケティングって面白そうだからやってみたい」と思う人もいるかもしれません。
しかしその場合は、どんな商品を、どんな人に売りたいのか、世の中にどんな商品やサービスがあれば消費者が満足するかなども考えてみると良いでしょう。
そのうえで自分はマーケティングのなかの何をしたいのか、なぜそれをしたいのかを振り返って考えてみましょう。
特にIT化が進むこれからのマーケティングは、消費者へのアプローチ方法も多様化しています。効果的な戦略で売れ続ける商品・サービスを生み出すことができれば、大きなやりがいを感じられるでしょう。
就活面接で「マーケティングをしたい」とだけ言われても、面接官から「何がしたいの? なぜそれをしたいの?」と思われてしまいます。 マーケティングの仕組みを理解したうえで、改めて志望業界や志望する仕事を考えてみましょう。
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