「志望動機」のポイントは「何に」より「なぜ」
志望動機を伝えるうえで大切なのは企業の「何に魅力を感じたのか」というよりも「なぜ魅力を感じたのか」という点。
面接官が見たいのは「やる気と向上心を持って仕事に取組み、長く働いてくれるか」です。
それを意識するだけで志望動機の伝え方は大きく変わってきます。 本記事では様々な業界のパターンで例文を挙げていきます。「志望動機」に何を書けば良いか悩んでいる方は是非参考にしましょう!
履歴書における「志望動機」の役割は? 新卒採用で企業は何を知りたい?
<志望動機の意味> 履歴書やESに書く「志望動機」以外の項目、例えば自己PRや学歴、特技などは「私はこういう人間で、こんなことを頑張ってきて、こんな考えを持っています」という風に企業に対して自分をアピールするためのものです。 これに対し「志望動機」は、他の項目でアピールした「こういう人間である私が、御社の○○に惹かれました」というように、自分と企業をリンクさせる働きを持っています。
<志望動機を問う目的> 「私はこんな人間です」という自己PR以外に、なぜ志望動機を聞くのでしょうか。 それは「なぜこの会社を志望したのか」を聞くことで、その学生がどんな考えを持ち、何を軸にしているかが伝わるからです。
業界・企業研究をじっくりおこなったうえで、履歴書の志望動機がきちんと整理され、うまく伝えられれば、面接官は履歴書やESを見て、自己PRと志望動機を併せて読みながら、「こういう経験をして、こんな考えを持っているAさんだから、~という社風に惹かれたのか」とAさんの考えや意欲を評価することが出来ます。 志望動機をきちんと伝えることで、「業界研究をしっかりし、自己分析で自分が何を軸にしているかをきちんと整理できている学生だ。うちを強い気持ちで志望しているんだ」と高評価に繋がります。
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例文でわかる! 正しい履歴書の「志望動機」の書き方
例えば、以下の例文を見ていきましょう。
志望動機例文 Aさん 御社の「若手のうちから意見を出し合い、より良いサービスを作っていく」という社風に惹かれました。私は大学1年の頃から週5日間、居酒屋でアルバイトをし、半年後には新人教育担当を任されました。
チーフや料理長との会議に出て、どのようなサービスをすればよりお客様に喜んでもらえるか、どのように新人アルバイトを指導すれば良いかなどを話し合いました。
自分から積極的に意見を出すこと、若手の意見も聞いてもらえる場であることで働く環境がより良くなるうえに、お客様への良いサービスに繋がると思います。現場の最前線で働く若手の意見もくみ取ってくれる御社で、自分もお客様により良いサービスを提供するため頑張っていきたいです。
○書き方のポイント 1,志望動機を書く際は、まず「企業の何に惹かれたか」を端的に書く。 社風、企業理念、事業の特徴、仕事内容など、説明会やOB訪問を通して知った、「その会社に惹かれたきっかけ」がこれに当たります。 上記の例文では最初の御社の「若手のうちから意見を出し合い、より良いサービスを作っていく」という社風に惹かれました。の部分です。
2,次に、自分の経験と照らし合わせ、なぜ自分がそこに惹かれたか、なぜその社風の元で働きたいと思ったのかを書く。 この項目が全体の7割~8割ぐらいを占めます。
3,最後に、上記で上げた2つの点をまとめるかたちで、自分の熱意を伝える。 上記の例文では現場の最前線で働く若手の意見もくみ取ってくれる御社で、自分もお客様により良いサービスを提供するため頑張っていきたいです。の部分です。
○評価されやすい内容 志望動機を書く際に、「企業の何に惹かれたか」に関しては、同じことを書く学生もいるでしょう。 「若手のうちから意見を出し合い、より良いサービスを作っていく」という社風も、会社側が熱意があって積極的な学生に入社して欲しいゆえに対外的にアピールしている場合もあります。
ですが居酒屋のアルバイトを頑張り、チーフとの会議に出るようになったAさん自身の経験を交えながら、「若手のうちから意見を出し合うことの大切さに気付いた」→「だから御社を志望する」という流れはAさん独自の志望動機です。
このように、自分の経験や考えを交えながら「なぜ企業に惹かれたのか」を書くことが評価されやすい志望動機のポイントになります。
○NGな志望動機・志望理由 ・自己PRをメインで話し過ぎない! あくまでも志望動機を言うこと。 自分の経験を交えながら「なぜ企業に惹かれたか」を書くといっても、ここでAさんが「居酒屋のアルバイトを週5日間やり、半年後には新人教育を任され、チーフとの会議に出て、そこで自分は○○という提案を出し、そのおかげで~という結果になりました。」と語りすぎてしまっては、志望動機でなく自己PRになってしまいます。
自分の経験を書くのは自己PRの欄で具体的に伝えましょう。
ここはあくまで「○○をして、▲▲の大切さを知ったので御社の□□に惹かれた」というように、会社の社風やビジョンと繋げるようにしましょう。
・バイトはアルバイト、就活は就職活動など、言葉をきちんと書く。 面接はもちろん、履歴書やESでも略した言葉は使わずに表現しましょう。
・商品、広告などに惹かれたという志望動機はダメ! 単なる消費者の意見になる! 例えば、飲料メーカーの志望動機の悪い例をみてみましょう。
志望動機例文 悪い例 御社の開発した○○という商品が好きで、その開発や販売の一翼を担いたいと思い志望します。○○は季節ごとに味を変え、その季節の食材にあった風味にすることで日々の食事に「季節感」をもたらすと感じています。「季節感」が、四季を味で感じる日本の食事の豊かさに繋がると思います。私は食事を通じて人々に「豊かさ」を伝えていきたいという想いがあります。この商品をもっと多くの人に知ってもらいたい、届けたいという想いから、私は御社を志望します。
この志望動機は簡潔にまとまっているうえ、自分の言葉で「なぜ企業を志望するのか」が書かれ、思いが伝わります。
ですがなぜダメなのでしょうか。 それは「その会社で働こうと思っている学生の志望動機」ではなく、「その商品を愛用している単なる消費者の意見」だからです。
メーカーの志望動機で、「幼い頃から親しんできた○○という商品があり、それをより多くの人に届けたい」と言ってその商品の魅力やその商品を使ってきた自分の経験を伝えるのは「消費者」の意見になりかねません。 広告代理店のCMや広告、出版社の書籍なども同じです。
面接官としては、自分の会社の生み出した商品が高く評価され、絶賛されていることに悪い気はしませんが、「この学生は作る側の視点で考えているのか」という疑問を感じます。
作る側にはその商品を世の中に送り出すまで、葛藤や挫折、衝突など、消費者には知りえない長い歴史があるものです。
また、「この学生は採用されても、○○の販売部以外の部署に配属されたらどうするのだろう。好きな商品でないと仕事への意欲が湧かなくなるのかもしれない」とも思われかねません。
なぜならその商品に限らず、いろいろな商品を開発しているメーカーである以上、その商品を扱う部署に配属されない可能性の方が高いといえるからです。
志望動機のなかで、どうしても一つの商品について言及したい場合は、「御社の○○という製品に魅力を感じて使っている。当時この市場は高齢者をターゲットにし販売されていたが、御社の○○をきっかけに若者でも手が届きやすいものになった。
固定観念を覆し、若者が○○を買えるように価格やデザインを変えたことで新しい流行を生み出した御社の企業理念に強く惹かれた」というように、作った側がなぜそれを販売したのか、背景を調べたうえで、その企業理念や社風に言及するのが良いでしょう。
実際にその商品の販売や開発、マーケティングに携わっている社員の話を聞いて、商品が世に送り出された背景を知ったうえで伝えれば、説得力が増します。
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履歴書に書く志望動機がない? ケース別・使える具体的例文で評価されるポイントを解説
ここでは志望動機と業界を組み合わせた人事から高評価を得られる例文を挙げていきます。 全ての例文が上述したポイントを抑え、「何に惹かれたのか→なぜ惹かれたのか→まとめ」の流れで構成されています。 では早速、見ていきましょう!
■仕事内容に惹かれた場合×商社
私は御社で、様々な利害関係者をまとめる経営人材になりたいです。学園祭実行委員長の経験を通じて、サークルのメンバーと協賛品を出してくれる会社の板挟みになりながらも「何がどちらも納得する解決策であるか」を模索してきました。
お金を頂くことの大変さ、双方が納得する落としどころを見つけることの大変さを実感すると同時に、協賛を頂けたときの喜びも実感しました。この経験から、より多くの人と人を繋ぐ仕事に就きたいと思いました。世界中のあらゆる会社と強い信頼関係を築く御社で、その一翼を担いたいです
評価されるポイント どんな人材になりたいかという点から志望動機を述べたうえで、自分の経験を伝えることで「なぜ企業に惹かれたのか」を述べています。 学園祭実行委員の経験で感じた大変さややりがいと、商社の仕事内容を結び付け、説得力のある志望動機になっています。
商社が様々な利害関係者をまとめる仕事であること、そのために世界中に支社を持ち、世界中の会社とやり取りをしていることをきちんと知ったうえで自分の考えを伝えています。 最後のまとめからは熱意を感じられます。
■事業に惹かれた場合×金融
「幅広く社会を支える仕事ができる」という点を軸に就職活動をしています。 幅広く社会を支えるという意味で、銀行は一人一人のお客様と信頼関係を築き、金銭面で挑戦をサポートできます。
そのうえで幅広い業界と関わり、広い意味で社会に貢献できます。私は留学生をサポートするボランティア経験で担当の留学生たちにお礼を言われたときはもちろん、留学生の母国の家族からお礼の手紙が来た時、行ったことのない国の会ったことのない人から感謝されることに強いやりがいを感じました。
目の前の個人を支えることと同時に、広く社会に貢献し、感謝される仕事をしたいと思うようになりました。
評価されるポイント 自分の就活の軸を提示し、志望動機を書いているので分かりやすいです。 自分の経験から、「なぜ自分は幅広く社会を支える仕事をしたいのか」が伝えられています。 最後のまとめでも「目の前の個人を支えると同時に、広い意味で社会に貢献したい」という思いが分かりやすくまとめられています。
■自分の適性をアピールする場合×一般職
私はOG訪問を通じて、御社の事務職は「一見地道な仕事を、正確性をもってコツコツと取り組む仕事が多い」という印象を受けました。
私は百貨店のアルバイトをしていますが、納品の数を数えたり、倉庫の在庫を調べたりという一見地味な作業でも、ミスなく正確に、丁寧に仕事をすることを評価されてきました。一見小さな仕事でも、それが大型百貨店やブランドの信頼に繋がることを意識し、確認作業を怠らず、真剣に取り組むのが私の強みです。
この強みを御社の事務職という職種のなかで活かしていきたいです。
評価されるポイント OG訪問で受けた仕事内容の印象を伝え、自分の適性とマッチしていることが志望動機のなかで簡潔に書かれています。 小さな仕事が大きな仕事に繋がるのだから、一見地道な仕事でもミスなく正確に取り組もうとする考え方が具体的な経験と共に伝わってきます。 最後にも自分の強みを御社で活かしたいと書くことで、まとまった志望動機になっています。
■OBOG訪問を通じて出会った先輩社員に惹かれた場合×メーカー
私は、「社会を支え多くの人に必要とされている企業であること」「こんな社会人になりたいと思う先輩社員が活躍していること」という2点を企業選びの軸にしています。 私はオフィスビルのコンビニのアルバイトをしていますが、コロナ禍でビル内の飲食店が全て休業したとき、お弁当を買いに来た方に、「コンビニはやっていて良かった、何も食べられないところだった」と感謝され、「商品」というかたちで社会に貢献することの大切さを実感しました。
また、OB訪問を通じてお話しをした御社の社員の方々の、お仕事に誠実に前向きに取り組む姿勢を見て、自分もそうした社会人になりたいと強く思いました。誠実に仕事に取り組むことで、人々の暮らしを支えていきたいです。
評価されるポイント 自分の企業選びの2つの軸を最初に明記しているので分かりやすい内容になっています。 「商品」といった、具体的なモノで人々の生活を支えることの大切さを実感したエピソードから、メーカーをなぜ志望するのかが分かります。
またOB訪問を通じて「目指したいと思える人が働いていたから、働きたいと思った」という志望動機も書かれています。 2つのことを志望動機に書いているため、情報量が多いものの、うまくまとめられています。面接に進んだときは、OB訪問で出会った社員の、どんなところを見て、誠実に前向きに取り組んでいると感じたのかと深く聞かれる可能性があります。
■事業に惹かれた場合×ディベロッパー
土地開発、施設造りを通し、まちづくりに携わりたいと思い、御社を志望します。私の地元は中学の頃に再開発によって住居や店舗、区役所が入った複合施設が建てられました。
それまでは夜になると真っ暗になるほど閑散としていた地元も、人が増え、店舗が増え、活気が溢れるようになり、嬉しかったのを覚えています。私は高校生の頃からその複合施設に入っているスーパーでアルバイトをしていますが、「ここにスーパーが出来て便利になった」という言葉を直接お客様から聞いたことがあり、どんなことをすれば町で暮らす人の生活がより豊かになるのかを真剣に考え仕事をしたいと思いました。
都市開発により町を豊かにすること。そんな仕事の一端を担い、人々の暮らしを豊かにすることに貢献したいです。
評価されるポイント 志望動機を述べたうえで自分の経験談から「なぜその企業で働きたいのか」が自分の言葉でうまく伝えられています。
再開発によりいかに自分の地元が活気溢れたのか、それが嬉しかったという素直な気持ちが伝わります。再開発により町が豊かになったと肌で感じた経験を書くことでその仕事をしたいという説得力の増す志望動機になっています。
■働き方に惹かれた場合×金融エリア総合職
「幅広く社会に貢献できること」と「仕事と家庭を両立しながら長く働けること」の2点を軸に就職活動をし、御社を志望しました。「幅広く社会に貢献できる」という意味では、御社で個人や企業の挑戦を金融面でサポートしていきたいです。
「仕事と家庭の両立」という意味では、御社の社員の方にOG訪問をした際、「産休・育休の制度がしっかりし、周りも理解がある。子育てしながらも働ける」と伺い、強く惹かれました。
私は、児童施設でのボランティアを通して、子供たちとの交流のなか、仕事をしながらも家庭を大切にしていきたいと思うようになりました。社会に広く貢献しながら、家庭を両立し、生き生きと御社でご活躍されている先輩方を見て、自分もそのように働きたいと思います。
評価されるポイント 就活の軸をまず明記したうえで、それぞれの説明をしている点、実際の先輩の声を聞いて企業を志望した点が伝わります。 自分の経験から「なぜ仕事と家庭の両立を軸にしているのか」も伝わります。 最後のまとめも「広く社会に貢献すること」と「仕事と家庭の両立」という2つの軸が繰り返され、うまくまとめられています。
企業は「やる気と向上心を持って仕事に取り組んでくれるか」の他に、「長く働いてくれるか」も見ています。「ワークライフバランスを重視する働き方をしたい」→「御社でなら実現できる」という流れは、「家庭を大切にし、会社の制度を利用しつつも、長く働いてくれそうだ」と好印象を持たれます。
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志望動機はその企業に「なぜ魅力を感じたのか」を意識しよう
志望動機は「いかに企業(業界)研究をしたか」と同時に「自分という人間は何をしてきて、どんな軸があって、それが企業にどうマッチするのか」をアピールするものでもあります。
「自分はどういう人間か」という自己PRの要素も含みつつ、「自分は受けている企業でどう働きたいのか、なぜ働きたいのか」を伝えることで、自分と企業を繋げる意味もあります。 その点で履歴書における志望動機は重要な役割を持っています。書き方の工夫一つで他の就活生より好印象を持たれます。
企業の「何に魅力を感じたのか」というよりも「なぜ魅力を感じたのか」を意識し、自分の言葉で、簡潔に伝えるようにしましょう。
自分の軸と企業への志望動機の繋げ方が分からない、どんな伝え方をすれば良いのか分からないという方はエンカレッジに登録し、他の例文も見てみましょう!
多くの例文を見ることで、自分の経験と近い、あるいは自分の考えた軸に近い先輩方の志望動機が見つかるはずです。
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