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国家公務員インタビュー【省庁勤務】若手職員のリアル

本記事では、経済産業省ではたらくMさんに、就活インタビューをおこないました。 若手国家公務員の意外な待遇や、就活における採用試験・「官庁訪問」の実態など、なかなか知ることのできない、国家公務員総合職のリアルな情報が満載! 公務員就活や、国家公務員の仕事に少しでも興味がある方は必読のインタビューです!

■「世界を動かす仕事」――国家公務員を目指したきっかけ

――Mさん、本日はよろしくお願いいたします。 はじめに、国家公務員を志望した理由を教えていただけますか?

きっかけは、大学のゼミの教授に「国家公務員が向いている」と言われたことでした。以前から、世の中を良くする仕事がしたいと思っていたんです。

でも当時は、国家公務員はお堅いイメージでおもしろくなさそうと思い、あまりピンときていませんでした。

――そこから、どうして興味を持つようになったんですか?

ゼミの先輩に国家公務員が何人かいたので、官公庁の説明会に行ってみたんです。 ここで、経済産業省に出会いました。

興味を持った一番の理由は、経済産業省ではたらく人たちが魅力的だったからです。 また、仕事の話を聞くうちに、国際会議などで実際に世界を動かすのは国家公務員だと気づきました。

国家公務員は、人生の多くの時間を有意義に使える仕事だと感じて、惹かれるようになったんです。

■経済産業省は「いちばん民間に近い省庁」――その仕事と魅力

――では現在、国家公務員としてはたらくMさんのお仕事についてお聞きします。そもそも、経済産業省は省庁のなかでもどんな役割を担っているのでしょうか?

ざっくりいえば、経済産業省は「国を豊かにする」ミッションのもと、産業界と密にコミュニケーションを取りながら、日本のビジネスを後押しする省庁です。 国内外問わず、産業界の困りごとや要望を聞き、解決するのが主な仕事です。

部署は大きく2つに分類できます。 エネルギー・生活製品・化学品など、いろいろな産業を「分野ごと」に担当する部署と、経済政策・通商政策・貿易経済協力など、「分野横断的」に担当する部署があります。

――ほかの省庁とのちがいはありますか?Mさんが思う、経済産業省の魅力を教えてください。

企業との仕事がたくさんあり、霞が関で民間との距離がもっとも近い省庁だと思います。また、部署にもよりますが、外務省をはじめとしたほかの省庁とのかかわりも多いです。

国家公務員といえば、クローズドなイメージを持たれがちですが、民間・官界さまざまな人とコミュニケーションが取れるのは、経済産業省の魅力だと思います。

――実際にはたらいてみて、Mさんがやりがいを感じるのはどんなところですか?

ひとつとして同じような案件はなく、つねに成長している実感を得られます。

たとえば、「通商政策」(外国との商取引)の担当では、さまざまな情報・状況を踏まえて、どの国とどう話を進めるべきか、ロジカルに戦略を組み立てていきます。

国際法等の知識のみならず、国際情勢や日本と各国の関係をよく理解しておかねばなりません。日々いろいろなことを学べるので、知的好奇心が満たされます。

しかも、自分が考えた戦略が世界経済を実際に動かすんです。 ほかではありえない仕事のスケールの大きさに、やりがいを感じますね。

■若手のキャリアとはたらいて分かった意外なギャップ

――それはすごいですね! 若手から大きな仕事ができるのでしょうか? 入省1〜3年目は、どのような業務を担うことが多いですか?

省庁のなかでも、経済産業省はボトムアップ型の傾向がもっとも強いと感じます。 雑務ばかりでは決してなく、若手のうちから中堅以降と同じ案件を担当させてもらえるんです。

具体的には、まず若手に一案を作らせて、そこから皆で練り上げていくようなプロセスを取ることが多いです。実務を通じて、やりがいを感じながら学ぶことができるんですよ。

――国家公務員は年功序列が強いイメージがあったので、意外です。

「省庁に染まっていない考え方は貴重」と、1年目から意見をしっかり聞いてもらえます。 局内では「働き方改革」の定例会議があるんですが、1〜3年目くらいの若手もたくさん招待されていますね。

――ほかにMさんが感じた、国家公務員イメージとの「ギャップ」はありますか?

省内の勉強会が盛んなことですかね。 さまざまな部署が有識者を招いた勉強会を企画してくれるんですが、通常業務では学べない知識も得られて、とても助かっているんです。

若手が挑戦・成長できるよう、さまざまな環境が整っているのはいいギャップでした。

――そうなんですね! ちなみに、若手のうちは転勤が多かったりしますか?

基本的に希望しないかぎり、転勤はありません。 配属希望も、比較的通りやすいと思いますよ。

■「国家公務員は多忙」は本当? 待遇のリアル

――国家公務員は多忙と噂されますが、待遇についてお聞きしたいです。 実際のところ、残業は多いですか?

私も入省前は、毎日終電帰り・休日出勤を覚悟していましたが、余程のことがないかぎりありません。

部署や時期にもよりますが、「働き方改革」を率先しておこなっているので、予想よりずっとホワイトです。 私の場合、9時半に出社し、21時までに帰宅することが多いです。

――有給休暇など、お休みの取りやすさはいかがですか?

有給は取得が推奨されていることもあり、とても取りやすいです。 明るく和やかで、個人を尊重する風土なので、飲み会を強制されることもないです。 男女ともに、はたらきやすい環境だと感じます。

――Mさんは女性ですが、育休・産休などの取りやすさはどう感じますか?

制度が非常に充実しており、職場の理解もあると感じます。 とくに女性職員は、子どもが小さいうちは時短制度を活用しながら、無理なくはたらいている人が多いです。

■力を入れるべきはここ! 国家公務員の就活対策

――ここからは、Mさんの就活についてお聞きします。 まず、「国家公務員採用試験」は最難関試験のひとつといわれますが、どのような対策をしましたか?

これといった試験対策はしていませんでした。 国家公務員採用試験は、大学で真面目に勉強していれば合格できると思います。

ただ、基礎能力試験の「数的処理」(パズル問題のようなもの)は苦手な人がいるかもしれないですね。 不安なら試験対策本や過去問をひと通り解けば、大丈夫だと思います。

――国家公務員採用試験合格後、省庁に内定をもらうには、「官庁訪問」が必要ですよね? 官庁訪問では、何をするのですか?

官庁訪問では、志望する省庁のさまざまな職員と面談をおこないます。

具体的には、仕事の話を聞いたり、自分の志望動機を話したりします。省庁への理解を深めると同時に、自分をアピールする場になっています。

――経済産業省は就活生に人気の省庁ですから、官庁訪問の倍率も高いですよね。官庁訪問では、どのようなことが大切だと思いますか?

熱意や志望度の高さを、説得力のある言葉で伝えることです。 私は自分のこれまでの経験と志望動機をつなげて、ほかではなく経済産業省に入りたい強い想いを伝えられるようにしました。

また面談では、コミュニケーション能力や頭の回転の速さも見られているように思います。

――官庁訪問の対策として、Mさんはどんなことをしましたか?

説明会に参加し、職員と話して雰囲気に慣れることが最良の対策だと思います。

また私は、経済産業省のパンフレットや説明会でもらった資料を何度も読み返し、ノートに内容をまとめたり、志望動機やその都度感じたことを記したりしていました。 何を聞かれても自信を持って答えられるように、知識・メンタルの基礎を作っていったんです。

面談では、明るく堂々と発言することが大切です。 たとえ自信がなくてもおどおどするのは避け、面談までに不安要素はできるだけ減らしておきましょう。

――国家公務員は、民間企業より就活の情報が集めづらいと聞きます。 情報収集の場として、説明会以外に何を活用しましたか?

私はOB訪問やインターンなど、とくにしませんでした。 省庁のホームページやパンフレット、説明会だけで、十分な情報が得られると感じます。

――受験にあたり、志望省庁を迷う人も多いと思います。経済産業省に向いている人は、どんな人だと思いますか?

若手も意見を求められるので、「自分の意見をきちんと持てること」は重要です。 さらに、課内チーム・省内の部署・霞が関の省庁・産業界の企業・諸外国など、「立場のちがうさまざまな人の意見を折り合わせる」必要があります。

ゆえに、他人に流されず、円滑にまとめる能力がある人は向いていると思います。

実際のところ、経済産業省にはいろいろな人がいますが、芯の強さと柔軟なコミュニケーション能力を兼ね備えた人が多いです。私もこういう特性に憧れて、入省しました。

――Mさんも、民間企業と公務員で迷われたと思います。どちらを受けるか迷っている場合、どのように考えるのがいいでしょうか?

省庁から民間に出て活躍する人、民間から省庁に入って活躍する人、どちらもいます。もし入って合わないと感じたら、中途採用を受ければいいんです。 あまり悩みすぎずに、直感で決めるのがいいと思います。

ただ、省庁でしかできない仕事がある、憧れている人たちがいるなど、強い想いがあるなら、臆せず国家公務員の新卒採用試験を受けたほうがいいと思います。採用人数も多いですし。

――最後に、就活生にメッセージをお願いします。

いろいろ迷うことはあると思いますが、就活では1、2年後だけでなく、一生を考えたときにどうありたいかを軸にするといいですよ。

国家公務員に興味がある方は、経済産業省はとても良い職場です。少しでも気になった方はぜひ説明会に足を運んでみてくださいね。

――Mさん、ありがとうございました!

おわりに

Mさんのお話から、なかなか知ることのできない経済産業省の仕事や、国家公務員の若手キャリアの実態を理解することができました。

若手の成長を促すボトムアップ型の組織であることなど、意外で魅力的なギャップも多く見受けられました。

難関で知られる国家公務員採用試験も、自分であまりハードルを上げすぎずに受験することを、Mさんは勧めています。 国家公務員に少しでも興味がある方は、ぜひ各省庁の説明会やホームページにアクセスしてみてください!