はじめに
多くの就活生から相談を受ける、「大手企業VSベンチャー企業」。
業界や企業ごとにちがいはあるものの、やはり大手とベンチャーの差は大きいよう。 大手企業・ベンチャー企業ではたらくメリット・デメリットと、選ぶうえで重視すべきポイントを、先輩たちの実体験をもとに具体的にまとめました!
1.大手企業の良いところ
■そもそも「大手企業」の定義とは?
「大手」のほかに「大企業」という言葉を目にすることも多いでしょう。
企業規模は、業界ごとの従業員数・資本金で定義され、大企業・中小企業・小規模企業(零細企業)の3つに分類することができます。
<業界別 大企業・中小企業・小規模企業の定義>
ただ、就活における「大企業」は「大手企業」のニュアンスで使われていることも多いです。
実は、「大手企業」に明確な定義はないのですが、一般的には「世間でよく知られており、業界で高いシェアを誇る会社」として、認識されています。
企業の規模も大きい場合がほとんどですが、業界内外での知名度が定義における重要な要素になっています。
大手企業/大企業を混同していると、思わぬギャップがあることも。規模を指すのか知名度を指すのか、ニュアンスのちがいを理解したうえで、企業研究を進めましょう。
■大手企業ではたらくメリット
・業績や会社が安定しており、倒産などのリスクが低い。 ・男女ともにはたらきやすい、福利厚生・手当が充実している。 ・労働時間・休暇制度の定義がきちんとしており、ワークライフバランスが取りやすい。 ・給与水準が高め。 ・企業内教育が手厚く、さまざまな研修制度がある。 ・昇進・昇給などの評価基準が明確。 ・入社から定年まで勤める人も多く、キャリアビジョン/ライフプランをイメージしやすい。 ・上司やチームと動くことが多いので、困ったときにフォローしてもらえる。 ・ネームバリューがあるので、社会的な信用が高い。
具体的には、以下のようなエピソードが上がりました。
●待遇の良さ、はたらきやすさに感動! 某有名食品メーカー勤務です。業界のなかでも、給与や待遇が圧倒的に高水準だと感じます。労働環境に不安がないので、仕事に集中できるんです。
少しでも不満が出てくると、社内に発足している労働組合が上層部にかけ合い、上層部も真摯に対応してくれます。これは、歴史のある、安定した企業だからできることだと感じます。
また、福利厚生も、多くの人が利用したうえで改訂され、「ほんとうに必要なもの」が揃っているので、非常に利用しやすいです。
(大手企業勤務、28歳女性)
●ゆっくり、確実に力をつけられる ビジネスマナーやパソコンスキルの基礎など、おどろくほど丁寧な研修があり、不器用な私でも仕事に慣れることができました。
案件ごとに、社内の誰かしらが成功体験やノウハウを持っているため、大きな失敗がありません。困ったことがあっても、チームや上司がリカバーしてくれるので、安心してはたらけます。 自分のペースで確実に成長できる大手の環境は、心地良いです。
(大手企業勤務、25歳男性)
●プライベートを充実させるために 大好きなアニメを扱うベンチャー企業に内定しましたが、大企業の保険会社に入社しました。
趣味を楽しむために、生活基盤を安定させたいと思ったからです。実際、かなりの時間やお金をオタ活に使えています。
男女ともに定年まで勤める人が多いので、仮にずっと独身でも老後の心配がありません。将来をイメージしやすいのも良いところだと思います。
(大手企業勤務、27歳女性)
反対に、ベンチャー企業では......。
●大手企業でしか、できない仕事がある 大企業よりもベンチャー企業のほうが、チャレンジできる仕事が多いと思って選びました。
社内はどんどん挑戦させてくれましたが、「有名企業としか仕事をしない」取引先も多いんです。クオリティが高くても、ベンチャーというだけで見向きもされません。信頼までに時間もかかります。
そのあいだ、有名企業の友人たちは大きな案件を成し遂げており、ベンチャーの限界を感じました。
また、プライベートで社名を名乗っても「何の企業? 大丈夫なの?」と心配され、結婚を反対されたこともありました(笑)。
社会的な信用がないのは、精神的にキツかったです。 いまは大企業に転職して、やりたかった仕事ができています。
(ベンチャー企業→大手企業勤務、32歳男性)
2.ベンチャー企業の良いところ
■そもそも「ベンチャー企業」の定義とは?
明確な定義は設けられていないものの、「独自のアイディアをもとに、新しいサービスやビジネスを展開する企業」として認識されることが多いようです。
「設立から5年以内など、若い会社であること」「短期間で急成長していること」なども、ベンチャー企業の定義として重要な要素です。中小または零細企業であることが多いですが、企業規模は定義に関係しません。
ベンチャー企業のなかでも、まったく新しいビジネスモデルを展開する企業は、「スタートアップ」と呼ばれています。
■ベンチャー企業ではたらくメリット
・実力主義で、風通しがいい。 ・ひとりひとりの裁量権が大きく、さまざまな仕事に挑戦できる。 ・短期間で成長でき、即戦力となれる。 ・強い情熱があり、クリエイティブな視点を持った人が多く、日々刺激を受ける。 ・社会の歯車ではなく替えの効かない個人として、企業を自らの手で「育てる」実感を持てる。 ・ルールや定義、常識に縛られず、柔軟なはたらきかたをしやすい。 ・仕事のスピードが速く、新しい考えをどんどん取り入れる。 ・社内のコミュニケーションがとりやすい。 ・転勤や異動がない場合が多く、配属希望が叶いやすい。
具体的には、以下のようなエピソードが上がりました。
●バリバリ成長できる 社員全体の年齢が若く、アクティブでクリエイティブな人が多いので、新しいことをどんどん吸収できます。
年功序列ではなく、完全な実力主義なので、がんばった分だけ給与や待遇が良くなるんです。実際、同世代ではなかなかない役職と年収だと感じます。
さまざまな仕事をひとりで担当することも多いので、短期間で、ジェネラリスト/スペシャリストどちらとしても大きく成長できると感じます。
また、大企業では「企業の実績」になってしまうことも、「個人の実績」になるんです。他社から好条件のヘッドハンティングを受けることもよくあります。
(ベンチャー企業勤務、29歳男性)
●代わりの効かない個人として、ひとつの時代を築き上げる ベンチャー企業の、スタートアップ時からのメンバーです。私は自由人なので、ふつうの企業に勤めるのは難しいと思っていました。
ベンチャーは1から作り上げるので、会社を自分の理想に近づけることができるんです。時代の流れやニーズに合わせて、変化することもたやすいです。
社会に新しい価値や定義を提供したり、業界の救世主となったり、ベンチャーならではの感動体験ややりがいがあると思います。
また、自分の仕事が業績に直結するので、会社を育てている実感を得られます。社会の歯車ではなく、代わりの効かない人間としてはたらけるので楽しいです。
(ベンチャー企業勤務、28歳男性)
反対に、大手企業では......。
●仕事とは関係ない、社内ルールに縛られる 新卒で大手に入ったものの、企業体制が古く、効率的に仕事ができないことが悩みでした。
報告書は手書き、エクセルでの計算禁止、若手女子がお茶汲みするなど謎ルールもありました。
しかも、従わないと「できない奴」扱いされるんです。社内政治や人間関係に気を遣わねばならないのもストレスでした。
配属希望が通りづらく、やりたい仕事ができないのもつらかったです。全国規模の転勤もあったので、思いきって、ベンチャー企業に転職しました。
いまの勤務先では、仕事で成果を出すことだけに注力すれば良いんです。新しいアイディアや体制へのハードルも低く、必要があれば柔軟に採用してもらえます。
無駄な会議を繰り返さずとも、社内ですぐにコミュニケーションが取れるので、仕事のスピードも速いです。ストレスフリーにはたらけるようになり、転職して本当に良かったと思っています。
(大手企業→ベンチャー企業勤務、35歳男性)
●「ぬるま湯」のような環境の弊害 私はもともと起業を志しており、準備期間のつもりで大企業に入社しました。
そこは給与・待遇がとてもよく、ゆるくはたらく同僚や上司に影響されて、いつしか起業準備を後回しにするようになったんです。資格や語学の勉強もやめて、つい遊んでしまいました。
現在、起業して成功している人を見るたびに、心が痛みます。挑戦すればいいのに、年齢が上がるほど失敗が恐くなりました。居心地の良い環境を捨てる勇気が出ないんです。
ベンチャーに入った起業志望の知人たちは、短期間でノウハウを学んだのち、起業しています。
「独立してやりたいことがある人」は、大手よりもベンチャーのほうが向いているかもしれません。
(大手企業勤務、32歳男性)
3.「大手企業VSベンチャー企業」 重視すべきポイント
それぞれ、良いところ・悪いところがあることは分かりましたが、実際迷ったときにはどう判断すれば良いのでしょうか。
大手企業/ベンチャー企業を共に経験した先輩から、「ここは重視すべき!」というポイントを教えていただきました。
●大手企業に向いている人、ベンチャー企業に向いている人 大企業では「1を100にする仕事」、ベンチャー企業では「0を1にする仕事」が多いです。どちらに魅力を感じるか、あるいは得意か、を考えると軸が決まると思います。
また、主体性が強い人はベンチャー向きだと思います。意思や自我、思い込みが強く、他人に流されない人です。
ベンチャーでは、逆境が多いです。「うまくいくわけない」と非難されたり、「どこではたらいているの?」と心配されたり、上司や同僚に頼れなかったり、給与や待遇に不安を感じたりするかもしれません。
それでも、自分を疑わず行動し続けられるなら、適正があると思います。
(大手企業→ベンチャー企業勤務、35歳男性)
●新卒で入るべきは...... 新卒で大手、次にベンチャー、現在は別の大手企業に勤めており、それぞれ人事も担当しました。 この経験から、私は大半の人は新卒では大手企業に入るほうがいいと思っています。
ベンチャーでは、社会人としての基本的なマナーやスキルを学べないことがあるからです。能力は高いのに、「あの人とは仕事がしづらい」と敬遠されるケースがしばしばありました。
また、はたらくことに慣れないうちは、さまざまな面で会社が守ってくれる大企業は安心です。
ただ、同期間での成長率はベンチャーのほうが断然高いと思うので、やりたいことや将来のビジョンが明確に決まっている人は、ベンチャーを選ぶのもいいと思います。
個人的には、まず大企業で基礎スキルを学び、その後ベンチャーに転職すると、いいところ取りで成長できると思います。
(大手企業→ベンチャー企業→大手企業勤務、30歳女性)
●避けるべき企業の特徴 人材系企業でさまざまな人のキャリア相談に乗った経験と、私自身複数回転職したことから、避けたほうがいい企業の傾向をお伝えします。
まず、大手企業では「その会社のルールや理念、風土が自分に合うか」が大事です。自分が会社に合わせるしかないので、大きなストレスになります。
客観的に「いい」企業でも、相入れないなら直感を信じましょう。自分の能力を最大限発揮できないのは、もったいないです。
そして、ベンチャー企業では、「天才集団」や「ワンマン経営」の会社は避けた方がいいです。
成功しているベンチャーには、ビジネスの天才も多く、魅力的です。しかし、天才には再現性がありません。自分も天才でないかぎり、挫折感を味わうことになります。
ワンマン経営は、トップの好き嫌いで厚遇・冷遇され、方針も変わりがち。仕事による成長よりも、「ご機嫌うかがい」に時間を割くハメになります。
ゆえに、ベンチャーでは再現性のあるノウハウがあるか、上層部が毛色の違う複数人で構成され、客観的な評価や会社運営が行われているかをチェックすると良いでしょう。
(大手企業→ベンチャー企業3社勤務、32歳男性)
「大手企業VSベンチャー企業」、先輩たちのエピソードは、参考になったでしょうか?
入社2〜3年目の待遇のみならず、将来的にどのようなキャリアを築きたいかを考えることも重要です。
会社ごとのちがいもあるので、きちんと企業分析をおこない、ほんとうに納得できる就職先を選びましょう!
【日系大手や外資系などの内定者多数】 先輩内定者と選考対策を完璧に仕上げませんか? es添削、模擬面接、GDの練習などなど、選考ノウハウを持った内定者があなたの就活をサポートします。 ▼詳しくはこちら