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合格者が教える! 公務員の試験の内容と傾向・対策

すべての公務員試験に共通する秘訣!

合格者が教える! 公務員の試験の内容と傾向・対策

すべての公務員試験試験に共通する秘訣!

公務員になるために、必ず合格しなければならないのが、公務員試験。しかし、その出題範囲は膨大で、日本最難関試験のひとつともいわれています。

では、実際公務員試験に受かった人たちは、どんな対策をしていたのでしょうか? 本記事では、合格者の声をもとに、公務員試験の基本情報をさらいながら、対策をお伝えします。

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1.試験の概要

国家・地方公務員ともに一次・二次試験があります。

■一次試験 5〜6時間ほどの筆記テスト。「基礎能力/教養試験」と、「専門試験」を両方受けます。

●基礎能力/教養試験 高校で勉強する内容+αの、総合的な知識を測るテストです。 選択肢から正解を選ぶマークシート式で、短い時間でたくさんの問題を解かねばなりません。

以下のように、出題範囲がかなり広いテストです。

●専門試験 職種ごとにテストの内容がかなりちがい、仕事に必要な知識が問われます。

たとえば、労働基準監督官なら、労働法・労働事情・工学などの分野から出題されます。

マークシート式がほとんどですが、記述式の問題が出される試験もあります。

▶︎科目ごとの試験対策は、「5.科目ごとの攻略法」でお伝えします。

■二次試験 一次試験の合格者だけが受けられます。 個別面接がメインで、人柄を見られます。職種によっては、身体検査・集団面接・論作文がおこなわれます。

<職種ごとの試験概要> 省庁勤務の国家公務員(総合職・一般職)、都道府県庁勤務の地方公務員(総合職・一般職)、市役所職員の試験を、モデルケースに見てみましょう。 それぞれ、こんな感じの試験内容になります。

まとめ ・公務員試験には、筆記中心の一次試験・面接中心の二次試験がある。 ・筆記試験はマークシート式が多く、短時間でたくさんの問題を解く必要がある。 ・職種ごとに試験の内容がちがうため、志望する仕事の試験概要をきちんと理解しておこう。

合格者のひとことアドバイス

「一次試験は、併願すると良いですよ。1つしか受けないと、落ちてしまったら無職になってしまうので......。併願する試験は、試験日が重ならないもので、勉強する科目がなるべく似ているものを選ぶと良いと思います。7つくらい受ける人もいますが、2〜5受ける人が多いです」

「短い勉強時間で公務員を目指したいなら、市役所を第一志望にするのはアリです。専門試験がないところが狙い目です。そのぶん、採用人数は少なめです」

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2.採用までの流れ

2〜3月ごろ ■受験案内の公開 試験申し込み期間の2ヶ月前から、人事院や地方自治体のホームページで、受験案内がダウンロードできます。試験日程や受付期間、申し込み方法が書かれているので、よく確認しましょう。

4〜5月ごろ ■出願 ・受付期間になったら、採用ホームページに事前登録します。 ・受験票発行期間になったら、受験票をダウンロードしましょう。ダウンロード期間は10日ほどしかないので要注意です。

5〜6月ごろ ■一次試験 ・写真を貼った受験票を必ず持っていきましょう。

6〜7月ごろ ■省庁説明会(国家公務員総合・一般職のみ) ・国家公務員試験の一次合格者には、省庁合同の説明会が開かれます。 参加は自由ですが、面接で志望理由を聞かれることも多いため、できるだけ出席しましょう。

7〜8月ごろ ■二次試験 ・地方自治体では、個別面接を複数回おこなうため三次試験を実施しているところもあります。

8月ごろ ■最終合格発表 ・合格者数は、内定辞退する人を見込んで決められています。レアケースですが、内定を辞退する人が少なければ、合格しても本採用されない可能性も。成績順で採用されるため、なるべく良い成績で合格しましょう。

8〜9月ごろ ■官庁訪問(国家公務員総合職・一般職のみ) 国家公務員は、試験合格後に配属を決めるための面接があります。 合格者は、志望する省庁を訪れ、面接を受けます。配属先の併願はできますが、省庁ごとに採用人数は限られているため、成績が良い者から順に採用されていきます。

まとめ ・試験の多くは初春〜夏にかけておこなわれる。毎年日程が変わるので、各採用ホームページの「受験案内」を読んで、試験の概要を把握しよう。 ・成績順に採用されるため、希望の職種に就くためには、なるべく高成績で合格しよう。

合格者のひとことアドバイス

「併願のスケジュール調整に必要なので、確実に受けない試験以外は、すべての受験案内を入手するのがおすすめです」

「受験票はオンラインで取りましょう。ネットが使えない場合は、郵送や持参で申請ができますが、受付期間は5日ほどとかなり短くなります。受験票が発行できないなんてことにならないように、ネットで申請するのが良いと思います」

3.受験資格

■学歴 院卒者・大学卒業程度・高卒者などが条件として書いてありますが、多くの試験は、学歴資格を満たさなくても、受験できます。

たとえば、国家公務員総合職の大学卒業程度試験は、大学を卒業していなくても受けられます。

学歴資格は、実質的には試験の難易度を表すものです。大学卒業程度なら、大学で習うレベルの知識や学力が必要という意味合いになります。

ただ、地方公務員など、一部の試験では学歴資格が必要なため、注意です。

■年齢制限 公務員の多くの職種は、17〜29歳を対象に採用をおこなっています。

一部の職種では、社会人採用もしており、その場合は39歳まで受けることができます。こちらは、民間企業や公務員、国際機関などで、数年にわたってはたらいたことがある人が対象です。新卒なら20代のうちに、転職なら30代のうちに受験しましょう。

■その他 ・国家公務員は、日本国籍を持っていることが受験資格です。また、日本国籍以外の外国籍を持っている場合、外交官などの外務にかかわる公務員にはなれません。 ・警察官、消防官、刑務官などの仕事では、身体制限があります。そこまで厳しくはないですが、身長、体重、視力などの条件があります。

まとめ ・受験資格の学歴は、あくまで参考程度のものが多い。 ・年齢制限は厳しい。公務員は、多くの職種が17〜29歳を対象としている。社会人採用では、39歳までを募集している。

合格者のひとことアドバイス

「採用は、完全に大学名に関係なく、試験の点数で決まります。面接でも、大学名で待遇が変わることはなかったです。試験対策をすればするほど、合格しやすくなりますよ」

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4.合格者の試験対策スケジュール

範囲が広いため、1年〜1年半は勉強期間にあてましょう。 たとえば、総合職で省庁勤務を目指すなら、例年4月下旬に試験があるので、前年の1月ごろから対策を始めます。

合格者(国家公務員総合職)の試験対策スケジュールを紹介します。

まとめ ・ひとつの分野を突き詰めるのではなく、バランスの良い学習計画を立て、まんべんなく学ぼう。 ・「出題されやすい」「配点が高い」「苦手な」科目から取り掛かるのが良い。

合格者のひとことアドバイス

「出題範囲が広いため、対策を開始するのは、受験年の試験内容が書かれた受験案内が出てからでは遅すぎます。過去問の傾向をもとに、目星をつけて勉強しましょう」

5.科目ごとの攻略法

■基礎能力試験・教養試験

<知識分野対策> ●数学 数Ⅰまでの範囲が出題されます。二次関数、関数のグラフ、二次方程式、不等式、因数分解はおさえておきましょう。平面図形も定番で、三平方の定理はかなりの頻度で出ています。

●物理 力学に関する計算問題がよく出ます。落下速度、加速度、摩擦、運動量保存の法則、ドップラー効果の方式は覚えておきましょう。 波動、光の性質、エネルギー、電気の性質に関連する用語を問うものも多く見られます。

●化学 物質の構造・性質・状態に関する問題はかなりの頻度で出題されます。オゾン層や大気汚染など、環境問題にかかわる出題も増えています。

●生物 人体の仕組み、遺伝や進化、植物の光合成からの出題が多いです。グラフや図表から判断する問題もあり、生物の基礎知識をもとに正しい値を読み取る力が必要です。

●地学 大気・海洋・気象などの自然現象にまつわる問いです。専門用語を正しく理解できているかが問われます。地震や地層学に関する出題が増えています。

●文学・芸術 文学では、『源氏物語』『徒然草』からの問題がよく出ます。芸術は、美術・演劇・建築・音楽など手広く問われます。作者と作品の正しい組み合わせを問われることが多いので、国内外の有名作品は概要だけでも知っておきましょう。

●歴史 こまかな出来事よりも、流れを把握しましょう。同じ時代に、ちがう地域で何が起きていたかを理解しておくのが大切です。特に、東西の交流に関する問題はよく出ます。 日本史は江戸時代以降がメインです。東洋史では唐以降の中国史がよく出題されます。西洋史は、大航海時代・宗教改革・市民革命・第二次世界大戦のできごとを整理しておくと良いでしょう。

●地理 地形・農産物・気候・領土・資源・民族にまつわる問題ですが、全体での出題比率は少なくなっています。日本の輸出入や生産高、名産物は覚えておきましょう。また、統計資料を読んで、あてはまる国を選ぶ問題が多いです。各国の地理関係や特産については簡単に知っておくべきです。

●政治 憲法にまつわる問いが多く、特に基本的人権に関するものは、問われる可能性がとても高いです。国会・内閣・裁判所の仕組みも、きちんと理解しておきましょう。専門的な知識が必要な難問も多いため、どうしてもわからないものは飛ばす勇気が必要です。

●経済 専門的な難しい問題も出題されるうえ、出題数が多いため合否を左右します。本腰を入れた対策が必要です。ミクロ・マクロ経済がメインです。計算問題も解けるようにしておきましょう。経済事情に関する時事問題も要チェックです。日本や主要国の経済情勢、貿易などに関する出題があります。

●社会学 有名な社会学者の名前、学説名、キーワード、概要にまつわる問題がよく出題されます。正しい組み合わせが選べるようにしましょう。詳細までつっこんだ内容はあまり出ません。

●思想 西洋思想・東洋思想ともに出題されます。西洋思想はなぜかニッチな問題もよく出ます。対策が難しく、配点も大きくないため、どうしてもわからない問題はとばしましょう。有名な思想家、思想、キーワードの組み合わせは押さえておくと良いです。

<知能分野対策>

●現代文 問題数が多いため、確実に得点したい分野です。

200〜500文字ほどの文章を読みます。順番を正しく並びかえたり、空欄になっている単語を補充したり、全体の主旨を選択するという問題がほとんどです。文や問いはそこまで難しくないので、文章を読む速度を上げる訓練をしておきましょう。

●英文 200〜500字ほどの英文を読みます。正しい要約を選ぶ問題がメインで、英単語は初歩的なものが多いです。わからない単語があっても、全体を読めば解けます。

●判断整理 学校で学ばない、特殊なパズル問題です。条件や情報テキストを元に正しい答えを推測します。位置や順序を特定させる問題が特に多いです。自分で図表を作って、情報を整理するとわかりやすくなります。

●数的推理 数字にまつわる推理パズルです。二次関数、方程式、不等式、確率を使って、パーセンテージや値の大きいものを選択する問題などが出題されます。

数学を使いますが、初歩的な知識があれば簡単に解けます。

●資料解釈 表やグラフを見て、答えを出す問題です。表やグラフを正しく読むことに加え、そこからさらに計算などが必要なものが多いです。読みちがいがなければ解ける問題が大半なので、必要な値をマークすると良いでしょう。

■専門試験

職種によって、専門試験は大きくちがいます。まずは、自分の受ける専門試験の内容をきちんと把握しておきましょう。

政治・法律・経済は、多くの試験で出題されます。基礎能力・教養試験の科目でもあるので、優先的に学ぶのがおすすめです。

出題傾向として、奇をてらったニッチな問題よりも、基礎知識を正しく理解していれば解ける問題が多いです。また、時事に絡んだ出題もよくあるため、ニュースを見て目星をつけておきましょう。

●記述式問題 テキストの空欄を埋める問題と、用語の意味や具体例を説明させる問題があります。

空欄部分を埋める問題は、地方公務員の試験に多く、漢字も正確でないと得点になりません。

用語説明は、きちんとした日本語で、伝わるように書くことが最低条件です。

文字数の制限はありませんが、詩的な表現や、個人の感想は求められません。正しい知識と情報に基づいた、論理的な答えがもっとも評価されます。

■二次試験対策

●論文・作文 論作文は年々重視されており、配点が大きいです。ほかの志望者と差をつけるため、きちんと対策しましょう。

制限時間は60〜90分で、1000〜1200文字ほどを書きます。

テーマは、職種に関連する社会問題や、仕事に就いたら実現したいことなど、自分の考えを問われるものが多いです。

評価ポイントは、以下をチェック。 ・誤字、脱字がないか。 ・考えがはっきりしており、論理的か。 ・字数が適切か(9割以上埋めるのが理想で、8割以下は減点されることもあります)。 ・起承転結がある、きちんとした構成になっているか。 過去のテーマを使って、実際に書くことで対策しましょう。

●個別面接 ほとんどすべての職種で実施されます。面接官は3~5名で、15~30分ほど話を聞かれます。

不真面目な印象を持たれないように、身だしなみはきちんと整えていきましょう。

定番の質問は、志望動機、長所や短所、サークルや研究など大学の活動です。社会問題についての自分の考えを問われることもあります。

信頼できる人柄であることを証明することが一番大切です。回答の斬新さよりも、矛盾がないか、はきはきと明るく話せるか、論理に伝えられるかのほうが重視されます。

●集団面接 受験者3~8名に対し、面接官は3~4名のことが多いです。聞かれることは個人面接と同じですが受験生が複数いるため、より簡潔な回答が求められます。他者の意見を踏まえたうえで、どのように話せるかなどのコミュニケーション能力を見られています。

変に目立とうとするよりも、他人の話をきちんと聞けることを示したほうが有効です。

●集団討論 社会問題などの解決方法について討議します。5~10名の受験者でひとつのグループになることが多いです。社会性、リーダーシップ、キャラクター、コミュニケーション能力などが見られます。

問題への知識や関心の高さ、集団行動ができる協調性を示しましょう。

まとめ ・基礎能力試験・教養試験では、幅広い分野から出題される。特に、経済は出題数が多いうえに専門的な内容まで問われるので、対策が必要。 ・専門試験は、時事に絡んだ出題が多い。ニュースを見て目星をつけよう。 ・人物試験は、目立つよりも信頼できる人柄であることを印象付けよう。ありふれた回答でも、きちんと受け答えができれば問題ない。

合格者のひとことアドバイス

「独学に限界を感じたら、予備校もおすすめです。周りは民間企業志望者が多いので、仲間を見つけて、情報交換ができるのも良いところです! 苦手科目だけ、面接対策だけなど、対策しづらい科目だけ通っている受験生も多かったです」

「模擬試験は絶対に受けるべきです。いろいろな予備校が実施しているので、最低2回は受けましょう。予備校生じゃなくても、試験は受けられます。試験の形式に慣れることで、解ける速度が上がります」

以上、公務員試験の傾向と対策について、紹介しました。

参照: ・北里敏明監修、コンデックス情報研究所編著、『21年版 公務員をめざす人の本』、成美堂出版、2019年 ・人事院ホームページ、2020年 ・内閣官房ホームページ、2020年 ・総務省ホームページ、2020年

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