
学生時代に頑張ったこと(ガクチカ)がない人が陥る落とし穴
就職活動のESや面接で必ずといっていいほど聞かれるのが「学生時代に頑張ったことは何ですか?」という問い。いわゆる“ガクチカ”と呼ばれるこの質問に対して、「何も思い当たらない」「自信を持って語れるエピソードがない」と悩む就活生は少なくありません。
しかし、「ガクチカが書けない・話せない」と感じる背景には、いくつかの共通した思い込みや情報の錯覚が存在しています。ここでは、就活生が陥りやすい3つの代表的な“落とし穴”を紹介します。
落とし穴①|「すごい成果」がないといけないという思い込み
ガクチカと聞くと、「全国大会に出場した」「起業経験がある」「有名企業で長期インターンをしていた」など、目立つ成果を想像しがちです。その結果、自分の経験が見劣りするように感じ、「自分には語れることがない」と思い込んでしまうのです。
でも、企業が本当に見ているのは“実績”ではありません。
大切なのは、その経験の中で「どんな課題にどう向き合ったか」「どんな工夫をしたか」「何を学んだか」といった“プロセス”です。地味な経験であっても、自分なりに工夫や努力を積み重ねていれば、それは十分に評価対象になります。
落とし穴②|他人の経験と比べてしまう
就活が本格化すると、SNSや就活サイトを通じて他人のガクチカを目にする機会が増えます。「体育会の主将」「学生団体でイベントを主導」「起業して数百万円を売り上げた」など、インパクトのあるエピソードが飛び交い、自分の経験とのギャップに落ち込んでしまうこともあるでしょう。
けれど、就活は「誰が一番すごい経験をしているか」を競う場ではありません。
企業が知りたいのは、“他人と比べて優れているか”ではなく、あなたという人物がどんな価値観を持ち、どのように困難に向き合う人なのかです。
落とし穴③|「何もしてこなかった」=ガクチカはないという決めつけ
「大学生活で大きなことを成し遂げていない」「何かに全力で取り組んだ記憶がない」と感じる人も多いかもしれません。けれど、それは本当に“何もしていなかった”のでしょうか?
例えば次のような経験は、見方を変えれば立派なガクチカになります。
・飲食店のバイトを2年以上続け、後輩指導にも取り組んだ
・毎朝決まった時間に起きて、生活リズムを崩さず単位を落とさなかった
・家計の事情で週5日のアルバイトをこなしつつ、ゼミ発表にもしっかり取り組んだ
・友人に勉強を教え続けた結果、チューターのような立場になっていた
つまり、「特別なことをしていない」と感じていても、“工夫”や“継続”があれば、それは十分に語れるガクチカの種になりうるのです。
自信がないのは、“ない”からではなく、“気づいていない”だけ
「自分にはガクチカがない」と悩む人の多くは、経験がないのではなく、その経験を価値あるものとして認識できていないだけです。
まずは、あなた自身がどんなことに時間を使い、どんな場面で困難を乗り越えてきたかに目を向けてみてください。
ガクチカの“原石”は、日常の中に必ずあります。
次章では、その「ガクチカがない」という感覚がなぜ幻想なのか、
そして、どんな“普通の経験”が実際にガクチカとして評価されるのかを、具体的なケースとともに解説していきます。
「学生時代に頑張ったこと(ガクチカ)がない」のは幻想である
「学生時代に頑張ったことが本当に思いつかない…」
就活のタイミングで多くの学生が口にする悩みですが、その多くは“幻想”です。実際には、「ない」のではなく、「気づいていない」「言語化できていない」だけ。
つまり、経験そのものではなく、視点や振り返り方が問題なのです。
「すごくない=頑張っていない」ではない
ガクチカは「すごさコンテスト」ではありません。
企業が知りたいのは、“どれだけ頑張ったか”ではなく、“どう頑張ったか”です。
たとえば、以下のような一見“地味”なエピソードも、視点を変えればガクチカになります。
アルバイトを継続した経験
「飲食店でのアルバイトを2年間継続。接客やレジ打ちだけでなく、後輩への指導や、忙しい時間帯のオペレーション効率化にも取り組んだ」
→ 継続力、改善意識、リーダーシップが見える。
家事や生活習慣の工夫
「一人暮らしの中で自炊を継続。最初は時間がかかっていたが、予算管理や調理の効率を見直すことで、週の計画を立てながら実行できるように」
→自己管理力、PDCAの意識が伝わる。
特定の趣味や日課の継続
「毎朝ニュースアプリで経済情報をチェック。内容を要約してSNSで発信し、就活時に業界研究やES作成に役立った」
→ 情報感度、継続力、インプットとアウトプットの姿勢が見える。
“普通”を“特別”に変えるのは、あなたの解釈と構造化力
同じ経験でも、ただ「バイトをしていました」と言うのか、「なぜ続けたか」「どう工夫したか」「何を得たか」まで語れるかによって、評価は大きく変わります。
実際、面接官がよく言うのは「すごい経験より、考え抜かれた“地味な経験”の方が記憶に残る」という言葉です。
経験は“量”より“質”。語り方で印象は変えられる
ガクチカがないと感じる人の中には、「色々なことに手を出したけれど、どれも中途半端だった」と悩むケースもあります。
でも、たとえ短期間の経験でも、
・どういう動機で始めたか
・どんな壁にぶつかってどう乗り越えたか
・自分なりにどう工夫・改善したか
・そこから得たものをどう今に活かしているか
といった「ストーリー」を持たせることで、立派なガクチカになります。
【実例】“ガクチカがない”と思い込んでいた学生の変化
ある就活生は、「私は本当に何もやってこなかった」と言っていましたが、話を聞くと、以下のような経験がありました:
・家計の事情で大学2年から週5日アルバイト
・通学中は常にスマホでラジオ英語を聞いていた
・ゼミでは発表係にはならず、影で資料を補完し続けていた
このような経験を一緒に言語化し、「なぜ継続したのか」「何を工夫したか」を構造的に整理したところ、ESも面接もスムーズに通過できたとのこと。
ガクチカがないのではなく、“見えていなかった”だけだったのです。
まとめ:あなたの過去には、必ず“語れる何か”がある
どんなに普通に見える大学生活でも、その中には“自分なりに頑張ってきたこと”が必ずあります。
ガクチカの本質は「実績」ではなく「過程」と「成長」。
「自分にはガクチカがない」と決めつける前に、まずは自分の過去に向き合ってみましょう。
次章では、企業が「学生時代に頑張ったこと」をどう評価しているのか、どんな視点で見ているのかを詳しく解説していきます。
学生時代頑張ったこと(ガクチカ)の企業の評価ポイント
「ガクチカでどんなことを書けば評価されるのか分からない」
そう悩む就活生は多くいます。
でも、企業がガクチカに求めているのは、意外とシンプルなことです。
それは、“学生時代の成果”ではなく、“入社後にどう働く人か”を見極めるための材料です。
つまり、ガクチカは「あなたの人となり」と「将来の行動特性」を見抜くための問いなのです。
企業がガクチカから見ている4つのポイント
以下の4点は、多くの企業が選考時に重視する共通の評価軸です。
① 主体性:自ら動ける人か?
なぜその活動を始めたのか?
誰かに言われたからではなく、自分で動いたか?
例)「バイトの改善点を自ら店長に提案し、導入された」など
② 課題解決力:壁にぶつかったときにどうするか?
何がうまくいかなかったか?
どのように考えて行動を変えたか?
例)「文化祭実行委員として、チームのモチベーションが下がった際に働きかけた」など
③ 継続力:コツコツ取り組める人か?
どれくらいの期間続けたのか?
辛い時期や結果が出ない時期も乗り越えたか?
例)「2年間、毎週のゼミ発表を欠かさず担当した」など
④ チーム貢献:他人とどう関わる人か?
チームの中でどんな役割だったか?
周囲との関係性をどう築いたか?
例)「目立たないけれど裏方としてチームを支えた」など
評価されるのは「結果」より「過程」+「再現性」
ガクチカで評価されるのは、単なる“結果”ではなく、そこに至るまでの「プロセス」と、そこから得た「学びや成長」、そしてそれを入社後にも再現できそうかという視点です。
例:AさんとBさんの比較
・Aさん:「アルバイトで売上前年比120%を達成しました」
・Bさん:「売上が伸び悩む中、曜日ごとの客層に応じてPOPを変える提案をし、売上を回復させました」
→ 数字だけを見るとAさんが勝っているように見えますが、行動・課題設定・工夫・結果の流れが明確なBさんのほうが、“入社後の行動が想像しやすい”という点で評価されることが多いです。
面接官は「その人が働く姿」を想像している
面接官は、ガクチカを通じて次のような問いを自分に投げかけています。
・入社したらこの人はどんな行動をとるだろう?
・困難に直面したとき、どうやって乗り越えるタイプだろう?
・うちの組織でうまくやっていけそうか?
つまり、「この人と一緒に働けるか?」という感覚に近いのです。
その判断材料が、あなたのガクチカなのです。
まとめ:評価されるのは「あなたがどう行動したか」
企業が重視するのは、あなたが“すごいことをしたかどうか”ではなく、“その経験の中でどんな思考や行動をしたか”“どんな力を見せてくれたか”です。
そのためには、ただ経験を語るのではなく、「どの力を伝えたいのか」を意識して選び、構造的に伝えることが大切です。
次章では、「じゃあ実際にどうやってガクチカを見つけたらいいの?」という疑問に答えるため、経験の棚卸し方・見つけ方を具体的なステップで解説していきます。
学生時代に頑張ったこと(ガクチカ)の見つけ方
「ガクチカがない」と感じる最大の理由は、“語れることがない”のではなく、“語り方がわからない”から。
言い換えれば、“経験”そのものより、“経験にどう意味づけるか”がガクチカの鍵です。
この章では、経験を「ガクチカとして語れる形」に変えていく方法を、3ステップでご紹介します。
STEP1|これまで取り組んできたことをすべて洗い出す
まずは「頑張ったかどうか」は気にせず、これまでの大学生活で継続的に関わってきたこと・時間を使ってきたことを箇条書きで書き出してみましょう。
例:
・飲食店でのアルバイト(2年間)
・サークルの運営(会計担当)
・資格取得の勉強(FP・TOEIC)
・家事や弟の送り迎え(家庭の事情で)
・ゲームやブログを毎日継続
・漫画アプリでのレビュー投稿を半年間
「バイトだけ」「授業だけ」という人でも、日常に目を向ければ必ずヒントはあります。
特別な経験でなくても構いません。まずは棚卸しをしてみましょう。
STEP2|困ったこと・工夫したことを思い出す
次に、その取り組みの中で「大変だったこと」「上手くいかなかったこと」「自分なりに改善・工夫したこと」がなかったかを掘り下げてみてください。
例:
・バイト中、クレーム対応に苦労し、自作マニュアルを作って共有した
・サークル活動がマンネリ化していたため、企画の投票制を導入
・家事と通学の両立が大変だったが、朝5時起きを習慣化して乗り切った
・ただの趣味だったブログを、毎週更新しフォロワーを500人まで増やした
ガクチカは、「自分なりに困難をどう乗り越えたか」「何を工夫したか」の物語です。
ここが語れると、たとえ成果が小さくても魅力的になります。
STEP3|得られた学び・自分の強みを言語化する
最後に、「その経験を通じて得られたこと」「今後に活かしたいこと」を言語化してみましょう。
例:
・人の立場を考えて対応する力がついた
・小さな変化でも、続ければ周囲を巻き込めると気づいた
・効率よりも“やり切る力”が自分には向いていると感じた
・継続することで、情報発信の面白さや反応の分析が好きになった
この「自分なりの学び」こそが、あなたの“らしさ”として企業に届きます。
【テンプレ】見つけ方のワークシート
下記のテンプレートを使って、あなた自身のガクチカ候補を見つけてみましょう。

このワークを複数の経験で繰り返すことで、自分の中にある「語れることの種」が浮かび上がってきます。
まとめ:「ガクチカは“探す”のではなく、“育てる”もの」
ガクチカは、“完成された成功談”である必要はありません。
日常の中で自分が自然に向き合ってきたことに目を向け、それをどう捉え、どう工夫してきたかを構造的に語ることで、企業に伝わるエピソードになります。
まずは、過去を“意味のある経験”として見つめ直すことから始めましょう。
次章では、「大学入学前の経験って書いていいの?」という疑問にお答えしながら、どこまでを“ガクチカ”として使えるのかを整理していきます。
学生時代に頑張ったこと(ガクチカ)は大学入学前のことでも良い?
「大学生活では特に頑張ったことが思い浮かばない。でも、高校時代なら語れることがある」
こんな悩みを持つ就活生も少なくありません。
果たして、ガクチカに高校時代のエピソードを使っても問題ないのでしょうか?
結論から言うと、「原則は大学以降。ただし、条件付きでOK」です。
企業の多くは「大学時代の経験」を前提にしていますが、伝え方次第では大学以前の経験でも十分に評価されることがあります。
なぜ“大学以降”が基本なのか?
理由はシンプルで、「大学生活=社会人に近い環境での行動」と捉えられるからです。
・高校までは“やらされる”環境が多い(部活や受験など)
・大学では“自分で選んで行動する”自由度が増す
・社会人と同様に「自律的な判断・行動」が求められる
そのため、企業は「自分で考え、動いた経験」を知りたいと考えており、大学時代の経験が望ましいとされています。
とはいえ、高校以前でも使えるケースとは?
以下のような場合、大学以前の経験もガクチカとして使えます。
自分の意志で取り組み、思考と行動のプロセスがある
例)「高校時代に留学を決断し、自ら情報収集から準備までを行った」
→ 周囲に与えられた活動ではなく、自発的に動いたことが伝わる
今の自分の価値観・行動に影響している
例)「高校時代に陸上部の主将として取り組んだ経験が、今の挑戦する姿勢に繋がっている」
→ 単なる過去の思い出ではなく、“現在に繋がっている”ことが大事
他の就活生と差別化できる独自の経験
例)「家業を手伝いながら高校を卒業した」「東南アジアでのボランティア経験」
→ 特徴的な背景や困難な環境を乗り越えた話は、印象に残りやすい
「大学時代の経験が薄い」なら、過去と現在をつなげよう
高校時代の経験しか思いつかない場合も、現在の行動との接続を意識することで、説得力のあるガクチカになります。
例:高校での生徒会活動をガクチカに使う場合
✕ 単に「頑張りました」で終わると、昔話でしかない
◯ 高校での経験をきっかけに、大学では○○の活動にも関心を持ち、□□のような選択をした
→ 高校の経験が、現在の価値観や行動の起点になっていれば、十分使えます
NG例:評価されにくいケース
・「高校の部活でがんばった。でもそれっきり」
・「生徒会に入っていた。特に印象的なことはない」
・「受験を頑張った。それで大学に受かった」
→ これらは“単なる結果報告”であり、思考・工夫・学びのプロセスが伝わらないため評価されにくいです。
まとめ:高校時代の経験も「活かし方次第」で立派なガクチカになる
大学以前の経験があっても、それが自分の成長や価値観にどう繋がっているかを語れれば、十分に魅力的なガクチカになります。
大切なのは、「その経験が、今の自分にどう影響しているか」を具体的に語ることです。
次章では、ガクチカをより説得力あるものにするための「論理的な構成」と「伝え方の型」をご紹介していきます。
「論理的に」学生時代頑張ったことを伝える
ガクチカを聞かれて、いざ自分の経験を話し始めたものの…
「なんとなく伝わっていない気がする」
「途中で自分でも何が言いたいのかわからなくなった」
「面接官の反応が薄かった」
そんな経験はありませんか?
実は、ガクチカが伝わらない原因の多くは、「中身」より「構成」にあります。
どんなに良い経験でも、伝え方がバラバラでは魅力が伝わりません。
ここでは、誰でも使える「論理的に伝える型(フレームワーク)」と、説得力を高めるコツを紹介します。
就活で使える王道フレーム「STAR法」とは?
ガクチカの構成で最も定番かつ効果的なのが、「STAR法」と呼ばれるフレームです。
STARとは以下の頭文字をとったものです。

この順序で語ることで、一貫性と納得感のあるガクチカが完成します。
【例】「飲食バイトでの改善提案」をSTAR法で整理

このようにフレームに沿って語ることで、聞き手も理解しやすく、印象に残りやすくなります。
伝えるときの注意点と補足テクニック
■ 抽象的な言葉を避け、具体性を持たせる
NG例:「頑張りました」「やりがいを感じました」
OK例:「毎日閉店後に30分残って改善案を記録しました」
→ “誰が見てもイメージできる表現”を意識しましょう。
■ 数字や変化を入れると説得力アップ
「月間のクレーム件数が半分に減った」
「フォロワー数が3ヶ月で100→500人に増えた」
→ 数字は“成果の見える化”として非常に効果的です。
■ 「結果」だけでなく「学び」まで語る
面接官が知りたいのは、“何が起きたか”より、“そこから何を得たか”。
自己理解と成長の視点が加わると、ぐっと評価が高まります。
ワーク|あなたの経験をSTARで整理してみよう

このシートに沿って整理するだけで、ガクチカの骨格が完成します。
まとめ:ガクチカは“話の中身”より“話し方”で差がつく
優れたガクチカは、実績や派手さではなく、“筋の通ったストーリー”に支えられています。
論理的に伝えることで、あなたの経験は相手の心に届き、選考で差をつけられる武器になります。
次章では、いよいよ実践編。
“普通の経験”をどうガクチカとして魅力的に書き上げるのか、実際のES例文とともに解説していきます。
普通の経験を魅力的な「学生時代頑張ったこと」に変えたES例文
「特別な経験がないから、ESに書けることがない…」
これは、多くの就活生が感じる“ガクチカの壁”です。
でも、実際の選考で通過しているESの多くは、“ごく普通”の経験を題材にしています。
違いは、経験そのものではなく、語り方=構造と解釈の深さにあります。
この章では、「よくある学生経験」が、どのように構造的に整理され、魅力的なESに仕上がっているのか、3つの実例をもとに解説します。
【例文①】コンビニバイトでの工夫経験(王道パターン)
ES本文例:
大学1年から2年間、コンビニエンスストアでのアルバイトに取り組みました。
業務の中で、特に夕方のレジ混雑が慢性的な課題となっており、お客様からのクレームも増えていました。
私は新人ながら、自らタイムスタンプ付きの混雑状況を1週間記録し、混雑時間帯のレジ人員配置を見直す提案を店長に行いました。
その結果、ピーク時の待機時間が約30%削減され、クレーム数も減少。
この経験から、現場を観察し、仮説を立てて実行に移す力を身につけました。
解説:
・「バイト」は王道テーマだが、課題発見→提案→改善→成果→学びまで一貫している
・定量的な変化(30%削減)と学びの言語化により、説得力がある
【例文②】ゼミの裏方役としての貢献(地味な役割も活きるパターン)
ES本文例:
大学のゼミ活動では、表立って発表をするよりも、主に資料作成や議事録作成などの裏方業務を担っていました。
メンバーが議論に集中できるよう、文献整理や論点整理を毎週のミーティング前に共有する工夫を続けた結果、ゼミ全体の議論の質が向上し、担当教授からも「情報の解像度が高くなった」と評価されました。
人前に立たずとも、チームの成果に貢献する視点と継続力を得ました。
解説:
・「地味な役割」でも、組織への貢献性と工夫の視点を強調すれば高評価
・自己主張が強くない人にもフィットしやすいガクチカパターン
【例文③】趣味の情報発信活動(個人活動を活かすパターン)
ES本文例:
大学2年から、自分の趣味であるカフェ巡りについて、SNSで情報発信を始めました。
ただ写真を投稿するだけでなく、「同じエリア内での比較」や「学生向けコスパ」などのテーマを設けたことで、フォロワーが半年で約500人に増加。
情報収集・表現・ユーザー分析の面白さに気づき、今では月に1回はトレンド分析と振り返りを行っています。
小さなことでも、継続と改善で価値あるコンテンツにできると実感しました。
解説:
・趣味や個人活動でも、“工夫”“継続”“成果”の3点を押さえれば十分ガクチカになる
・自分の個性や志望業界への親和性も伝えやすい(例:マーケティング職志望)
ES例文を使う際の注意点
・文章をマネするのではなく、“構成の流れ”を参考にする
・自分の経験に置き換え、数字・固有名詞・行動内容はできるだけ具体的に
・志望職種に近い要素をアピールできると、より説得力アップ
まとめ:“普通”の中にこそ、ガクチカの本質がある
ESに必要なのは「珍しい経験」ではなく、「自分なりに考え、行動し、成長した」事実。
そのプロセスを構造的に語ることで、どんな経験も“ガクチカ”に変えることができます。
次章では、ガクチカを書くときにありがちな失敗や注意点について、具体例を交えながら解説します。
学生時代頑張ったこと(ガクチカ)を書く際の注意事項
これまでの章では、「ガクチカの見つけ方」「伝え方」「構成」「例文」などを紹介してきました。
ここでは、それらを踏まえたうえで、実際にガクチカを書くときに注意すべきポイントをお伝えします。
意識していないと陥りがちな“ありがちなNGパターン”を理解することで、完成度の高いガクチカに仕上げましょう。
NG①:抽象的すぎる表現を使ってしまう
例:
「全力で取り組みました」
「やりがいを感じました」
「大変だったけど頑張りました」
これらは一見前向きな表現ですが、具体性に欠けていて、他の人と差がつきません。
改善:
「毎日閉店後に30分間、課題をメモして改善案をまとめた」
「○○件のクレームが△件に減少したことで、働きやすさが向上した」
→ 数字・エピソード・行動内容で“誰でもイメージできる状態”を目指しましょう。
NG②:「頑張ったこと=結果」になっている
例:
「TOEICで800点を取りました」
「文化祭の責任者を務めました」
これだけでは、「何をどう頑張ったのか」がわかりません。
改善:
「TOEICの点数が伸び悩んだ際、自己分析して勉強法を変えた」
「文化祭の準備が難航した中で、◯人のメンバーをまとめて進行を管理した」
→ 結果の“背景”にある工夫・葛藤・成長を描くことで、読み手の共感を得られます。
NG③:「他人の言葉」を借りてしまう
ネットや書籍から引用した表現・例文を丸写しすると、表面だけは整っていても、面接で深掘りされたときに詰まってしまいます。
ガクチカは“あなた自身のストーリー”。借り物の言葉ではなく、自分の実感や行動を素直に表現することが一番の近道です。
NG④:面接で話せないことを書く
「カッコよく見せたい」という気持ちから、やってもいない経験を盛る人がいます。
しかし、面接で突っ込まれたときに本質が語れないと、かえって信頼を失います。
→「実際に自分が行動したこと」だけを書くようにしましょう。
NG⑤:学びや気づきが曖昧
例:
「チームワークの大切さを学びました」
→ よくある表現ですが、どんな場面で?どんなきっかけで?が語られなければ薄っぺらく感じられてしまいます。
改善:
「チーム全体の士気が下がっていた時期に、雑談ミーティングを提案した結果、目標達成率が上がった。この経験を通じて“チームの雰囲気を整えることの重要性”に気づいた。」
まとめ:避けるべきは“内容”ではなく“伝え方”
実は、ガクチカで失敗する最大の理由は「特別な経験がないこと」ではなく、
・表現が抽象的すぎる
・結果だけを語ってしまう
・学びが浅く見える
といった、“伝え方の問題”です。
自分の経験を冷静に振り返り、「誰が見ても伝わる形」でまとめるだけで、
“普通”の経験が、企業の心に届く“強み”になります。
やっぱりないと思う人は学生時代頑張ったこと(ガクチカ)を作る!
ここまで読み進めても、「それでも本当にガクチカがない」と感じている方もいるかもしれません。
でも、大丈夫です。“今から作る”という選択肢も、立派な戦略です。
就活は長距離走です。今日から行動を変えることで、1ヶ月後には自信を持って語れるガクチカを手に入れることも可能です。
なぜ“これから作る”のが有効なのか?
企業がガクチカで見ているのは、「すごい成果」ではなく、
・物事にどう向き合うか
・課題にどう対処するか
・自分で考えて動いたか
・学びをどう活かそうとしているか
といった“思考と行動のプロセス”です。
つまり、過去にこだわる必要はなく、「いま始めた挑戦」でも評価され得るということです。
今からでも始められる「ガクチカ候補」のアクション例

重要なのは、“小さな挑戦でも継続と工夫を積み重ねる”こと。
行動履歴と工夫の過程が残れば、それはあなたにとっての唯一無二のガクチカになります。
今日からできる3ステップ
・「何か1つ、気になること」を決める(例:語学・発信・職場での課題)
・期間と頻度を設定する(例:1ヶ月間、週3回取り組む)
・行動記録を残す(メモ・ノート・SNSなど)
この3つを押さえるだけで、後から“語れる素材”がどんどん育っていきます。
面接で「最近始めたんですけど…」はOK?
まったく問題ありません。むしろ、「過去に語れることが少なかったので、就活をきっかけに新しい挑戦を始めました」という姿勢は、自ら変化しようとする力の証明になります。
実際、企業の人事担当者も「過去」より「未来志向」の学生を高く評価する傾向があります。
まとめ|“ない”は可能性のはじまり
ここまで読み進めていただき、ありがとうございます。
「学生時代に頑張ったことがない」と感じる人こそ、実は伸びしろにあふれています。
なぜなら、“自分と向き合い、言葉にしよう”と悩んでいる時点で、すでに思考が始まっているからです。
最後に、あなたに伝えたい8つのヒント
・「ない」と感じるのは、見つけ方を知らないだけ
・特別な経験ではなく、“日常の積み重ね”が武器になる
・企業は“成果”より“思考と工夫”を見ている
・伝え方には“型”がある。まずはSTAR法で整理しよう
・普通の経験でも、視点を変えれば魅力になる
・失敗しがちな“NGパターン”に注意しよう
・「これから作る」という選択肢も正解
・“過去”に縛られず、“今”と“未来”を語れる人が強い
ガクチカは、自己PRの材料であると同時に、あなた自身が“何者なのか”を言語化する旅でもあります。
焦らず、自分のペースで、少しずつ“語れる自分”を育てていきましょう。
応援しています!!