教員からIT企業へと志望を変えた
―教員から企業就職へと志望を変えられたと伺っていますが、それはどんな理由からだったのでしょうか?
時川:いろいろな理由があるのですが、自分に一番影響を与えたのは、特別支援学校や社会福祉施設での実習経験。その経験を通じて、教育に対する考え方が大きく変化し、最終的には企業就職という決断をするに至りました。
そもそもの話をすると、自分はそれまで「教育=学校で黒板の前で勉強を教えること」だと考えていました。その考えの元で、教員という職業が自分には合っているなと思ったし、憧れていたんです。
両親が学校の教員ということもあって、「自分も学校の教員になるんだろうな」という気持ちもありましたし、大学進学のときも、教員以外の選択肢はほとんど考えていませんでした。
ー大学生活の中で、教員以外の選択肢は考えましたか?
時川:周りの友人の影響や、先輩からの助言もあって、3年の6月に短期インターンのエントリーをはじめました。
今思うと非常に浅はかでしたが、「すぐ学校の教員になるより社会で1回活躍してから学校の先生になったほうがカッコいいかも」ぐらいの気持ちがあって。(笑)
「先生はむかし広告代理店でバリバリやってたんだよ」「先生はマーケティングの仕事をしてたんだよ」って言うの、他の先生とは違って、なんかカッコよくね?なんて。
もちろん、その時には明確な志望業界や企業は全くなくて。中学生の職業体験みたいに、こんな企業に行ってみたいな、エントリーして受かればいいなくらいの気持ち。
将来学校の教員になりたいとは思っていましたが、大学卒業後にすぐに教員になるのか、一度就職をするのか、なぜ就職をするのかという部分も曖昧なままでした。
しかし、先ほどお話をした、特別支援学校と社会福祉施設での実習が、そういった曖昧な気持ちを変えるきっかけになりました。
そこでの経験が、教育=学校の教員だけではないんだと感じて「教育」を捉え直し、教員以外の選択肢についても深く考えるきっかけとなったんです。
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実習を通して、教育を捉え直した
―具体的にはどのような経験をされ、どのような変化があったのでしょうか?
時川:簡単に言うと「教育=学校で勉強を教えるだけではない」、ということを強く実感したことです。
「教育」に携わるといっても、いろいろな関わり方があるんだなと感じ、その他の選択肢についても深く考えるようになりました。
その実習では、知的障害を持つ子どもたちの支援を行いました。
自分が今まで憧れていたのは、学校で大学受験を控えた生徒に、私が大好きな数学を教えるという「教育」でした。
だから、この実習を受けるまで、ハンディキャップを背負った子たちを支援する「教育」は全くのスコープ外で。
でも、この実習での経験は、本当に楽しかったんです。
自分は数学を教えることも好きだけど、それだけじゃなくて、「頑張っている人や困っている人など、"人に対してなにかをgiveできる"」ということが、根本的に好きなんだなということに気付いた経験でした。
この経験は自分の中ですごく大きなターニングポイントになりました。
自分が「学校の先生っていいな」と思っていたのは、自分が知っている限られた職業の中で、教師という仕事を一番魅力的に感じていたんだなと。
ただ、支援学校での実習を通して、自分が本当に好きなのは「人になにかをgiveすること」で、それは、教職以外の職業にも当てはまることがわかったんです。
だから、就職活動でもっと色んな職業を見てみたいなとも感じましたし、もっと広い視点で「人になにかをgiveできる職業とは」ということを探すきっかけにもなりました。
学校の教員が嫌になったとかでは全くなくて、学校の教員以上にやりたいことが見つかったという感覚でしたね。
教員ではなく、ITベンチャーへ
---それで、本格的に企業就活に舵を切ったわけですね。 具体的に、今の内定先を選んだ理由などはあるのでしょうか?
時川:一番大きな軸としては、社会福祉施設での実習経験を経て「人材」や「雇用」の分野に関心を持ったことでしょうか。
社会福祉施設での実習を通して、社会福祉に携わる方は、凄く大変な仕事を行なっている。それも、お世辞にも環境が良いとは言えず、やりがいはありながらも、辛い気持ちで働いている方が多いんだと言うことを強く実感しました。
色々な考えや事情がありますから、あくまでも私の主観でしかありませんが、「福祉って、絶対世の中で必要な仕事なのに、それを一部の心優しい人達に押し付けているんじゃないか」っていう感覚を覚えて。
それで、雇用・人材の構造に関心を持ち始めて。
また、「そもそもの構造を変える」とか、「雇用を生み出す」っていうのは、学校現場や社会福祉施設の現場から、大きく変革することは難しいんじゃないかと。
そういった構造を大きく変えようと思うと、民間企業のビジネスのほうが大きい影響を与えられるんじゃないかと考えたことも、学校の教員というキャリアから、民間のキャリアを選んだ一つのきっかけでもあります。
---そして、人材系のベンチャー企業に入社を決められたと。業界の中でもその会社を選んだ理由はあるんですか?
時川:少し感覚的にはなってしまいますが、自分のファーストキャリアとして「1番頑張れる会社」「頑張れることで、価値を出せる会社」だと感じた部分が決め手になりました。
会社のミッション、働く仲間、働く環境が自分に合っていそうだと。自分が理想を追うことを受けて入れてくれて、自分も熱意をもって愚直に取り組める、そう感じたからです。
様々な会社を見て、インターンなどで実際に経験をしましたが、その感覚を一番持つことができたのが今の内定先です。
ただ内定を頂いたあとにも、本当に自分はこの選択肢でいいのかというのは、その後の教育実習に参加する中でも、つねに自問自答していました。
教員にならなきゃとか、内定先に行かなくちゃという義務感で考えるのでなくて、本当に自分は行った先で価値を発揮できるのかとか、自分が本当は何をやりたいのかを考える。
そうやって自問自答した末にも「この会社で働きたい」と思える会社なんだなと思います。
教育に関心のある就活生に向けて
―ありがとうございました。最後に、難しい質問ですが、時川さんの考える教育とはなんでしょうか?
時川:うーん、難しいですが、「人と人が関わる」というのを一番広く捉えたのが教育なのかなと私は考えていて。
人と人の関わりの中では、どちらかが必ず得るものがあるわけで。それを狭義的に見たものが、学校で勉強を教えるということなのかなと。
そんな中で、自分はより広義の教育により惹かれたのかなと。必ずしも自分自身を表現するものが、学校現場とか、教育事業とか、教育コンテンツとかではないのかなと就活を通じて感じました。
例えば後輩の就活支援とか、同じチームの仲間にフィードバックするとか、そういうのも教育なんだと。それは、周りの仲間・働く環境を踏まえてのことです。
―人と人が関わることが教育。就活中に自分の教育観についてじっくりと考えた時川さんだからこそ言える言葉ですね。では、そのような教育観を踏まえて、内定先ではどのようにご活躍されていきたいかなどはありますか?
時川:部下・上司・同僚・取引先の人々、なんならオフィスの掃除をしてくださる人。関わる人すべての人に対して、なにかプラスになることを返せたらいいなと思いますね。
―ありがとうございます。 では最後に、教育に関心のある学生、または教員か企業就職かで悩んでいる学生に向けてアドバイスがあればお願いします。
時川:自分の意思決定に納得できるようにすることが大切だと思います。 結論は企業でも、学校の教員でも、どちらが正解とかはないと思っていて。
それよりも「なんとなく就活しよう」とか「なんとなく学校の教員」って考えてきたから先生になろうとかではなく、なんでこうしたいんだろうっていうことを考えることが大切だと思います。
なぜなら、その上で意思決定をしないと、結局教員になっても企業に行っても、最大限努力をすることができないと思うから。
なんで先生になりたいんだろう、学校の先生になって何を生徒に伝えたいんだろうとか。 そういったことを、改めて1度言語化してみると良いと思います。
自分の場合は、とりあえず社会に出てから教職に就こうと考えていたんですけど、じゃあ社会に出るってなんだろう、そもそも会社に入るとほんとに社会を知れるのか、なぜ教員は社会にいったん出たほうが良いと自分は思っているんだろうなどの観点に対してじっくり考えました。
また、そのためにインターン先の企業の人やOB・OGなど、いろんな人と話をしたり、経験を言語化したりすることが大事だと思います。
自分はこの経験を言語化したり、なんで自分はこういうキャリアを積もうと思っているのかについて考える期間を持てたことが、就活をしてよかった点ですね。
だから、現在就活をしている人、これから就活を迎える大学生は、なぜ自分はこのキャリアに憧れを抱いているのか、なぜこの進路を目指しているのかということや、自分の過去の経験はどんなものなのか、一度時間を作って言語化してみると良いと思います。
―自分の不安や思い、そして今までの経験を言語化してみるということが大切ということですね。 本日はありがとうございました。
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