某メガバンクのエース行員が語る、ホンネとは?
安定・高収入のイメージが強く、就職ランキングでも高い順位を誇るメガバンク。
就活生の皆さんにも「メガバンクを受けよう」と思っている方は多いのではないでしょうか?
そこでメガバンクの現役行員5年目の福嶋(仮)さんにお話を伺いました。
4年半働いた経験から、メガバンクの仕事の魅力や、メガバンクにマッチする人としない人の志向性,職場への不満まで、ホンネで語る福嶋さん。
メガバンクを就職先として考えている、就活生のみなさん必見の内容です。
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メガバンクで働くと、「経営」への知見は深められる
---ではまず、今までの経歴と現在のお仕事内容について教えてください。
福嶋:僕はこの銀行に入って5年目。
入社して3年間は法人営業を勤め、現在はプロジェクトファイナンスの業務を行っています。
正直に言って、会社にはこの上ない待遇を与えてもらっていると感じます。
だから配属については、とても満足していますね
---「プロジェクトファイナンス」とは具体的にどういった事業なのでしょうか?
福嶋:プロジェクトファイナンスとは、海外の資源開発やエネルギー、大規模な設備投資に資金を貸し出すこと。
例えば、石油をどこかで掘るとき、銀行は事業会社に数十億の資金を、数十年スパンで貸し出します。
ただ、一つの銀行だけで、莫大な資金を融資するのは、規模・リスク的に厳しい。
そのため複数の銀行が、共同で融資するケースが多いです。
その複数の銀行を束ねる役割を果たすアレンジャーになると、数十億円の内1%が手数料となり、大きな収益を上げられる。
金利が低い中、銀行の収益源としてプロジェクトファイナンスの重要性は高まっています。
そこで私は、プロジェクトファイナンスの既存案件の管理や契約書類の作成を担当しています。
---具体的には、どんな業務をされているのですか?
福嶋:法務、財務、税務といったあらゆる知識を使い書類を作成します。
契約書の雛形は弁護士や法務部門の方と相談しながら作成します。
ですが、それを理解して読み取るスキルは担当に求められる。
そして、あらゆるリスクを考えて契約書の内容に抜けはないか検討します。
幅広い知識が求められるため、非常に難易度が高く大きな責任も伴う仕事ですね。
---今までキャリアを積まれてきた中で、銀行の業務にはどのような魅力がありましたか?
福嶋:銀行で働くことの魅力はやはり、様々な企業を知りながら、経営に関する知見を深められること。
法人営業では、色んな業界、業種の企業のお客様に対して、経営課題の特定や経営者様のニーズに合わせた融資のご提案等を行いました。
それゆえ、ファイナンス面だけでなく、経営そのものへの理解が深められましたし。
今の部署では、プロジェクトファイナンスという側面から事業会社の経営のサポートに関われている。
私は大学時代に経営学を学んでいて、経営の知見を深めたいと思っていました。
なので、その意味では銀行を選んだのは正しかったですね。
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一方で、仕事に対する大きな不満や不安もある
---一方で、よくメガバンクはノルマなどが厳しく退職率が高いと言われますよね。そういった社内環境に関してはどう思われますか?
福嶋:私が法人営業をしていた経験から言うと、ノルマは世間一般のイメージほど厳しくはないです。
もちろん数字を背負わされるプレッシャーはあります。
ですが、ノルマを達成できないからと言って、激しく怒られたり詰められたりすることはないです。
もちろんパワハラもありませんよ(笑)。
---では、数字や成果に対するプレッシャーで退職する人は少ないと。
福島:でも実際、やめる人はいますね。おおよそ30人いたら5人以上は退職しているイメージですかね。
その背景にあるのは、厳しいノルマではなく、大企業では共通ともいえる仕事への不満があると思います。
僕自身も、配属自体には満足しています。ですが、仕事の進め方、社内の環境についての不満・危惧はありますね。
---不満とは具体的にどういったものなのでしょう?
福嶋:大きいのは案件組成のスピードの遅さ。
中小企業の法人営業をしていると地銀と競合することが多かったです。
彼らはそれが本業であるため必死であり、条件とスピードは我々よりも勝っていると感じました。
銀はトップダウンで決断ができている。
一方で、メガバンクは大きな組織ですし、一つの決裁を取るには最低3人以上の承認が必要になります。
リスクをとることと慎重であることはトレードオフの関係なので、単純にスピードの違いが良い悪いということではない。
ですが、案件組成のスピードが遅く、上司とのやり取り、社内の事務手続きも多い。
それ故感覚的ではありますが、世間的に通用する知識よりも組織の中での立ち振る舞い等に重点が置かれてしまい、成長スピードは遅いと感じていますね。
---こういったスピードの遅さは、銀行だけでなく大企業で働く人は、よく仰いますね。
福嶋:それに、自分で仕事をしている実感を得にくいこともあります。
例えば、メガバンクの新卒の多くは営業に配属されます。
僕は幸い中小企業専門の法人営業だったので、直接中小企業のお客様を持ち、事業戦略の立案や融資のご提案を経験できました。
しかし、中堅・大企業の部署に配属されると、自分一人でお客様を持てないことも良く耳にします。
---顧客の規模や融資額も大きいから、若手が大企業案件を直接持つことは滅多にないんですね。
福嶋:実際に、僕の同期にも大企業向けの法人営業に配属された人がいました。
彼は営業部所属なのに、内向けの顧客管理を延々とやっていたそうです。
実際にクライアント様と関わる機会はほとんどなく、毎日同じ作業の繰り返し。成長実感はほとんどなかったみたいで。
入行して2、3年でやめる人の多くはノルマが厳しいのではなく、仕事への不満があるからやめる。
だからやりがいを求めて銀行を辞め、ベンチャー企業などに転職する人は結構多いですね。
それに、こういう環境だからこそ、このまま働いても「使えない人材になるのでは?」。
そんな不安、焦りは大きいです。
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「使えない人材になる」と語る福嶋さんの真意とは?
---「使えない人材になる」とは...?会社の中で、実力がついて行かないということでしょうか?
福嶋:いえいえ。人材としての「世間的な価値」は下がり続ける危険性があるという意味です。
決して銀行に限らず、大企業であれば同じと思いますが、若手に裁量のある仕事は託されません。
加えて、社内の事務手続きや上司の顔色を伺うことに業務の大半を費やすことも多い。
そういった環境では安易に目の前の仕事を作業として完了させてしまう。
それ故、まったく実力が身につかない危険性もあるわけです。
その結果、他の会社、業界では通用しない人材が生まれている。
もちろん日々自己研鑽に励む人であれば、どの時代でもどこの会社でも通用すると思いますが。
---それを感じた、具体的な経験はございますか?
福嶋:例えば、僕が法人営業2年目の頃の話です。
法人営業を始めて、まだ1年くらいの僕の方が、10年目のベテランよりも営業成績がいいことがありました。
そのベテランの方は自己研鑽を怠り、無為にキャリアを過ごしてしまったのだと思います。
結果、実力が身につかず、若手に追い抜かれる。とは言っても、年功序列ですので給料は先輩の方が圧倒的に高いですが。笑
やはり裁量権が少なく成長スピードが遅い大企業では、目の前の仕事を作業として捉えてしまう。
それ故、人材価値を高められないケースが多いんです。
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メガバンクに向いている人、向いてない人の志向性とは?
---今までのお話を聞いて受けた印象だと、早いスピードで成長したいとか人材になりたい。そんな志向性の方は、銀行ひいては大企業に向いていないのかもしれませんね。
福嶋:個人の能力を高めたいとか、将来的に起業や独立など「何かを自分の手でやりたい」とか。
明確なビジョンがあって、自分の人材価値を高めたい、若いうちから裁量権を持って働きたい。
そういった「独立性を持っている人」には、メガバンクという環境は成長のスピードが遅く物足りないでしょうね。
---では逆に、メガバンクはどんな志向性を持つ人にマッチしているのでしょうか?
福嶋:安定した環境で働きたいとか、一つの会社で働き続けたい、組織の中で成果を挙げ出世をしたい、そういった志向性が強い方にとってメガバンクはこの上ない環境です。
成長のスピードは遅いかもしれませんが、仕事を通じて、多種多様な業界のビジネスモデルを知り、世の中を見渡す俯瞰的な視点を持てる。
その意味では、メガバンクはとても魅力的な環境だと思いますよ。
---では、最後に就活生に向けたメッセージをお願い致します。
福嶋:ただ安定志向で大企業に入ったけれども、仕事のスピードに満足できないとか、本当は安定志向なのに、周囲に引っ張られてベンチャー企業に入って苦しい思いをする。
こういうケースってあり得ると思います。
働く上での志向性は人それぞれなので、周囲に惑わされず自分の志向性とマッチしている会社を探してください。
---今メガバンクを就職先として考えている、なんとなくメガバンクを受けようとしている。そんな就活生の方は、一度自分の志向性は何なのか、安定志向なのかそれとも成長志向なのか、を振り返った方がいいかもしれませんね。
本日はありがとうございました。
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