面接官の役職で個人面接の評価視点は変わる
そろそろESやGDが落ち着き、個人面接が活発化する時期でしょう。
そこで、現役人事コンサルタントの坂本さん(仮名)に「個人面接」について伺いました。
「個人面接の基礎情報」や「面接官の役職による評価視点の違い」についてお伝えします。
「個人面接の評価視点がわからない...」「個人面接でどんな対策をすべきかわからない」そんな就職活動中の皆さん必見です。
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個人面接を行う企業の「意図」とは?
坂本:個人面接の評価視点についてお話しする前に、まず個人面接を行う企業側の意図についてお伝えします。
集団面接は、短い時間で多くの集団をさばき、足切りとしての意味合いが強いです。
一方で集団面接と違い個人面接とは、様々な役職の人が就活生の持つ素質を審査し、自社にマッチングしているかを判断する場です。
個人面接では一対一で多くの質問を行い、「その就活生がどういった人間のタイプなのか?」「どんな資質を持っているのか?」といった内面的要素をじっくり見極めます。
この内面的要素を踏まえ、減点評価・加点評価の両軸で、就活生をジャッジしていきます。
志望動機や学生時代頑張ったことなど質問の受け答えに対する対策が非常に重要となります。
基本的には以下のフローで、個人面接は進行します。
【個人面接フロー】 個人面接フロー① 人事面接 個人面接フロー② 現場社員面接 個人面接フロー③ 現場マネージャー面接 個人面接フロー④ 役員面接
分かりやすく言うと、人事面接が1次、現場社員面接が2次、現場マネージャー面接が3次面接、役員面接が最終面接というイメージを持ち対策しましょう。
役職別の個人面接評価視点と注意点
坂本:それでは、個人面接のフロー・担当面接官の役職による評価視点の違いに触れていきます。
もちろん前提として、「学生時代頑張ったこと」や「自己PR」「志望動機」など、基本的な質問への対応は、個人面接のどの段階でも重要です。
つまり「この学生は企業側が求める人物像に近しい資質を持っているか?」「この企業への志望度は高いのか?」この視点はどの面接官も基本的に持っています。
ですが面接官の役職によって、学生を評価する視点に違いが生まれる。
企業が求める人物像や志望動機の論理的整合性を踏まえ、役職の高低による評価視点の違いを知り、十分な対策をして面接に臨むことが重要です。
そこで今回は、各役職によって生まれる面接官の視点の違い、そして個人面接全般における注意点をお伝えします。
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個人面接①:「人事」面接における評価視点
坂本:人事が行う個人面接の主な評価視点は、「就活生が自社の雰囲気にマッチしているかどうか」。
例えば、新卒のキャリアが営業で始まる会社は、どれだけ優秀でも人見知りな就活生は、自社で働くイメージを持たれません。
自社にマッチしているかを判断するためには、人事は「自己PR」や「学生時代頑張ったこと」等、基本的な質問を聞く。
質問に対する応答から受けた印象や情報を元に、人事は就活生のパーソナリティを判断します。
例えば、断定の言い回しが多いから自信家タイプと判断する。
一方で、遠回しな言い回しが多いと遠慮がちなタイプと思われます。
こういった会話から感じた就活生の印象を踏まえ、「就活生が、自社に合うか合わないか」を判断するわけです。
人事が行う個人面接は、就活生の資質や志向性を深くまで把握するよりかは、質問を通じて「自社に合うか、合わないか」をざっくりとつかむためのものです。
この人事面接に臨む上で、OB訪問や合同説明会を通じ、志望企業の社風を知っておく必要がある。
具体的に言うと、社会や周囲の人に対して貢献意欲の強い人が多く働いているのか、それとも高い志を持ち、自力でビジネスプランを考え実行する自走タイプが求められるのか。
この志望企業で働く人の性質を掴むことで、自分が志望企業にマッチングしているかどうかやアピールするべき自分の行動特性が判断できます。
具体的に面接対策の方法を言うと、例えば「周囲を引っ張り実行に移す人物」を求める企業を受けるとしましょう。
だとするならば、その企業の選考対策として「自己PR」で集団をまとめ行動力を発揮したエピソードを話すなど。
自分を偽りすぎると入社後のミスマッチとなりかねませんが、志望企業に合う人材に自分を見せる対策方法も重要となります。
さらに多くの大企業では、部門単位で社員の雰囲気が異なることもあります。
希望の部署が明確に決まっている方は、選考やその後の配属に対する対策として、OB訪問などで該当部門の社員に求められる資質や社員の雰囲気を掴んでおきましょう。
人事面接においては特に、企業の社員が持つ雰囲気や特性と自分のパーソナリティを一致させることが重要と覚えてください。
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個人面接②:「現場社員」の評価視点
坂本:現場社員には、「上司部下の関係として一緒に働きたい」と思えるかという視点があります。
なぜなら仮に就活生が入社した場合、すでに現場で働いてる社員と上司部下の関係になり得るためです。
それ故、現場社員の目線で「就活生との相性の良しあし」を質問します。
そこで現場社員が欲しい情報は、その就活生が「どういった人の元でどういった環境下ならば成長できるか」ということ。
そのため、質問を通じて現場社員面接では、この情報を就活生の過去経験から掘り下げます。
就活生によって、最適な成長環境は異なります。
例えば、整っている教育環境で、FBを受けじっくり成長する方が合う人。
上司から丸投げされた仕事を自分の力で進め、反省を得る方が成長できる人。
自分のモチベーションや目標をしっかり定義して、それに沿った業務に取り組むことで成長できる人。
良しあしの問題ではなく、その人に適した成長環境は人により大きく異なります。
だからこそ、「どういった環境下でならば、モチベーションがわきますか?」という質問を投げかけることもありますね。
現場社員との個人面接に臨む上で必要な作業は、「自分の人間性を知り、どのような人や環境と相性が良いのか?」を把握すること。
事前にやるべきは、「どんな環境でどういった人と関わった時に、自分が活躍できたのか?」という観点から、自分の過去経験を分析すること。
厳しい指導を行う人の下で活躍できた人もいれば、自由にのびのびとやらせてもらえる環境で活躍できた人もいるでしょう。
現場社員との面接に臨む際は、そうした人や環境との自分自身との適性を整理するとよいでしょう。
個人面接③:「現場マネージャー」の評価視点
坂本:次は、個人面接のフロー③、現場マネージャー面接の評価視点に入ります。
ここにおける現場マネージャーとは、例えば営業部や人事部等、一事業部を束ねるマネージャーのこと。
いわゆる現場マネージャーの評価視点は二点です。
一点目は、現場マネージャーの大きな評価視点は、「この会社で活躍できるか」という視点。
細かく言い換えるならば、「その会社で必要とされる強みを本当に持っているのか」、「そして入社後成果を出せる人間になるか」といったところです。
マネージャーは会社内の複数部署でキャリアを積んでいるため、自社で働く上で必要となる資質、また活躍する人物像を感覚的に把握しています。
そのため現場マネージャーとの個人面接にて「自社で活躍する強みを持っているか?」を厳しく質問します。
必要な対策としては、応募した職種や企業が求める人物像、資質を知った上で自己PRを行う。
そして、質問への受け答えで自分が自社で活躍するイメージを相手に抱かせる必要があります。
二点目は、部署内のマネジメントの観点から「この部署で機能するか」という評価視点です。
部全体を統括する現場マネージャーは部全体の最適化を念頭に置き、面接に臨みます。
つまり、就活生が部下として機能するかという評価視点から、この部署で機能するかという視点に広がります。
マネージャーは、その部署内での配属先を決める権限や、入社後のトレーナーをつける権限を持っている。
なので、「どういった人がトレーナーならば、その就活生は働きやすいのか」という視点を持っています。
例えば「あなたの理想の上司とは?」という質問を就活生にぶつける。
またあくまで例ですが、就活生にあう人間関係のインサイトを得る目的で
「相性の悪い人にはどう接しますか?」 「苦手な人はいますか?」 「どんな人が嫌いですか?」
このような質問を行い、現場マネージャーは人間関係の相性を確認することもあります。
先ほどお伝えした現場社員との面接でも同じですが、
「自分がどういう人間のタイプで、どういう環境で活躍できたのか」「どういう人と一緒だと働きやすいか」を明確に整理することが重要です。
個人面接④フロー:役員面接の評価視点
坂本:一般的に役員面接は『最終面接』という名称で行われます。
最終面接の概要は、「内定を承諾する意思確認だけ」というイメージが強いですが、そういったケースは少ないです。
最終面接に進んだ、就活生の集団の間でも5割程度は落とされますね。
役員面接の場でも「志望動機」や「ガクチカ」な質問の深堀を行うケースは強いです。
決して役員面接は「内定の意思確認をする場」ではありません。
その上で役員面接の評価視点は、長期視点から入社後の活躍、定着がイメージできるかどうか。
なぜなら役員は豊富なマネージャー経験を積み、長年多くの社員が成長する姿を間近で見ており、中長期的な活躍イメージを判断できるためです。
入社後活躍の視点が10年スパンなのか、20年スパンかは会社により変わります。
この入社後の定着・活躍の判断には、各就活生の成長曲線の見極めが必要です。
例えば、この就活生は10年後から活躍し始める大器晩成型タイプだなとか、3年後からエース社員として活躍し始める早期熟成型タイプかどうか。
つまり、役員の個人面接では、学生の良さが覚醒するイメージが湧くか、そしてそのタイミングはいつかという視点で見ている。
それ故、役員との個人面接では各役員の個人的な経験に基づいた「中長期的な活躍ができるか?」が評価軸になります。
役員が担当する個人面接の内容は、「学生時代頑張ったこと」や自己PRで言及されている「成果」に対して、WhyとHowで深堀りを行う。
具体的に言うと、 「なぜそれに力を入れようと思ったの?」
「学生時代頑張ったことの中で、どんな苦労がありましたか?」
「その苦労をどうやって乗り越えましたか?」
「所属している組織の中で、あなたはどういった役割を果たしたのですか?」「挙げた成果の中で、あなたはどういう役割でどれほどの寄与をしたのですか?」
このやり取りを通じて、就活生が持つ資質、そして何年どこの部署でキャリアを積めば活躍できるかを、役員の経験即から確かめます。
なので、役員面接の対策は、「自己PR」や「学生時代頑張ったこと」に対する質問に準備することが必要です。
そして、いかなる深堀にも耐えられる状態にしましょう。
では個人面接において注意すべき点をお伝えします。
個人面接で注意するべきマナー
◆個人面接では、身だしなみ・言葉遣いを軽視するな 坂本:集団面接と一緒ですが、身だしなみや言葉遣い等、本当に基本的なマナーには気を使いましょう。
特に個人面接で段階を踏み、面接官の年次、年齢が上がるにつれ、マナーは非常に重要になってくる。
なぜなら会社を統率する立場の高役職者ほど「この就活生に会社の看板を背負わせても良いか?」という意識を強く持つためです。
この場合、身だしなみや言葉遣いなど基本的な部分が欠落していると「彼には会社は背負わせられない」となり得ます。
やはり会社の核たる高い役職者ほど身だしなみ、言葉遣いに日々気を使っているわけです。
役員面接や現場マネージャー面接で、身だしなみや言葉遣いで足元をすくわれる就活生って本当に多いです。
私がとある企業で人事を勤めていた時も、100人規模の学生団体で代表を務めていた、きわめて優秀な学生を役員面接に進ませました。
ですが役員面接中、口が滑り敬語が少しの間抜けてしまった。
そのミスが役員の癇に障ったみたいで、彼は選考に落ちました、
役員といった偉い人に悪い目の留まり方をすると、どんなに人事がプッシュしている優秀な学生でも落ちるわけです。
「マナー、身だしなみの重要性」は今一度、肝に銘じてほしいです。
個人面接における、逆質問の方法とは?
◆個人面接の逆質問は、面接官の役職に合わせよ 坂本:また個人面接では、基本的に逆質問の時間が就活生に与えられます。
この逆質問は、志望度をアピールするチャンスでもあり、かつ貴重な御社の一次情報を獲得するチャンスです。
そこで逆質問の対策として重要になるのは、面接官の役職に適した質問をあらかじめ持っておくこと。
例えば、「入社後のギャップ」や「現場で働く上で苦労していること」など現場社員にしか聞けないことは記憶に新しい現場社員に聞く。
マネージャーには、「部下のマネジメントを行う時に心がけていること」や、「マネージャーとしてのやりがい」、また「マネージャーになった際にどう視野が広がったのか」を伺う。
入社後のキャリア像を描くためにも、面接官の役職に合わせた質問は行うべきです。
なぜなら多くの就活生は社会人になると、現場で経験を積みマネジメント層にキャリアアップする。
そして、最終的には役員を目指すことになるでしょう。
つまり個人面接で登場する面接官、現場社員や役員などのキャリアを入社後追体験するわけです。
そのため逆質問の時間では、各役職の面接官が日ごろ行う思考や業務への姿勢、今までのキャリアなどを深堀する。
それを行い、「自分の理想のキャリアだ」と思えれば、働き方のロールモデルを発見したことになります。
逆に、個人面接の逆質問で、企業選びの軸と合わない箇所や人事と現場社員の発言の食い違い等が露呈することも。
その際には、「この会社に入社して本当にいいのか?」と、企業を見直す作業も必要になりますね。
逆質問は面接の評価をあげる、そして入社後のミスマッチを防ぐための対策として注意しましょう。
-坂本さん、ありがとうございました。
【en-courage限定公開】 先輩内定者のガクチカを見本にして書いてみよう!