新卒の面接で「志望動機」が聞かれる理由とは?
企業の人事担当者や面接官は、受験者が自社で活躍できる人材かどうかを判断するために「志望動機」を確認しています。
よく混同されがちですが、「志望度」の確認をするために「志望動機」を聞いているわけではありません。(「志望度」は、「他社の選考状況」などを聞いて確認することが多いです。)
▼POINT
皆さんは、「志望動機」をエントリーシートで書いたり、面接で答える前に、「なぜ、面接官が志望動機を聞いてくるのか」考えたことはあるでしょうか。
もし、考えたことがない方は非常に危険です。 なぜなら、質問の本質的な意図を理解し、端的に答えられることを社会人が常に相手に求めているからです。
ただ単に、エントリーシート(ES)の設問項目に「弊社への志望動機を教えてください。」とあるから、何となくソレっぽい志望動機を書いている、という状態では絶対に次の選考、ひいては内定を勝ち取ることはできません。
1-1.企業の人事担当者・面接官がチェックしている素養とは?
企業の人事担当者・面接官は「志望動機」から、受験生の様々な素養をチェックし、自社で活躍できる人材かどうかを確認しています。
例えば、以下のような項目がチェックされています。
▼地頭 文章や口頭で志望動機を述べる際、「相手がわかりやすいように話せているか」「端的に伝わるワードチョイスをしているか」などで、地頭の良さをチェックしています。
▼論理的思考力 志望動機を説明する際に、順序立てて説明できているかどうかで、論理的思考能力をチェックしています。
▼企業理念のマッチ度合い 志望動機には、少なからず受験者の「価値観」や「志向性」などが含まれているものです。そういった受験者の定性的な部分が、自社で掲げている「理念」や育まれている「社風」にマッチしているかをチェックしています。
学生の皆さんはあまり知る機会はないと思いますが、企業人事や役職者は一般社員の数百倍と言っていいほど、自社の「理念」や「社風」を理解しています。
表面上の文字面だけで、各企業の「理念」や「社風」を理解したつもりにならない方がよいです。
▼行動力 魅力的な志望動機ほど、自己分析や企業研究・業界研究はもちろんのこと、自分の魅力を魅力的に伝える努力が十分にされています。
付け焼き刃の志望動機なのか、熟練された志望動機なのかは、企業人事にはすぐバレてしまいます。
つまり、バレる=企業人事はその人の努力量や行動力を「志望動機」から見抜く力がある、ということです。
▼成長の伸び代 後述しますが、志望動機には「自分を採用するメリット」が含まれているものです。 そのメリットが、その企業にとってどれだけの利益になるのかはもちろんのこと、上記で挙げた各素養との兼ね合いから、受験者が今後どれだけ成長する余地があるのかをチェックしています。
▼コミュニケーション能力 企業人事が「志望動機」を聞く理由は、先述の通りです。この質問の意図を的確に理解し、適切な回答を端的にできるかどうか等で、受験者のコミュニケーション能力をチェックしています。
新卒の志望動機を書くステップ
志望動機を書くまでには、いくつかのステップがあります。順を追って、説明します。
2-1.自己分析を行う まず、就活の大定番、「自己分析」を行う必要があります。 これは何故かというと、「志望動機」を通して、企業の人事担当者や面接官に、「将来、自分は御社に◯◯なメリットを与えることができます。」と伝えなければいけないからです。
自己分析の方法については、以下の記事を参考にしてください。
2-2.業界研究を行う
広告業界であれば「なぜ広告業界を志望しているのか」、IT業界であれば「なぜIT業界を志望しているのか」を答えられるように準備しておかなければなりません。
その上で、業界研究は必須となります。 その業界全体が持つ課題や、その業界が持つ強み・魅力などを理解していなければ、上記のような質問に回答できないからです。
業界分析の方法については、以下の「広告代理店の業界分析記事」を参考にしてください。
2-3.企業研究を行う
各企業には、それぞれの強みや魅力があるものです。それは、「理念」の場合もあれば、「ビジネスモデル」の場合もあり、それ以外の何かの場合もあります。
「志望動機」においては、そういった企業の特徴をいかに知ることができるかが重要になります。 なぜなら、「企業独自の特徴があるからこそ、他社ではなくその企業を志望する」という理屈が通るからです。
また、知っている企業の特徴の量で、人事担当者や面接官は、受験生の努力量や行動力を評価するので、時間をかけて研究して損はしません。
企業研究の方法については、以下の記事を参考にしてください。
2-4.ベースとなる志望動機をいくつか書いてみる 上記3ステップが終われば、あとは志望動機に落とし込んでいきます。試しに何社分か書いてみて、修正を繰り返していく方法がよいでしょう。 トップ企業6社から内定をもらった京大生の志望動機の極意について、以下の記事にてまとめてありますので、こちらを参考にしてみてください。
3.面接官が絶対に採用したくない新卒の志望動機の特徴とは?
悪い志望動機には、共通した特徴があります。以下のような悪い特徴に、自分の志望動機が当てはまらないように十分に気をつけてください。
3-1.「やりたいこと」しかない 自己分析、業界研究、企業研究を重ね、一生懸命準備した志望動機でも、自分の「やりたいこと」だけしか書かれていない志望動機は、落とされる傾向にあります。
なぜなら、本記事の冒頭で述べたように、面接官は「志望動機を通して、受験者が自社で活躍できる人材かどうかを確認している」からです。
仕事というのは、「やりたいこと」だけをやれるわけではありません。「やりたいこと」だけしか書かれていない志望動機では、「やりたいこと」ができなかった場合は離職しそうだなと判断されてしまいます。
また、「受験者が自社でどのように活躍してくれるのか」がイメージしづらいため、落ちてしまう可能性が非常に高いでしょう。
3-2.「企業理念に共感した」しかない 「企業理念に共感した」こと自体は、志望動機として適切な理由と言えます。しかし、「貴社の企業理念に共感したため、貴社を志望しております。」のみでは、受験者の強みや魅力はもちろんのこと、「なぜ、共感したのか」という根拠に欠けてしまっています。
もし、「企業理念に共感した」ことを志望動機とするのであれば、以下のような形で納得感と魅力づけも行いましょう。
▼例文
【結論】 貴社の◯◯という企業理念に共感して、貴社を志望しております。
【理由】 共感した理由としては、私は大学時代に◯◯という経験を通して、◯◯が重要だと感じ、これを生涯を通して守り抜きたいと考えているからです。
【魅力づけ】 また、私は◯◯という強みがあるため、貴社の◯◯領域で貢献できると考えています。
3-3.「社会貢献したい」等、他の企業でも通用しそうな言葉しかない
あまり志望動機が思い浮かばなかったのか、当たり障りのない「社会貢献」というキーワードを使っている志望動機を散見します。
しかし、「社会貢献したいから、貴社を志望しております。」は適切な志望動機とは言えません。 なぜなら、どの企業も何かしらの形で社会貢献をしているからです。
もし、「社会貢献」というキーワードを使用するのであれば、「◯◯という環境が既にある貴社では、私が理想としているスピード感で自らを成長させ、いち早く社会貢献ができると考えています。
そのため、貴社を志望しております。」のように、その企業が独自で持っている特徴を取り上げて、それを「志望動機」とした方がよいでしょう。
4.まとめ
いかがでしたでしょうか。新卒の就活における志望動機の書き方は、明確にイメージできたでしょうか。志望動機は新卒の就活において、まさに生命線。納得のいく就活の終わりを迎えられるよう、徹底的に準備していきましょう。