小売業界の変革に取り組む、COUNTERWORKSとはどんな会社か?
―お二方、本日はよろしくお願いいたします。今回のテーマは、VCと起業家が語る、小売・流通業界の展望です。COUNTERWORKSという会社は、小売業界を変革していく企業として大きく注目されていると伺っています。まずは、どんなサービスを行っている会社なのかをお伺いできますでしょうか。
三瓶:弊社がメイン事業としているSHOPCOUNTERは、簡単に言えば、小売店と不動産をマッチングするサービスです。
例えば、普段はインターネット上での小売(Eコマース)だけをしているが、都内で3日間店舗を構えて販売をしたいと考えている企業がいるとします。同様に不動産を持っているが、今は空きテナントになっていて上手く活用できていないというオーナーも、多数いらっしゃいます。
我々のサービスは、その二者を結びつける働きをしています。それによって、小売店は短期出店という形で、低コストでを出店することができ、不動産オーナーは活用できていなかった資産を活用できる、という価値を生み出しています。
―宿を探す人と提供する人を繋ぐAirbnbや、移動手段を探す人と提供する人を繋ぐUberのような、全世界で話題になっているシェアリングサービスと同様の構造ですね。非常に面白そうな領域だと感じていますが、なぜその中でも「小売」に焦点を当てられたのでしょうか。
三瓶:サービスの原点となったのは、前職の広告企業でお客様と雑談をしていくうちに感じた課題感でした。
広告事業を行う中で、私のお客様にはEコマース事業者の方が非常に増えていました。Eコマースなら、店舗を立ち上げるコストなどが掛からず、少ない初期費用で商売を始めることができると。
そんな中、Eコマース事業を運営されている方々と話していると「一部の商品が売れない」というお話をいただくことが多かったんです。それはどんな商品かというと、単価が高い商品であったり、サイズ感がイメージしづらい商品だったり。
確かに考えてみると、量販店で新しく1000円のTシャツが販売されますと聞いた時、インターネット上でもあまり抵抗なく購入できますよね。それは、価格が安いこともありますし、普段から活用している量販店であれば、大きく期待から外れた商品が届くことはないという感覚からではないでしょうか。
しかし、例えば通勤中にニュースアプリを見ていた時に、魅力的なシャツが宣伝されているのを見たとしましょう。その紹介ページを見てみると、こんなにいい生地を使って、職人さんがこだわって作っていますということが書いてある。
欲しいなと思って小売価格を見てみると、10,000円と書いてある。そんな時にすぐに購入するかというと、なかなか買えないんじゃないかと。そうした感覚があってか、Eコマース上で高い商品が売れないことがある。
すると、その商品を販売しているお店に、ユーザーから「実物を見てみたいのですが、店舗は無いんですか」と連絡が来たりするんです。
しかし、多くのメーカーや小売店が店舗を持っているかというと、そうではありません。店舗を持つためには、思った以上のコストがかかります。皆さんの中にも、賃貸の部屋を借りた経験がある人も多いのではないでしょうか。すると、敷金礼金1ヶ月分、前家賃1ヶ月分を払って、といったコストがかかりますよね。
それが店舗の場合、例えば保証料として賃料の1年分が必要で、契約期間は10年間で途中解約には違約金が必要です、のように、莫大なコストと高いリスクが伴うことは珍しくありません。
店舗を出すことで、お客様が商品を見にきてくれて、今までは購入しなかった人も商品を買ってくれるかもしれない。商品の認知度が上がって、売上が急成長するかもしれない。
でも、そのリターンがどれくらいかもわからない中で、いきなり数百万円、数千万円を投資するというのは非常に難しいですよね。そうした観点から、小売店・メーカーにとって「店舗を出す」というのは、大きな効果が見込める一方で、大きなリスクを伴う決断でもあります。
では、数日間、数週間でもいいから数万~数十万円程度で店舗を出すことができれば、お客様に商品を見てもらうことができれば、認知度の向上や売上増が達成できるのではないか。そうした環境をサポートすることで、小売店・メーカーの活動をより活性化させることができるのではないか。
そう考えたことが、SHOPCOUNTERというサービスの立ち上げの原点でした。
ベンチャーキャピタリストと起業家が描く、小売業界の未来
―赤川さんは、ベンチャーキャピタリストという視点から見て、なぜSHOPCOUNTERというサービスに対して、あるいはCOUNTERWORKSという会社に対して投資を行おうと思ったのでしょうか?
赤川:VCの投資判断の一つの基準として、その事業が本当に成立するのか、というものがあります。
その観点から、初めて三瓶さんにお会いした2015年当時、SHOPCOUNTERは時流を捉えた不可逆的な事業と捉えました。現在日本でのBtoC
- EC化率は約5~6%、この比率は今後さらに上昇していくと言われています。
EC取引が進展する中、数百万円・数千万円の初期費用を払って実店舗から運営を始める企業は中長期的に減ってゆくと思います。
また、相当額の敷金を支払わなければいけない、解約が相当期間不可能である従来の前提はこれからの時代に合わせて変化してゆく。すると、必然的に賃貸の敷居を低くした商習慣が出来てくると考えました。
三瓶: 赤川さんが「敷居低く」とおっしゃられた通り、まさにオフラインでの販売をより敷居の低いものにして、メーカーや小売店が柔軟に販売活動や宣伝活動を行える環境を作りたいんです。
これまでの小売業界は「オンライン領域での発展」が中心でした。
音楽に例えて考えてみると、ひと昔前であれば、バンドを作り新曲を作ったとして、その曲をどうやって多くの人に知ってもらうかと考えた時に、取れる手段は「お金を貯めてCDを作って、レコード会社に出す」ことでした。これは言い換えれば、先ほどの不動産の例のように、膨大な初期コストがかかる構造になっているわけです。
しかし現在の音楽産業であれば、新しい曲を作って、いきなりCDを作るぞ、という人はほとんどいないのではないでしょうか。現在多くの人は、まずはその音楽をYouTubeにアップロードするでしょう。そしてTwitterなどで拡散をして、そこでコンテンツが受け入れられれば、インターネットを通じてファンが広がっていく。
インターネットというインフラを活用することで、大きな初期コストを払わずとも、ユーザーとの接点を広げられる仕組みになっているのです。小売業界でも、オンライン領域では同じ発展が起きています。
何か商品を作って多くの人に知ってもらい買って欲しいと考えた際、昔は、人通りの多い場所に店舗を出したり、百貨店に商品を取り扱ってもらう、小売店に取り扱ってもらうという手段が主でした。
しかし今では、誰でも無料でECサイトを作れるような仕組みが存在します。ECサイトを作って、TwitterやInstagramなどを活用して多くの人に知ってもらうことで、ユーザーとの接点を作ることができる。こんな風に、どの業界においても、インターネットさえあればコストをかけずに消費者と繋がれる時代になっていますし、これからもその動きは加速していくでしょう。
一方で、オフラインの領域においてはいかがでしょうか。先ほどお話ししたように、高いコストを支払って店舗を出したり、百貨店を回ってお願いをしたり、オフラインでの流通や販売を行うことには非常に大きなコストがかかります。オンライン面のように少ないコストでハードル低く商品を販売するという方法がアップデートされていないんです。
しかし、それができれば、多くのメーカーや小売店にとって、店舗販売というのはオンラインと同様に気軽に活用できる流通チャネルになる。そうした環境を作り小売・流通の活動を活性化させるため、低コストで小売業者と不動産をつなげるSHOPCOUNTERというサービスを、より良いものへと進化させていきたいと考えています。
赤川:そして、三瓶さんからお伺いをした話ですが、これから「オフラインの店舗のあり方」も、より変化していくと思います。
これまでのオフラインの店舗の役割は、商品を実際に見て・触って購入を判断する「体験」と、お金を支払い商品の取引をする「決済」、そして梱包して受け渡す「流通」の3つだと言われていました。
「決済」「流通」はオンラインでの代替が可能です。
しかし「体験」はリアル店舗でしかありません。1万円のシャツを買うかどうかの判断は「体験」を通じて行われることが多いでしょう。そのような観点から、リアル店舗は「体験」の働きをより強めていく。すると、店舗は「売買をする場所」から「体験を通じた世界観を伝える場所」になり、その世界観が購入を決めるかどうかのポイントになります。
そのような店舗づくりのサポートにも挑戦をしていくCOUNTERWORKSは、まさに小売のあり方を変えていく企業になるのではないかと考えています。
いいキャリアを持つ人は、変化の大きな業界にチャレンジしている?
―インターネットというインフラで大きく変化してきた小売という業界を、今度はオフラインを通じて大きく変革しようと。非常に魅力的な領域だと感じました。最後にお二方には是非、読者の中心である就活中の学生に、キャリアの選び方という観点からメッセージをいただければと思います。
赤川:私が印象に残っているのは、三瓶さんがジャフコのイベントに登壇して下さった際、「人が狙わない、変化が大きい領域を見つけろ」とお話しされていたことです。まさに根っからの起業家と感じました。
この考え方は、就活生にとっても重要な考え方なのではないかと思います。
就活生の中には、今ホットだと言われている業界・会社を目指す人が多いのではないでしょうか。
しかし、すごく良い経験を積んで成長する人は、その業界・企業が名を上げ始める前段階からそこに身を投じていることが多いです。その環境下で「大きな変化」を自ら作り上げていく魅力的な経験をしている。それは、すでに出来上がっている環境では体験できません。
必ずしも、ベンチャーに行けというわけではありませんが、まずは一つ、有名ではなくても、これから業界を大きく変えていくような企業を探すという観点を持ってみると面白いと思います。
三瓶:私も、もし自分が就活生だとしたら、やはりマーケットの変化が大きいところでチャレンジしたいですね。
今の時代、インターネットで完結するようなサービスは一通り出てきていると思うんです。そこではなくて、それこそ我々が小売業界の変革に取り組んでいるように、インターネットと他の産業を掛け合わせて、もっと根本的に産業が変革できるような領域に挑みたいなと思います。
そういう環境では、社会へのインパクトも大きいですし、変化幅が大きいことから自分が重要な打席に入るタイミングも多く成長機会も多く得られるだろうと感じています。
私も赤川さんがお話しされたように、就活生の皆さんにはそういった部分を一つの観点としてキャリア選択に役立てて欲しいなと思いますし、その中で、弊社が選択肢の一つに入るようなことがあれば、非常に嬉しいですね。
―変化の大きい領域にチャレンジし、社会に貢献するとともに大きく成長する。そんなキャリアも魅力的ですね。三瓶さん、赤川さん、本日はありがとうございました!
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