はじめに
総合商社を志望する就活生の方には、「入社後、1年目はどんな仕事をするの?」と気になる人も多いでしょう。若手社員のキャリアパスとして、「出向」になることはご存知ですか?
企業によっては1年目から子会社またはグループ会社へ「出向」することがあるのです。実は私もその1人。1年目から、子会社への「出向」を経験しました。そこで、今回は、私の体験談を基に総合商社における「若手社員の出向」そして「働き方」について迫ります。
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子会社への「出向」という若手商社マンのキャリアパス
◇新入社員のうち、2割は子会社に出向
まず多くが知りたいであろう「新卒社員の内どれくらいが出向になるの?」という問いについて説明しましょう。結論から言うと、私の時代では「2割」の新入社員が子会社またはグループ会社に出向しました。
◇若手社員を出向させる理由
次に気になるのは、若手社員が出向になる理由でしょう。この「出向させる意図」をお話する前に、まず簡単に総合商社の業務を頭に入れて頂きます。総合商社の最近の業務では「投資業務」の割合が高まっています。反対に、皆さんが想像している「トレーディング業務」は子会社がそのほとんどを担っているのです。
ここで注意してほしいのは、子会社が設立された経緯について。実は、子会社といっても、もとは総合商社の一部門。その一部門が分社化して、新しい会社として設立されることが多いのです。そのため、子会社で経験する仕事は「トレーディング業務」が中心。
出向から戻ったときに、その経験を「投資業務」や「マーケティング」に活かすという流れができているように感じます。つまり、若手社員が子会社に出向になる理由とは、「モノの流れ」や「お金が生まれる流れ」を子会社で学ばせるため。
そこには『「現地」「現物」「現場」を感じて欲しい』という本社の意図があると思っています。なぜなら、本質的には、子会社の活動によって本社(=総合商社)の活動が促進されるのであって、子会社の存在は総合商社になくてはならないものだからです。
私が子会社で経験した仕事内容と得たスキル
◇子会社での勤務は3~5年が一般的
一般的に子会社での勤務年数は短くて3年、長くて5年と言われています。商材や所属部署については、まず最初に総合商社内のどこの事業部に配属されるかが決まります。そして、事業部に関連した子会社数社のうちどこに配属されるかが決まります。
例えば、エネルギー事業部なら○○石油や○○エネルギーというエネルギーに関連した子会社に出向するという感じです。そして、その子会社の中のどこの部署に行くかが決まります。
必ず営業部に行くかと言うと絶対ではありません。私はたまたま営業部でしたが、人事部に行く人もいれば、経理や物流関係の部署に行く人もいます。
出向までの流れをまとめると以下の通りです。
1...総合商社でどの事業部に配属されるかが決まる 2...事業部に関連した子会社・グループ会社の出向先が決まる 3...子会社・グループ会社の部署が決まる(営業とは限らない)
◇私が出向先の子会社で経験した仕事内容
では、具体的に私が子会社で経験した仕事内容についてお伝えします。 私は子会社において営業に配属され、基本的に「トレーディング業務」を学びました。営業の大きな役割は某メーカーの代理店としてメーカーの商材を売りこむこと。
基本的には、ルート営業なので担当地域(または担当企業)が決まれば、その担当地域で売り込み活動を行うことになります。職種としては「営業」ですが、やっていることは売り込み活動だけではありません。「納期管理」「品質対応」「クレーム対応」など売り込み活動だけでなく様々な業務が課されます。
例えば、「営業」として私が経験した業務の内容は以下6つほど。
1...売り込み活動(お客様の悩みを聞いてベストな商品を提案) 2...数字管理(数年先の予算や月次分析まで幅広く管理) 3...納期管理(デリバリートラブルにならないよう管理) 4...品質対応(不具合発生したときの対応) 5...クレーム対応(納期トラブル、品質トラブルの窓口) 6...接待(受注を得るためにお客様と仲良くなる)
「営業」という仕事1つ取っても、様々な業務を身につける必要があるのです。
◇子会社での業務経験を通じて、得たスキル
こういった子会社での営業経験では多角的なスキルを磨きました。中でも私が子会社での営業を通じて、成長した能力は「売り込む技術」「分野の専門的な知識」「分析力」「ホスピタリティ力」の4つです。
1...売り込む技術
売り込む技術と言っても様々ありますが、ここでは「相手と交渉」「議事録の作成」「資料の作成」など営業として最低限持たなければいけないスキルのことです。
2...分野の専門的な知識
売り込む相手は「プロ」です。そんな相手に対して素人の商社マンが営業するのです。相手の方が圧倒的な知識を持っているので、相手にされない場合や足元を見られる場合があります。
そうならないように商社マンとして担当分野の知識を「これでもかっ!」というぐらい勉強します。そのため、とある分野では「誰にも負けない」と胸を張って言えるほど、その分野の専門家としての知見を蓄えることができます。
3...分析力
市場情報から今後の3~5年でどのような技術が必要とされ、どんな売上になっていくか予算をたてたり、直近3ヵ月の見通しと今月の実績の差異はどうして発生したのか、などを毎月・毎週のように分析したりします。そのため、数字を見る力や、分析する能力が格段にアップしました。
4...ホスピタリティ力
「売り込む技術」と少し被りますが、ホスピタリティ力が伸びます。ホスピタリティとは言わば「思いやり」。
自分の営業活動が円滑に進むように、相手へのお願いの仕方や、期限を守る、御礼のメールを送る、飲み会の作法というように社会人として必要なスキルのことです。上司がそういう人間だったので、徹底的に鍛え上げられました。
そのおかげで、接待や接客においてお客様から褒められることが増えていき、案件の受注が増加していきました。
「子会社への出向」に対するイメージの変化
では、子会社での業務経験を通じて、私の「出向」に対する印象がどう変化したかをお伝えします。
◇「子会社への出向」への配属が決まった時は正直落胆した
初めて通知を受けたときは「本社では働けないのか」という落胆に似た感情を持ちました。なぜなら出向といえば「本社で出世コースから外れた人」というイメージがあったからです。そのため、最初の方は「会社からはあまり期待されていないのか...?」と落ち込んでいました。
◇仕事を通じて、「子会社無しでは、総合商社は成り立たない」と実感
しかし、実際に働いてみたり、いろんな人の話を聞くと、子会社への出向は「修行」なのだと感じました。さらに「子会社・グループ会社があるから総合商社が存続できる」という想いが強くなったのです。なぜなら、子会社は総合商社としての業績、そしてマーケティング活動において非常に重要な役割を担っているからです。総合商社が発表する「連結売上や営業利益」には子会社の売上・営業利益が入っています。
子会社の業績が悪いと、総合商社の業績も悪化することになります。それは単に数字面だけでなく、「人材」の面でも言えること。実際に本社から出向し現場で動いてくれる人材がいるからこそ、マーケティング調査が容易になり、本社の事業投資の判断がスムーズになるという側面もあるのです。
このように、子会社・グループ会社があり、そこに本社から出向している人材がいるおかげで、総合商社の安定した事業運営が可能になっているとを痛感しました。
◇総合商社のキャリア形成における、子会社の経験の活かし方
では最後に、総合商社におけるキャリア形成という観点から、子会社での業務経験の活かし方をまとめていきます。結論、子会社の事業運営や内情を認識することで、本社に戻った後も日々の業務や行動の幅が大きく広がると考えています。
戻る部署や業務内容にも大きく変わってきますが、子会社を詳しく知っているからこそできる活動があります。それは、新卒入社後、本社のみでキャリアを積んでいる社員にはないメリットです。
例えば、子会社と連携した受注活動や市場調査などをお願いできる人脈や知見が身につくこと。また、「出世」という観点から考えても、「新卒社員として出向」というキャリアパスは決してマイナスではありません。
実際に子会社の役員や部長以上クラスの人を見ると若手時代に「本社からの出向」を経験した人が多いと言えます。そのため、私もいずれは子会社に戻り、役員・部長クラスとして、子会社の経営を担う立場になると考えます。
「子会社への出向」と聞くと、「出世できない」とかネガティブなイメージを抱くと思いますが、総合商社においては、子会社での業務経験は間違いなく、あなたの資産になるのです。出向になったとしてもネガティブな感情を持たずに、ポジティブに積極的に業務に取り組んで下さいね。
今回は、「総合商社における若手社員の仕事」をテーマにお話ししました。次は、「若手社員への教育」についてお伝えします。
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