目次
1:広告・Webマーケ領域で注目される、WACULとはどんな会社か
2:日本第2位の投資家、坂さんが語る、広告・Webマーケティングの歴史
3:WACULが作り上げる、Webマーケティングの未来
4:これからの広告業界では「クリエイティビティ」と「データ・数値へのセンス」の両方が必要になる
広告・Webマーケ領域で注目される、WACULとはどんな会社か
―お二方、本日はよろしくお願いいたします。今回のテーマは、VCと起業家が語る、広告・Webマーケティング業界の展望です。
当領域において、期待のベンチャー企業として活躍しているWACULとは、一体どんなことをしている会社なのでしょうか?
大淵:WACULは、Webマーケティングの領域で、AIアナリストというサービスを提供しています。
簡単に言えば、Webマーケティングにまつわる様々なデータをAIに分析させて「こんなことをやった方がいいよ」と打ち手を提案させる、というサービスです。
例えば「商品を紹介しているページが、すごく多くの人に閲覧されているのに、そこから購入している人は少ないから、こんな風にWebページを改善した方が良いですよ」と提案してくれるといった具合です。
我々も創業当初は、Webマーケティングのコンサルティングを行なっていました。
顧客のマーケティングデータを見て、今のAIアナリストと同様に、こんな改善をして、これだけ売上をあげましょうということを提言・実行していくという仕事です。
そうした事業を続けていくと、お客様の数が増えていくにしたがって、分析にかかる労力が膨大になるんですよね。
優秀なメンバーを増やして分析をしても追いつかなかったり、ミスが出たり。そうした分析・提案といった部分は機械の力で代替をすることで、多くのお客様の課題解決に繋がるのではないかと考えたことが、AIアナリスト開発のきっかけです。
また、コンサルティング活動を通じて感じたのが、Webマーケティングの最適化をできている企業は本当に少ないということです。いわゆるWeb系、ITベンチャーというような、IT・データに強い人たちが集まる会社でも、そうした分析が課題だと話している企業は非常に多くて。
そうした課題を解決するサービスができれば、非常にインパクトの大きいことなのではないかなと。
日本第2位の投資家、坂さんが語る、マーケティングの歴史
―坂さんは、ベンチャーキャピタリストとして、WACUL社に2度の投資をされています。数ある広告・Webマーケティングの企業の中で、なぜWACUL社に注目をし、投資をされたのでしょうか?
坂:多くの理由がありますが、まず一つあげるとすれば、広告・Webマーケティング業界における時流を捉えたサービス・会社だと感じたからです。
今回は就活生の皆さんが読者ということですので、基本的なところから説明しましょう。広告業界というと、テレビや新聞などの媒体の広告を取り扱う企業を想像する人も多いですよね。
企業がそういったマスメディアを通じた広告を行う一方で、インターネットがマスメディアを超えるような媒体へと成長し、Webを通じても広告活動をしたいという企業のニーズが大きくなっていきました。その結果、多くのWeb広告・Webマーケティングの手法が生まれました。
約20年前に、Webサイトに広告バナーを掲載するというシンプルな広告を皮切りに、ユーザーの検索ワードに連動して広告を出す「検索連動型広告」や、「アフィリエイト」と呼ばれる成果報酬型広告などの様々なWeb広告が生まれたり、「SEO」という、自社サイトが検索で表示されやすくなるように工夫をするというようなWebマーケティングの手法なども生まれてきました。
そこから、現在でもターゲティング広告や動画広告、SNS広告等の新たなWeb広告、Webマーケティングの手法が増え続けています。
そうして、多種多様なWeb広告、Webマーケティングの手法が生まれる中で、それをサポートする会社も数多く生まれるわけです。皆さんも就職活動で、いろいろなWebマーケティングの会社に接することがあるかと思います。
例えば、ある会社がWebを通じて製品をもっと知ってもらいたいと感じているが、SEOのノウハウは持っていない。そんな時に、SEOのコンサルティングを行うことで広告活動をサポートしますよ、という会社があったり.
当然ながらジャフコもこれまで、多くのWebマーケティング企業に投資をしてきました。我々ベンチャーキャピタルは、これから成長するのでは、という企業に投資をさせていただいて、その企業が成長した際に対価を頂くというビジネスモデルを行なっています。
そして、そういったWebマーケティングの手法を取り扱う企業が成長して行くだろうと投資を行ってきたわけです。
しかし、多くのWebマーケティングの企業に投資をする中で一つ課題に感じたことがありました。
―というと。
坂:Webマーケティングの手段が増え細分化された結果、企業側にとっては、どの手段が最適なのかを選択することが難しくなってはいるのではないだろうか、という課題です。
例えばある会社が自社の製品を広く知ってもらいたい時に、広告を出稿しよう思ったとして、色々な疑問が湧いてくると思うのです。
例えば「どの媒体に出稿すれば良いのか?」という疑問にぶつかります。Googleの検索連動型広告が良いのか、それともFacebook広告が良いのか。
次に「どのようなコンテンツを作れば良いのか?」という疑問も生まれます。動画が良いのか、静止画が良いのか、そして予算はどれぐらいが最適なのか。
こんな風に、Webマーケティングが高度化され選択肢も膨大になったことで、広告を出稿する側の選択は以前に比べてはるかに難しくなっています。
そもそもの広告主のニーズは細かい選択をすることではなく「何をすれば成果が出るのかを知りたい」「それを実行して成果を出してほしい」というシンプルなものであるはずです。しかし多くの会社が、様々なWebマーケティング手法の前にどうして良いかわからないという悩みを抱えています。
そうした背景を元に、WACULさんは、Webマーケティングの全体像を見た上で最適な手法を編み出せる、それこそ広告主はあれこれ悩まずとも「これだけを見ておけばOK」という世界観を作ろうとしている。
元々Webサイトの改善を通して、企業の売上増加に貢献してきた会社ですが、現在では、Webサイト改善にとどまらず、Webマーケティング全体に事業領域を広げつつあります。まさに時流を捉えた非常に価値あるサービスを開発していると思いますし、そしてそこに対する専門性という点でも非常に優れている。
そういった背景から、投資をさせていただきました。
WACULが作り上げる、Webマーケティングの未来
―広告代理店や各マーケ施策についてのコンサルティング企業など、Webマーケティングを取り巻く企業はたくさんある中で、そこが多種多様化しすぎたことによって、機能しなくなってきたとも言えそうですね。
大淵:まさに坂さんがおっしゃられた通りかと思います。
Webマーケティングの領域を俯瞰して見てみると、参入障壁が非常に低い業界でもあるので、いろんなプレーヤーが次々に生まれてきやすい環境でもあるんです。だからこそ、業界のスタンダードが生まれずに、マーケターは色々なものに対応しなくてはいけなくなる。
そうすると先ほどお話にあったように、この領域に取り組まなきゃ、あの領域にも手をつけなきゃ、この領域はあの企業に力を借りて、あの領域はこのサービスを活用してと、だんだんごちゃごちゃになってきてしまう。
その結果、各企業のマーケティング担当者も非常に疲弊していると思うんです。
「マーケティング」や「広告」に携わっている皆さんは、自分の発想やクリエイティビティを活かして、こんな風にマーケティングをしていこう、とワクワクした気持ちでそういう職種に就かれると思います。
でも、現実を見てみると、細分化された領域をこなすだけで精一杯の「作業」に追われて、一日が終わってしまって、僕って何してたんだっけ、みたいな状況になってしまう。
しかも、世の中では「デジタルシフト」だと言われていますが、じゃあ例えばEC化率ってどれくらいなんだろうと考えてみると、領域にもよるものの、まだ数%程度であったり。
そう考えると、これから消費者がオンラインで意思決定をする機会はまだまだ増えていくんです。
それを企業側の目線から見ると、Webマーケティングを行う必要性や機会が爆発的に増えていくことになります。そこにはより多くの人材が必要になりますし、よりそれぞれの仕事は大変になるでしょう。
そういった状況を解決するようなサービスを作りたい、というのが我々の根本の考え方ですね。
―そして、分析業務や提案業務をAIの力で代替していこうと考えられたのですね。
大淵:誤解を恐れずに極論を言えば、という前提にはなりますが、デジタルに処理できることの大部分は、方程式化をして、AI・機械による自動化・最適化ができると思うんですよね。
デジタルの領域の多くは、これだけの広告費をこう配分したら効果が最大化できますよねという算数・数学の世界でできてしまう。そうした計算は機械にやってもらえればいいだろうと。
でも、クリエイティブの領域は機械ではまだ答えが出せない領域ですし、そこにこそ面白みがあると思っています。
広告的な意味での「クリエイティブ」で言えば、どんな広告表現を作れば人の気持ちが変化するのか、感動させられるかという部分はまだ方程式では処理できない領域ですから、やはりそこに人のクリエイティビティを集中できる状態を作りたいと。
もう一つ、人間のクリエイティビティで言えば、よく言われている話ではありますが、AIは計算処理はできるけど、ゴール設定はできないよねと。方程式の処理はAIに行わせて、そもそも何を目指すのか、どういうマーケティングを行なっていくのかといった、クリエイティブな領域に人間が取り組むべきだと考えています。
そういった世界観を作っていくことが、広告・Webマーケティング業界における次の一手ではないかと思い、AIアナリストというサービスを進化させていっています。
読者が学生の皆さんということで宣伝を挟ませていだたくと、そういった世界を一緒に作りたい、と考えている人は、ぜひWACULという会社も選択肢にいれていただきたいなと思っています。
我々もまだまだ道半ばですから、ビジネスをどんどん経験したい、将来成し遂げたいことがたくさんある、という熱量の強い方は本当に楽しめる会社かと思います。
これからの広告業界では「クリエイティビティ」と「データ・数値へのセンス」の両方が必要になる
―ありがとうございました。
最後にもう1点、先ほど「クリエイティブ」というお話が出ましたが、そこはまさに広告業界の変化として注目されている部分ですよね。デジタル領域が非常に勢いを増している中で、マーケターに必要なのは「クリエイティビティ」なのか「データ・数値への知見」なのかと。
広告業界やマーケティング職を目指している学生の皆さんの目線を考えると、広告代理店がやっぱり花形だよな、とか、一方でWeb広告・マーケティングも注目されているよな、とか、じゃあこれからの「広告」でどうやってキャリアを歩んでいけばいいんだろう、と迷っている人も多いと思います。
そこについて、お二人の意見をお聞かせ願えますか。
大淵:近い将来で言えば「クリエイティビティ」と「データ・数値」が二元論ではなくなり、分断感がなくなっていくのではないだろうかと思います。
こちらも順を追って説明しましょう。
まず、これまでのマスメディアの広告業界においては、厳密に数値データを分析して、というよりも、クリエイティブとしてどうか、といったものが重視されていたのではないでしょうか。
例えば、テレビでCMを出しましたという時に、じゃあ視聴率10%でした、12%でしたというデータが出ても、その2%の差って、どれくらいの効果があるんだろうと。10%よりは12%の方が嬉しいけど、それがどれくらい商品購買やサービス認知に影響が出るのかはわからない。
これも誤解を恐れずに言えばという極論の話になってしまいますが、マーケター、あるいは広告代理店の立場で、広告主に「広告をまた出しませんか」と言った時に、どうやって発注してもらうかと考えると、一番は成果ですよね。前回広告費用として1億円を投資して、2億円のリターンがあったから、また広告を出したいと思う、とか。
でも、先ほどの例で言えば、結局は数値で成果の測定をすることができませんと。数値で判断ができないのであれば、じゃあどうやって広告を出すかどうかの判断をするかと言えば、それ以外の部分になるでしょう。
それは、クリエイティブがどれだけ優れていると感じられるかであったり、もっと言えば、マーケターと広告主の人間関係であったり。大手広告代理店と言えば「クリエイティブ」であったり「接待や飲み会が多い」というイメージもありますよね。それはそういう背景から生まれています。
しかし、広告領域に「デジタル」が入ってくることで、より厳密なデータでの判断が求められるようになります。
その領域においては、ユーザーの行動などが全てデータによって可視化されますから、この商品が1つ売れるまでに広告費用が1,000円掛かった、1,200円掛かったということがわかります。
そういった世界においては、当たり前ですが、基本的には一番成果が出るものに投資をするようになっていくでしょう。
すると「クリエイティブが良さそう」や「人間関係」だけではなく、広告によってどういう成果が出るのか、他社と比較して成果の違いは何かといった部分を、きちんと数値データで理解をした上で説明して納得させるような力が必要になってきます。
そして、デジタルの領域はまだまだ広がっていく。それがまさに「これからのマーケターにはクリエイティビティだけではなく、データや数値の力が求められる」と言われる部分でしょう。
坂:以前、「データ・数値」や「問題解決」に強みを持つコンサルティングファームが広告業界で活躍し始めている、という話が話題にもなりましたし、その事例からも「データ・数値」で広告活動を考えるという重要性は非常に大きくなっていることがわかりますよね。
一方で、近年ではコンサルティングファームが広告会社やクリエイティブ・デザインエージェンシーを買収していますし、これは「データ・数値」に強みを持つコンサルティングファームが「クリエイティブ」の領域でも力をつけていこうという動きです。
そして、まさにWACULさんが取り組んでいる通り、デジタルマーケティングの領域での「データ・数値」への取り組みについても、機械で代替できる部分は人間の活動を減らして、よりクリエイティブな仕事に向き合っていこうと。
こうした事例は、まさに大淵さんがおっしゃられた通りで、「クリエイティブ」と「データ・数値」がまだらになっていくという動きを表していると思います。
そうした背景を考えると、広告企業自体もそうですし、マーケター一人ひとりをとっても「クリエイティビティ」だけでもなく、「データ・数値」だけでもなく、両方を兼ね備えていることが重要になってくると言えるのかもしれませんね。
―「クリエイティブ」に強みを持つ広告企業は「データ・数値」を学び、「データ・数値」に強みを持つコンサルティングファームは「クリエイティブ」を学ぶと。
広告業界にとって、そして一人ひとりのマーケターにとって、「クリエイティブ」と「データ」がどちらも重要になっていく動きがよくわかりました。
広告業界に興味がある、マーケティングに興味がある、という人は、ぜひこの話を参考に自分がどういうキャリアを歩んで行くべきかを考えてみてはいかがでしょうか?
大淵さん、坂さん、本日はありがとうございました!
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