変革の現代、若い人にはチャンスが広がっている
藤本:「仕事とは」ということについて色々お話をしてきましたが、とはいえ不安も多いよね、という人もいると思います。
社会・経済について勉強すればするほど、日本ってやばいんじゃないか、と思いますよね。人口が激減、少子高齢化で生産力が落ちるとか。大企業のレイオフやリストラというニュースも、たくさん目にしますよね。企業の平均寿命も短くなっていますし、一つの会社で働き続けることも難しくなる。
そんな環境で就職活動に挑む上で、不安に感じている方も多いと思います。
でも、ピンチやチャンスだ、みたいな考え方をぜひ覚えておいてほしいんです。
皆さん、ドラッカーって人を知っていますかね。経営学の父と呼ばれていて、「マネジメント」という言葉を作った人です。
そのドラッカーは、亡くなる前にこういう言葉を残しています。
「21世紀に最重視される唯一のスキルは、新しいことを学ぶスキルである。それ以外は時間とともに全て廃れていく」
これを念頭に入れて、今って不安も多いし、世界の変化のスピードも早いと言われているけど、それが実はすごくチャンスなんだということをお伝えしたいと思います。
例えば、レバレジーズという会社は、日本を代表するマーケティングの会社だと言われています。でも、元々レバレジーズにマーケティングのプロがいたかといえばそうではなくて、レバレジーズのマーケターは、数年前は名もなき大学生だったりするんです。
それが、めちゃくちゃ勉強して、知識をつけることで、日本トップクラスのマーケターになれると。
逆に、私も2年ぐらい前までは現場に出ることもあって、いわゆる日本を代表する大企業さんに対して、マーケティングのコンサルタントを行なうような仕事もしていました。そんな背景から、マーケティングの知識や力みたいなところで言えば、日本でも第一人者と言えるんじゃないかな、なんて自分でも思っていたんですけれど。
今は、私はマーケティングの仕事をすることはありません。直近2年ぐらいは、経営や人材に関する仕事をしています。
すると、2年前は第一人者とも言えるマーケターだったのが、2年間違う仕事をしているうちに、私ができるレベルのマーケティングの仕事って、今では新卒1年目の社員でも担当できるようなレベルになってるんですよね。
私がやっていた仕事が、AIや機械学習に代替されているとか、私の時代にはなかったマーケティングの手法が次々生まれていたりとか。
そんな風に、たった2年間のうちに、トッププレイヤーが変わってしまうような世の中であると。
そんな風に時代の変化が激しいからこそ、若い皆さんにとっては物凄く大きなチャンスが広がっています。
皆さんが会社に入ってめちゃめちゃ勉強して、本気で仕事したら、数年後には全員抜かして日本を代表する専門家になれるような、そういう時代に入ってるんですよね。
自分が本当にやりたいことを見つけて頑張れば、その分野でナンバーワンになるのってそんなに難しいことじゃないんだと。
就職活動で一番重要なのは「信念」や「目的」を考えること
藤本:ただ注意点として、逆に言えば「潰しのきくキャリア」なんていうものはないということです。
マーケティングができて、営業ができて、マネジメントができたら、なんでもできる一流の人材になれます、と言えるかと言うと、そんなことはありません。
先ほどお話ししたように、マーケティングを極めても、営業の仕事を始めたら、マーケティングの力は相対的に落ちています。マーケティングを本気で続けている人がいるから。
だからこそ皆さんにお伝えをしたいのは、自分が何をして、何を生業として生きていくのかを、きちんと考えてください。20代と言うのは仕事にとってすごく重要です。年齢が上がれば家庭のことなども増えていきますから、仕事に対してしっかりコミットできる時期というのは、意外と多くありません。
そこで、適当に決めてしまった仕事に取り組んでしまうと、大きな差がつきます。自分が何をするかを決めて、そこに対して20代できちんとコミットする覚悟を決めて欲しいんですよね。
変革の時代に何を選択するのか。それが今、非常に重要になります。
今日会場に来てくださってる皆さんの中には、いわゆる良い大学の方がたくさんいらっしゃると思います。そういう方々は、可能性が広がる方向に動いてきたと思うんですよね。良い大学に行けば、いろんな可能性が広がっているぞと。そんな中では、意思決定をする機会は少なかったと思うんです。
でも「仕事」という領域においては「僕は営業じゃなくてマーケティングをする」「私はエンジニアじゃなくてコンサルタントをする」と決めていく必要があります。
他の世界じゃなくて、自分がそれを選んだんだと。そして、その分野でまずは頑張っていくんだと。そこで結局信じられるのは、自分で選んだんだという覚悟や、こんなことをやりたいんだという自分の信念になります。
だから、何か信念や覚悟、目的を持って、就職先を選択してください。
皆さん就職活動を迎えていますが、働いたこともなければ、社会に対する知識も我々と比べたら少ないですよね。そんな中でも、どの会社に行くのか、っていうことを決めなきゃいけません。難しいですよね。
そんな中、社会人として初めての選択をする。すると、間違える可能性が高いんです。だから、多くの人が悩んだりしています。
仕事には、もちろん苦しいことや辛いこともあります。 でもそこで大事なのは、結局は選んだものを正解にしていこうということです。
それを乗り越えられるかどうかは、自分がその仕事に対して「信念」や「目的」がしっかりあるかどうかです。
自分は何のために働くのか。自分がどんなキャリアを歩みたいのか。自分はどんな分野で頑張っていくのか。それをきちんと考えて欲しいと思います。
ちなみに私の場合は、少し恥ずかしいですけど「藤本がいた地球といなかった地球に何か差が欲しい」というもので、就活中にもずっと言い続けていました。
そして、結局は初めての職業として、事業家というものを選びました。自分が事業を作ることによって「それがあったからこそ、あるいは、もしそれがなければ」というものが生まれるんじゃないかと。
iPhoneのおかげで皆さんの生活がすごく変わりましたよね?私も、何か事業を作ることで、そういった差を作りたいなと思ってきました。
そういう目的・信念を持って、事業に挑戦をしました。失敗したことや、辛かったこともたくさんありました。でも、それを乗り越えられたのは、先ほどの目的・信念がしっかりしていたからです。
また、目的や信念はそのままに、仕事の内容は変わることもあります。
事業を一つ本気で作ろうと思ったら、大体3年から8年の時間がかかります。すると、自分が死ぬまでに7個か8個作るのが限界なのかな、結構少ないな、と思ったんです。 そうしたら、自分が事業を作るよりも、事業が作れる人をたくさん育てる仕事をした方が、自分が生み出せる「差」が大きくなるんじゃないかと。
また、実は私が社会人3年目の時、社長から「役員をやらないか」と提案をされたのですが、その時はまだそういう考えがなくて、自分で事業を作りたいので役員・会社の経営はやりたくありません、と話をしたんです。
でも、ある大学の先生に、100億以上の会社で20代で役員をできる人なんてほとんどいないんだぞ、お前にしかできない仕事だぞ、と言われて。
そう考えると、冒頭でもお話した通り、リーマンショック以降日本を支えるベンチャー企業は出てきていないと。でも、それを自分が作れれば、自分がいたからこそ生まれる差って、すごく大きくなるんじゃないかなと思ったんです。
今の日本経済には暗いニュースが多いですけれど、日本を引っ張りようなベンチャー企業が出てきたぞ、というニュースで、日本を明るく照らせるかもしれません。もっと前向きに生きる若者が増えるのかもしれません。
事実、アメリカでもザッカーバーグなどの若い企業家が生まれてから、若い人がさらに活躍するようになりました。そんなムーブメントを、日本でも起こせればいいなと。
そんな風に、自分の目的や信念は変わらない中でも、やりたいことが毎年ランクアップしていくんです。
これは私だけではなくて、ちゃんと仕事に向き合っている人であれば、1年に1、2回は必ずアップデートされると思います。
そうして行くうちに、色んな価値を生み出せるようになりますし、仕事はどんどん楽しくなっていきます。
だからこそ、働く目的や信念といった、自分が一番ずらしちゃいけない部分。そこだけは必ず考え続けた上で、就職活動に向き合ってほしいんです。
日本をもっと前向きに。藤本氏からのメッセージ
藤本:さて、ここまで色々お話をしてきましたが、最後に皆さんにメッセージをお伝えしたいなと思います。
そのメッセージは一つだけ、ちゃんと就職活動をしてくださいね、ということです。
最近の就活生を見ていると「自分の強みがここだから、ここで活躍できると思います」なんていう話をよく耳にします。
でも私は、もっと多くの人にもっと高い視座で、社会のこと・日本のことについてちゃんと考えて欲しいと思うんです。
日本はこれからどんどん悪くなると言われていますよね。それは事実そうなんです。タイタニック号が氷山にぶつかって、20秒経ちました、みたいなタイミングです。もう結構水入ってきちゃってるけどどうするの、みたいな。
今でこそ世界の第3位の経済大国ですけど、これから10位、20位に落ちていくフェーズなんです。
このままいくと、皆さんの子供・孫の世代の頃にはどうなってしまうでしょうか。自分の子供たちが、絶望して生きていくような時代になってしまうかもしれません。
そういう点も鑑みて、日本の未来・将来に対して主体性を持って、自分が担っていく、そういう考え方をして欲しいんです。
アメリカとかを見てみるとどうでしょう。例えば企業の時価総額ランキング、TOP10・TOP5を見てみると、IT系の企業やベンチャー企業が多いですよね。Apple、Google、Facebook、Amazonみたいな。
でも日本って全くそんなことないですよね。産業の変革が起きていないじゃんと。 そんな日本において、自分が時代を支えて行くんだとか、沈みゆく国だからこそ変革者になろうとか、前向きにそう考える人が増えていけば、すごくいい国になっていくんじゃないかなと思うんです。
そういう人が増えて、日本全体がもっと前向きになったらいいなと。だからこそ、こういう観点に興味を持った人は、それも踏まえた上で就職活動をしていってくれると、すごく嬉しいなと思います。
では、これでプレゼンテーションを終わりたいと思います、本日はありがとうございました。
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