NTTデータの「システムインテグレーション」とはどういう仕事か?
―本日はよろしくお願いします。今回のテーマは「大企業の挑戦」です。
売上2兆円を超えた今も成長を続ける貴社の挑戦、そして最先端の取り組みについてお伺いできればと思うのですが、まずは前提として、NTTデータという会社の概要についてお伺いできますか。
渡部:NTTデータは、いわゆる「システムインテグレーション」という領域で主にビジネスを行なっています。
簡単に言えば、クライアントとなる企業が何らかの課題を持っているとき、その課題をITシステムの力で解決しようという取り組みです。
例えば、「データ入力業務に無駄な時間が掛かり、業務が効率的でない」という課題をお客様が持っていたとすれば、そのデータ入力を効率化できるようなシステムや、データが自動的に入力されるシステムを開発し、導入するといった形です。
他にも事例として、安全かつ快適な金融取引の実現のために、金融機関のATM サービスの根幹を担うシステムを開発している事例や、オンラインでの販売を開始したいという小売業のお客様に対して、ECサイトの開発・提供を行なう事例などが挙げられます。
「ITの力で課題を解決する」というテーマに対して、あらゆるソリューションを通じてサービスを提供する。それが、NTTデータの「システムインテグレーション」です。
また弊社の特徴として、一気通貫でのトータルサービスを提供できる点が挙げられます。
お客様の現状を知り、どんな課題を持っているのかを見極め、そこに対してどんなITソリューションを導入すべきかを考え、戦略を立案する。
そして、その課題を解決するソリューションを実現するためにシステムの設計・開発を行う。
さらには、そのシステムをきちんと現場レベルで活用し、実際に課題が解決するまでのサポートを行う。
そんな風に、戦略を立てるだけでもなく、ありもののシステムを販売するだけなく、きちんとお客様1社1社にあったソリューションを提案・実現し、お客様の経営改善に貢献できることが、弊社の価値であり、強みです。
「自己変革力」を持つNTTデータの挑戦
―ありがとうございます。いわゆるSIerの仕事のイメージは大枠つかむことができたかと思います。
それでは、今回のテーマである「挑戦」という部分で、NTTデータはどのようなことをしているのでしょうか。
一部の就活生の間では「大企業は硬直的である」というイメージもあり、それこそ「NTT」の名前を冠している貴社は、元々国営企業ということからも「硬い」「挑戦できない」というイメージもあるかと思いますが...。
渡部:「挑戦」というテーマについて、私個人としては2つのポイントを挙げたいと考えています。
まず一つは、NTTデータは会社全体として「自己変革」の意識を持っていること。それは、弊社の変革の歴史からも明らかです。
NTTデータでは、お客様の分類として「公共」「金融」「法人」という分け方をしています。「公共」は、中央省庁や地方自治体など。「金融」は、その名の通り、銀行や保険会社。そして「法人」は、製造業・流通業・サービス業など、様々な製品やサービスを提供する民間企業を指します。
「NTT」という冠を持つ通り、NTTデータも元々国営の企業ですから、中央省庁や地方自治体からの案件がメインだというイメージもあるかもしれません。
確かに民営化したばかりの頃は、そういった案件がメインでした。逆に「法人」に分類される、いわゆる民間企業からの案件の社内シェアは、10%程度しかありませんでした。
しかし、企業として成長していくため、そして安定した事業運営をしていくためには、一つの領域に頼りきった経営をしていてはいけません。
企業としてさらに成長していくために、これまではサービスを利用していただく機会が少なかった民間企業様にも活用して頂こうという挑戦をスタートしました。
そうして営業活動を拡大し、多くのお客様と出会い、信頼を獲得していった結果、現在では「法人」の売上シェアは「公共」のセグメントを超えるほどになっています。
こうした結果は、会社全体の戦略はもちろん、社員一人ひとりが視座高く挑戦していったからこそ得られたものではないでしょうか。
業界トップの位置に安住し現状を維持すればいい、という考えではなく、会社の成長を目指して挑戦していく。そんなDNAが根付いている会社だと私は考えています。
―確かに、大企業でそれほどの大規模な改善を達成するためには、企業一丸となって挑戦に挑んでいく意識がなくてはいけませんよね。
渡部:グローバル展開についても同様です。日本市場が伸び悩んでいるという話は、どんな業界でも聞かれますよね。
日本の中でだけビジネスをしていても成長できない、という環境であれば、もちろんグローバルに視野を広げて、ビジネスをして行く必要があります。
NTTデータは十数年前から海外展開を本格的に進め、現在は売上の約半分が海外での売上となり、世界53か国、214都市の拠点、118,000人を超える社員が世界各国で活躍しています。
これも同様に、元国営企業だからと日本国内で公共の案件に貢献するのみにこだわるのではなく、あらゆる市場で価値を生み出すために挑戦を続けた結果だと言えるでしょう。
今後も海外での展開を強め、グローバルブランドTOP5に入る企業を目指しています。
―これも同様に、挑戦の風土が根付いているからこその事例ですね。
渡部:そうですね。「新たな領域への挑戦」「グローバルへの挑戦」は、原理原則を考えれば簡単に想像ができる意思決定かもしれません。
ただ、NTTデータほどの大きな組織がそれを行動に移して実現するというのは、なかなか難しいこと。それを実現できたのは、まさに「挑戦への意識」が組織に根付いているからではないでしょうか。
そうして自己変革を進めてきた会社ですから、この先、大きな社会の変化、例えばAIの発展などが起きていく中でも、同様に変革を起こし成長していくだけのポテンシャルを持った会社だと考えています。
そして、冒頭にお話いただいたように「大手は若手社員が挑戦できない」というイメージをお持ちの方もいらっしゃるかもしれませんが、これからも挑戦を続け、大きな価値を生み出すことを目指すNTTデータにおいては、若手社員や、これから入社される皆さんにも、大きな価値を生み出していただくことが求められます。
ITの専門家として、お客様の課題解決のプロフェッショナルとして、またグローバル領域や事業創造といった点も視野に入れながら、大きな仕事に挑戦し成長することのできる、魅力的な環境です。
高い技術力を活かし、AI・ビッグデータなどの先端領域で価値を生み出す
渡部:そして、もう一つの「挑戦」として外せないのが、先端領域への挑戦です。
私が所属するデジタルコンサルティング統括部においては、例えば「ビッグデータ」と呼ばれる領域でのコンサルティングやソリューション提供を行なっています。
一つの例として挙げられるのは、ID-POSと呼ばれる、消費者の購買行動データの活用です。
ID-POSを活用することで、誰がいつどんな商品を買ったか、どんな属性の人が、どんな属性の商品を買ったかという点を分析することが可能です。
簡単な事例ですが、月に1回の頻度で必ず猫缶を購入していくお客様がいるとします。そのお客様の他の購買行動を見てみると、頻繁に来店されていて、その度にたくさんの商品を買われている。
「猫缶」という商品だけを見ると販売個数や売上は低く「売り場に並べない」という選択肢も考えられるかもしれません。しかし、そういった購買データを結びつけて考えることで、単体では売れなくても、置いておかなければ重要なお客様が来店されなくなってしまうのでは、といった視点が得られます。
そうした分析を、あらゆる商品・あらゆるお客様について行うことで、どんな商品をどれだけ並べたらいいのかという点を最適化していく。そうすることで、店舗の売上を向上させていくという取り組みが可能です。
このように、大量に蓄積された消費者の購買行動を分析することで、小売店の販売活動を改善するような取り組みが挙げられます。
―ビッグデータを活用することで、経営活動を改善する。まさに近年話題になっているような先端的取り組みですよね。
渡部:そうですね。他にも、当社では持ち前の技術力を活かし、近年話題のAI技術への取り組みも行っています。機械学習技術を活用し、AIでの渋滞予測や信号制御によって、交通改善を実証した事例などが挙げられます。
日本No.1のIT企業として高い技術力を活用し、最先端のシステムを作り上げていく。そういった部分は、今後も弊社の強みとなるでしょう。
NTTデータ渡部氏が語る、SIerの哲学
渡部:ただ、せっかくの機会ですので就活生の皆さんにも認識をいただきたいのは、「ビッグデータ」や「AI」「IoT」といったキーワードを聞いて「凄いことをやっているんだな」で終わってほしくないということです。
―というと。
渡部:ビッグデータやAIを活用して、分析をして、経営活動を改善する。なんだか凄そうだな、そう感じる人も多いのでは。
しかし、システムの現場に立って見ると、どんなお客様のどんな課題に対しても、とりあえずAIを導入すればOK、というわけではありません。
ITシステムを取り扱う企業として根本に必ず持っておくべきなのは、お客様の課題に対して最適なサービスを提供することで、課題を解決しようという考え方。
IT業界を志す皆さんにはそのイメージを持っておいていただきたいのです。
基礎的なデータ分析を必要としているお客様には基礎的なデータ分析を、AI技術を求めるお客様にはAI技術を。コンサルティングによって適切な提案を行い、システムを導入し、お客様の経営を改善する。それが一流のSIerと言えるでしょう。
そう考えると、NTTデータという会社は、ただ最先端技術を開発するだけでなく、コンサルティングを通じて、顧客の課題の解決するサービスを提供できる。
その反対に、コンサルティングを通じて発見した顧客の課題に対して、持ち前の技術力を活かして、あらゆる側面から解決策を生み出すこともできる。
「IT×課題解決」によって、本質的な価値を生み出せる企業だと、私個人としては考えています。
―技術だけにも寄らず、提案だけにも寄らず。冒頭におっしゃっていただいた、一気通貫で価値提供をできるからこその魅力ですね。
渡部:そうした「IT×課題解決」での価値を生み出して行くために、人材戦略としても、あらゆるキャリアパスを用意しています。
お客様と折衝をする、営業やコンサルタントの役割として、お客様の課題を特定し、それに対して最適なソリューションを提案する。そのために、営業・コンサルタントとして経験を積むことはもちろん、システムエンジニアのキャリアを経験することで、システムの理解を深め、さらに最適な提案を行えるようになる。
あるいは、システムエンジニアとしての道を進んでいく中でも、実際に営業・コンサルタントとしてお客様の現場課題を知ることで、お客様に真に貢献できるようなシステムとは何かを知り、未来の開発に活かす。
そうした柔軟なキャリア選択によって「IT×課題解決」を高いレベルで実現できる人材を育てられるよう、努力しています。
―ITソリューションにおけるあらゆる知識を身につけることで、高い価値を生み出せる人材を育てていくわけですね。
渡部:そうしたキャリアパスを通じて高いスキルを身につけるとともに、先ほど申し上げたように、日本企業としてグローバル展開を進めていく。あるいは、最先端技術を活用してさらに大きな価値を生み出していく。
そうした挑戦に少しでも興味を持つ皆さんにとっては、非常に魅力的な環境なのではないかと考えています。
ぜひ皆さん、一度NTTデータという会社に触れていただければと思います。