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東大生のESを“人事のプロ”が切る「志望動機が中二病すぎる!」

新卒でIT企業に入社、3年目で採用責任者に抜擢され、累計4500名以上の学生とキャリア面談をしてきた「人事のプロ」、宮本広大(みやもと・こうだい)さん。 どんなハイスペ就活生のESもバサリと斬る、厳しくもかつ愛情溢れる指導には定評があり、外コン、外銀、大手を志望する学生からアドバイスを求められることも。 そんな「ES侍」こと、宮本さんが「上位5%の学生」のES「志望動機」を容赦なく切り捨てます!

この志望動機、正直採点するに値しません

宮本:早速だけれど、小林くんは今回のESに自己採点をすると、100点満点で何点をつける?

小林:僕としては、80点くらいかと。30点のESを出しても意味がないと思っているので、自分が自信を持って提出できるレベルのESを毎回出しているつもりです。

宮本:ふーん、そうなんだ。でも正直、このままだと採点するにも値しないESだね。点数つけるとしても、よくて10点かな。その理由は「とりあえずちゃんとした日本語で文章が書けてるから」。純粋な日本語の文章力に対して、10点ね。

小林:じゅ、じゅってん......。

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ひと言でいえば「中二病プンプンの志望動機」

宮本:とりあえず、小林くんのESを改めて見てみようか。10点のESはこれね。

宮本:このESをひと言で評すれば「パッと見アタマがよさそうな文章構成で書かれた中二病プンプンの志望動機」かな。

小林:中二病プンプンの志望動機ですか......(苦笑)それなりに書けているつもりだったんで、さすがにショック。

宮本:散々けなしておしまい、じゃあ意味がないから、詳しくみていこっか。まあ、そう暗い顔しなさんな!

ちなみに今回、小林くんに書いてもらったのは大手デベロッパーのESです。都内でも有名な商業ビルを数多く手がけ、都市設計の中心を担う業界最大手。

大学レベルでいえば、東大、早慶、一橋あたりの学生がこぞってエントリーする超難関企業。採用人数自体も多くないので、難易度は最難関レベルだね。「東大」というネームバリューだけではとても勝ち抜ける業界・企業じゃないと心しておくこと。

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志望動機に「客観的な情報」を羅列するな!

宮本:中二病臭の原因は2つあるんだよね。1つは「実体験の乏しさ」。特にこの赤で下線を引いたとこね。

宮本: 「『住みたい街ランキング』」は非常に良い指標だと考えている。なぜなら、個々の家の魅力を上回るような、街の魅力が存在するように思えてならないからである。」

「街の魅力を構成するものは、街の機能を受容するハード面と、住む人や来街者がその街に訪れた時に感じる魅力を支えるソフト面だと考えている。その両面に関われるのがデベロッパーだと思って、興味を持った。」

って書いてあるけどさ、この文章ってほとんど意味がないよ。なぜなら、「なぜ」や「主観・実体験」が、ほとんど入らないから。

「個々の家の魅力を、集合である街の魅力が上回る」「ソフト面とハード面があって、その両方に関わることができる」というのは、ただ、街づくりやデベロッパーという仕事を分析しただけの志望動機。ちょっと調べた就活生なら誰でも書けるレベル。

でも、ここって「志望動機」を書くとこだから。つまり、小林くん自身が何を考えてこの会社を志望したかを書くとこなの。

この志望動機で本当に重要なのは、「ソフト面とハード面に関わることができる」ことに「なぜ」興味を持ったのか。例えば、「こんな体験をして、こう感じたから、こんな魅力的な街が作りたいと強く思っている。」であったりね。

つまり、「主観」や「実体験」を志望動機に盛り込む必要がある。

なのに、ネットでテキトーに検索して出てきたような「志望動機」を書いても意味がない。こんなの、小林くんじゃなくても、東大みたいな良い大学を出てなくても、誰でも書ける文章じゃん。

小林:うっ...。

宮本:そもそもちゃんと質問、読んだ?「あなたが総合デベロッパーに興味を持った理由を教えてください」って書いてある。「あなたが興味を持った理由」なんだから、「他の就活生では書けないこと」つまり「キミにしか書けないこと」を書かないとダメ。

これが志望動機の書き方の鉄則ね。

だから、繰り返しになるけど、志望動機に必要なのは客観的なデータじゃなくて、キミの「主観」や「実体験」。どんなにデータを集めて、一見アタマが良さそうにそれっぽく並べても、聞かれていることが「志望動機」である以上、0点です。

小林:なるほど...確かにそうですね。

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「中学生の感想文」みたいな志望動機を書く学生は多い

宮本:で、この志望動機で「中二病感」が出ちゃってる最大の原因がこれ、ね。この赤字を引いたとこ。

小林:え、ダメっすか......?

宮本:ここも結局、どんな就活生でも書ける文章になっちゃってるんだよね。「パリは景観が良くて人々の雰囲気が良い、だから街が魅力的だ」ってものすごく薄っぺらい見解じゃん。てか、そもそも小林くん、どれくらい本気で思ってるの?パリ行ったことあるの?

小林:あります。

宮本さん:えっ?あるの? このESだと、全く伝わってこなくて、適当に調べて書いた志望動機だと思ってたんだけど(笑)。

この部分をひと言でまとめれば「パリみたいな街を日本にも作りたいんだ!」ってことでしょ? 中学生の感想文かよ! これが中二病感が漂ってきちゃう最大の原因。

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志望動機を書く前に、自分の実体験を深堀りせよ!

宮本さん:じゃあ、なんでパリっていいなって思ったのか、ちょっと説明してみてよ。

小林:はい。前提として、僕はずっと東京で暮らしているんですけど、東京に住んでいる人で「東京が世界一の街だ!」って思っている人ってあんまりいないなという風に思っていて。

それって、東京っていう街はあくまでも経済都心であって、文化の中心であるっていう意識が根本的に欠けてるのかなと、個人的には思ってます。

一方でパリは経済だけじゃなくて、文化的にも都心と言える場所で、そこに住んでいる人たちも、その魅力を認識して、パリって素晴らしい街だろ、という雰囲気を持っていると感じたんです。

宮本:いいじゃんいいじゃん。そんな風に、実際に感じて、思ったことをもっと洗い出して、志望動機に盛り込んでいかないと。そうすれば、自分の本気度であったり、熱意が伝わるESになるよ。

逆に、そういうところを盛り込まないと、さっきみたいな中身のないどんな就活生でも書ける10点のESになるからね。

面接官に「この就活生、選考に向けて調べて書いたんだろうな」って思われても仕方がない。本当は強い熱意があっても、そのままだとどこの業界・企業の面接官には評価されないよ。

ちなみに、「ソフト面とハード面」の部分についてはどう?どんなことを考えていて、なぜデベロッパー業界に関わりたいと思っているの、深い部分まで聞かせてよ。

小林:はい。これもパリに行って強く感じたことですが、「ソフト面」「ハード面」の両方が優れているのが理想的な街なんじゃないかなと僕は考えているんです。

そして、その指標として「訪れたくなる」「住みたくなる」ということがあるんじゃないかなと。

例えば、「訪れたくなるような街」っていうのは、自分の街には無いような「ハード面」が優れている街が多いんじゃないかなと思うんです。美しい建物がある、世界遺産がある、最新の交通機関が魅力的だ、とか。

ただ、それだけではダメで、さっき話したパリのように「住んでいる人たちにとっても魅力的な街」にするためには、文化などの「ソフト面」の要素が必要。

でも、「都市計画」というと、建築や設計の部分がフォーカスされがちなんじゃないかなと思うんです。その部分だけじゃなくて、文化であったり、街での交流であったり、そういったソフト面での街作りにも関わっていくことで、より魅力的な街を増やしたいと考えているんです。

そう考えると、建築をメインにする職業ではなく、総合デベロッパーという職業で街作りに関わっていくのが理想的なんじゃないか、と考えているんです。

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高学歴ほど、原体験の掘り起こしがヘタ。だから志望動機が的外れになる

宮本:なるほどね。そのままそれを志望動機に書いたらいいんじゃないかな笑 細かい内容面の整合性なんかは一旦置いて、まずはそういった自分ならではの想いや、それに至った原体験、本気度を志望業界・企業の志望動機に書くこと。それが書き方の基本だね。

小林:なるほど... 書くべき所を書けてなかったんですね。一から志望動機を書きなおしてみます。

宮本:小林くん、凄くもったいないよ。こんな風に、話を通じて深掘りをしていくと、色々考えていたことを引っ張り出してくれて、志望動機の核もあって。でも、それが全然ESに書かれてないじゃん。

今回みたいに、頭はなんとなく良さそうだけど、すごく表面的で客観的な情報だけを羅列して、なんとなくのまとまりを持たせて、400文字を終わらせる。結果10点のES。

本当にもったいない。でも、頭がいい就活生ほど、この失敗を犯しがちなんだよね。分析ができるからこそ、小林くんみたいに客観的な情報を載せてしまう。だから超人気業界の企業で、ESの段階で落ちてしまったり。

でも結局、ほとんどの企業は、志望動機では「主観」の部分を見てるから、覚えておいて。

その就活生がどれだけ強い想いを持って、どんな世界観があって、入社後どう体現していってもらえるのか。そして、そんな「主観」を持つ人が、企業でどれだけ活躍できそうか。

だから、今回のフィードバックを元に、この問いの意図をきちんと汲み取り、正しい書き方の「主観」や「実体験」をきちんと記入した上で、もう一度提出してよ。そうしたら、もっと細かい所もフィードバックしてあげられるから。

小林:はい!今日はありがとうございました。

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