人材業界とは?学生と企業をマッチさせる人材業界のビジネスモデル
―吉川さんは、人材会社で営業の仕事をされているとのことでしたが、具体的にはどのような業務をされているのでしょうか?
吉川:より理解を深めてもらうため、具体的な業務を話す前に、人材業界のビジネスモデルについてお話できればと思います。
人材業界のビジネスモデルは、簡単に言うと求人している企業に対して、実際にその企業に行きたいと思っていて、なおかつ企業が欲している人材を紹介・マッチングさせるサービスです。
人材業界におけるマネタイズポイントは主に3点。
企業が、求める人材を採用できた際にマッチングに対して成果報酬を頂くケースが1つ。採用まで行かなくても、弊社サービスを利用して学生が選考にエントリーしたとき、企業から紹介手数料を頂くというケースが1つ。そして、弊社メディアを利用し求人を行う企業からの利用料です。
以上が、おおまかな人材業界のビジネスモデルになります。
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人材業界の「営業」とは?仕事内容を解説
―紹介を通じて企業と求職者をつなぎ合わせる人材会社。吉川さんは、そのような一連のサービスの中で、具体的にはどのような業務を行っているのでしょうか?
吉村:わたしは、主に企業への営業を行っています。
多くの人材会社は、求職者(就活生など)の獲得の仕事と、求人を行う企業側の仕事を別々の社員が担います。1人の社員が、企業から求める学生像をヒアリングして、それとマッチする学生を探して紹介する・・・というわけではないということです。
弊社でも分業型をとっており、私は企業側にサービスを提供する仕事をしています。
より具体的に話していきたいと思います。
最近では、多くの人材業界の企業は、 オウンドメディア事業つまり自分たちのメディアを持っています。私はそのメディアを利用している企業に対して新卒採用の"営業・コンサルティング"を行っています。
弊社の採用メディア事業は、基本的に無料で利用できます。しかし、採用効果を高めるために、企業の紹介動画を入れる、検索順位を上げる、学生に直接ダイレクトメッセージを送れるようにするなどの「有料オプション」があります。
私は、すでに採用メディアを利用し求人を行う企業に営業に行き、この有料プランを購入してもらうことがメインの業務になります。
また、この営業に伴い、企業のコンサルティングも行います。例えば、企業が求める人材について情報収集し、明確にしてあげる。そして実際にそのような学生を獲得するまでのフローを構築してあげる。実際のエントリー数などをもとに、今後の施策を考えるなどです。
このようなコンサルティング・提案を通して、無料プランから有料プランへと移ってもらうよう、企業の人事・経営層に営業をしていきます。
―就職の際によく利用される求人サイトは、そのようなカラクリがあったんですね!驚きです。普段は、どのような流れで1日仕事をされているのですか?
吉村:朝はいつも9時くらいに出勤します。
出勤後、まずはメール対応することが多いですかね。先方からメールが来ていないか確認して、返信します。採用本格的に始まる3月あたりからは、何十社もの企業とのメール対応をしなければいけないため、なかなか大変です。
その後は、クライアント企業への営業の際に使う資料を作成し、 作成が終わったら実際に会社を出て、営業に向かいます。
アポは行き帰りでおよそ2~3時間くらいかかります。そのまま帰宅する日もありますが、会社に一度戻ってきて、日報-今日の業務のまとめと成果-を書いてから帰ることが多いですね。なので、帰宅するのはいつも19時くらいです。
また、このほかにも、上司と仕事の進捗状況や課題について話し合う1対1のMTGがあったり、昨今の採用事情についての勉強会などもあります。これから就活はどうなっていくのか。世間ではどのような職業の需要が減り、反対により求人が増える職業は何かなどを、社内の中で学びます。
―資料作成というのは具体的にどのようなことを行うのですか。
吉村:例えば、現状の学生のアクションの数をまとめることがあります。何人がクライアントの企業に興味を持っているのか?/説明会に申し込んだか?/プレエントリーをしたか?などの数値を、他の部署がデータとしてまとめてくれるので、そのデータをもとに、今後の方針だったり、利用すべき有料プランの提案するための資料を作成します。
例えば、「興味あり」の数が少なかったり、エントリーしてくれる学生の数が目標より少なかったら、起業認知のために有料プランにしてランキングを上げるべきと提案することがあります。
また、企業ページは多くの人が見てくれているけど、エントリー数が少ないときには、より企業の社風や事業内容の魅力を伝えるために、企業の紹介動画を取り入れることを提案したりもします。
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「人材業界の営業職は激務」その実態とは!?
―よく「人材業界の営業は激務」という情報を聞くことも。実際はどうなのでしょうか?
吉村:よく言われていますよね。「名刺100枚もらってくるまで帰ってくるな!」「ビルの1階から一番上まですべて訪問!」みたいな(笑)
確かに、忙しいというのはあると思います。今の状況で言うと、求人倍率が高くなり、多くの企業が求人を出しているという構図もあるので。
しかし、以前よりは大きく改善されているのではと思います。弊社では、会社全体として業務の効率化を図っていて、例えば直接出向いて伺う必要のない求人案件に関しては、電話アポやメールで済まして、必要のある場合のみ企業にアポしに行くなどのシステムをとるようになりました。
人材業界の営業業務のやりがいとは?
―吉村さんは、人材業界の営業業務の中で、どのようなやりがいを感じていますか?
吉村:決して楽とは言えない業務ですが、そのような業務の中でやりがいを感じる瞬間が大きく2つあります。
1つ目は、「クライアント企業の社員さんの採用に対するやる気を高められたとき」です。
先ほどもお話しましたが、私は営業の際には、企業の現在の採用の進み具合などを分析し、「現状のままでは厳しいですよ」「もっと本気で採用に取り組まないといけないですよ」ということを、熱量を持って企業にお伝えしています。
その結果、企業の人事の方が、目の色を変えて採用に本気で取り組んでくれるようになったとき。そんなときには、営業をやっていてよかったなと感じますね。
そして2つ目は、「クライアント企業が、目標獲得数を達成できたとき」ですね。
私は約1年間、人材紹介だけでなく採用活動のコンサルティングをしたり、企業の相談に実際に乗って、2人3脚のような間柄で採用を進めていきます。
そうして良い人材を紹介した結果、クライアント企業が採用に成功し、人事の方が喜んでいる姿、感謝してくれる姿を見たときには、素晴らしい仕事に携わることができたなと感じます。
―反対に、仕事に対して不満に思うことはありますか?
吉村:これは、会社の規模が大きいことが関係しますが、「深くクライアントの企業と向き合うことができない」ということが挙げられます。
人材業界を志望する就活生の中には、人に携わる仕事がしたい、人の役に立ちたいという思いから、この業界を選ばれる学生も多いかと思います。
しかし、いまは売り手市場ということもあり、本当に多くの企業を顧客として抱えています。若手の社員でも30-40社、多い人だと70社くらいの求人案件を1人で受け持ちます。
そのため、どうしても"数をこなす"、"営業目標を達成する"ことに目が向いてしまい、なかなか本当に1つ1つの企業と正面から向き合って、2人3脚で採用を進めていくことが薄くなってしまいがちです。
先ほどお話した、作業効率化のための、電話相談の導入も、薄い付き合いになってしまっている1つの理由ですね。
また、人材業界を志望する学生の中には、"キャリア"に関心があり、学生のキャリア選択のサポートに仕事として携わりたい"という学生も一定数いるかと思います。
しかし、多くの企業では、どの事業や部署に配属されるかは上司の判断に依存します。そのため、人材会社に入社しても、学生ではなく、企業の人事・経営層などが仕事相手になる可能性も多々あります。
人材業界に入ったらできると思っていた人材紹介の仕事と、実際の業務内容が違った。やりたいことが出来なかった。これは同期が転職していく、1つの大きな理由です。
人材業界で働く、吉村さんからの就活生へのアドバイスとは?
ー最後に、人材業界で働く吉村さんから、就活生に向けてアドバイスを一言お願いします。
吉村:「入社後どのような業務を行うのか、細部まできちんと理解した上で就活を行え」ということを伝えたいです。
新卒の約3割が3年以内に辞める。その大きな理由の1つは、「仕事が合わない」から。
「内定を獲得することだけに目が行ってしまい、結果内定はもらえたけど、入社してみたら自分がやりたいと思っていた仕事と全く違った、、、」という事例は多いと思います。
だから就活生には、選考対策だけでなく、
・自分は仕事としてなにに携わりたいのか、なにが得意なのか ・どの企業に行けば、その仕事ができるのか
この2点に関しても、きちんと情報を収集し、整理しながら就活に取り組んでもらいたいなと思います。
―内定に目が向いてしまい、自分のやりたい仕事と、入社後できる仕事がきちんとリンクするような企業を選ぶことがないがしろになりがちですが、その点が実際に働かれる上ではとても重要なのですね。貴重なお話、ありがとうございました!
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