「広告業界は華やかで人気だから、倍率が高くて不安」
「自分の『好き』をどうビジネス視点に変えればいいかわからない」
これは、広告業界を志望する学生の多くがぶつかる壁です。説得力のある志望動機を作るには、単なる憧れではなく、採用視点に基づいた論理的な構成が欠かせません。
本記事では、元日系大手人事で、en-courageの就活サポーターとしても学生を支援している成田さん監修の基、en-courage利用者へのインタビュー内容も交えて、採用担当者に響く志望動機の作り方を7つのステップで解説します。業界の基礎知識から構成・書き方のポイント、業態・職種別の例文まで掲載していますので、ぜひお役立てください。
広告業界の採用担当者が志望動機で見ているポイント
元人事の成田さんは、採用担当者が膨大なエントリーシートの中で特に重視するのは「業界を選んだ理由」「企業を選んだ理由」「入社後の貢献イメージ」がしっかり言語化できているかだと語ります。ここでは、広告業界の志望動機で評価の分かれ目となるポイントを解説します。
【最重要】「なぜ広告業界か」を言語化できているか
広告業界の志望動機では「なぜ他の業界ではなく広告業界なのか」という根拠が不可欠です。ここが曖昧な場合、「それならメーカーの宣伝部でもよいのでは?」「コンサルティング業界でも課題解決はできる」といった指摘を受けることになります。広告業界独自の役割やビジネスモデルを正しく理解し、自身の成し遂げたいことがこの業界でしか実現できない理由を、明確に言語化する必要があります。
メーカー・マスコミ・コンサルではなく広告代理店を選ぶ理由
広告代理店は、自社商品を持たず、コミュニケーションの力でクライアントの課題解決を行うビジネスモデルです。
- 対メーカー:自社商品に縛られず、あらゆる商材の課題解決ができる。
- 対マスコミ:枠を持つだけでなく、「どう届けるか」を企画から担える。
- 対コンサル:ロジックだけでなく、「心を動かすクリエイティブ」で解決できる。
これらの差異を理解し、「無形商材で勝負したい」「心を動かす仕掛けを作りたい」といった、広告代理店ならではの機能に惹かれていることを論理的に説明しましょう。
「憧れ」「CMが好き」だけでは通用しない理由
「昔からCMが好きだった」「華やかな世界に憧れている」という動機はきっかけとしては有効ですが、それだけでは選考を通過できません。広告業界は華やかな一面の裏に、泥臭い調整業務や地道なデータ分析、クライアントワークの厳しさがあります。単なる「ファン」としての視点ではなく、ビジネスとして広告を捉え、その厳しさも含めて志望しているという覚悟を示すことが重要です。
なぜその企業なのか(他社との差別化)
「なぜ広告業界か」の次は、「なぜその会社なのか」が問われます。広告代理店は一見すると似たようなサービスを提供しているように見えますが、企業理念、得意とする領域(メディア、クリエイティブ、デジタルなど)、社風、強みは異なります。
他社でも通用する汎用的な内容ではなく、その企業の独自の強みやビジョンに共感し、自分の強みがそこでどう活きるかを具体的に結びつけることが差別化のポイントです。
入社後にどう貢献できるか
企業は採用活動を通じて、自社の利益に貢献できる人材を探しています。「勉強させてほしい」「成長したい」という受け身の姿勢(テイカー)ではなく、自分が企業にどのような利益をもたらすことができるか(ギバー)の視点が必要です。
「私の○○という強みを活かして、貴社の××事業の拡大に貢献したい」など、入社後の活躍イメージを採用担当者が具体的に描けるように伝えましょう。
広告業界の志望動機を作る7つのステップ【全体像】
en-courage利用者へのインタビューや、多くの就活生を支援してきた成田さんの知見に基づくと、広告業界の志望動機を作成するには7つのステップを踏むと内定に近づくことがわかりました。次のセクション以降では、以下のステップに沿って解説していきます。
- ステップ①:広告業界の基礎知識を押さえる
- ステップ②:広告業界にどういう魅力を感じたのかを整理する
- ステップ③:その企業にどういう魅力を感じたのかを整理する
- ステップ④:広告業界で活かせる自分の強みを整理する
- ステップ⑤:構成・書き方・注意点を押さえる
- ステップ⑥:例文を参考にしながら書く
- ステップ⑦:就活のプロに添削してもらう
【ステップ①】広告業界の基礎知識を押さえる
説得力のある志望動機を作るには、土台となる業界知識が欠かせません。成田さんは、「業界構造を正しく理解している学生は、それだけで志望度の高さを評価される」と指摘します。まずは広告業界の全体像を把握しましょう。
広告代理店のビジネスモデル
広告ビジネスは、「広告主(クライアント)」「媒体社(メディア)」「広告代理店」の3者の関係で成り立っています。
- 広告主:商品やサービスを宣伝したい企業。
- 媒体社:テレビ局や新聞社、Webメディアなど広告枠を持つ企業。
- 広告代理店:両者をつなぐ仲介役。広告枠の売買や広告制作のディレクションを行い、手数料(コミッション)や制作費で収益を得ます。近年では仲介だけでなく、マーケティング戦略全体を設計するコンサルティング的な役割も強まっています。
広告会社の種類と特徴
広告会社は大きく以下の3つに分類されます。それぞれの特徴を理解し、自分がどのフィールドで活躍したいかを明確にしましょう。
総合広告代理店
テレビ、新聞、雑誌、ラジオの4マス媒体から、デジタル、イベント、プロモーションまで、あらゆる広告手法を総合的に取り扱います。電通、博報堂、ADKなどが代表例です。大規模な案件や、メディアを横断したクロスチャネルの提案ができる点が強みです。
専門広告代理店
特定のメディアや領域に特化した代理店です。特に近年成長が著しいのが「インターネット広告専業代理店」で、サイバーエージェントやオプトなどが挙げられます。特定の分野における深い専門知識やノウハウを持ち、高い費用対効果を追求できるのが特徴です。
ハウスエージェンシー
特定の事業会社(鉄道会社やメーカーなど)の宣伝部が独立する形で設立された代理店です。親会社の案件を専属で扱うため、経営戦略に近い位置で広告に関われるほか、親会社の持つ資産(駅や車両など)を活用した独自の提案ができる点が強みです。
広告業界の主な職種
広告の仕事はチーム戦であり、役割ごとに職種が分かれています。
営業(アカウントエグゼクティブ・プロデューサー)
クライアントの最前線に立ち、課題のヒアリングから予算管理、スケジュール調整、社内スタッフの統括を行う司令塔です。プロジェクト全体の責任者として、クライアントと制作現場をつなぐ重要な役割を担います。
企画・マーケティング(ストラテジックプランナー)
市場調査やターゲット分析を行い、「誰に」「何を」「どう伝えるか」という広告戦略の骨子(コンセプト)を立案します。データに基づいた論理的な思考力と、消費者のインサイト(深層心理)を読み解く力が求められます。
クリエイティブ(コピーライター・デザイナー・ディレクター)
戦略に基づき、実際に目に見える広告表現(キャッチコピー、デザイン、CM映像など)を制作します。創造性だけでなく、戦略を的確に表現に落とし込む技術が必要です。
押さえておきたい業界トレンド
広告業界は変化の激しい業界です。主なトレンドは以下のとおりです。
- デジタルシフトの加速:インターネット広告費はマスコミ四媒体広告費を上回っています。
- 動画・SNSの重要性:動画広告の普及や、SNSマーケティングの重要性が増しています。
- 既存メディアのDX化:テレビなどの既存メディアもデジタルと融合した新しい価値を模索しています。
- ビジネスプロデュースへの拡大:単なる広告枠の販売から、クライアントの事業成長を支援する領域へと広がっています。
【ステップ②】広告業界にどういう魅力を感じたのかを整理する
成田さん曰く、選考を通過する学生は「なぜ広告業界でなければならないのか」を自分の言葉で語っていると言います。単なる「好き」ではなく、ビジネスとしての面白さや意義に焦点を当てて魅力を整理しましょう。
広告業界ならではの仕事の魅力・やりがい
人の心を動かし、行動を変容させる影響力
広告の最大の魅力は、クリエイティブやメッセージを通じて人の心を動かし、世の中のブームを作ったり、人々の行動を変えたりする社会的影響力の大きさです。自分が関わった仕事が世に出て、多くの人の目に触れ、話題になることへの達成感は、この業界ならではのやりがいと言えます。
クライアントの課題解決(コンサルティング要素)
広告はアートではなく、クライアントの課題(売上アップ、認知拡大、ブランディングなど)を解決するための手段です。クライアントのビジネスに深く入り込み、パートナーとして事業成長をサポートできる点は、コンサルティング業界にも通じる知的興奮があります。
無形商材だからこそ「人」で勝負できる
広告代理店には売るべき決まった「モノ」がありません。提案する企画やアイデア、そしてそれを推進する「人」こそが商品です。自分の人間力や提案力がダイレクトに評価され、クライアントからの信頼につながる点は、自分自身で勝負したい人にとって大きな魅力です。
「消費者(ファン)」視点から「仕掛け人(プロ)」視点への転換方法
志望動機を深めるには、単に広告を受け取る「消費者」の視点から、広告を企画・制作する「仕掛け人」の視点へと意識を切り替える必要があります。普段目にする広告に対して、「なぜこのタレントなのか」「なぜこのキャッチコピーなのか」「ターゲットは誰か」と背景にある戦略を考察する癖をつけましょう。
【ステップ③】その企業にどういう魅力を感じたのかを整理する
en-courage利用者にインタビューをしたところ、内定者の多くが「企業ごとの独自性を徹底的にリサーチした」と回答しています。競合他社と比較し、その企業でなければならない理由を明確にしましょう。
企業研究で押さえるべきポイント
企業研究では、HP上の基本情報だけでなく、以下の視点で情報を集めると特徴がつかみやすくなります。
- 実績:どのような案件が多いか。
- 強み:デジタル、イベント、グローバルなど、どこに強みがあるか。
- 理念・ビジョン:企業が目指す方向性や社会に対する姿勢。
- 社風:どのような社員が活躍しているか。
3つの分類(総合・専門・ハウス)ごとの志望動機の方向性
業態特性に合わせた志望理由の組み立てが基本です。
- 総合代理店:規模感やメディアミックスによる統合的な提案。
- 専門代理店:特定領域における高い専門性と成果へのこだわり。
- ハウスエージェンシー:親会社(事業会社)に近い立場での深い事業理解と連携。
競合他社との差別化の視点
特に大手総合代理店を受ける場合、競合他社との違いを問われます。例えば、電通は「圧倒的な実行力とビジネスプロデュース力」、博報堂は「生活者発想とクリエイティビティ」といった一般的なイメージだけでなく、最新の中期経営計画や注力している新規事業などを引き合いに出し、より具体的な違いを自分の言葉で語れるようにしましょう。
OB・OG訪問や説明会で「リアルな情報」を得る重要性
ネット上の情報は誰もがアクセスできるため、差別化が困難です。OB・OG訪問や説明会に参加し、実際に働いている社員から「現場のリアルな声」や「仕事への想い」を聞くことで、志望動機に厚みと独自性が生まれます。「社員の〇〇さんの話に感銘を受け」というエピソードは強力な武器になります。
【ステップ④】広告業界で活かせる自分の強みを整理する
採用担当者が知りたいのは、あなたが「広告業界で活躍できる適性」を持っているかどうかです。ゼロから強みを考える必要はありません。以下のリストをご自身の経験と照らし合わせ、最も説得力を持って語れるポイントを見つけ出しましょう。
広告業界で求められる人物像
広告業界では、変化を楽しみ、新しい価値を創造できる人材が求められます。具体的には以下の要素がキーワードになります。
- 調整力・コミュニケーション能力:多くの関係者をまとめる力
- 課題発見・解決力:本質を見抜き、論理的に戦略を組み立てる力
- 精神的タフネス:困難な状況でもやり抜く力
- 発想力・情報感度:トレンドをキャッチし、新しい企画を生み出す力
広告会社の種類や職種によって重視される要素は異なりますが、コミュニケーション能力と課題解決力はどの広告会社でも共通して求められる資質です。
求める人物像に合う強みとエピソードを探す
以下の問いかけを参考に、求められている強みやそれを裏付けるエピソードがあるかを確認してみましょう。
-
調整力・コミュニケーション能力
- 立場や意見の異なる複数の関係者の間に立ち、全員が納得する着地点を見つけた経験はあるか?
- 相手の意図を正確に汲み取り、こちらの考えをわかりやすく伝えて協力を引き出した経験はあるか?
-
課題発見・解決力
- 表面的な問題ではなく、その奥にある「本質的な課題」を見抜いた経験はあるか?
- 感覚ではなく、データや根拠に基づいて「なぜそうすべきか」を論理的に説明し、相手を納得させた経験はあるか?
-
精神的タフネス
- 正解のない問いや、急なスケジュール変更にも粘り強く対応し、最後までやり遂げた経験はあるか?
- 周囲が諦めそうな状況でも、泥臭く行動し続けて成果を出した経験はあるか?
-
発想力・情報感度
- 日頃から世の中のトレンドや新しい情報にアンテナを張り、それを活かした経験はあるか?
- 既存の枠にとらわれず、周囲を驚かせるようなアイデアを提案した経験はあるか?
【ステップ⑤】構成・書き方・注意点を押さえる
成田さんが多くのエントリーシートを添削する中で、内容が良くても構成で損をしているケースが散見されました。読み手である採用担当者にストレスなく内容を届けるためには、論理的な構成が不可欠です。
志望動機の基本構成
わかりやすい志望動機は、基本的に以下の順番で構成されています。この型を守ることで、話のブレを防ぎ、採用担当者に要点を的確に伝えることができます。
- 書き出し(結論):「なぜ志望するのか」という結論を冒頭で一言で述べ、採用担当者に第一印象で理由を明確に伝えます。
- 将来像(ビジョン):入社直後だけでなく、5年後などにどう成長していたいかというキャリアビジョンを語り、企業と共に未来を描く姿勢を示します。
- 原体験(背景):その業界や企業に興味を持ったきっかけとなる具体的な過去の経験(エピソード)を述べ、志望理由に説得力と独自性を持たせます。
- この業界を選んだ理由:業界全体の特徴や魅力を理解した上で、それが自身の価値観や経験とどう結びついているかを説明します。
- この企業を選んだ理由:同業他社ではなく、その企業独自の強み(理念・事業・社風など)を挙げ、「なぜこの会社でなければならないか」を明確にします。
- 締めくくり(結論の強調):自分の強みや経験を活かして、入社後に具体的にどのような形で貢献したいかを宣言し、熱意をアピールして結びます。
書き方のポイント
読みやすく、かつ評価される文章にするためのテクニックを紹介します。これらを意識するだけで、文章の質がグッと向上します。
- 求める人物像にマッチさせる:自分の強みや価値観を企業の理念や仕事内容と結びつけ、単なる熱意だけでなく「入社後に働いている姿」を具体的にイメージさせます。
- 結論ファーストで書く:「なぜ志望するのか」という結論を冒頭で明確に伝え、採用担当者が続きを理解しやすい構成にします。
- 定量的に書く:取り組みの成果や規模を具体的な数字(例:「20%向上」)で表すことで、説得力を高め、読み手との認識のズレを防ぎます。
- 他社にはない企業の強みに言及する:企業研究に基づき、競合他社にはないその企業独自の特徴や魅力に触れることで、高い志望度を伝えます。
- 原体験を具体的に述べる:無理に「その企業でなければならない理由」を作るのではなく、自身のライフヒストリー(過去の経験や価値観)に基づいた正直な理由を伝えます。
- インパクトのある書き出しと締めくくりにする:書き出しで読み手の興味を惹きつけ、締めくくりで入社後の活躍を強く印象づけることで、評価を高めます。
やってはいけないNG例・注意点
避けるべき表現を知ることで、マイナス評価を防ぐことができます。よくある失敗例とその改善策を確認しましょう。
- 「面白いCMを作りたい」など憧れだけで終わる:単なるファン目線や憧れだけでは、ビジネスパーソンとしての適性を疑われます。
- どの代理店でも使い回せる内容:社名を入れ替えればどこでも通じる内容はNGです。その企業ならではの要素を盛り込みましょう。
- 「クリエイティブ職志望」としてのアピールが無い:実績がない場合は、思考プロセスや企画力で勝負する必要があります。
- 「成長したい」「学びたい」など受け身:会社は学校ではありません。「自ら成長し、会社に貢献する」という主体的な姿勢を示しましょう。
▼志望動機の構成・ポイント・注意点について詳しく知りたい方は、以下の記事もご参照ください。
エントリーシートの志望動機の構成と書き方!周りと差をつけるポイントを元日系大手人事が解説
【ステップ⑥】例文を参考にしながら書く
ここでは、広告業界の企業タイプ別・職種別の志望動機例文を紹介します。成田さんが実際に添削してきた事例をもとに、ポイントも解説しています。これらをヒントに、自分だけのエピソードを盛り込んで作成してください。
【企業タイプ別】広告業界の志望動機例文5選
総合広告代理店
<例文>
私は「言葉と仕組みで社会課題を解決する」を実現したく、貴社を志望します。大学時代、NPO法人の広報ボランティアとして活動した際、活動内容は素晴らしいのに認知不足で支援が集まらない現状に直面しました。そこで、活動のキャッチコピーを刷新し、SNSと地域イベントを連動させたキャンペーンを企画・実行したところ、支援者数が前年比200%に増加しました。この経験から、想いを適切な表現と戦略で届ける広告の力に魅了されました。中でも貴社は、従来の広告枠を超えたビジネスプロデュース領域に強みを持ち、社会課題解決の実績が豊富です。貴社の持つ圧倒的なリソースと私の行動力を掛け合わせ、世の中をよい方向に動かすムーブメントを創り出したいと考えます。
<ポイント>
- ビジョン:社会課題解決という大きな視点を持つ
- 原体験:ボランティアでの具体的な成功体験(数値入り)
- 企業理解:ビジネスプロデュース領域への言及
ネット専業代理店(デジタルエージェンシー)
<例文>
データに基づく確実なアプローチで、企業の成長を最速で支援したく貴社を志望します。私は長期インターンでWebメディアの運営に携わり、記事のアクセス解析と改善を繰り返すことでPV数を半年で3倍に伸ばしました。この経験から、感覚ではなくデータに基づいて施策を打ち、ダイレクトに結果が出るデジタルマーケティングの面白さを知りました。貴社は業界トップクラスの運用実績を持ちながら、AIを活用したクリエイティブ生成など常に最先端の技術を取り入れています。変化の速いデジタル領域で、貴社の高い技術力を吸収し、クライアントの成果を最大化するプロフェッショナルになりたいです。
<ポイント>
- 強み:データ分析への興味と実績
- 原体験:インターンでのPV向上実績
- 企業理解:技術力と変化への対応力への共感
ハウスエージェンシー
<例文>
「移動」という日常の瞬間に新たな価値を付加したいと考え、貴社を志望します。私は旅行が好きで、移動中の電車内でふと目にした広告から新しい旅先を決めることがよくあります。鉄道空間という、生活者が日常的に利用する独自のタッチポイントを持つ貴社でなら、生活者の行動導線に寄り添った効果的なコミュニケーションが可能だと考えます。特に、貴社が親会社の鉄道データを活用して展開している位置情報マーケティングに強い関心があります。私の強みである「相手の立場に立って考える力」を活かし、乗客にとっても有益で、クライアントの課題も解決する広告空間をプロデュースしたいです。
<ポイント>
- 独自の強み:鉄道空間・データへの言及
- 原体験:自身の体験に基づく「移動」へのこだわり
- 貢献:ユーザー視点を活かした提案
広告制作会社(プロダクション)
<例文>
人の記憶に残り続ける映像を作りたく、貴社を志望します。幼少期に見た貴社制作の飲料メーカーのCMは、15秒という短さでありながら、今でも鮮明に覚えているほど衝撃的でした。大学では映像制作サークルに所属し、地域のPR動画制作において監督を務めました。「誰に何を伝えたいか」を徹底的に議論し、コンテに落とし込んだ結果、自治体のコンテストで最優秀賞をいただきました。貴社の「細部まで魂を込める」という制作ポリシーに深く共感しており、妥協のないクリエイティブの現場で、泥臭く技術と感性を磨き続けたいと考えています。
<ポイント>
- 熱意:具体的な作品への憧れと制作へのこだわり
- 原体験:自主制作での実績と評価
- 覚悟:泥臭い現場への適応意欲
PR会社・SPエージェンシー
<例文>
世の中の空気感を醸成し、ブームの火付け役になりたいと考え、貴社を志望します。広告代理店が「枠」を買うのに対し、PRは第三者視点での信頼性の高い情報を広める点に魅力を感じています。カフェのアルバイトで、新商品の写真を映える構図でSNSに投稿し続ける施策を店長に提案・実行したところ、SNS経由の来店客が急増し、行列ができる店になりました。この経験から、情報の広がり方を設計する面白さを学びました。戦略PRに強みを持つ貴社で、単なる情報発信ではなく、社会現象となるようなトレンドを生み出す仕掛け作りに挑戦したいです。
<ポイント>
- 業界理解:広告とPRの違いへの言及
- 原体験:アルバイトでのSNS活用成功体験
- 貢献:戦略的な仕掛け作りへの意欲
【職種別】広告業界の志望動機例文5選
営業職(アカウントエグゼクティブ)
<例文>
クライアントの最良のパートナーとして、課題解決の先頭に立ちたいと考え、営業職を志望します。私はテニスサークルの代表として、メンバー100名の意見を調整し、合宿の運営を行いました。多様な意見が出る中で、一人ひとりと対話を重ねて妥協点を見出し、全員が納得するプランを作り上げた経験から、調整力と対人折衝力に自信があります。広告営業は、社内外の多くの人を巻き込みながらプロジェクトを推進する要のポジションだと認識しています。持ち前の粘り強さと「聞く力」を活かし、クライアントの潜在的な課題を引き出し、社内のクリエイターと協力して最適なソリューションを提供したいです。
<ポイント>
- 強み:調整力、対人折衝力、粘り強さ
- 原体験:サークル代表としての調整経験
- 職種理解:プロジェクト推進の要としての認識
マーケティング・ストラテジックプランナー職
<例文>
生活者のインサイトを突き止め、心を動かす戦略を描きたく、プランナー職を志望します。大学のゼミでは行動経済学を専攻し、「なぜ人はモノを買うのか」という心理メカニズムを研究しました。また、ベンチャー企業での長期インターンでは、アンケート調査の分析から若年層向けの新規事業立案に関わりました。データという客観的な事実と、人間らしい感情の両面からアプローチできるのが私の強みです。貴社のプランナーとして、徹底的なリサーチと論理的思考に基づき、ターゲットの心に深く刺さるコミュニケーション戦略を立案し、クライアントのビジネス成長に貢献したいです。
<ポイント>
- 強み:論理的思考力、データ分析力、インサイト発見
- 原体験:学業での研究とインターンでの実務経験
- 職種理解:データと感情の両面からのアプローチ
クリエイティブ職(コピーライター・デザイナー)
<例文>
言葉の力で、商品と生活者の新しい関係性を築きたく、コピーライターを志望します。私は言葉には現状を打破する力があると信じています。大学の演劇サークルで脚本を担当した際、観客の反応を見ながらセリフの言い回しを微修正し続け、アンケートで「言葉が心に刺さった」という感想を多数いただきました。この経験から、たった一言が人の感情を揺さぶる可能性に魅了されました。貴社の制作事例に見られる、社会の常識を問い直すような強いメッセージ性に惹かれています。常に「なぜ?」を問い続ける思考力を活かし、単なる説明ではない、発見のある言葉を紡ぎ出したいです。
<ポイント>
- 強み:言葉へのこだわり、観察力
- 原体験:演劇での脚本執筆と観客の反応
- 職種理解:発見のある言葉による課題解決
デジタル広告運用コンサルタント職
<例文>
デジタル広告の運用を通じて、クライアントの成果を最大化するプロフェッショナルになりたいです。私は数字の変化を分析し、仮説検証を繰り返すプロセスに熱中するタイプです。個人で運営しているブログでは、Googleアナリティクスを用いてユーザーの流入経路や滞在時間を分析し、記事のタイトルや構成を改善し続けた結果、月間3万PVを達成しました。このPDCAを回し続ける泥臭さと数字への執着心は、広告運用において必須の資質だと考えます。貴社の高度なナレッジと運用体制のもとで、最新のアルゴリズムやトレンドをキャッチアップし続け、数値成果にコミットできるコンサルタントを目指します。
<ポイント>
- 強み:数値分析力、仮説検証力、PDCA
- 原体験:ブログ運営での実績
- 職種理解:泥臭い改善と成果へのコミット
メディア担当職
<例文>
メディアの持つ可能性を広げ、最適なコンタクトポイントを設計したいと考え、メディア職を志望します。テレビ離れが叫ばれる中、私はテレビとSNSを連動させたリアルタイム視聴の面白さに可能性を感じています。大学祭の広報係として、構内放送とTwitterの実況を組み合わせた企画を行い、過去最高の集客を実現しました。メディアにはそれぞれの特性と役割があり、それらをどう組み合わせるかで効果が変わることを学びました。貴社はメディアとの強いパイプを持ちながら、デジタルとの融合にも積極的です。私の柔軟な発想力を活かし、メディアの価値を再定義するような新しい枠組みや企画を開発したいです。
<ポイント>
- 強み:メディア特性の理解、組み合わせの発想
- 原体験:メディアミックス的な広報活動の実績
- 職種理解:メディアの価値向上と最適配置
【ステップ⑦】就活のプロに添削してもらう
成田さんが実際に人事として選考を行う中で感じたのは、添削を経た志望動機とそうでないものには明確な差があるということです。志望動機の完成度を高める最終工程として、第三者によるチェックは不可欠です。
なぜ第三者の添削が必要か
第三者に読んでもらうことで、自分では気づかない誤字脱字や表現の曖昧さを発見できます。また、自分の中では伝わっているつもりでも、他者には理解しづらい部分があるかもしれません。客観的な視点でのフィードバックにより、より完成度の高い志望動機に仕上げられます。
添削を受ける際のポイント
添削を依頼する相手としては、特に就活エージェントがおすすめです。多くの学生の志望動機を見てきた経験から、企業目線での具体的なアドバイスを得られます。
添削時にチェックしてもらうべきポイントは以下の通りです。
- 論理的な構成になっているか
- 誤字脱字がないか
- 敬語の使い方が正しいか(特に「御社」と「貴社」の使い分け)
- 結論ファーストになっているか
- 抽象的な表現が多くないか
これらの観点で具体的な改善案をもらうことで、説得力のある志望動機に仕上げられます。
就活エージェントを活用するメリット
就活エージェントを活用すると、志望動機の添削だけでなく、業界や企業に関する専門的なアドバイスを受けられます。多くの学生を見てきた経験から、効果的な表現方法や改善ポイントを具体的に教えてもらえますので、積極的に活用しましょう。
よくある質問・FAQ
就活のサポーターとしてよく聞かれる質問や、en-courage利用者へのインタビューで出てきた疑問への回答をご紹介します。
広告業界は激務?志望動機で触れるべき?
広告業界は業務量が多く、激務になりがちなのは事実です。しかし、志望動機で「激務でも耐えられます」とわざわざ書く必要はありません。それはネガティブな要素への耐性をアピールしているだけで、前向きな貢献意欲ではないからです。
ただし、面接で「タフな環境だが大丈夫か」と問われることはあります。個別の企業ごとの働き方や、どうアピールすべきかについては、就活エージェントに相談して適切な回答を用意することをおすすめします。
クリエイティブな経験がなくても大丈夫?
総合職(営業やマーケティング)志望であれば、特別なクリエイティブ経験(デザインや動画編集など)は必須ではありません。むしろ、チームをまとめるリーダーシップや、課題解決のための思考力の方が重視されます。
ただし、「何かを生み出すことへの興味」は重要です。職種ごとの求められる資質やアピール方法は、就活エージェントに相談し、自身の経験から最適な要素を引き出してもらいましょう。
面接で「好きな広告は?」と聞かれたらどう答える?
単に「〇〇のCMが好きです、面白いからです」では不十分です。「なぜその広告が好きなのか」「ターゲットは誰で、どのような戦略意図があると思うか」まで分析して答えましょう。どのような広告を選び、どう分析すべきかは、就活エージェントなどのプロに壁打ち相手になってもらうのが近道です。
▼面接での志望動機の答え方について詳しく知りたい方は、以下の記事もご参照ください。
【長さ別の例文付き】面接での志望動機の「評価される話し方」を元人事が解説
志望動機は何文字くらいが適切?
指定がない場合、エントリーシートでは300〜400文字程度が一般的です。これは、1分程度で読める分量であり、結論・理由・具体例・結びをバランスよく盛り込める長さです。もし適切な分量や構成に迷うようなら、就活エージェントに添削を依頼することをお勧めします。プロの視点から、限られた文字数で最大限にアピールするための具体的なアドバイスが得られます。
監修:成田 駿
元日系大手人事/就活サポーター
日系大手事業会社で最年少部長に就任し、新卒採用に5年以上従事。戦略設計からイベント企画、選考フロー、研修まで新卒採用の入口から出口までを幅広く担当し、延べ3,000名以上の学生と接点を持つ。人事業務以外でも累計2,000名以上の就活生を個別に支援し、大手・外資・メガベンチャーなど多様な企業への内定実績を誇る。
協力:NPO法人en-courage
全国約120の大学に支部を展開し、就活生を対象としたキャリア教育支援を行うNPO法人。独自にイベントやメディアを多数運営し、年間2,500件以上のセミナーを開催。企業と学生の間に年間約80万回の接点を創出するなど、国内最大級の規模で活動している。すべての就活生が本質的なキャリアを通じて人生を最大化できるよう、個別支援やコミュニティづくりを通じたサポートを目指している。