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適性検査のSPI対策 企業の人事が見るポイントは?

数ある適性検査のなかでも全国で最も利用されている適性検査が「SPI」。4割の企業が適性検査にSPIを使っています。この記事ではSPIの特徴や受検の流れ、対策方法の他、企業の人事が見るポイントを解説していくので就活生には必見の内容です。しっかり対策をしましょう。

適性検査SPIとは?

SPIとは、リクルートが開発した適性検査の一つ。

適性検査とは、筆記テストやWebテストを用いて学生の能力や性格を判定し、その結果から合否を決定したり、次の段階に進む人を選抜したりするものです。

SPIは、この適性検査のなかで、全国で最も利用されており、全国の4割の企業が適性検査にSPIを使っています。

そのため、就活においてSPIを受けずに済ませることはないといえるでしょう。

SPIは、採用試験の初期に実施する企業が多いため、ここでパスしなければ次のステップに進むことができません。

また企業によっては面接通過後に行うケースもあります。

いずれにしても対策は必須。

SPIにも能力検査と性格検査があります。

能力検査は中高生レベルの簡単な問題が多いですが、大学に入って中高の勉強は忘れてしまっていることが多いです。

またSPI独特の形式の問題が多いので、本番で焦らず、スピーディーに、得点をとっていくためにもきちんと準備をすることは必須といえます。

この記事ではSPIの内容やポイントを解説していきます。 SPIの内容を知り、特に能力検査においては対策本を使って演習を重ねることが大切です。

適性検査SPIの言語・非言語って?

SPIには、大きく分けて能力検査と性格検査があります。

能力検査は、働く上で必要となる知的能力を測るもの。 性格検査は、学生の人となりを把握するためのものです。 

さらに、能力検査のなかに、中高の数学の問題に似た非言語、国語の問題に似た言語があります。

企業によってはこれに加え、英語や構造把握といった特殊な問題も能力検査に含めているところもあります。

SPIにはバージョンがあり、現在使われているのはバージョン3であるSPI3となります。それぞれの問題を紹介していきます。

○能力検査とは 能力検査とは、合理的に思考できるか、複雑なことを整理できるかを測定するための検査です。 これは仕事をするうえで必要な力です。

・言語 国語、大学受験の現代文に近い試験。 二語関係、熟語の意味が問われるもの、文の並べ替え、空欄補充、長文読解などがある。

対策:問題集で演習の数をこなすこと。そうすることで自ずと正答率が上がる。

初めて見る人は熟語の関係って何? と思うかもしれません。

例題の場合、「芸術のなかに文学がある」ため、「前の語句のなかに後ろの語句がある」という関係です。

これと同じ関係なのは「果物のなかにりんごがある」ため「イ」になります。 よって「イ」が正解です。

「ア」は逆で「文学のなかに英文学がある」ことから「後ろの語句のなかに前の語句がある」という関係になっています。

「ウ」の「算数:国語」はどちらがどちらのなかにあるという関係ではなく、同列の関係です。

このように、単なる語彙ではなく語句と語句の関係性といった、論理的思考力や抽象的思考力が問われる問題がSPIでは出題されます。

しかし、難しく考える必要はありません。 演習を重ねれば、問題に慣れ、正答率もあがってきます。

もう一つ、言語の例題をみていきます。

正解はウです。 SPIで出題される四字熟語は上記のように漢字の意味を問う問題や四字熟語の漢字を選択する問題があります。

SPIは問題の量が多いため、スピーディに解いていく必要があります。 言語ではこうした二語関係や熟語の問題をサクサクこなし、時間のかかる長文読解に時間を割くのがコツです。

・非言語 数学に近い試験 高度な数学的知識は不要だが、計算を必要とする問題、空間(平面)を把握する問題、「順列・組み合わせ(並べ方と選び方)(席決め)」「確率」「割合と比」などの中高生の数学の初歩レベルの問題がある。

対策:基本的に問題数に制限がなく、高得点を取るためにはかなりの問題数をこなす必要がある。 計算のスピードと正確さが必要になるため、事前に練習し、確実に得点を獲れる領域を確保しておく。

「オ いずれでもない」が正解になります。

サイコロの目は6あるため、AさんとBさんの2人が振る場合、組み合わせの数は6×6で36通り。 そのうち引き分けは6種類です。 36通りから6を引いた残りの30パターンが勝つか負けるか。 勝つか負けるかの確率は半々のはずなので30÷2で15。

よって15/36=5/12がAさんの勝つ確率です。 5/12は選択肢にないため「オ」が正解です。

「ウ 336通り」が正解になります。

走る順番を問われているので男子、女子はこの場合関係ありません。 8人のなかから3人を選択するので、 8P3=8×7×6=336が正解となります。

紹介した2つの例題のように、非言語は計算が必要になりますが、高度な数学的知識は不要な問題が多いです。ただし、中高生のときの知識を忘れていることも多いため問題集を解き、復習をしておく必要があります。

・英語 中学・高校の知識が必要とされる試験。 同意語や空欄補充、誤文訂正、語彙、長文読解などがある。

対策:基礎的な問題が多いが語彙力は身に着けておくこと。

反意語なので正解は「a. deny」になります。 言語同様、熟語の問題は知識を身に着け、サクサク解いていき、時間のかかる長文読解に時間を割きましょう。

・構造把握 解答を導き出すのではなく、その構造やプロセスを選ぶという特殊な問題があるため、演習をこなす必要がある。

対策:問題集などで演習をこなし、慣れておくこと。

正解は「イ、ウ、オがA(3つ)のグループに分類される」です。

ア、エは前の文章に対し否定をし、イ、ウ、オは前の文章に対し後半の文章で賛成・肯定しています。

構造把握はこのように文章の構造を問われる、特殊な問題が多いので、問題集を解き、慣れることが必要です。

適性検査SPIの言語・非言語の評価方法とは?

SPIの能力検査では、言語・非言語それぞれが偏差値に応じて7段階で評価されます。 そしてその合計の数値で受かるかどうかが決まります。

段階は、1~7に区切られ、段階と偏差値の一般的な出現率、人数は以下の通りです。(母数を民間就職人数として算出)

一般的には、多くの学生が入社したいと考える人気企業200社の合格者平均は段階6で、上場企業は、5~6です。

合格ラインは企業によって異なります。 また、何段階で足切りするかについては、企業が足切段階を公表しないため、分かりません。

就活で人気企業を受けるのであれば平均以上を目指すようにしましょう。

適性検査SPIは多くの企業で性格検査が重視されている

SPIは言語・非言語の能力検査の偏差値が段階で区切られ評価されると解説しました。

では性格検査は評価に含まれないのでしょうか。

そんなことはありません。多くの企業で性格検査が重視されているのです。

○性格検査とは 性格検査とは、日頃の行動や考え方などについての多角的な質問から、その人がどんな人か、どのような仕事や組織に向いていそうかなど、人となりを把握するための検査です。

ここで、企業の社風や採用したい人物像に合っているかが見極められます。

どのような質問があるのか、性格検査の例題を紹介します。

上記のように1,2,3...それぞれに「あてはまる」「どちらかといえばあてはまる」「どちらかといえばあてはまらない」「あてはまらない」のどれかを選択していく形式です。

性格検査は自分の性格に近いものを選ぶため、回答に正解はありません。 ただし、時間制限があるので、深く考え込まず、一番近いと思うものをスピーディーに選択する必要があります。

適性検査SPIの性格検査のポイント

性格検査は能力検査と違って正解はないものの、人事が見るポイントがあります。

企業の人事には学生のSPIの性格検査の結果は「性格的特徴」「人物イメージ」「チェックポイント」「職務適応性」「組織適応性」という5つののカテゴリに分けられ、それぞれグラフや点数がつけられ、出力されます。

この表は面接官が面接時に見る場合が多いですが、学生自身は見ることはできません。

それぞれの項目を見てみましょう。

○性格的特徴

性格的特徴はさらに以下の4つの側面に分けられます。

・意欲的側面 「達成意欲」と「活動意欲」を見ている。 企業の人事が能力検査と併せてSPIで最も気にする項目。 この得点が低いと仮に能力検査が高くても選考の対象から外す企業もある。

「意欲的なほうだ」「大きな目標を掲げる」などの質問項目を見ている。

・行動的側面 「社会的内向性・内省性・身体活動性・持続性・慎重性」の5項目に分類される。

企業から見ると「持続性」は高いほど良く、「粘り強く取り組むほうだ」などの項目に「よく当てはまる」などを回答すると上がる。

他は職種によって着目される項目が変わる。 例えば、営業職の場合、身体活動性の高さ(質問としては「フットワークが軽いほうだ」など)が重視される。

・情緒的側面 「敏感性・自責性・気分性・独自性・自信性・高掲性」の6項目に分類される。

「敏感性・自責性・気分性」が高い人は、面接で特に注意して人物を観察される。

例えば、性格検査の際に「自分は気分屋だと思う」などの項目に「かなり当てはまる」などを選択すると気分性の項目の数値が上がってしまうので注意。

同様に敏感性は「神経質で周囲に敏感な傾向」、自責性は「不安を感じたり、悲観的になりやすい傾向」っを見ている。

・社会関係的側面 SPI3として初めて追加された項目。 「従順性・回避性・批判性・自己尊重性・懐疑思考性」の5項目に分類される。

「回避性」が高く出てしまうと、困難に直面した際に責任を放棄する危険性があるとされ、面接で注意して人物を観察される。

「チャレンジするのが好きだ」「困難に直面してもめげずにやり通す」などの質問に否定的な回答をすると回避性があがってしまうので注意。

○人物イメージ

性格検査の得点をもとに、人物イメージが出力される。

回答した人物に多く見られる特徴を「基本的な特徴」「仕事面の特徴」「困難な場面であらわれやすい特徴と啓発ポイント」の3つのカテゴリーに分け、文章で記述されている。

SPIが通過し面接に進んだ場合、企業の面接官はこの人物イメージを面接前に読むことにより、人物像を捉えるようにしている。

そのため、印象を良くしようと自分の本来の性格を極端に捻じ曲げて性格検査で回答した場合、面接官からみて、回答結果と本人を前にした面接内容のギャップが大きすぎると、「性格検査で嘘をついていた」と思われ面接で最悪の場合落とされかねない。

  

○チェックポイント

チェックポイントは、面接官が面接時に確認した方がいいポイントとして性格検査の結果をもとに出力されたもの。

性格検査の得点をもとに、その人の注意点が全25観点のうち最大4つまで表示される。

チェックポイントに書かれているのは例えば以下のような項目。

「批判的なスタンスが強くないか」 「意見が空回りすることはないか」 「注意や行動が散漫ではないか」

  

○職務適応性

例えばセールスなどの営業職を志望しているのに内向的で人と関わるのが嫌いであったり、緻密な細かい作業をコツコツと行う能力が期待される職種で「細かい作業が苦手」と回答していたりすると面接官はその人の採用に慎重になる。

これは内定後、配属先を検討するのにも使われる指標。

○組織適応性

「挑戦を推奨する自由闊達な風土」「人の和を大切にする温かい風土」などの組織の特徴に、その人がどれだけ合っているかを性格検査の結果をもとに示している。

部署によって風土が違うために一概にこれだけで合否を判断してはいないが、明らかに自社の風土とミスマッチな学生は、能力が高くても採用に慎重になる。

適性検査SPIの性格検査で面接官から警戒されるNGポイント

上述したように、企業は性格検査を重視しています。 仮にSPIが通過しても、その後の面接で、企業の面接官はSPIの結果を見ながら行うため、SPIの結果によっては面接官から警戒されてしまうことも。

そのような事態にならないよう、NGポイントをしっかり抑えておきましょう。

×自分を偽った性格

面接で本人からPRされるアピールポイントが、性格診断の結果と全く違っていては、面接官から自分を偽っていると思われかねません。

性格検査において、本来の自分の性格とかけ離れた回答は避けましょう。

希望の職種や行きたい企業の社風に当てはまる人物像と、自分の本当の性格の共通項目を見つけ、それをアピールポイントにするようにしましょう。

×「あまり人と話さない」「何も考えずに行動する」といったタイプ

仕事は周りの人と協働して進めていくものです。 人と話さないような人、コミュニケーションを取りたがらない人と一緒に働きたいとは思われません。

また、仕事は考えて行うものであり、思いつきで行っていいものではありません。

性格診断にこうした項目が出てきた際、「よく当てはまる」などの選択はしないようにしましょう。

適性検査SPI3の出題形式

SPIの内容と対策を解説してきました。 では実際にSPIを受ける際、どこで受けるのでしょうか。

SPIの出題形式は3つあり、企業によって異なります。

○WEBテスティング

インターネットに接続されたパソコンで受検する。接続されていれば好きな時間に、場所を選ばず受検できる。

○テストセンタ―

全国にあるテストセンターと呼ばれる専用会場を企業から指定された期間内に予約し受検する。

○ペーパーテスト

応募先の企業で紙のマークシートで受検する。

○インハウスCBT

応募先の企業内で準備されたパソコンで受検する。この場合、SPI・結果の確認・面接を1日行うことが多い。

どの形式であっても、自分の能力を最大限に発揮できるよう、パソコンでの受検に慣れておくことや問題集を解いて問題に慣れておくことが大切です。

適性検査SPI3-RとSPI-Nとの違い

SPI3と似た名称の試験に、SPI3-RとSPI3-Nがあります。 これらの試験は、事務職採用を前提とした試験です。

SPI3との大きな違いは、誤謬率の有無です。 SPI3-RとSPI3-Nには誤謬率がありますが、SPI3にはありません。

「誤謬率」とは、回答数に対する誤答の割合を「A:正確である」から「E:極めて誤りが多い」の5段階で表示されるもののことで、誤謬率のある試験を受験する場合には、間違えないことも大切です。

適性検査SPIだけで採用が決まらないが、対策は必須

適性検査、SPIだけで採用は決まらないものの、ここをパスしなければ次の面接段階に行けない企業も多いのが事実です。

能力検査は中高生レベルの簡単なものですが、中高の勉強は忘れてしまっていることが多いです。

またSPI独特の形式の問題が多いので、本番っで焦らず、スピーディーに、数をこなすためにも対策は必須。

難関大学に通う学生であってもきちんと対策をしなければ通過しません。

SPIの能力検査は慣れが大切です。 問題集を解き、演習を重ねればできるようになります。

また、性格検査では志望する企業の求める人材像を分析し、それに合った人格を目指すことが大切ですが、全く自分と違う人間を演じては支離滅裂な結果になってしまいます。

性格検査は、自分の長所や良い面を企業に知ってもらう手段と考え、解答に一貫性を持って答えるのが良いでしょう。

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