はじめにーー初任給とは?
初任給とは、社会人になって初めて貰うお給料のこと。 会社の募集要項に載っている金額だけでなく諸手当(残業代や交通費など)を含めた金額になります。
この記事では ・初任給の解説、 ・基本給や手取りとの違い ・初任給の平均額 ・初任給の高い業界ランキング ・初任給の高い業界の特徴 を紹介していきます。
本記事を参考にし、これから志望業界を考えていくにあたり、 ・高い収入を得ることを第一の目的とするのか ・収入よりもプライベートな時間の確保を優先させたいか など、自分が何に重きを置くのかを考えてみてください。
●初任給と手取り給与の違い
初任給がいくらもらえるのかを見ていくと、「額面」と「手取り給与」という二つの言葉を耳にします。
「額面」とは、会社が社員に対して支払う金額のことであり、初任給は「入社して最初に貰える額面の金額」を指します。 額面は給与明細に「総支給額」として記載されています。
一方で「手取り給与」は「手取り」と呼ばれ、実際に口座に振り込まれる金額であり、保険料などが引かれるため、額面より少ない額となります。 手取り給与は給与明細に「差引支給額」として記載されています。
上記のイラストを参考にします。 (1)勤務:出勤日数や残業時間 (2)支給:会社から貰えるお金 (3)控除:税金などのお給料から引かれるお金 (4)差引支給額:手取り。実際に口座に振り込まれるお金
総支給額-控除=差引支給額(手取り)
となります。
ここででてきた控除(引かれるお金)されるものには以下があります。 ・雇用保険料(失業したときに失業給付金を受給するための保険) ・所得税(給与に対して発生する税金) ・厚生年金保険料(将来年金を受給するために支払う保険料) ・健康保険料(ケガや病気の治療費の自己負担を軽くするための保険) ・住民税(在住する都道府県や市町村に収める税金。前年1年間の所得に応じて発生)
このうち初任給から引かれるものは「雇用保険」と「所得税」のみになります。
初任給ー雇用保険ー所得税=最初に貰える手取り給与
例えば初任給が206,700円の場合、雇用保険(給与の0.3%)が620円、所得税が4980円ほど引かれ、手取りは201,100円になります。
初任給の翌月からは、これに加え、「厚生年金保険料」と「健康保険料」が引かれ、就職2年目からはこれらに加えてさらに「住民税」も引かれます。
住民税は前年の年収によって変わりますし、健康保険も会社がどの健康保険組合に加入しているかによってその料率は変わります。
例えば、支給額が280,000円の場合、雇用保険が840円、所得税が6,210円、健康保険料14,208円、厚生年金保険料25,620円、住民税16,909円が引かれ、手取りは216,213円になります。
会社からは28万支払われたのに、手元に入る金額は21万6000円ちょっとになるわけです。 初任給に比べ、初任給の翌日以降、また就職2年目以降からは控除される金額の多いことが分かりますね?
そのため、 手取り給与は初任給より、初任給の翌月以降の方が少なくなることや、就職2年目のほうが1年目より少なくなることもあります。
●初任給と基本給の違い
初任給は手当を含む、最初にもらう給料のことです。 基本給は手当を含まない、毎月固定の給料を指します。 手当は月々変動しますが、基本給は固定であり昇給しない限り変動しません。
基本給+手当=初任給
となります。
つまり、募集要項に「基本給20万円」とあればこれに諸手当がプラスされるため、初任給は多くなります。
この手当は人によって異なるため、同じ会社の新入社員で同じ業種であっても、初任給が異なることがあります。
例えば下記の場合 基本給200,000円 通勤手当6,770円(自宅から職場までの1ヶ月の定期代) 残業手当9,000円(残業時間5時間×1800円) 住宅手当10,000円
初任給は225,770円になります。
通勤手当は自宅から職場までの定期代として1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月の定期代を前払いすることが一般的です。
初任給の支払日は会社によって異なる
初任給はいつもらえるのでしょうか。 それは、「〇日締め翌月×日払い」「〇日締め当月×日払い」など締め日と支払い日の組み合わせにより会社によって違いがあります。 それぞれの意味をみてみましょう。
・月末締め当月〇日払い 例えば「月末締め当月25日払い」の場合、4/1-4/30のお給料が前倒しで4/25に振り込まれます。つまり、4月に就職をして4月中に初任給が貰えます。 この場合、残業代が発生した際は4月中には支払われず、翌月に持ち越しとなります。
・●日締め翌月〇日払い 例えば「月末締め翌月25日払い」の場合、4/1-4/30のお給料が5/25に支給されます。つまり4月に就職をして初任給を貰えるのは5月になります。 この場合、4月中の残業代も5月に一緒に支給されます。
・●日締め翌々月〇日払い 例えば「月末締め翌々月1日払い」の場合、4/1-4/30のお給料が6/1に支給されます。つまり4月に就職をして初任給を貰えるのは6月になります。 この場合、4月中の残業代も6月に一緒に支給されます。
・●日締め当月〇日払い 例えば「15日締め当月25日払い」の場合、3/16-4/15のお給料が4/25に支払われます。4/1に働き始めるわけですから、初任給は4/1-4/15の分が日割りで4/25に支払われることになり、金額としては約半額になります。4/16-5/15の分が5/25に支払われます。
大卒の初任給の平均額は21万200円! 院卒・男女別に平均額を紹介
それでは気になる初任給の平均額をみていきましょう。 以下は厚生労働省の発表した令和元年の初任給の平均額です。
〇男女別初任給平均額
この調査によると、男女共に大学卒に比べ大学院卒のほうが2-3万ほど初任給が高くなっているのが分かります。 また男女別にみると男性より女性のほうが初任給の平均が低くなっています。 これは女性が比較的給与の低い一般職や事務職に就く傾向があるためと考えられます。
近年では金融業界などで「エリア総合職」という職種も見られます。 仕事内容は営業などの総合職だが、全国転勤を伴う総合職と違い、首都圏エリア限定で仕事をする職種になります。 「仕事もしたいけれど、結婚・育児を考えると全国転勤は現実的ではない、首都圏限定で仕事と過程を両立させながら働きたい」と考える女性に非常に人気な職種です。これに関しても、事務職・一般職と仕事内容は異なるものの、エリア限定である点で総合職よりも給与面では低くなる傾向があります。
〇企業規模別初任給平均額 次に、企業規模別の初任給平均額を見てみましょう。 常務労働者1000人以上を大企業、100-99人を中企業、10-99人を小企業と区分しています。
大学院卒でみても大学卒でみても、大企業ほど初任給が高いことが分かります。
〇初任給が高い都道府県は? 次に都道府県別初任給平均額の上位5位をみていきます。 初任給は地域によっても変動します。 下記は大学卒の地域別初任給の平均額になります。 前年は2位神奈川県、3位埼玉県に対し、千葉県は8位でした。 令和2年の調査によると、千葉県は2位にランクイン。 いずれにしても東京をはじめ首都圏が高給であることが分かります。
いかがでしたでしょうか。
ここでは、いろんなカテゴリ別の初任給の平均額をみてきました。
前述の通り、初任給は会社から支払われる額面の金額ですので、この金額から「雇用保険料」「所得税」が引かれ、手取りとして銀行に振り込まれる額は大体20万円前後になります。
また、初任給の翌月からは控除の項目が増えるため平均して17万ー19万前後と初任給より低くなることが多いです。 しかし入社してすぐに残業が多く、残業代がつく会社もあり、一概には言えません。
初任給の高い業界ランキング
では、どんな業界が初任給が高いのでしょうか。 自分の興味のある業界の初任給はどの程度なのか、下記の表を参考にしましょう。 以下は大学卒の業界別初任給の平均額になります。
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初任給の高い会社の特徴
上記のランキングでみてきたように、1位の専門、技術サービス業や、IT業界と言われる情報通信業など、専門知識を持つ学生が求められる業界は初任給が高い傾向があります。
大学卒に比べ、大学院卒のほうが初任給が高いのも、大学院卒の人が就職する仕事の業種が研究開発やシステム開発、プログラミングなどの高度な専門知識を要する仕事であることが理由の一つになります。
さらに企業規模別の初任給平均額でみたように、大企業ほど初任給が高くなります。
仕事がハードである、責任感の求められる仕事であることも初任給が高くなる会社の特徴といえます。
しかし、大企業よりも中企業のほうが若いうちから任せられる仕事の幅が広かったりすることもあり、初任給が高い=就職すべき会社とは限りません。
また、初任給が高い業界であっても、その後の給与の上昇率やその産業の景気次第で数年後には給与の差が逆転する可能性もあります。
IT企業の初任給が高い理由
初任給ランキング上位に入った情報通信業であるIT業界は、時代にあったサービスを提供できる、これからも需要が伸びていくことなどから、数ある業種のなかでも学生に人気の業種です。
もちろん、初任給の高さも人気の理由の一つ。
IT企業の初任給が高い理由には例えば以下のような特徴があります。 ・成長している業界なので人件費にお金をかけることができる。 ・ITは利益率が高いのでそもそも給与が高くなる。 ・新しい企業が多く、ブランド力がないので初任給を高くすることで人材を確保している。 ・成長しているかつ新しい企業が多いので、幹部候補になるような優秀な人材を集めようとしている。こうした思いが初任給の高さに現れている。
これらの理由から初任給の高い会社が多いといえますが、会社によってはその後の給料の高さは実力次第であり、仕事ができなければ給料が上がらないこともあるので、初任給の高さが業界を絞るうえでの全てにはなりません。 実力主義の社風にやりがいを見出す人もいれば、自分には合わないと感じる人もいるでしょう。
初任給の高さはあくまで受ける会社を絞るうえでの基準の一つであり、社風や仕事内容、やりがい、ワークライフバランスなど、様々な要素を考え、自分が何を一番重視しているのかを見極める必要があります。
初任給の高さは志望企業を選ぶうえでの指標の一つ
初任給は社会人になって初めてもらうお給料であり、会社によって金額や支払日は異なります。 給与というものは、一生懸命働き、会社に貢献したことのご褒美です。
残業が多くても、全国転勤、あるいは海外駐在があっても高収入な会社が良いという人もいれば、給料はそこそこでもプライベートを充実させたいという人もいます。
東京で働きたいという人もいれば、地元で就職したい人もいるかもしれません。
給料の高さも志望業界を選ぶうえでの一つの指標といえますが、入りたい会社に入るためには、自分は何に一番重きを置いているのかを考え、面接対策をきっちりする必要があります。
お給料をもらうために、自分は会社にどのような貢献ができるのか、自分の強みは会社でどう生かせるのか、改めて考えてみましょう。
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(参考文献:厚生労働省『令和2年賃金構造基本統計調査』)