①マネジメントの必要性についてあなたの考えを教えてください。(2000字以内)(2000文字)
私は、「メンバーの力を最大限に引き出し、1人では達成困難な成果を上げる手段」がマネジメントの定義だと考える。サッカーに例えるなら、監督が選手の特性を考慮したトレーニングを行い、相手チームを分析して戦略を立てていく一連の行為をマネジメントと言えるだろう。これにより、選手の実力が最大限に引き出され、個々の実力では太刀打ちできない相手に対しても立ち向かうことのできる組織作りが可能となるのだ。実際、2018年のロシアワールドカップでは、大会開幕直前まで黒星を重ねていた日本代表チームを一新するべく、西野朗監督が就任し、本番では世界ランキングで格上の相手を次々と破り、ベスト16進出の快挙を成し遂げた。上述の例より、同じ選手で構成されたチームでも、適切なマネジメントを行い、メンバーの力が最大限に引き出すことで1人では成し得ない偉業が達成可能だということがわかる。そして、このようなマネジメントはサッカー等のチームスポーツに限らず、ビジネスの場面でも同様に重要な要素であるはずだ。そこで今回は、ビジネスにおけるマネジメントの必要性について、2つの観点から考察していきたい。 1点目は、「持続的に成長していく組織作り」のためである。ビジネスにおいて、目の前のプロジェクトで成果を上げるためのマネジメントは重要である。だが企業の至上命題として、永続的に成長し続けることがあり、これを実現するためには会社自体を構成している社員の成長が不可欠だと言える。ここで言う成長とは、新たなスキルを修得することや既存のビジネスの変革を行うなど、会社の利益に直結するような社員の変化を指す。つまり1つのプロジェクトを完遂するだけでなく、そのプロジェクトを通じて社員が成長するような環境づくりが重要だと言えるのだ。こうした成長を促し、組織を常に成長させるためにも、人材育成等で適切なマネジメントが不可欠だ。しかしここで注意しなくてはならないポイントがある。それは優れたリーダーに依存してしまう組織に成長はないということだ。これは俗に言う、"カリスマ経営者"と呼ばれるような人たちがトップにいる組織が当てはまる。このような組織は投資判断や経営戦略、人材育成など企業の重要な舵取りが優秀な経営者によって行われていることが多く、彼らのようなカリスマ的存在がいなくなってしまった際、組織は急激に衰退してしまう可能性がある。目先の利益だけではなく、中長期的な視点から組織の未来を考えた際、上記のような不安定な組織体制に陥ってはならない。そのため、社員1人1人が常に成長し続け、各々が組織をマネジメントしていくような力を身に着けていくことが重要である。私が考える永続的に成長し続ける組織は、「リーダーがいなくても成り立つ組織」だ。こうした組織では、構成するメンバー各々が主体性を持って行動し、それぞれの持ち場で多種多様なリーダーシップを発揮できるため、常に成長を続けていくと考えられる。別の言葉で表現するなら、メンバー全員が組織をマネジメントができる集団とも言えるだろう。 2点目は、「ビジネスモデルの新陳代謝を高める」ためだ。具体的には、マネジメントを行い、ビジネスのPDCAサイクルを早めることで、既存のビジネスモデルの改善や新たなビジネス領域の進出が可能となる。こうした場合、時には収益性や将来性を考えて中核事業を変革するような決断も起こり得るだろう。代表的な事例として、IT業界の事業変革の歴史が該当する。1960年代から1990年代まではハードウェアの開発が主流であった業界が2000年代頃からソフトウェアの開発が主流となり、現在ではクラウドやAI、IoTといった技術を用い、既存のビジネスモデルを変革させるDXという取り組みが主流になっている。こうした変革の歴史をIT企業はマネジメントを通じてビジネスモデルの変革を行うことで乗り越え、今日まで成長を遂げてきたのだ。もちろんIT業界に限らず、こうしたビジネスのマネジメントはどんな業界でも重要であったはずだ。そして今後は上述のDXが加速し、全ての産業においてデジタル化が急進すると考えられる。すなわち、企業は今後、デジタル化によって多様化するビジネスモデルに対応していくため、ビジネスの新陳代謝を高めていくことが求められるのだ。こうした状況でマネジメントが今まで以上に重視されていくことは言うまでもないだろう。 これまでに論じてきた2つの観点に留まらず、マネジメントの必要性は語りつくせないほど存在しており、それらは時代や個人によって変化すると言える。しかし、1つ普遍的な要素を挙げるとしたら、マネジメントとは「メンバーの力を最大限に引き出し、1人では達成困難な成果を上げる手段」であり、適切なマネジメントを行うことで組織が永続的に成長していくということだろう。
②人生で一番記憶に残っている失敗or困難と、その失敗or困難からの学び(2000字以内)(2000文字)
記憶に残っている失敗をあげるならば、予備校のアルバイトでの経験が挙げられる。具体的には、自身がリーダーを務めていた組織がリーダーに依存した組織になってしまい、チームとして全く機能しなくなったことを経験した。これまで様々な組織でリーダーを務めてきたが、こうした経験はしたことがなかったため、強く印象に残っている。以下ではより具体的な失敗の内容とそれに対する改善案について解説する。 私は、上記のアルバイトで生徒指導と広報活動の2つの業務を担当しており、主に後者の広報業務に注力をしていた。大学2年次には広報を担当する10人ほどのチームのリーダーを務め、イベントの企画や運営からチラシやDMの配布活動など学生の入学促進のために様々な業務に携わった。活動当初、年間生徒入塾者数150名という目標数値を立てて活動に臨んでいたが、上半期は数値が伸び悩み、月ごとの入塾者数では昨年比を大きく下回ることもしばしばあった。そんな状況の中、8月にその失敗は起こった。8月の半ば頃、自動車免許の合宿で2週間ほどチームを離れることになり、不在中にやっておいてほしいことを共有した上でチームを離れた。しかし2週間ぶりに戻ってきたチームは全く活動をしていなく、事前に指示をした仕事さえも行われていなかった。リーダーとしてこうしたチーム状況を早急に解決しなくてはいけないと考えた際、チームの課題として「メンバーの当事者意識の低さ」と「活動に対するやりがいのなさ」の2点があげられると考え、これらの課題を改善し、今後も同じ失敗をしないよう、「リーダーがいなくても成り立つ組織作り」という個人目標を立て、下半期の活動に臨んだ。 1点目の「メンバーの当事者意識の低さ」という問題は、毎週実施している会議で今週のタスクやチームとしての方向性を決めていたが、具体的に誰がどの業務を行うのか詳細までは指示できておらず、個人レベルでの行動目標の不明瞭となっていることが課題だと考えた。そこで改善案として、「毎週の個別面談の実施」を行った。この面談では、これまで不明瞭であった個人目標に加え、会議で聞くことはできないようなメンバーの意見のヒアリングを行った。面談を行うようにしてからは、メンバーが以前より主体的に活動に参加してくれるようになり、個人目標を達成はもちろんだが、チームを良くするための意見をあげてくれるようになった。実例として、あるスタッフから高校別の無料の受験説明会を実施したいという提案があり、自分が上司と相談した結果、実現することになった。このようにメンバーの当事者意識を改善することができただけでなく、自分がメンバーについて各々の強みや特性などを理解することにもつながり、適切な人材配置や戦略立案を行うことができるようになった。以上の事から、組織を変える契機となった改善案であったと考えている。 2点目の「活動に対するやりがいのなさ」という問題は、自分がリーダーとして数値目標ばかりを意識する姿勢が原因となり、広報活動を実施する目的が「単に生徒を入学させること」になっていることに起因すると考えた。こういった状況では、メンバーは活動に対してやりがいを感じることはできないし、組織は活性化していかない。そこでチームの新たな活動目標を「地域で最も信頼される予備校づくり」と掲げ、下半期の広報活動を行うことにした。上述の目標を掲げたのは、より大きなミッションの下で行動することにより、メンバーの活動に対するやりがい面を改善するだけでなく、多くの競合が存在している地域で他社にはない特色あるサービスなどを行い、学生の信頼を獲得することで、結果的に入塾者数の増加を実現できると考えたからだ。新規で行った施策としては、上述の高校別の説明会や有名講師による講演の企画、夕方の駅前配布などを行った。結果、メンバーの変化に伴って入塾者数を徐々に改善することに成功した。 以上の2点の改善案を行った結果、最終的に目標としていた年間入塾者数150名を達成することができた。この失敗から得た最大の教訓は、「組織に優れたリーダーは必要ない」ということだ。これまでに自分が考えていた理想のリーダーシップとは、先頭に立って組織を牽引していくようなものであった。しかし今回の失敗から、リーダーに依存する組織に成長はないということを学んだ。リーダーに求められる要素は、全体を俯瞰し、メンバーの強みを引き出すマネジメントを行うことであり、これによりメンバーの強みが最大限引き出されている組織こそ、大きな成果を残すことができるのだ。今後の人生においても、様々な場面でリーダーを務める機会はあると考えられるが、この失敗を教訓に、自分が理想としている「リーダーがいなくても成り立つ組織作り」を実現できるようなマネジメントを行っていきたい。