就活生に人気の自動車業界を徹底解説
就活人気ランキングでも毎年上位にランクインする自動車業界。
人気業界の選考倍率は非常に高く、数百倍を超える企業も存在するようです。
人気自動車メーカー内定者によれば、選考を勝ち抜くためには「業界・企業研究」が非常に重要になるとのこと。
そこで本記事では、 ・自動車業界とはそもそもなにか ・自動車業界にはどのような企業があるのか ・自動車業界の仕事 などについて紹介します。
是非参考にしてみてくださいね。
就活生に人気の自動車業界とは
自動車業界とは、自動車やバイク、バス・トラックの製造に関わる、部品メーカー、素材メーカー、完成組み立てメーカー、販売会社のこと。
自動車業界は就活生人気の高い業界の一つで、毎年人気ランキングでは総合商社やコンサルなどと並んで上位にランクインしています。
自動車業界はさまざまな観点でニュースなどに取り上げられており、注目できる点が非常に多いですが、特に知っておくべきポイントは以下の3つであると言えます。
『市場規模が日本第3位』 自動車業界全体の市場規模は63.9兆円(2019年現在)となっており、日本の市場規模ランキングで3位となっています。
4位には金融業界、5位には小売業界、6位には総合商社と続いており、総合商社とは1兆円の差をつけており、自動車業界は非常に大きな市場であると言えます。
市場規模が大きいと、それだけ大きなお金が動いていると言えますし、日本経済に非常に大きな影響を与えていると言えます。
『大手5社の平均年収は800万円前後』 日本の平均年収は400万円ほど。日本の平均と比較すると自動車メーカー大手5社の平均年収は非常に高いことがわかります。 この数字は給与が高いことで有名なメガバンクなどと同等です。
『時価総額が高い』 ご存知の方も多いと思いますが、トヨタ自動車の時価総額は国内1位。(2020/11/10現在)(参照:yahooファイナンス)世界では49位となっています。(2020/11/10現在)(参照:Think 180 around) また、ホンダ技研工業も日本20位となっており、伊藤忠商事(27位)や三井物産(41位)を抑えてのランキングとなっています。(2020/11/10現在)(参照:yahooファイナンス)
非常に大きな規模を持ち、日本経済を支える自動車業界は、就職先としても多くの魅力が詰まっています。
しかし、自動車業界を十分に理解できている就活生はそう多くありません。
そこで本記事では、自動車業界のビジネスモデル、組織風土の違い、選考対策までを徹底解説します。
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メーカーや企業など自動車業界の全体像を解説
自動車業界を取り巻く企業は非常に多く、いくつかの種類に分類することができます。 自動車業界の構造は以下の通りです。
『素材メーカー』 自動車部品を製作するために必要なプラスチックや金属製品などの研究・開発・製造を行うメーカーのこと。
次世代の自動車開発に向けて軽量素材の研究や開発なども行なっている。自動車の電気化や自動化も化学メーカーなしには実現できません。
<代表的な企業> 帝人、三井化学、東レ
『自動車部品メーカー』 自動車を作る際に必要とされる部品を作るメーカーのこと。
自動車は1台あたり、約2〜3万個の部品から構成されていると言われ、部品製造には高度な技術・設備が必要であるため、部品ごとに多くの専門会社が存在します。
トヨタや日産など自動車メーカー系列の会社も多いです。
<代表的な企業> デンソー、アイシン精機、豊田自動織機、ジェイテク
『自動車(完成品)メーカー』 部品メーカーから届いた部品を組み立て、自動車を完成させるメーカーのこと。
部品の組み立てだけでなく、自動車の研究・企画・開発・設計・製造・販売も担っています。
生活インフラとまで言える自動車の進化をあらゆる企業を巻き込みながら実現させています。
<代表的な企業> トヨタ自動車、日産自動車、本田技研工業、マツダ、スズキ
『自動車ディーラー』 自動車を一般消費者に販売するメーカーのこと。 自動車メーカー専属のディーラーが多く、トヨペットなどがこれに当たります。
ディーラーと自動車メーカーは混同されがちですが、会社自体が異なり、採用も別々で行われます。
<代表的な企業> トヨペット、Honda Cars、ヤナセ、トヨタカローラ
『自動車関連サービス』 自動車に関連するサービスを行なっているメーカーのこと。
自動車修理会社や、自動車保険会社、カーナビなどのシステムを提供する会社などがあります。
近年ではカーシェアリングサービスが普及し、ベンチャー企業などの進出が見らる分野です。
<代表的な企業> IDOM、タイムズ24、オリックス
メーカーやディーラーなど自動車業界にはどんな職種がある?
自動車ディーラーの販売員や自動車メーカーの企画職などは馴染み深かさがあり、人気の職種であるため、イメージしやすいかもしれません。
しかし、自動車業界の業務内容には意外と知られていないものが多くあります。 それぞれの業務の内容はどのようになっているのか、一つ一つ解説します。
【営業】 各企業のサービスをクライアントに提案・販売します。基本的に他の業界の営業担当者と仕事内容は変わりません。
有形商材であるため、自社商品の魅力を深く理解し、いかに取引先のニーズに応えることができるかを伝えることが重要になります。
例えば、自動車部品メーカーの場合、取引先は自動車(完成品)メーカーになります。 自動車(完成品)メーカーが新しく開発した車を実際に販売するためには、理想を叶えるための条件に見合った部品が必要になります。 運転手の疲れを軽減するために、軽い車体、高性能なエンジンなどが必要不可欠なのです。
それらの部品を届けるのが、自動車部品メーカーの営業の仕事です。完成品メーカーの理想をヒアリングしながら、自社の部品を届け、自動車の完成を支える役目です。
<関連する業種> 素材メーカー、自動車部品メーカー、自動車(完成品)メーカー、自動車ディーラー、自動車関連サービス
【研究・開発】 既存の商品を改善したり、まだ世に存在しない商品を開発したりするのが研究・開発職のミッションです。
素材や部品、自動車の構造など企業によって対象は様々ですが、世の中に新しいものを生み出すことができるのがこの職種の魅力。
例えば、完成品メーカーの研究職のボディー設計部門。 新しく企画された車の車両性能・商品性に必要な構造を関係部署と協力して、図面に落とし込み、魅力あるクルマを具現化する役割を担っています。
理想の車を実現させる、そして自分が実現させた車で世界中の人のインフラを支えることができる。自動車業界ならではの、魅力的な職種であるといえます。
<関連する業種> 素材メーカー、自動車部品メーカー、自動車(完成品)メーカー
【生産管理】 製品の製造を効率、安全性などの観点から最適化し、コストと品質を両立できるように管理します。
例えば完成品メーカーの場合、会社が利益を産むためには、需要に対応した分の生産をしなければなりません。 需要に対して過不足があると利益の損失になってしまいます。
そこで活躍するのが生産管理部門です。この先、需要は増えるのか、生産数を増やすべきなのか、など未来に起こることを想定しながら、生産数を管理します。
会社の利益を左右する、非常に重要な職種です。
<関連する業種> 素材メーカー、自動車部品メーカー、自動車(完成品)メーカー
【品質管理】 顧客が求める品質になっているかを分析・判定をしたり、クレームが起こってしまった際の法令対応などを行います。部品メーカーや素材メーカーの場合、品質に問題があれば完成したすべての車に問題が起こってしまいます。命に関わる自動車の安心・安全を守っている仕事です。
<関連する業種> 素材メーカー、自動車部品メーカー、自動車(完成品)メーカー
【企画】 新車や新しい部品のコンセプトの立案や、マーケティング、資材や部品調達などを行います。消費者やメーカーがどのような商品を求めているのかを考え続け、新しいものを生み出すきっかけを作るのが企画職の仕事です。
<関連する業種> 素材メーカー、自動車部品メーカー、自動車(完成品)メーカー、自動車ディーラー、自動車関連サービス
(参照:トヨタ自動車採用HP)
自動車業界の主要企業の売上高・シェアランキング
ここでは、日本の自動車業界における主要企業の売上高・シェアランキング(2020年-2021年)をご紹介します。
9位:三菱自動車工業 売上高:1兆4554億 シェア:2.6% 東南アジアで高いシェアを誇っている。
8位:日野自動車 売上高:1兆4984億 シェア:2.6% トラック大手で、トヨタ向けに受託生産を行っている。
7位:いすゞ自動車 売上高:1兆9081億 シェア:3.3% トラック大手で、海外ではピックアップトラックも展開している。
6位:SUBARU 売上高:2兆7375億 シェア:4.8% アメリカ市場に強みがあり、利益率は業界トップ。
5位:スズキ 売上高:2兆8766億 シェア:5.0% 国内外で広く愛されているブランドが強み。
4位:マツダ 売上高:2兆8820億 シェア:5.1% 2016年にワールド・カー・オブ・ザ・イヤーを受賞
3位:日産自動車 売上高:7兆8625億 シェア:13.8% 「NISSAN」と「INFINITI」の2つのブランド展開により、多くの国や地域で技術力、デザイン性を高く評価されている。
2位:ホンダ 売上高:8兆5672億 シェア:15.0% 二輪、四輪、金融、パワープロダクツなど幅広く事業を展開しており、四輪事業は企業全体の売上の7割を占める。 海外でも高い販売実績を持つ。
1位:トヨタ自動車 売上高:27兆2145億 シェア:47.7% 自動車の生産・販売は国内でもトップの業績を誇り、世界でも自動車販売台数、売上ともに1位の大企業。
就活は業界研究だけでなく企業研究も重要ですので、このランキングをきっかけに、企業についても理解を深めていきましょう。
【就活生必見】自動車業界の今後
ここまでで、自動車業界の構造や職種についてお伝えしてきました。 企業研究でもう一つ重要なのは、業界の今後の動向を把握しておくこと。
新卒採用では多くの企業が、入社後10年20年という長いスパンで活躍する人材が求められています。
そのため、企業が求める人材象は、企業の中長期的な事業戦略や業界トレンド、今後の動きなどから、定義されることが多いです。
このことから、業界全体の動きを把握することで、企業の事業戦略、求められる人材像を理解することができます。
そして、求める人材象を理解することで、志望動機やガクチカで効果的にアピールすることが可能になるのです。
1.次世代クルマの方針「CASE」
世界の自動車業界全体で各社が躍起になって取り組んでいるCASE。 多くの会社で中長期計画にこのCASEを盛り込んでいます。
QそもそもCASEとは何か
CASEとは、C=connected(コネクティッド)、A=Autonomous(自動運転)、S=Shared&Service(シェアリング&サービス)、E=Electric(電動化)の頭文字をとった略語。
2016年のパリモーターショーでメルセデスベンツ会長 兼 ダイムラーAG・CEOのディエター・チェッチェ氏が同社の中長期経営計画で発表しました。
QなぜCASEが重要か 社会全体の流れとして、移動(モビリティ)は切り離して考えられない状況になっています。
たとえば数年前は、電車は紙に描かれた時刻表と睨めっこをし、移動時間を考える。自動車を使う場合は電車を併用することはありませんでした。
しかし、今は違う。現在地から目的地まで地図アプリやタクシー配車アプリ、などを駆使して一貫した流れとして様々な移動手段を併用する時代。
そういった時代の中で自動車メーカーも「ただ自動車を作る企業」ではなく、人々の移動手段を総合的にサポートできる企業に変革していく必要性があります。
そういった意味でCASEに取り組むことは、企業が生き残る道であり、社会全体を変えていく手段にもなりえます。
C=connected 「コネクティッド」 通信によって車と外を接続すること。
たとえば、車に専用の接続機器を設置することで、盗難された際にクルマの位置を確認できたり、Iphoneのsiriのようにエージェントシステムを設置することもできます。
A=Autonomous 「自動運転」 自動運転レベルというものが設定されており、各自動車メーカーですでに自動運転レベル2に該当するものは実装済み。
2020年11月、本田技研工業が世界で初めて自動運転レベル3の機能を搭載した車を実用化させた。
<自動運転レベル> ・自動運転レベル1 システム側が速度かハンドルの制御を担う。運転支援。 事例:自動ブレーキ、車線からはみ出さない、前の車について走る ・自動運転レベル2 システム側が速度・ハンドルの両方の制御を担う 事例:車線を維持しながら前の車について走る。 ・自動運転レベル3 条件付き自動運転。システム側が運転のメインを担う。必要時に運転者の介入が必要。 ・自動運転レベル4 特定条件下における完全自動運転。特定条件下においてシステムが全ての運転タスクを実施 ・自動運転レベル5 完全自動運転。常にシステムが全ての運転タスクを実施。 (参照:国土交通省)
S=Shared&Service 「シェアリング&サービス」 クルマの新しい使い方。今までクルマに対する考え方は「個人が買って使う」が基本的だったが、「必要な時だけ借りる」「みんなで共同所有する」といった考え方を提案しています。
特にタクシー配車サービス事業が熱を帯びており、ソフトバンク、ウーバーなどが配車アプリを展開。DeNAやソニーなども参画しています。
E=Electric 「電動化」
ハイブリッド車や電気自動車を増やす取り組み。すでに馴染み深いものになっているが、電動自動車はトレンド化しており、各国・各自動車メーカーがさらに開発・研究を進めていく方針です。
「莫大な二酸化炭素の排出量」という地球規模の環境問題に対応できる大きな一手でもあります。
ノルウェーでは2025年以降、電気自動車とハイブリッド車のみ販売を許可する方針を発表するなど、国家レベルで取り組まれています。
2.人の移動を根本から変えるサービス「Maas」
Q.MaaSとはなにか
Mobility as a Service(モビリティ・アズ・ア・サービス)の略。 MaaS は、ICT を活用して交通をクラウド化し、公共交通か否か、またその運営主体にかかわらず、マイカー以外のすべての交通手段によるモビリティ(移動)を 1 つのサービスとしてとらえ、シームレスにつなぐ新たな「移動」の概念です。 (国土交通省「MaaS (モビリティ・アズ・ア・サービス) について」より引用)
Q.なぜMaaSが重要なのか
CASEを進化させ続けた先にあるのがこのMaaS。
つまり、MaaSの目指す方向はCASEと同様、もしくはそれ以上なのです。
MaaSを実用化させることで、クルマだけでなく自転車やバス、タクシーや電車など、いままで分断されていた交通手段がシームレスになります。
「移動」という概念を今一度変えようとしているのがMaaSです。
日本におけるMaaSの取り組み トヨタ自動車×ソフトバンク「MONET」 トヨタ自動車株式会社とソフトバンク株式会社が共同出資し、「MONET Technologies株式会社」を設立。①オンデマンドモビリティサービス②データ解析サービス③Autono-MaaSの三つの事業を行っています。
地方などで、「オンデマンド型乗合タクシーの導入」「空港シャトルバスの位置情報やダイヤをスマホで確認できるシステムの導入」などを行い、観光や日常での移動・アクセスの改善を行っています。
MONETには本田技研工業や日野自動車、マツダなども出資しており、日本全体を巻き込んでいるMaaS企業といえます。
世界におけるMaaSの取り組み
【フィンランド】 行政主導で実現したサービス「Whim」
MaaSグローバル社が開発したアプリ「Whim」。出発地から目的地まで複数の経路を提案し、ユーザーが選んだ経路に含まれる移動手段全てを予約できます。
サービス開始後、首都ヘルシンキでは公共交通機関が増加、マイカーの利用率が減少したようです。
【アメリカ】 世界に浸透するサービス「Uber」
ウーバー・テクノロジーズ社が運営する自動車配車アプリ。 空いた時間・車を利用してサービスを提供したい運転手側のユーザーと、配車サービスを利用したいユーザーを繋いでいます。
簡単な配車と決済機能が使いやすいことからユーザー数が非常に多くなっています。
世界に比べて、日本のMaaSへの取り組みはまだまだ少ないです。
これからの日本の自動車業界の進化に期待したい。そしてその一歩を自らの手で進めてみたいあなたは是非エントリーしてみてはいかがでしょうか。
就活生が自動車業界に就職するためにやるべきこと
いかがでしたでしょうか。本記事では、自動車業界の構造や、自動車業界に含まれる具体的な企業例、自動車業界の今後の展望などをご紹介しました。
しかし、人気企業の選考を突破するためには、企業に合わせた研究が非常に重要になります。
自動車業界の内定者は、選考対策として数多くのOBや社員から情報を獲得し、研究を進めていったようです。
しかし、OBを探すのも大変。いざOB訪問ができたとしても、具体的に何を聞けばいいのかわからない。 そういった方は多いのではないでしょうか。 そこでen-courageでは、日系大手企業や外資系企業、メガベンチャーなど幅広い企業に内定をしている先輩が1対1であなたの就活をサポートします。
例えば、 ・志望業界・企業に合わせた選考対策 ・自己分析のやり方、業界研究のやり方を伝授 ・es添削や模擬面接 ・内定先企業の社風や社員の雰囲気を伝授 などあなたの就活を幅広くサポートしております。
実際に内定を取った先輩から直接アドバイスをもらうことは、あなたの内定獲得への近道です。
是非活用してみてくださいね。
【en-courage限定公開】 先輩内定者のガクチカを見本にして書いてみよう!