実際コンサルタントってどんな仕事?
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―郡さんは、コンサル業界が第一志望だったんですよね。3年目の今、あらためてどんな仕事だと感じますか?
郡:私は、頭を使う仕事がしたいと思って、コンサルタントを目指したんです。 日々、さまざまな企業と関わるので、ただ考えるだけでなく専門知識も学んでいく必要があります。知的好奇心が満たされ、とても楽しいですね。上司や同僚もスマートな人が多く、刺激的です。 忙しい時期もありますが、ファームによっては若手のうちから裁量権が大きく、給与は高い業界だと思います。
―労働時間や給与について、実際どのくらいか教えてもらえますか?
郡:私はプロジェクトを併任しているので、かなりの残業時間になることもあります。大手ファームではホワイトな労働環境になっていると聞きますが、それでも日系大手企業と比較して残業時間は多いですし、福利厚生はあまり充実していないですね。
もちろん、保険など最低限の福利厚生はあります。
しかし、みなし残業で40時間/月や60時間/月など各社で設定されているので、それを超えなければ残業代は出ません。家賃補助もほぼ出なかったりもしますね。
とはいえ、年収に関しては比較的多いのかなとは思います。 年収は業務内容によってかなり差があるんですが、新卒年収だと業務・IT系が400万円~、総合系が500万円~、戦略系が600万円~くらいでしょうか。
役職があがると年収も大きく変わるんですが、外資戦略ファームのマネージャーや総合系戦略ファームのシニアマネージャーになれば1800万円という話もあります。 パートナーになると、外資の戦略ファームであれば億単位で稼ぐ方もいます。当然、年収が高い業務ほど、専門性や忙しさはあがっていきますし、戦略ファームではup or outという形でリスクも出てきます。
―そんなに待遇が違うんですか! 希望する業務に就くためにはどうすれば良いのでしょう?
郡:大手総合系ファームでは選考時の評価が業務配属に直結するという話もきくため、内定時に良い成績をおさめることが将来の選択肢を広げることに繋がります。たとえば戦略(=経営戦略に特化した)プロジェクトは、成績上位のメンバーがアサインされます。どんなに希望しても、別業務から転向することは難しくなります。
ファームによって特化している業界や業務、求めるコンサルタントが違います。就活時に、どのファームを受けるべきか見極めることが重要です。
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ざっとあげるなら、こんな感じでしょうか。就活メディアなどを見れば、より理解が深まると思います。
―コンサルタントの仕事を、業務の違いとともに教えていただけますか?
郡:コンサルタントの仕事は、「クライアントの課題を明らかにし、解決するための方法を考える、または直接手伝う」ことです。 戦略コンサルタントは、クライアントの新規事業の立ち上げや事業戦略策定など、経営にかかわる課題の分析と解決方針の検討までを行います。場合によっては、実行も支援します。
業務・IT系コンサルタントは、クライアント先に常駐したり、出向したりして、業務改善やシステム導入などを行い、BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)の場合はクライアントの社員と同じような実務を行います。
プロジェクト期間は長いシステム導入などになると数年に及ぶこともあるようです。BPOの場合、その働き方から「高給派遣社員」と言われたりしますね。
総合系やIT系のコンサルティングファームの大半が業務・IT系のコンサルティングであり、BPOやシステム導入などの案件が多い傾向にあります。
―郡さんのような戦略系コンサルタントは、具体的にはどんなことをするんですか?
郡:クライアントからの依頼は、漠然としたものもあれば、課題や要望が明確になっているものまで様々です。たとえば、「新規事業を始めたい」というケース。
事業の選択肢すらないこともあれば、始めたい事業がある程度固まっている場合もあります。前者であれば、1から事業アイデアを一緒に考えます。
クライアント当人すら気づいていないニーズや最善の結果までも見極める必要があり、腕の見せ所でもありますね。
後者の場合は、本当にニーズがあるのか、どういったスキームで事業を行っていくか、事業計画はどうなるのか、などを詰めていくことになります。
新規事業に関する実際の流れは、こんなところでしょうか。これらを1カ月~半年ほどで行っています。
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―コンサルタントの仕事は、一人の力で進めていくイメージがありますが、1つのプロジェクトは1人で担当するのですか?
郡:いえ、とんでもない! コンサル業界は、ほかの業界よりも「チームで働く」という考えが強いんです。戦略系プロジェクトは、会社にはよりますが役職の異なる3~4人1組で行うことが多いと思います。
若手のコンサルタントは、経験が浅いため、プロジェクトにアサインされても、クライアントと顔を合わせないこともあります。私が所属するような小さなファームでは、2人でプロジェクトを行うこともしばしばありますし、若手でもクライアントの対面に立つ機会が多いと思います。
また、近年コンサルティング業界の働き方も変わってきています。昔は複数のプロジェクトにアサインするファームが多数でしたが、1人1プロジェクトアサインのファームが増えてきており、残業時間も減る方向にあります。私のように複数のプロジェクトを担当するファームは稀になってきているかもしれません。
―なんと! 若手のうちはどのような仕事をするんですか?
郡:入社してから少なくとも1年は、議事録作成やリサーチ、簡単な資料作成などの地味な仕事がメインです。コンサルタントクラスになると、上長と方向性を議論し、資料作成をつくってアウトプットすることが主な業務となります。
クライアントと主に対峙するのは、シニアコンサルタント、マネージャークラスから上になります。シニアコンサルタントにここまで昇進するのに4,5年かかることが多いです。
―ほかの業界と比べて、業務内容をかなり細かく分けられています。なぜ、これほど細分化するんでしょう?
郡:仕事を細かくする理由は、やはりチームで仕事を行うからです。コンサルタントにとって「効率よく成果を出すこと」は非常に重要なこと。「人」に対してお金をもらっているわけですから、無駄な仕事は無くさなければなりません。
仕事を細分化し、チーム内で役割を決めて作業を行うことにより、効率的にアウトプットすることができます。
アナリストは議事録作成など地味な仕事を行うことになります。
しかし、議事録作成もなかなか難しい仕事であり、社会人として間もないのでクライアントの業界用語がわからない、そもそもコンサルタントが使う用語もわからないといったことが多々あります。初めは、議事録作成だけでも2日かかることもあります。
近年コンサルティング業界では人材を育成しようという気概も高いですが、研修などで学ぶことはやはり限界があります。
そのため、どれだけ実践を通して学ぶことができるか、業務外の時間を使って自分で学ぶことができるか、がコンサルタントとして成長するにあたってはカギになります。
優秀なコンサルタントは、総じて膨大なインプット・アウトプットを日々繰り返しています。
―コンサルティング業界には、どんな人が向いていると感じますか?
郡:地頭が良く、かつ勤勉な人が向いていると思いますね。プロジェクトが変わるごとに、1から半端でない量の知識を頭に叩き込まないといけないので。
また、コミュニケーション能力の高い人は向いていますね。能力があっても、相手の立場に立って柔軟にコミュニケーションできないような人は、内部やクライアントから好かれない、信頼されないといった理由で昇進できないコンサルタントもいます。
特に、業務・IT系コンサルタントは現場に常駐する時間が長いので、クライアントから好かれる人間性が求められます。
また、コンサルタントの仕事は、0から1をつくるのではなく1を100にすることです。独創性やイノベーションよりも、クライアントの意向のなかで最善を尽くすことが求められます。
強烈な個性を持ったスペシャリストよりも、ジェネラリストとしての働き方を良しとする人が、向いている仕事だと感じます。
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コンサルタントになるための、必勝就活法
群さんは、どのような経緯でコンサル業界を受けたのですか?
郡:実は、学部3年生のときに一度就活をしたんです。しかし、その時は社会に出てやっていける武器を持っていなかった。理系だったのでプログラミングは将来の武器になると思い、必死に勉強しました。
あるとき、友人が起業するとのことだったのでエンジニアとしてジョインしました。しかし、経験豊富なプログラマーたちとは比べものにならず、このままやっても一生勝てないと思い、ほかの武器を探そうと思ったんです。
それで、頭を使うのが好きだったので、ロジカルシンキングを学んだんです。これを活かせる職業ということで、院を卒業して再度就活するときには、コンサルタントを志望しました。
―具体的に、どんな就活対策をしましたか?
郡:まず、知っておいてほしいのは、コンサル業界ではESはあまり重視されず、一般的な面接もほぼありません。では、代わりに何で判断するのか?
それはケース面接です。
面接官から出された架空の課題を分析し、解決法を提示するんです。通常2~5回実施されます。
対策法は、ケース面接対策の本を読んで、ロジカルシンキングを学ぶこと。例題や過去問を解くばかりでなく、日常的にこの思考法で周りを見るクセをつけるのが良いと思います。OBOG訪問ができれば、ケース面接を実際にやってもらうのもおすすめです。
お話ししたとおり、選考時の評価が入社後の待遇に直結するファームもあるので、ケース面接が本質的に人の能力を見極められるのかというのは置いておいて、ケース面接の勉強は必ずすべきです。
―ケース面接は、どのような観点で評価されるのでしょうか?
郡:地頭の良さ(論理的である/客観性がある/分析が正しい/発想力がある等)とコミュニケーション能力の高さ(聞き方がうまい/伝え方がうまい/好感を持てる等)です。
基本的なケース面接の受け答えは書籍等で学べると思いますが、いわゆる書籍等にのっている解法でケース面接を受けても通りません。
常に様々なものに興味を持ち、「なぜ?」と問い続けることが必要です。天性の才能で突破する人も稀にいますが、一朝一夕で身につくようなスキルではないので、早いうちに内定者や OB・OGから学んでいくことを勧めます。
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―ケース面接以外の対策は、どんなことをすべきですか?
郡:企業研究です。ファームによって業務や待遇、配属のされ方が違うので、自分の希望や条件に合致するところを調べて受けるべきだと思います。
戦略系コンサルタントを志望する場合、MARCH以上の学歴が必要な場合がほとんどです。また、意外にも外資系ファームでも外国語能力は不問だったりします。
チームで動く場合が多いので、そのファームでどんな人が働いているのか、も重要な判断基準になると思いますよ。
グループディスカッションを行うファームもありますが、ケース面接の対策をしていれば、特にほかの対策は必要ありません。とはいえ、コミュニケーションは見られているので、他の受験者を否定したり、上から目線で対応するといったことはNGです。
コンサルタントと転職のリアル
―郡さんは、入社2年目で別のファームに移っていますよね。転職の経緯を伺ってもよろしいですか?
郡:戦略系のチームにいたのですが、ファームの方針が変わってIT系に注力することになったんです。
私は戦略系の業務を続けたかったので、転職を決意しました。いくつか声をかけてもらい、そのなかでもクライアント幅が広く、若手からさまざまなことに挑戦させてもらえる気質があったので、今のファームに惹かれたんです。
―入社2年目で転職というのは、一般的に見ると勇気が要ることのように思えます。
郡:コンサル業界では、転職は当たり前で、ハードルは非常に低いです。しつこく引き留められたり、転職先のファームで転職理由を聞かれたりすることはなかったですね。
若手は特に、転職時に勤務年数や実績を見られることもほとんどありません。就活時と同じく、ケース面接の出来で採用が決まります。ゆえに、他業界からの転職者にも寛容です。
―最後に、就活生に対するメッセージをお願いします。
郡:私もエンカレッジでメンターをしていたので、様々な就活生と話しました。世の中的に自己分析をするのが一般的になっていますが、無理にする必要はないと思います。
強烈な原体験があるような人は、自己分析をしなくともやりたいことの方向性は見えていると思います。
また、そのような体験がない人は自己分析をしても自分がやりたいことが明確になるといったことはほとんどないと思います。自己分析をして「やりたいことが見つからない」と不安になるなら、自己分析はしないほうがいいです。
無理やり絞り出した強みや志望動機は、本物には勝てません。憧れだけで無理をするのは勧めません。あなたの人間性や性格を認めてくれる会社や人は、絶対にあります。
そういった会社や人を見つけるために、積極的にOB訪問をする、気になる企業の社員と話すといったことをしていけばよいと思います。
コンサルタントという仕事は本当に奥深く、毎日が刺激的です。この記事を読んでくれた人が、未来の後輩になるかもと思うとわくわくします。 良い就活ができるよう、心から応援しています。
記事/取材:菅野 玲
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