Publish date:
Last updated at:

~就活に潜む落とし穴・ロジカル編~

【就活word "ロジカル" の罠とは!?】 就活に潜む落とし穴シリーズ② ロジカル編 8業界・40社もの面接を受け、様々な就活生を見てきた20卒ライターがコラム形式で面白可笑しく語ります👌

~就活に潜む落とし穴・ロジカル編~

今月より始まりました連載、"就活に潜む落とし穴"

エンカレッジ京大編集部ライター"I"です。

12月も半ば、皆さん冬インターンへの参加や、本選考に向けての面接の対策などにお忙しい時期ではないでしょうか?

そんな就職活動の中でしばしば耳にするワード"ロジカル""論理性"

就職活動を開始して、初めて意識され始めた方も多いのではないでしょうか?

就職活動では"ロジカルであること"がもてはやされ、さも絶対正義のようにささやかれています。

しかし、そうした"ロジカル"であることを意識するあまり、落とし穴にはまってしまう学生が多々います。

今回はそんな"ロジカル"に潜む落とし穴の例を、ライターである私が目の当たりにした例を用いて見せましょう。

ケース1:MECE至上主義

今回取り上げるのは、某T大学修士一回生Aさん。

就職活動開始は3月。自分の頭脳には自信があるものの、研究に飽き飽きしていたAさんは合同説明会で出会ったコンサルティングファームの説明を聞き、自分の能力を活かせるのはここしかないと、コンサル業界を志望するようになりました。

ケース面接対策に、ロジカルシンキング本でコンサル対策ばっちりで、コミュニケーション能力にも優れたAさんは、その力を如何なく発揮。

無事、某戦略ファームD社のインターンシップ参加を決めました。

初めてのジョブ。

三人のグループワークで、ある会社の経営戦略を立案することになったAさんは、持ち前の論理的思考力で辣腕を振るい、漏れのない分析・乱れのないロジックを徹底します。

メンバーの中には、独創性に富み、突飛なアイディアや面白いアイディアを出す人もいましたが、Aさんには関係ありません。コンサルでは論理的に正しいことがすべてなのです。

柔らかなコミュニケーションの得意なAさんは、チームの雰囲気を乱すこともなく、自身の考えを的確にチームのアウトプットに反映していきます。

もれなく的確な分析・きれいなアウトプット・流れるようなプレゼンテーション。

他の班の発表も聞き終えたAさんは、自分の班のプレゼンの素晴らしさを確信するとともに、自身のジョブ通過を確信しました。

ですが、全体講評の時間。Aさんの班の発表が取り上げられることはありませんでした。

そこはかとない不安。

結局、一週間後待っても、かかってくるはずの合格通知が届くことはありませんでした。

Aさんには自身の不合格の理由はわかりません。D社のカルチャーにフィットしなかったのかなと切替え、他社のジョブへ。しかし、Aさんが、コンサルティングファームの内定を得ることはありませんでした。

では、Aさんのどこに問題があったのでしょうか?

それは、"ロジカルであることの自己目的化"です。Aさんは、ジョブの最中、「どうやったら仮想のクライアントの成果を最大化できる、経営戦略を立てることができるか」ではなく、"どう論理的に妥当性が高いアウトプットを出すか"ばかりを考えていました。

そのため、他のメンバーの出す突飛だがクリティカルなアイディアを押し殺してしまったり、自身でも独自性のある分析やアイディアを出したりすることができていませんでした。

つまり、結果として、チームの成果の最大化には貢献できていなかったのです。

求められるのは、どの企業でも同じ。

"ロジカルな人間"ではなく、"成果を出せる人間"なのです。

ケース2:自分はロジカルじゃないから

某国立K大学に通う三回生Bさん。

就職活動を開始したBさんが初めて参加した就活イベントは、K大学構内で行われたグループディスカッションのイベント。

その時期に就職活動を開始する学生は、有名ゼミに通う猛者ばかり。文系で議論の経験も少ないBさんは委縮して中々話すことができず、その日はとぼとぼと帰ることになりました。

その日の経験ですっかり、自分は"ロジカルじゃない=優秀じゃない"と思い込んでしまったBさんは、合同説明会で戦略コンサルティングファームの仕事に関心を持ったものの、所謂"実力主義"といわれる業界・企業への恐怖から、夏のインターンシップでは、受験することはありませんでした。

しかし、関心を捨てきれなかったBさんは、冬には、三大コンサルティングファームといわれるB社のインターンシップに応募します。

そして、いざ受験するとなんとインターンシップ選考に合格。本選考には進むことができなかったものの、インターンシップに参加できたことは大きな自信になり、再びコンサルタントを志す気持ちが再燃します。

しかし、いざ募集サイトを見ても、ほとんどのファームの募集は終了。Bさんは少ない選択肢の中で戦うことになってしまいました。

結局受験することができたのは、戦略ファーム2社と総合ファーム3社。

結局、総合ファームからしか内定を得ることができず、Bさんは自分の中で納得感を得ることができず、就職留年をして、戦略ファームを目指す決断をすることになりました。

これが二つ目の罠

"自分はロジカルじゃない"です。

Bさんは "慣れ"と"優秀"を見誤ってしまったのです。就活始めたては"就活に慣れた"学生が、"ロジカルで優秀"に見え、自分が"ロジカルでなく、優秀でなく"感じるかもしれません。

ですが、たいていの場合、"慣れ"のせいであることが多く、また、論理的思考力なんてものは能力項目に一つにすぎません。

一見の"ロジカル""優秀"に気圧されて、自らの選択肢を狭めてしまわぬようお気をつけて、、

ケース3:志望動機のロジック全力で詰めるマン

国立大学に通うCさん。

大学3回生の秋から就職活動を始めたCさんの第一志望は総合商社。

先輩の就職先として人気であり、給与も申し分もない総合商社はCさんには非常に魅力的に映りました。

コミュニケーション能力にもガクチカにも自信ありのCさんにとっての唯一の懸念は志望動機。

総合商社間の違いは、もちろん"人"。

ですが、人気と給与でしか総合商社を志望していないCさんは、それをそのまま面接で伝えるわけにはいきません。

どうすれば、"ロジカルな志望動機"を作り上げ、面接官を納得させることができるのか、、

OB訪問を繰り返し、様々な先輩の志望動機を聞き、3か月の奮闘の末、Cさんは完璧に"論理的な志望動機"を作り上げました。

そして、いざ挑んだ面接。

前半の"学生時代に力を入れたこと"といった、パーソナリティーについて聞かれる質問は的確に答えたCさん。

面接も後半になり、遂に最も恐れていたあの質問が来ます。

「総合商社を志望する理由は何ですか?」

Cさんは答えます。

「理由は二つあります。一つ目はグローバルに活躍したいためです。グローバルという観点で見た時、総合商社は、、、、二つ目は事業を通じて社会に大きなインパクトを与えたいためです、、、」

Cさんは考えてきた志望動機を言い切り、面接官からの深堀りを待ちます。

しかし、意外にも面接官の深堀りはなく、面接は次の質問「総合商社の中で自社を志望する理由」へと移ります。

山場を乗り越えたCさんは一安心。

面接官を納得させることができたのだと、自信を持って残りの面接に取り組むことができました。

ガクチカなど他の質問もうまく答えることができたていた、Cさんは、内定を確信して面接会場である本社を去りました。

しかし、Cさんがもう一度、本社に訪れることはありませんでした。

Cさんが落ちてしまったのはなぜでしょうか?

それは彼の志望動機は、"論理的に筋は通っているが、Cさん自身と紐づいたものではなかった"ためです。

Cさんが総合商社を志望していた理由は、安易なもので、Cさんはその自覚がありました。それ故に、彼は、自分自身の本当の志望理由とは切り離した、"論理的に筋の通った架空の志望動機"を作り上げてしまったのです。

しかし、作り上げた志望動機というものは、その志望動機自体を単体で切り取れば"論理的"なものにはなるかもしれません。しかし、面接を通じて見た時に、話し手のパーソナリティと結びつかない志望動機は、面接の中での話し手の印象の一貫性を損なってしまいます。

"ロジカルであること"にこだわって、自分の"本当の志望動機"をお忘れなきよう。

最後に

さて、いかがだったでしょうか?

キャリア選択や面接における志望動機には様々な罠があります。

上でお見せしたのはほんの一例にすぎません。

こうした罠にかからぬよう、"自らのキャリア選択"を常に批判的に検討し続けることが大切です。

せっかくの就活という、"自身と社会を向き合う"機会。

足を動かし、ベストな選択を追求してみてください!!

本日はお付き合いいただきありがとうございました!

次回をお楽しみに!

エンカレッジ京大編集部 I