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4年生の秋からでも間に合う?!今更聞けない、就活の進め方

就活についての世間一般のイメージでは、「3月企業エントリー、6月採用選考スタート、8月中には内定」というイメージがありますよね。 しかし、「就活から目を背けていた…周りは皆内定を決めた」「なあなあで進めてしまって一応内定はもらったけど、納得いく内定先が無い」「留学から帰って来たはいいけど、就活の準備を何もしていない」など、様々な理由から秋以降の就活に挑む学生も多いと思います。 今回は4年生の秋からの就活について、今一度基礎の基礎から確認していきます。

・秋以降の採用スケジュールの確認

まずは、採用選考の流れをもう一度確認していきましょう。

一般に、「3月企業エントリー、6月採用選考スタート、8月中には内定」という採用スケジュールを「春・夏採用」と呼んでいます。春・夏採用では、日系大企業を代表として、上記のような大まかな選考スケジュールが存在します。

しかし、実際の採用活動は前倒しで行われており、選考の早い企業では3年生の夏時点で内定出しを行う企業もあります。実際、経団連は新卒採用における就活ルールの廃止を発表するなど、全体として就活は早期化の傾向にあります。

そんな早期化している春・夏採用に対して、9月以降の秋冬に行われる採用活動を、「秋・冬採用」と呼びます。

秋・冬採用では、基本的には、春・夏採用で予定していた学生数を採用することができなかった企業が募集を継続するため、企業ごとに選考スケジュールは異なります。

また、近年は通年で採用活動を行う企業も増えてきました。こちらも、秋・冬においても選考に参加することができるので、チェックしてみることを強くお勧めします。

参考までに、現在通年採用を行なっている企業としては、

<外資系企業> ・ネスレ日本 ・ユニリーバ・ジャパン ・PwC(プライスウォーターハウスクーパース)コンサルティング/PwCアドバイザリー ・アーサー・ディー・リトル・ジャパン

<内資企業> ・リクルート ・ソフトバンク ・ヤフー ・メルカリ ・サイボウズ ・サイバーエージェント ・ソニー ・ファーストリテイリング ・楽天(エンジニア採用) ・ディー・エヌ・エー(DeNA) ・面白法人カヤック ・富士通 ・三菱UFJリサーチ&コンサルティング

このように、数多くの名の知られた企業の採用も通年で行われているのが、現在の新卒採用市場なのです。

・優良企業の採用選考はまだ残っているが…

この記事を読んでくださっている4年生の学生の中には、「秋以降じゃ、優良企業はもう採用を終了してるでしょ...」という諦めの気持ちを抱いている人もいるのではないでしょうか?

それに対する答えは『No!』です。

"優良企業"の定義は人によって変わって来ます。しかし、先程に挙げた通年採用を行なっている企業のように、多くの超大企業も採用活動を行なっています。

春・夏採用で就活が上手くいかず、納得する内定先を得ることが出来なかった人も、諦めずに就活を続け、納得できる内定を掴みましょう。

しかし、通年採用、秋・冬採用における選考の難易度は、春・夏採用の選考よりも、概して難しいと言われています。

その理由は、通年採用の場合は、そもそもの選考に参加する学生の母体が大きいということ。そして、秋・冬採用の場合は、春・夏採用で予定した定員を埋めることを目的と採用活動であることが多いため、採用人数が極端に少ないことが珍しくないからです。

視点を変えると、優良企業かは別として、新卒市場全体を俯瞰して見ると、20卒における大卒求人倍率は、1.83倍であり、人の学生に対し、1つ以上の採用枠があり、売り手市場であることは間違いありません。

(出典:https://www.works-i.com/research/works-report/item/190424_kyujin.pdf) これは、リクルートワークス研究所がまとめた、従業員規模別の求人倍率の推移です。

その中で、従業員の数が300人未満の、いわゆる中小企業の求人倍率は8.62倍であるのに対して、従業員規模が5000人以上のいわゆる大企業の求人倍率は0.42倍となっています。

前年に比べて従業員規模間における倍率格差は縮小していますが、依然として大企業の内定を勝ち取ることは難しいことがわかります。

就活を始める段階では、自分の名前の知っている大企業を絶対視してしまう就活生が多いですが、倍率が0.42倍という内定を勝ち取るには難しい道のりがあるだけではなく、「人数が多い故に、一人一人の裁量が小さい」「年功序列型」など、学生によっては決して良い面だけではありません。

盲目的に大企業の内定を欲するのではなく、自分に合う企業からの内定を得ることが重要になってくるでしょう。

・就活の進め方

就活対策①:自己分析

今更になってしまいますが、「なぜ就活をするのか?」ここをしっかりと整理することで、就活をスムーズに進めることができます。

なんとなく大学に入って、周りが就活を始めたから、自分もなんとなく就活を始めた。という人がほとんどなのではないでしょうか?

しかし、同年代では、高校を卒業して就職しすでに社会人として活躍している人、大学在学中に会社を興し、仕事に邁進している人もいるかもしれません。

なぜ、就職という道を選ぶのか?具体的にどのような業界のどのような職種につくのか?内定がゴールになっていないか?

これらのことの根本にあり、最初に考えなければいけないことは、「自分を知る(=自己分析)」ということです。 今までの自分は何を大切にして生きてきたのか?自分の限られた人生の中で何を成し遂げたいのか?普段の生活では中々意識することがない「自分」について深く内省することが就活の第一歩となるでしょう。

就活対策②:業界研究

自己分析を通じて、自分の特徴を把握したら、それに合う職種、ひいては業界を探っていきます。それが「業界研究」「企業分析」の段階です。

自分がエンジニアに向いていると感じた場合、基本的にはIT業界を俯瞰して行くことになります。その中においても、SE(システムエンジニア)、プログラマー、インフラエンジニアなど、エンジニアと言ってもその職種は多岐に渡ります。

自分の特徴と照らし合わせて、どの職種が自分にとってベストなのかを考え、徐々に受ける企業を絞って行きます。 この際、実際の仕事内容を就活生が理解することは難しいため、しばしばOB・OG訪問を行うことで、仕事に対する理解を深めることが効果的と言えます。

就活対策③:能力テスト、ES、面接対策

選考を受ける企業が決まったら、企業ごとの具体的な選考対策に移ります。現行の就活における選考形式は、大きく分けると三つの形式があります。

まず一つ目は、能力テスト。 SPI、玉手箱といったものが有名ですが、中学生レベルの国語、算数、英語などの基礎的な問題を時間内に解き、基礎学力を測るものです。いわゆる難関企業になるにつれ、合格点のボーダーは高く、それらの企業を目指す学生はいち早く能力テストの対策に取り組むことが必要になるでしょう。

二つ目がES(エントリーシート)。 エントリーシートとは、自己PRや志望動機など、採用するにあたって企業側が知りたい情報を記述式で学生に問う書類選考のことです。

最後に、面接。 面接は個人面接や集団面接、GD(グループディスカッション)など、様々な形式があります。 また、面接の段階や、担当する面接官によって問われる質問が変わるので、最も対策することが難しい選考形式と言えるでしょう。

近年では外資系企業(特にコンサルティングファーム)が取り入れた「ケース面接」、中でも「フェルミ推定」など、特殊な選考を要求する企業も出てきたため、受ける企業の選考形式をしっかりと把握して実際の選考に臨むことが求められます。

では、以上挙げた三つの選考形式について、更に詳しく解説していきます。

・就活対策①自己分析

もう一度、自己分析とはなんなのか、また、就活をする上で自己分析はなんのためにあるのかを確認しましょう。

記事『「自己分析」の目的と方法とは?具体例付きでわかりやすい!』で詳しく解説していますが、 自己分析とは、一言で言うのならば、「自分を知ること」。 更に詳しく言うのならば、自分のこれまでの経験や思考を整理し、自分の能力や性質、強みや弱み、今後のありたい姿などを理解することです。

就活において自己分析を行う目的は、以下の二つが挙げられるでしょう。 ①選考における武器の整理のため 選考において企業から問われるのは、ひとえに「内定を出し、入社後に活躍しそうな学生かどうか」ということです。

そのためには、自分の能力、価値観、志向性を把握し、企業に対して的確に伝えられるような準備をすることが必要になります。

②志向性、軸の整理のため 自分自身の志向性を把握しないまま、なんとなくで就活を終え、企業から内定を得ることができる学生は数多くいるでしょう。

しかし、人生の大半を仕事に割くことになる上で、自分自身の志向性、仕事観が曖昧である人の多くが、入社する企業や仕事に対して不満を持つ可能性があります。

人生の多くの時間を占めることになる、仕事の時間をより充実したものにするためには、志向性、軸の整理が不可欠になるのです。

では、具体的にどのようにして自己分析を進めていけばよいのでしょう? 今回は、代表的な手法を紹介します。

自分史の作成

自分史を作成するメリットは、自分の過去の経験を洗い出すことで、そこに共通する自分自身の特性、価値観を知ることができる点にあります。 自分史の作り方、そしてそこから自己分析までに至るには以下のステップを要します。

①自分の過去の経験を時系列順に洗い出す ②「なぜ?」を繰り返し、過去経験を深掘りする ③「なぜ?」で深掘りした「自分らしさ」を就職活動に繋げる

詳しくは、記事『「自己分析」の目的と方法とは?具体例付きでわかりやすい!』で詳しく解説しているので、まだ自己分析が不足している、したことがないという学生は是非チェックして見てください。

・就活対策②業界研究

自己分析が終わり、自分の特徴や、将来の大まかなキャリアプランを掴んだら、次に行うことは様々な業界、そして個別企業の研究、分析です。 記事『業界研究の方法とは?業界研究の目的や方法を徹底解説します』で解説しているように、業界研究を行うことには、二つの目的があります。

①企業や業界構造の情報を整理 ②業界と自分が合致するかを知り、取捨選択を行う

業界の構造を把握し、自己分析で明らかになった自分自身の特徴と、当該業界での働き方がマッチしているかを判断することが、業界研究をする主な目的なのです。

具体的な業界研究の進め方は、記事『業界研究の方法とは?業界研究の目的や方法を徹底解説します』で解説しているので、業界研究のやり方がわからないという学生は、チェックしてみてください。

・就活対策③能力テスト、ES、面接対策

能力テスト

代表的なテストにはSPI、玉手箱があります。企業ごとに基準を設けているため、自分が選考に進む企業がどの程度の基準を設けているかを把握した上で、事前に勉強しておきましょう。

学生の間では、テストの回答集などが出回っているケースがありますが、万が一それが誤ったものであった場合、損をするのは自分自身です。また、後に不正が露見した場合、企業から内定を取り消される可能性も十分に考えられます。回答集に頼らず、自ら勉強することを強くお勧めします。

ES(エントリーシート)

記事『【徹底解説】選考突破できるエントリーシートの書き方!』で詳しく解説していますが、今一度エントリーシートがどのようなものかを確認していきましょう。 エントリーシート(ES)は企業が選考において用いる応募書類です。自己PRや志望動機、学生時代に頑張ったこと、選考において知りたい項目を企業ごとに設定しています。ほとんどの場合、企業ごとにフォーマットや文字数が決まっており、それに沿って回答することが求められます。

エントリーシートを書く際に、最低限意識するべきことは、

①読みやすい文章を書くこと ②他の就活生と差別化すること ③伝わりやすい表現にすること

実際、ある日系大企業の面接官によれば 「応募された全てのエントリーシートに目を通しているが、読みにくいエントリーシートは内容関係なく落とす。 多くの学生がサークルやアルバイトの経験をエントリーシートで記入しているので、その中で他の学生に無い経験をしている学生のエントリーシートは、目に留まりやすい。」

勿論、すべての面接官がそう考えている訳では無いと思われます。 しかし、上記の三点を意識するだけで、ES選考の通過率、ひいては内定の確率は上がるでしょう。

詳しいESの書き方は、記事『【徹底解説】選考突破できるエントリーシートの書き方!』で解説しているので、併せて確認してみてください。

面接

選考の大部分を占めるのは、ほぼ全ての企業で複数回以上行われる、面接です。 昨今の就活においては、交通の便を考慮して、Skypeなどを用いて面接を行う企業も増えてきていますが、面接官と学生が対面で面接を行うということには変わりありません。

面接において、自己紹介、志望動機、就活の軸、逆質問など、メジャーな設問が多くありますが、今から就活を始める人が一番意識するべきことは、

身だしなみ

であると言えるでしょう。

面接において小手先のテクニックを身につけるのではなく、これから社会人になる人として、最低限のマナーを身に付けましょう。綺麗に磨いた革靴を履いていくこと、元気でハキハキした挨拶、受け答えをすること、姿勢を正しながら話すこと。 最低限のマナーをしっかりと身に付けた学生であることが、面接に臨む前に求められる1番の要素です。

詳しくは、記事『【就活対策】個人面接とグループ面接の流れ』の冒頭で触れているので、確認してみてください。

・実際に就活を進める中で、PDCAサイクルを回していく

ここまでで、選考の大まかな流れは解説してきました。 4年生の今から就活を始めていく学生は、よほどのことがない限り、必ず選考途中で一度は不合格通知を言い渡されることになるでしょう。

その中で大事になることは、思考、行動を止めないことです。

なぜ、前回の面接は通過できたのに、今回の面接でダメだったのか? 自分が面接官に語った志望動機は、適切に面接官に伝えられていたのか? そもそも、自分が作った志望動機は適切なものであっただろうか?

就活において、不合格を言い渡されるのはとても辛い経験になるでしょう。 また、なんとなくで受けた企業から内定をもらい、疲れたからそこで内定承諾をしたくなる時もあると思います。 そこで思考、行動を止めずに、常に内省し、自らを改善し続けることによって、就活を続けることが出来れば、必ず納得した内定先を見つけることができるでしょう。