公開日:
最終更新日:

学生起業家3名トーク やりたいことの見つけ方、失敗経験を語る

今回は「LEAP」の1セッション「学生ピッチ」の内容をお届けします。登壇したのは、地方創生会議ファウンダー、小幡和輝(おばた・かずき)氏、株式会社manma代表取締役、新居日南恵(におり・ひなえ)氏、株式会社DAN NAKAMURA 代表、中村暖(なかむら・だん)氏。 学生時代から事業に取り組み、20代前半にして大きな成果を出す3名は、どんなキャリアを歩み、どんな風に行動し、成果を出して来たのでしょうか。皆さんと同世代の3名からのメッセージを、ぜひ学びにしてください。

共通点は、行動・コンセプト・巻き込む力

井上:皆さん、いかがでしたでしょうか。来場者の皆さんも同世代の方の活躍を聞いて、悔しさや意欲を感じていただけたらよいですね。

これからは、パネルディスカッションに移っていきたいと思います。

ピッチでは、3人の活動のきっかけとこれからのLEAPを聞いてもらいました。その上で、この3人の共通点を掘り下げて聞いて見たいというのがまず1つです。

そして、3人はここにくるまでの間で、色々チャレンジしています。失敗もあったかもしれないですし、その中で学んだこともきっとありますよね。そこで得たものをシェアしてもらいたいなと思います。

最後に、今日来ている皆さんに、アドバイスがあれば。 同年代なので、言いづらいところもあるかもしれませんが、大きな活動をしていることだからこそ言えることがあれば、ぜひお願いします。

まずは、3人の共通点という、軽いところから入っていきましょうか。

小幡:暖くんは16歳の時。僕は17歳。日南恵ちゃんも高2の時。とにかく、行動し始めた時期は早いですよね。

新居:私は高1の時に、認定NPO法人カタリバの代表をされている今村久美さんという方に出会ったのが本当に一番最初でした。そこから国会議員のイベントの立ち上げや、manmaを立ち上げて今に至った。早かったというのは確かにそうですね。

皆さんも言われることあると思うのですが「生き急いでんの?」とか「早熟って、すぐ潰れるよね」とか(笑)、そういうことを、高校1年生の時から言われていました。

まぁ、言いたいことはわかります。「実力が無いうちに走ったら、あとから潰れちゃうよね」と、言いたい気持ちもわかるんです。実際に私の周りで、団体を立ち上げていた子もネットで炎上してしまったりしていました。

もちろん、若いからってちやほやされたり、調子乗ってやりすぎたりするのはNGです。

でも、若いからこその良さと、若いからこその難しさを知った上で、よほどバカをしなければ、やっぱり早い方がいいなって思うんですよね。先ほどもお話しした通り、行動して、挑戦して、学ぶ、どんどんそんなサイクルを回して行く方が、絶対に良い。

井上:暖くんはどうですか?

中村:みんな凄く表現が上手だなと思います。小幡君だったら、Twitterのつぶやきでもすごく数字が多くて誰からも理解しやすい。日南恵ちゃんも、凄く綺麗にグラフィックで見せたりしています。

誰から見られてるのかに合わせて、的確に見せることができる。それが凄いなと思います。

新居:コンセプトがあるからだと思います。小幡君は、今話を聞いていると凄く優しい感じですよね。でも、1ヶ月ぐらい前に「Facebookで気軽に友達申請しないでください」とかブログに書いていたりとか(笑)、

そんな尖った話をしたりするんですよね。

私は「家族」ということをテーマにしているから「キラキラ女子大生です」みたいな自撮りはアップしないなど、そういう基準はあるかもしれないです。

井上:行動が早い、コンセプトが決まっている、が出ましたね。

聞いていて皆さんに共通しているのは、巻き込む力、共感してもらう力ではないかと思ったのですが、どうでしょうか。

中村:僕は色んな人にぜひ協力してもらいたいと考えているので、どういう表現で共感してもらうか、すごく考えますね。

工場の方とお話をする時、デザイン系の方とお話をする時、どんな格好をしてどんな話をするか、きちんとデザインして、人と接するようにしています。

新居:暖とはすごく仲が良いんですが、街中で一緒にご飯を食べていると、デザイン系の有名な人が通りかかることがあるんです。そんな時のために常にポートフォリオ持っていて、見せに行って、そこから1時間ぐらい話をして、何かを仕入れて帰ってきたりします。

24時間365日、戦闘態勢なんですよね。

中村:トイレだけですね、気抜いているのは(笑)

小幡:それでいうと、今日もぜひそういう機会にしてほしいですよね。登壇者がエレベーターに乗るまで、30秒ぐらいあるでしょう。

そこで話しかけるとか、SNSで繋がるとか、なんとかしようと思ったら、なんでもできる状況ですよね。

green井上:小幡君は2年前に初めてLIFULLのイベントに参加していただいて、そこで出会ったら、すぐFacebookで申請がきて、いきなり「協力してくれ」ってオファーを送ってきてくれたんです。そういう人はなかなかいないんですよね。

繋がるだけの人とかはいるけれど、具体的にこんな応援してくれませんか、まで言ってくる人は、限られていますよね。非常に印象に残っています。

新居:私はが苦手なタイプで。

でも、できない人はできない人なりの戦い方があって、私はその分FacebookなどのSNSをたくさん更新するようにしています。それは私がすごくリスペクトしている、認定NPO法人フローレンスの駒崎さんが、2日に1回SNSに挙げなさいとお話をしてくださって、そうするようにしています。

その場で話しかけられなくても、Facebookで繋がって、タイムラインが流れているうちに、友達関係が深くなったかのような錯覚ってあると思うんです。最近頑張ってるよね、って思ってくれる人を増やしておいて、肝心な時にお願いに行く、そんなことをしています。

すごくチャレンジングに、誰もが売り込めるってわけじゃないと思うんです。

でも、自分なりの方法で共感してくれる人を増やす、自分が何をやりたいと思っているのかを伝えるっていう方法は取れるのかなと思いますよね。

学生起業家の「やりたいこと」の見つけ方

井上:ありがとうございます。あと、3人に共通しているのは、すごく楽しそうに、ワクワクしながらチャレンジしていることですね。

嫌だなと思いながら、誰かに言われてやっているわけじゃないですよね。やりたくてやっている。

でも、そういうのを見出せない同世代ってやっぱりいるじゃないですか。そんな方から相談を受けることもあると思います。そんな時、なんて答えるの?

中村:感動って日常に溢れていると思っています。自分が作ったものを誰かが使ってくれて、その時の笑顔を見るとすごく嬉しいですよね。もっと「嬉しい」に敏感になれば、自分が何が好きなのかも見えてくるんじゃないでしょうか。

新居:私は先ほどの話に通じますけれど、ある日突然、目の前に情熱を注げる何かが現れることってありえないと思っています。

ですので、やっぱり行動してみて、好きなことを探すのが良いと思うんです。それは、サイコロをふって、出たマス目に書いてあることをやればいい、そんな風にすら思っています。一つずつやって行けば、これ合わなかったなとか、徐々にわかってくる。

例えばお菓子が好きだったら、1日一つお菓子を食べて、紹介するブログを1000日書き続ければ、みんな結構興味を持つと思うんですよね。そんなことやる人誰もいないから。

やってみて、途中でお菓子はマジ無理だわっておもったら、次のことで挑戦して見たらいいと思うんです。 行動することが、好きか嫌いかを見分ける一番大事なことだと思っています。

小幡:僕が思うのは、職業とか肩書きにとらわれている人が多いということ。「やりたいこと」って言うと、まずは「こういう仕事につこう」「こういう職業ならできる」とか、枠組みで考えてしまう。

やりたいことって、そういうのじゃないと思っているんです。肩書きとかを考えずに、仕事とも思わずに、一度やりたいことをやってみる。そうして成果が出ていくと、その先に何か仕事が繋がっている。そんなアプローチもあると思うんですよね。

井上:新居さんとの共通の知り合いに 、前野先生という慶應義塾大学のシステムデザインマネジメント研究科の教授がいるんです。

その先生がおっしゃっているのが、人類74億人、総オタク化すればいいということ。

一人ひとりが自分のやりたいことをやればいい。社会システムに合わせてとか、会社に合わせてとか、こうしないと親が納得しない、先生が納得しないって、そんなものは全部取っ払った上で、自分がやりたいことをやった方が社会のためにもなると。

そういう前提の元、暖くんがいうように感受性を上げていって、自分との対話をして、やりたいことを探してみる。

それが楽しいのか楽しくないのかは、やってみなきゃ、経験してみなきゃ、わからない。マニュアル本を読んだり、正解探しをしたりするんじゃなくて、 行動しなきゃわからない。

その時に、これってすごく楽しいな、寝ないでも三日三晩ずっとできるな、そんなことに出会えると幸せですよね。

3人の失敗と、そこから気づいたこと

井上:では、簡単に皆さんの失敗について教えてください。失敗の中で学んだことでも、どうやって乗り越えたか、でも良いです。

小幡:それでは僕から。まず一つは、先ほど申し上げたイベントですよね。人が集まらなかったことです。

そしてもう一つ挙げると、実は僕がこの2人に協力してもらったサービスがあったんです。改めてすいません、と言いたいぐらいなんですけれど。

そこでは、学生向けのwebメディアを作ろうと思ったんです。でもやって見たら、アクセスはまぁまぁ集まったけれども、全然お金にならなくて、続かなかった。

そこで僕は、webサービスには向いていないなってわかったんです。周りの同世代がwebサービスをやってるから、僕もいけるかなと思ってやってみたんだけど、僕はできなかった。

それは2人に申し訳なかったんだけど、結局これもやってみて違ったんだと気づいた。。それこそ僕はイベントのような、アナログなところが好きなんだと思ったんです。ですから、今はそちらに力を入れていますよね。

新居:でもこれって、小幡くんは今も申し訳ないって言ってくれたけれど、私たちもそんな失敗したこと忘れてるぐらいですからね。失敗することが、どれだけ大したことないかっていうのを思いました。

私の失敗でいうと、やってみてすごく苦手だってわかったのが、組織を作っていくようなところ。manmaも4年間ぐらいやって、すごく苦戦をしたなって思っています。

リーダーって、ビジョンや世界観を見せることと、組織をきちんとマネージしてモチベーションを保っていくということをやらないといけないと思っていたんです。

だから、色々自分なりに頑張ってはいたんですが、私の本心としては、極端に言えば、やる気がないなら別に淘汰されて行けばいいんじゃない、ぐらいのことを思っているんですね。

そこで、モチベーション云々ということを話しても、嘘だなってバレちゃうと思うんです。

そんな仮面を被っていたのが良くなかったと思い、途中からは、関わる人の成長に本気でコミットする人に、そういうことをお願いするようになりました。

チームのマネジメント、採用なども全部やってもらうようにしてから、ちょっとmanmaがハッピーな感じになってきたと思います。

中村:僕で言うと、「この人と働きたい」と思える方がいたんです。こんな人と働けたらすごく楽しいし、自分がやろうとしていることも、一緒にやっていけるなと感じたんです。

その人は、理系出身で凄く優秀な方でした。だけどちょっと感情表現が下手な所があったりして。

僕が「一緒にご飯行きませんか」って言ったら、いいですよ、って、すごく気楽に接していただきました。

そこで僕が「ごちそうさまです!」って軽い気持ちで言ってしまったんですね。照れ隠しもあって、ノリで言ってしまった。そしたらその方が、僕が奢られる目的でご飯に誘ってるんじゃないかと勘違いしてしまって。

その誤解を解くのにすごく時間がかかってしまった経験がありますね。 今でも思い出すだけで胸が痛くなるぐらい。そういった行動は反省しています。

井上:失敗って、結局自分が失敗だと思ったら失敗なんですが、それを結局は次の糧にできるかどうかが鍵ですねですよね。

小幡:そのあとどう行動するか、どう失敗をいかせるかが大事ですよね。

井上:例えば、3人が30歳になる時、「数千回失敗しています!」って言ったら、ものすごくレアな存在になれるじゃないですか。

その数千回の失敗から、生き残って、全ての失敗から糧を得ていたら、そこからのキャリアはものすごいものになりそうですよね。

「自発的に動けること」が重要になる

井上:ご来場の皆さんも、同世代です。最後に、どんな仲間とだったら一緒に働きたいと思うか。もはやこの場で「こういう人募集」「同志求む!」みたいな感じで、メッセージをお願いいたします。

中村:片付けが得意な人かな(笑) みんなで色々作っていきたいと思っているんですが、唯一できないことが片付けなので。

小幡:片付け、僕も、欲しいですね(笑)

僕はどっちかっていうと、一緒に働きたいって人はあまりいないんです。どちらかというとライバルみたいな人がたくさん欲しいっていうタイプです。一緒にチャレンジしながら、互いを高めあえる人がいたら嬉しいなと思います。みなさんもぜひチャレンジして欲しいですね。

新居:難しいですよね、この質問。

manmaでも色々な人が入って来て、いろんな人が辞めていくのを見ていて、採用する時も、本当にわからないというのが正直な気持ちです。

だから、こういう人がきたら絶対一緒に働きたい、みたいなのはあんまりないんです。

でも、自発的に自分をマネージできる人たち同士が集まって、刺激しあってやっていくっていうのが今の組織の理想かなと思っています。

トップダウンの組織で、上がこう言ったから聞いてくれ、みたいな体制はもう難しいんじゃないかと思っています。我々はいわゆる「なぜなぜ世代」で、とりあえずやれって言われてもなかなか理解ができない、ちょっと無理だな、という人がすごい多いです。

そうすると、上から「いいからやっとけ」みたいなことを言うだけでは多分伝わらない。そうすると、自発的に動けることが重要ですよね。

自分自身が長期的にやりたいことがあって、でも目の前のタスクがどう結びついてるのか、わからなくなることが時々あると思うんです。でも、それも長期的なやりたいことのために、今これをやってるんだって、毎回咀嚼して自分をモチベートしなければチャレンジできない。

自発的にチャレンジをして、遠い未来と、今自分がやっていることを結びつけて、一緒にチャレンジし続けられる、そんなメンバー・組織がmanmaの理想だと思っています。

井上:ありがとうございました。ここで会場から質問を受けたいと思います。

質問者1:新居さんに質問です。さっきの「なぜなぜ世代」というのが私に響きました。

「なぜ」って問いながらも、やらなきゃいけないこともあると思うのですが、それをやるかどうかの基準があればぜひ教えていただきたいです。

新居:例えば、2日に1回Facebook を更新しなさいと言う話がありましたが、それはある意味「黙ってやれ」の一つだと思うんです。それをやろうと思ったのは、それを言った方が、自分がこう言う風になれたらいいなっていう、憧れの人だったからです。

その人がやっているからには、守破離の守の部分でやってみる価値があるなと思いました。

質問者2:中村さんにお伺いしたいです。ものづくりをする上で、資金調達は必須だと思いました。学生は信頼がない身だと思いますが、どうやって資金を集めたのでしょうか。

中村:自己資金で行っています。広告事業を委託して、事業をやっています。広告で資金を得て、その資金で立ち上げているので自己資金です。

質問者3:お話ありがとうございます。私も大学の授業で、イベント運営をやっています。その時、結局、自分たちの内輪で人を集めがちになってしまっています。どうやって一般の方に広げて行ったのか、広報手段を教えてください。

小幡: 集客で意識をしているのは、行く理由を増やすということです。堀江さんの講演会の時は、500名くらい来ていただいたんですね。

その時、ただwebで広めるだけじゃなくて、チケットを駅前で手売りしたんです。なんか高校生がホリエモンのイベントをやってるらしいぞ、という「面白さ」を付け加えて、行く理由を増やしました。

他にも色んな要素がありますよね。イベントって1人で来ているんじゃなくて、友人と来る場合も多いです。誰々がいくから一緒に行くとか、そういう繋がりを考えた集客をしたりしています。

地方創生会議だったら、高野山が一つのフックです。行ってみたいと思う人もいますが、なかなか行く機会がないわけです。でも、この機会に行ってみようかなと思う人が来てくれるみたいなこともありますよね。

そんな風に、行く理由を増やすことを考えています。

質問者4: 中村さんに質問です。大学で学んだことで、今の起業で生きていることを、教えてください。

中村:大学の勉強はすごく良いと思っています。大学院はお金さえ払えばずっとゴールがなく、勉強し続けられます。

それこそ広告の仕事をしていたりすると、期日というものはクライアントが決めて、期日までに納めると言う流れです。でも、大学院では、自分で決めた期日内に何かを成し遂げる。

そんな風に時間軸の使い方の幅が広がると思っています。

green井上:皆さん、ありがとうございました。時間になってしまいましたので、これにてセッションを終わらせていただこうと思います。小幡くん、新居さん、中村くん、ありがとうございました。