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川上企業or川下企業 あなたに向いているのはどっち?【細谷 功】

細谷 功氏、連載記事第3回。前回は、「川上」「川下」というフレームワークを紹介しました。今回は、「川上企業」と「川下企業」の大まかなイメージを掴みます。あなたに向いているのは、どんな企業でしょうか?

会社を「川上」と「川下」で捉えよう

今回は前回紹介した「川上→川下モデル」が具体的な会社選びにどのように影響するかについて解説します。

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川上から川下へという不可逆的な流れは、会社のみならず社会や仕事の流れ、あるいは人間の人生そのものにも当てはまるもので、ある意味で万有引力の法則などの物理法則のように(そこまで厳密に全てのものに当てはまるものではないものの)世の中を見るときに汎用的に使える視点です。

川上→川下に進んでいくに従って、仕事の性質が変わっていき、そこに必要になる価値観やスキルが異なることを考慮することが重要で、従ってこれは会社選びにも重要な視点ということになります。では具体的に「会社組織」の川上から川下への流れでこれがどのように適用できるかを見てみましょう。

ここでは大胆なモデル化を行います。つまり個別の詳細よりも「大きな流れ」を重視して単純化を行うことで全体の構造をわかりやすくします(従って、全ての会社にこれが単純に適用されるわけではないことも認識した上で以下の議論を参考にして下さい)。つまり下図のような流れで会社の流れを捉えて行きます。

「会社の流れ」のモデル化

会社はスタートアップという形での創業を経て規模の小さいベンチャー企業から成長して規模が大きくなって行きます。実際にはここで厳しい淘汰が行われ、生き残れる会社はほんのわずかということになるのですが、そこで生き残っていく会社は規模も大きくなり、「川中」を経て「川下」へ向かって行きます。

誰でも名前を知っているような有名な大企業というのがこの川下ということになります。歴史があって規模も大きく、ブランドも確立し、ルールや制度もしっかりと決まっているのがこのような組織です。社会的な地位も確立して世の中への影響力も大きく、「エスタブリッシュメント」と呼ばれるのがこのような会社です。

「川上企業」と「川下企業」のタイプの違い

もちろん人間の人生と同様に、ここまでの「進化」を遂げるまでには何十年もかかることが通常ですからこれらの中間も「川中」として捉えておきます。必ずしも川上や川下との明確な区別があるわけではありませんが、過渡期で典型的に辿っていくパターンがある場合にはそのステップも明確にするという位置付けでこのステップを入れています。 まずはシンプルにこれらの比較を示したのが下表です。

会社のタイプの違い

これらの違いは全て「川下→川上モデル」から来ています。この他にも様々な性質の違いから会社の段階によって会社の特性や求められるスキルや価値観が異なります。個別の内容については今後一つずつ解説していくことにしましょう。まず重要なのはこのメカニズムを理解し、その視点を持って対象となる職業を見ていくことです。

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