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「就活をしない」という選択肢はありえるのか?

「就活をしない」という選択肢はあり得るのか?仮に就活をしないとしたらどんなキャリアを歩むことになるのか? そこで今回は、「新卒の就職活動」を経ずに、就職をした2名にお話を伺いました。 熊谷さんは、大学卒業後、空白期間を経て、フリーランスのエンジニアとして活躍。 本田さんは、企業での長期インターンを経験すると、就活をせずにそのままその企業に入社。今でもその企業で活躍しています。 キャリアの歩み方の参考として、ぜひご覧になって見てください。

「就活をしない」という選択肢を考える

大学生の後半を迎えると、多くの人が直面することになる「就職活動」。

就活は、人生の大きな転機。これまで乗り越えてきた「受験」などと同様に、自分の人生を決める重要なポイントであり、それと同時に「つらい」「大変だ」というイメージを持つ人も多いのではないでしょうか。

そして、実際に就活に向かうことで、様々な悩みを抱える人も多いでしょう。

とりあえず就活をしなければ、と色々動いては見たものの、やりたい仕事なんてなければ、行きたいと思う企業もない。

そんな中でも、内定を得て、仕事を得て、お金を稼ぐために、思ってもいないような志望動機をひねり出す。

いわゆる「勝ち組」と呼ばれる人気企業に受かるために、webで見つけたエントリーシートをあたかも自分の考えのように書き換える。

流されるように就活をして、そこには何の意味も感じられない人も少なくはないはず。

そして、実際にそんな風に作り上げた志望動機を持って面接に行っても、なかなか選考がうまくいかないことも。

何十、何百と選考に挑んだけれどもうまくいかなかった、そんな就活生がメディアで取り上げられるのを目にしたことがある人も、多いのでは。

選考で何度も落とされるうちに、自分の人格が否定されているような気持ちになってしまったり。

30分や1時間そこらの面接で、自分のことなんてわかってもらえるはずがないじゃないか、そんなことも思います。

それでも、新卒で就職しなければ、社会のレールからは外れてしまう。だから頑張って、いくつもいくつも会社を受ける。

そうして、就活を通じて「つらい」と感じてしまう人も多いのではないでしょうか。

「就活は苦手だったけれども、会社に入って活躍している」という人もたくさんいます。そういった人を振り落とす就活は、果たして正しいのでしょうか。

そんな状態を見て、就活生だけでなく、企業に勤める大人たちですら、「就活の構造はおかしい」「就活はクソだ」なんていう話をしていることもしばしばです。

ただ、「就活はクソだ」「そもそも就活というもの自体が間違っているんだ」、いくらそんなことを言ったところで「結局は何とかして就活しないと、ちゃんとした生活が送れないじゃん」「クソだとわかっていても、就活を乗り越えないと」など、そんな風に思う人が大半でしょう。

しかし、本当にそうなのでしょうか。

「つらい」就活を無理して乗り越える必要は本当にあるのでしょうか?「就活をしない」という選択肢はありえないのでしょうか?

そこで今回は、「新卒の就職活動」を経ずに、就職をしているという2名にお話を伺ってきました。

熊谷さんは、大学卒業後、空白期間を経て、フリーランスのエンジニアとして活躍。

本田さんは、企業での長期インターンを経験すると、就活をせずにそのままその企業に入社。今でもその企業で活躍しています。

キャリアの歩み方の参考として、ぜひご覧になって見てください。

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就活に失敗。就職しないまま卒業しフリーランスで働く熊谷さん

―まずは、簡単にこれまでのキャリアを教えて下さい。

熊谷:私は、年齢でいうと新卒4年目になります。大学生の時は、就活がうまくいかずに、そのまま大学を卒業しました。

そして、1年間ほどの空白期間を経て、エンジニアとしてフリーランスで少しずつ働き始めるようになりました。

在宅でできる簡単な仕事を受注するということを繰り返して実績を積み、技術を磨いていくうちに、様々な仕事ができるようになり、今は週3日、お仕事をいただいている企業のオフィスで仕事をするという形で仕事をしています。

―大学生にとっては、就活をして、新卒で企業に入社する、というのが一般的な中、珍しい選択ですよね。それに至ったのはどのような経緯だったのでしょうか。

熊谷:就活では、様々な業界を50社ほど受けましたが、どこにも内定をもらうことができませんでした。

就活をやり直すために留年するということも考えましたが、就活のことを考えると気持ちが折れてしまって。

正直、社会の一般論で言えば「大学を出たのに就職しない、ダメなやつ」だったかもしれませんが、その時はどうしても就活をすることができなかったんです。

卒業してから半年弱ぐらいの間は、就職やバイトもせず、本当に何もしていませんでした。

そうしてダラダラと生活をしていて、いわゆる「クラウドソーシング」の話を聞きました。恥ずかしながら、親がテレビか何かで見たのを「あなた、こんなので仕事して見たら」って教えてもらったんですけど笑

色々な仕事があった中で、大学の時に授業でプログラミングを習っていたことや、プログラマーは技術を磨けば一人でも稼いでいける、というような話を聞いていたので、挑戦してみようと思って。

他にも、ライターの仕事や英文を翻訳する仕事などもあったのですが、これは続けられないな、とかも思ったり笑

ただそんな中でも、何をすればいいのか、どんな技術を身につければいいのか、何を学べばいいのかも全く分からず、初めはエンジニアとして就職して働いている友人に、とにかく話を聞いて。

とりあえず、経験が少なくてもできる仕事を知って、それをするために勉強をしました。

最初は何ヶ月もの間、とにかく勉強をしていました。

今思えば、プログラミングを学ぶこと自体はすごく楽しかったですし、自分が向いている仕事を見つけられたのが幸運だったのかな、と思います。

―そうして、エンジニアとして働き始めるわけですね。

熊谷:ただ、最初はお小遣い程度しか稼ぐことができませんでしたけどね。その辺りは、親に感謝です。

仕事をしながら勉強をする、という繰り返しで、誇張抜きに寝ている時間以外はずっとプログラミングをしている時期もありました。

そうしていくうちに、いろんなことができるようになって、一つひとつの仕事の額も大きくなって。

そんな風に実績を積み重ねていくうちに、先ほどの友人から、企業での常駐の仕事を紹介してもらって、働き始めるようになりました。

今、IT業界のエンジニアは不足していると言われていて、週3日での仕事ですが、人並みのお給料を頂いています。

最初の無職生活と比べると、本当に色々なことができるようになったし、ちゃんと自分で稼げるようにもなったんだな、って実感しています。

―それが今の仕事なんですね。今回のテーマは「就活をしないという選択肢」についてです。熊谷さん自身は「就活をしなかった」自分のキャリアを振り返ってみて、どう感じられているでしょうか。

熊谷:私自身は、今はすごく充実した生活を送っています。エンジニアの仕事自体は楽しいですし、会社に行かない時も、学びたいことがたくさんありますし、スポットで仕事を請け負うこともありますから、基本的には仕事漬けの日々です。

じゃあ、客観的に考えてみるとどうだろう、というと、相当運が良かったのもあるんじゃないかなと思うんです。

就活に失敗して、新卒での就職はできなかったけど、偶然フリーランスという選択肢を見つけて、偶然プログラミングというものに取り組んで。

そこで偶然、私の性格や思考といった点が、プログラミングやエンジニアという職業にすごくマッチしていた結果、「自分のスキル」一本で食べていくことができているんだろうなと。

そして、社会でプログラマーの需要が非常に高くなっているということもあり、仕事にも困ることはありませんし、十分な額の給料も頂いています。

社会的にも、フリーランスという働き方がこれからもっと普及するタイミングで、さらに働きやすくなるという話も聞いています。

そんな社会の流れなどもあり、就活には失敗してしまったけど、自分が満足することができているのはとても幸運だと思います。

でも、あの時自分が他の仕事を選んでいたらどうなっていたか、プログラミングというものが自分に向いていなかったらどうなっていたか、そう考えると少し怖くもなります。

就職をせずに「フリーランス」という選択肢も、一つの選択肢だとは思いますが、そう考えると、万人にオススメできるか、新卒の学生にとってオススメできる選択肢かと言うと、そうではないとも思います。

そうした観点も踏まえて、自分のキャリアの選択肢の一つとして考えていただければいいのかなと思います。

―ありがとうございました。

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就活をしないまま、長期インターン先の企業に就職した本田さん

―まずは、簡単にこれまでのキャリアを教えて下さい。

本田:私はITベンチャー企業に勤めていて、現在新卒3年目です。

私は大学2年生の夏頃から、企業での長期インターンを始めました。そして、3年生の夏頃に、その企業への入社のお話をいただき、入社を決めました。

なので、就活はほとんどしないまま、就職をしました。

―長期インターンから直接企業に新卒入社をされたのですね。長期インターンを始めたきっかけや、業務内容などをお伺いさせてください。

本田:長期インターンを始めたきっかけは、サークルの先輩に勧めてもらったことでした。その先輩は当時就活を終えていて、私と同じくITベンチャー企業への就職が決まっていて、内定先での長期インターンをしていたんです。

私は大学生活で特に打ち込んでいることもなかったところに、その先輩と話をしていて「長期インターンをしている」ということ、「実際の仕事に触れられるので、社会勉強になる・就職活動に役立つ」ということを聞いて、私もやってみたいなと思ったんです。

当時は「ITベンチャー」とか「就活」とか、全くわからない中で、「就職できるのかな」とか「就活って早めに対策しておかなければ大変そうだな」となんとなく感じていて。

そこで先輩から、長期インターンを募集している企業を様々教えてもらって、今の会社でインターンをすることになりました。

―最初は、なんとなくの危機感から始まったんですね。

本田:そうなんです。そこで、Webマーケティングや広告運用の仕事に携わることになりました。始めは右も左も分からない状態でしたが、社員の方に指導をいただきながら仕事を進めていくうちに、楽しくなってきて。

本当に幅広いWebマーケティングの施策に一つひとつ取り組んで、成果をだしていく。その業務自体がすごく楽しかったですし、その業務を通じて、会社の成果に貢献できている、ということもすごく楽しかったんです。

―そこから、入社を決めるまでに至ったのはどのような経緯があったのでしょうか。大学3年、4年になると、就職活動も始まりますよね。

本田:3年生の夏頃から、就活を始めた友人がちらほらいました。その時、私も就活について考えてみたのですが「やりたいこと」や「行きたい業界」が特に思いつかなくて。

大学に入ったばかりのころは「教育業界」などへの就職を考えたこともありましたが、強い想いがあったわけではなくて。

他の業界などを調べてみても、その業界でする仕事のイメージや、その仕事が自分に向いているのかは不透明なままで。

であれば、今取り組んでいる仕事は自分にすごく合っていると感じているし、そこで成果を出すこともできている。

環境としてもすごく満足して仕事に取り組むことができているので、同業界でわざわざ就職活動をするかというと、それもあまり魅力を感じなかったので、インターン先の企業への就職を決意したんです。

―結果、就活をしないまま、就職先を決めることができたと。今回のテーマは「就活をしないという選択肢」ですが、本田さんはご自身の選択を振り返ってみて、どう感じられているでしょうか。

本田:今でも、仕事にはすごく満足しています。できる範囲が広がって、自分のマーケティングの専門性が高まっているのも感じますし、それを後輩たちに伝えることにも、大きなやりがいを感じています。

始めて取り組んだ仕事で、自分がやりがいを感じる仕事に取り組むことができているのはすごく幸せだと思います。

頑張って業界・企業研究をして、就活を乗り越えて、就職をしたけど、実際に入社してみたらその仕事が合わなくて、苦労している友人もいますし。

そう考えると「就活する・しない」とは別に、「長期インターンで、実際の仕事を経験する」ということはキャリア選びにおいて、非常に有効な手段だと思います。大学生活で時間が余っている、という人には、ぜひ取り組んでみてほしいなと思います。

インターンという時期であれば、ミスマッチが起きてしまっても、取り返しがつきますからね。

ただ、私自身の選択で言えば、もっといろんな業界を知ってみたかったな、とも思います。

今は、いわば「世間知らず」というか。一つの業界しか経験したことがなくて、偶然そこにはマッチしていると思っているけれど、他の業界や企業であればどうなのかはわからない。

もしかしたら、もっと面白い仕事に巡り会えたかもしれないし、もっと自分の力が活かせる企業もあったかもしれない。

それを、大学生のうちにもっと知っておけば良かったのかな、とも思います。そのために、他の長期インターンに応募してみる、就職活動に挑戦する、ということも必要だったのかなと思います。

今大学生の人は、実際に様々なところに足を運んで、いろんな人の話を聞いて、いろんな仕事に触れて、自分の可能性を試して、自分にあった仕事を見つけて欲しいな、と思います。

―ありがとうございました。

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「就活しない」という選択肢もありえるが、簡単ではない

新卒での就活を通じて就職をしなかったお二方の話を伺いましたが、いかがでしたでしょうか。

就職活動をしないという選択肢は、一般には珍しいものかもしれません。ただ、必ずしも就職活動という形式を乗り越えなくても、満足したキャリアを歩んでいる人もいます。

技術を磨き、いわゆる「手に職をつけて」就職をした熊谷さん。簡単なことではないかもしれませんが、そういった生き方・働き方もあるのですね。

インターンを通じて「自分にあった仕事」に就職した本田さん。本田さんの言うように、デメリットもあるかもしれませんが、「働く」ということを実感した上で就職をする、というのはすごく理想的なようにも感じます。

「就活はしなければいけない」でも「就活がつらい」という人もいるかもしれません。そしてこれから就活をしていくにあたって、そういう気持ちになる人もいるでしょう。

そんな時は、この2人の話を参考にしてはどうでしょうか。

とはいえ、どちらも簡単な道ではないかもしれません。ただ、自分にあった仕事の身につけ方、理想のキャリアの歩み方の、一つの選択肢にはなるのではないでしょうか。

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