広告代理店のビジネスモデルを知る
―まずはじめに、広告代理店のビジネスモデルについてお聞きしたいです。
木村:そうですね、業務内容について話す前に、そもそも広告代理店とは何をしているところなのか、少し説明したいと思います。
私は、広告代理店には大きく2つの役割があると思います。
1つは、文字通り、メディア枠売買を請け負う"広告代理業"
もう1つは、クライアント企業の成長を考え、 寄り添いながら課題を見つけ、解決のお手伝いを担当する、ある種"コンサルティング業" に近いものです。
まず1つ目について。
ふだん読者のみなさんが目にするように、テレビや新聞、webメディアでは、本当にたくさんの広告が流れています。
そのようなメディアは、広告の掲載料をもらうことで利益を得ています。
例えばテレビ。僕たちって、ドラマとか、お笑い番組とか、当たり前のようにテレビを無料で見てますよね。
なぜ莫大な製作費がかかっているのに、無料で見れるのでしょう?
それは実は、テレビ局というのは、視聴者からお金を取るのではなく、CMを打っている企業からお金をもらっているからなんです。
テレビ局は魅力的な番組を制作して、より多くの人にテレビを見てもらうようにする。
すると、より多くの人に自分たちの商品を知ってもらいたいと考えている企業の人が、「あそこのテレビ局ってすごいたくさんの人達が見ているから、あそこにCM出したら認知度高くなりそうじゃない?」と考えて広告の枠を買ってくれる。
このようにして、ビジネスが成り立っているのです。
だから、テレビ業界の人は、視聴率というものをとても大切にしているのです。
しかし、メディア自体が広告枠を、無数にある企業に「買ってくれませんか」と営業することは、なかなか骨の折れる業務です。
毎日のように番組を作らなければいけないのに、並行して何百万とある企業の中から、自分たちのCMの枠をほしいと思っている企業を見つけ出すことに労力を割いている余裕はないし、企業とのつながりもあまりない。
そこで、広告代理店の出番。
広告代理店が、メディアに変わって、広告枠を買いたいと思っている企業を探し出してくるのです。
つまり、広告代理店とは、広告を出したい企業と、広告枠を買ってほしいメディア(ex:テレビ)とを繋げてあげる役割をしているのです。
次に2つ目の役割について。
クライアントの企業は、製品開発のプロです。
技術に優れた製品を作る技術がある。
でも、作った製品を売ることに関しては、プロではない。
例えとして、ニキビの治療薬を開発している企業を考えましょう。
彼らは、1回肌に塗るだけで、ニキビが完全に治る治療薬を開発する技術はある。
でもそれを、実際にニキビに困っている人のところまで、「届ける・認知させてあげる」能力はないのです。
だから、代わりに広告代理店が、どうすれば顧客がプロダクトを魅力的に思ってもらえるかなど、マーケティン グの戦略を考えたり、実際にその戦略に則った アクションの実行支援をするのです。
これが、広告代理店のもう1つの事業モデルです。
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広告代理店の仕事内容とは?
-企業とメディアとの仲介役をするだけでなく、企業のマーケティング戦略のコンサルティングも行っているんですね!
そのような事業モデルのもと、具体的にはどのような仕事をしているのですか?
木村:一口に広告代理店といっても、
・営業
クライアント企業に寄り添い、課題を見つける
・企画(マーケティング)
クライアントの課題に対して、調査・分析などによってマーケティング視点での課題解決の戦略/解決方法を考える。
・クリエイティブ
デザインや言葉、映像など表現全般を考える
・コピーライター
商品を魅力的に見せる文章を作成する
・メディア
クライアントと消費者をつなぐ場であるメディア(広 告媒体社)の専門家として、正しいメディアプランを考える。
など本当に多くの業種が存在します。
その中でも私は、クライアントのデジタルマーケティングの戦略を考える部署に属しています。
IT技術を用いて、クライアントの業務、そして人々の生活を効率化/最適化する仕事を担っています。
最近担ったプロジェクトでは、自動車メーカーの顧客情報のデータベース化のプロジェクトがありました。
今は、メーカーも、流通も、金融も、ありとあらゆるクライアントがオウンドメディア運営や、本業に直接関係の無いように見えるサービス を展開するなどして、より多くの顧客との接点を持とうとしています。
自動車メーカーでもそれは同じで、ただ新車・中古の車をただ販売するだけではなくて、カフェを経営したり、オウンドメディアを運営したりなど、様々な事業を展開してより多くの顧客と接点を持とうとしています。
これは、顧客との接点を持つことで、企業の認知を広めるとともに、より多くの顧客データを集め、より効果的な販売戦略を組むためです。
私はこのプロジェクトにおいて、クライアントの製品/サービスと、消費者の間には、いま既にどんな役割をもった接点があり、今後さらにどんな接点を作り出すことが可能であるかを考えました。
また、それらから得られる顧客データを、既存事業のマーケティングにどのように活用することができそうかなど、企業と人と情報とを整理することもしたうえで、その後の戦略を提案することもありあります。
もちろん自分一人ではなく、違う業種の社員とチームを組み進めました。
―お話を伺っている限り、さきほどの2つのビジネスモデルとは、かけ離れているような気がしますが、、、
木村:ITとかが絡んできたので、一見全く別のことをしているように聞こえたかも知れません。
しかし、私達の業務も結局は「どうやったら、製品を売りたいと考えている企業と、それをほしいと思っている人を、より効果的に繋げてあげられるか」というところに落ち着きます。
さきほどのビジネスモデルの話でいうと、2つ目のコンサルティング業のほうですね。
よくこの話をすると、「ITコンサルと一緒じゃん!」と思う方も多いのですが、ITコンサルは資料作成、データ処理など、企業の業務効率化のためのIT導入がメイン。
私達はそうではなくて、クライアントの事業の成長のために、そして企業と消費者をより効率に繋げるために、という 「目的」に対する「手段」として適していると考えてIT(デジタル)を活用します。
必ずしも「IT」を前提として考えていないというところは、ITコンサルとは違うのかなと思います。
ー効果的な広告戦略のためのITですが、同じテクノロジーでも、使われ方は全く異なるのですね!
次回は、同じく木村さんに、広告業界に興味のある学生なら誰もが聞きたいであろう、"リアルな現場"についてお聞きしたいと思います。
過労死の問題、労働時間、、、、実際どうなの!?気になる第2弾はコチラ
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