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外銀・外コン就職に理系の「論理的思考力」は武器になる

旧帝大から早慶までの「上位5%」に属する、最優秀層の就活生にキャリア選択にまつわる本音を聞く本シリーズ。今回、インタビューしたのは、東京工業大学工学院(修士課程2年生)(男性)のBさんだ。 前編に引き続き、後編では、理系院生でありながら超難関といわれるトップティアの外資系投資銀行に就職を決めたそのプロセスを紹介。外銀か、外コンかで悩みながら、最終決断するまでの揺れる思いを語ってもらった。

秋に外コンから内定をもらうも、本命は外銀

理系院生のBさんが文系就職を選んだ背景や、サマーインターンの経験を訊いた前編は以下から

──前編では、夏インターンを経験して、マーケティングよりも論理的思考力を活かせる事業開発のほうが適性があると思われたところまで伺いました。そのあとはどのように活動していきましたか?

Bさん:夏インターンを通じて、業界としては戦略コンサルと投資銀行が面白そうというか、自分に合っていると思えたので、その2つに絞り込みはできていました。なかでも第一志望だったJ社は、夏インターンの結果が評価され、本選考まで別ルートに乗ることができました。

ただ、J社は、トップティアと呼ばれる外資系投資銀行です。手ごたえは感じていたのですが、内定をもらえる確信まではありませんでした。ですから、確実に内定がとれるように動かないといけないな、と。外銀に関しては秋以降はインターンがありませんでしたから、J社がダメだったことを考えて引き続き選考を受けるという感じでした。

──外資系コンサルのほうは?

Bさん:外資系コンサルの場合、インターンという名前はついているんですけど、夏インターンが、選考プロセスの一環でした。就活生から人気のA社に関しては、9月末くらいには内定をもらいました。

──秋の段階で、早くも絞り込んでいた外銀・外コンのなかの1社から内定をもらったということで、冬に向けて精神的に余裕はありましたか?

Bさん:多少安心するところはありました。でも、夏インターンに参加したなかではJ社が第一志望でしたので、そんなに楽観的にはなれませんでした。それにコンサルか投資銀行かということでいうと、夏インターンで参加したのは、外資系コンサル1社に対して、外資系投資銀行は、3社に参加しましたが、受かっていたのは4社でした。

それだけ受かったということは、自分の適性として外銀の方が向いているのかなというのもあって。なので、J社以外の外資系投資銀行もできるだけ見ておきたいなという気持ちのほうが強かったですね。

──日系の投資銀行は、まったく眼中になかったということですか?

Bさん:僕は、一貫して「自己成長」を重要視していたので、成長環境といいますか、できるだけレベルの高い人たちのなかで働きたいと思っていて。

ずっと長く同じ会社で働くというよりも、自分の可能性を最大限に活かせる環境を自分でつくれるようにしたい。そう考えると、年功序列ではない企業風土で、若くても結果を残せば評価されるという点で、やはり日系企業より外資系のほうが、僕には魅力的でした。実際、日系コンサルは1社インターンにいきましたが、投資銀行は1社も受けていません。

──もし、第一志望のJ社に内定をもらっていたら、秋の段階で就職を決めていましたか?

Bさん:その可能性はあったと思います。

夏インターンのリベンジで、さらに上位の外コンに挑戦

──その後、外資系コンサルの就活は、どのように動かれたのですか?

Bさん:外コンのほうは、3大戦略ファームのなかの1社の冬インターンに参加しました。夏に関しては、部活のボートのコーチをやっていて、十分に対策ができていなかったこともあって内定をもらったA社しか参加することができませんでしたから。

僕自身の強みは、論理的思考力にあるということは感じていましたが、外資系コンサルでパフォーマンスを発揮できるレベルかと問われると、その時点ではそこまで言い切れる自信はありませんでした。1社しか受からなかった夏のリベンジということではありませんが、まだ外銀1本に絞るということは頭にありませんでしたね。

──外コンの冬インターンは、いかがでしたか?

Bさん:結果的に内定をもらうことができたB社のケースですが、J社と同じで、はじめに感じたことがカルチャーフィットするなということでした。

社員の方から3日間のグループワーク中にいろいろフィードバックをいただく機会があったのですが、論理的思考力の高さを感じましたし、謙虚な姿勢も好印象でした。このような人たちのなかであれば、確実に自己成長できるなという期待感を抱くことができました。

──B社の内定までのプロセスは、どのようなものでしたか?

Bさん:やはり、インターンが選考プロセスの一環でした。まずは、冬インターンまでに筆記と面接などの選考がありました。インターンに行けるのが15人で、インターンを通過したのが7人で、そのあとがいきなり最終面接というものでした。

インターンでは、あるクライアントの5年後の利益向上のための成長戦略を考えるというワークでした。夏インターンのときにうまくいった経験があったので同じように、一つひとつ数字を分解していくことからはじめました。

利益を売上マイナスコストに分解して、売上というのはどのように構造分解できて、それぞれどうやって伸ばせるか、みたいな。コストもどういうものがあって、それぞれどうやって下げられるかといったことをやって、売上とコストの2軸でまとめていきました。

──無事にインターンを通過されて、最終面接はどうでしたか?

Bさん:基本的には30分のケース面接を2回やる予定だったのですが、1回目で問題ないだろうという評価がついたのだと思いますが、2回目は、面接官からB社の魅力を伝えられるだけという内容でした。 1回目のケース面接もあるクライアントの売上を上げるためのアイデアを求められるものだったので、インターンのワークと同じパターンでうまくいきました(笑)。

本命外銀の最後の難関「スーパーデー」

──見事に夏のリベンジを果たして、3大戦略コンサルファームの1社であるB社の内定をもらうことができたわけですが、本命だった外銀J社の内定までの過程を教えてください。

Bさん:先ほど少しお話しましたが、夏インターンで良い評価がついたこともあり、囲われるというか、もうそこからは別ルートに乗ることができました。冬の本選考まではワークショップに呼ばれるくらいで、特に何もなく本番を迎えるという感じでした。本選考は、面接が12月と1月の2回行われました。

それぞれ結構ハードな内容で、12月の面接は、5人の面接官と1人当たり30分の面接を5回行うというものでした。それを突破するといよいよ1月の最終面接です。

その最終面接は「スーパーデー」と言われるさらにハードな内容で、1回30分の面接を8回、8人の面接官と行うのです。しかも、その最終面接の前日に会社に呼ばれて、朝9時から夜9時まで12時間、夏インターンでやったような個人ワークをやりました。ですから、最終面接は実質2日間ということになります。

8人との面接も、質問内容はさまざまで、前日の個人ワークの内容をプレゼンしてくれと求められたり。体力的にも、精神的にも、疲労とプレッシャーはかなりのものでした。

──印象に残っている質問はなにかありますか?

Bさん:志望動機は、面接においては必ず聞かれる質問ですし、自分でもかなり突っ込まれることを想定していました。予想通り複数の面接官から聞かれましたし、「君は本当に投資銀行のアドバイザリー部門でやっていけると思っているの」と圧迫面接というほどではありませんでしたが、けっこうつめられました。

ですが、アドバイザリーに求められる、人をサポートするということに関しては、大学のボート部での経験を通じて、部員の相談にのったりということは常にありましたし、相手の立場に立って問題の解決法を探るようなことも自然にできていたので、自分には向いていると思うと、自信をもって答えました。

──学生時代を体育会ボート部に捧げて、部員をまとめて弱小ボート部を強くすることができたという経験が大きく役立ったわけですね。

Bさん:そうですね。面接官からは、「例えば、どういう経験なのか」とさらにつっこまれましたが、すべてエピソードを加えて説明できました。あともう一つ言えるのは、夏インターンのときからそうだったのですが、カルチャーフィットしているなという印象は、その後の本選考でもずっと変わることはありませんでした。

そういう心理状態もあって、面接でもかなり突っ込まれて体力的にもきつかったですが、手ごたえはありましたね。2日間の最終面接後、すぐに内定をもらうことができました。

トップティアの外銀か、3大戦略コンサルか、最後の選択

──最終面接を終えて本命のJ社から内定が出ました。それで就活は終わったということですね。

Bさん:そうですね。面接を受けたりというのは、それで終わりました。ただ、ずっと第一志望だったJ社にすぐ決めることができたかというと、そうではありませんでした。

実は12月上旬に内定をもらった外コンB社を、とても魅力的に感じていたので、すぐには決断できませんでした。

──最終的にJ社に決めるまでの過程を教えてください。

Bさん:外コン、外銀の2社は、どちらも人をサポートする仕事ですし、社員のレベルも非常に高く、自己成長していくうえでの成長環境も自分に合っていました。本当に甲乙つけがたく、自分が最初に基準にしていた就活の軸では決められませんでした。

そこでさらに細かく30個くらい項目をあげて、どちらが自分にとってベストな会社なのかを比較しようとしましたが、最後は、半ば直感みたいな感じでした(笑)。

──どのような項目を挙げたんですか?

Bさん:たとえば、得られるスキルの汎用性や、転職する際にはどちらが有利か、仕事の専門性の深さだとか、ワークライフバランス、勤務地、競争環境の激しさ、どのくらいで退職する人が多いのか、給料、1年目でできること、できないこと、福利厚生などです。でも、これらを細かく比較しようとしたのですが、実際に入ってみないと分からないことが多いですから。

最後は直感でしたが、もともと第一志望だったJ社のほうが、人をサポートしていく仕事という点で、自分のポテンシャルを最大限に活かせるかもしれないと判断しました。1ヶ月悩んで2月頭に決めました。

──最後に、Bさんのように文系就職したいと考えている理系就活生にアドバイスをお願いします。

Bさん:とにかく自分の専門に限らず、いろいろな業界を見てみる、幅広く業界を見るというのが重要なので、まず早めに動くということです。

私自身、カルチャーフィットする会社だと思えたところは、インターン選考、本選考とやはりスムーズに進むことができましたから。その会社が自分に合っているなと思えれば、面接の際にも自分の考えを自然体でアウトプットすることができます。

外銀・外コンに関しては、理系の「論理的思考力」というのは間違いなく求められる資質です。そこは文系の学生よりもアドバンテージになるなと実感しました。理系だから不利だということは、まったくありません。

僕のように、人をサポートしていくことが好きで、直接クライアントとかかわる仕事がしたい人であれば、投資銀行は向いていると思うので、ぜひ挑戦してみるといいと思います。