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「起業」へ思いが強くなった冬インターン
─前編では、G大学から東工大工学院へ進学する経緯、ヤフーとの共同研究、そして就活でのインターン応募までを伺いました。実際に3社のインターンを経験して、それぞれいかがでしたか?
Mさん:スクエアエニックスは、ゲーム開発というインターンで、普段の研究とは違う経験ができてすごく楽しかったです。
グノシーでは、データ分析のインターンでした。実際のユーザーから取得したニュースの閲覧ログを大量にもらって、そのデータを解析していくんです。その解析結果から、このユーザーはこの広告が好きそうだから出すという、レコメンドシステムを実装するテーマでした。
大学院での研究と近い形でできたので、いろいろと知見が深まりました。
SIer関しては、企画系のインターンでした。特にプログラミングしたりというのはなかったんですが、BtoBの会社なので新規アプリを作るというテーマでグループワークをして、役員の前で発表するところまでやりました。
それまで人前で発表するということをあまりしてこなかったので、非常に緊張したことを覚えています。それも今から思えば、いい練習になっていたんだなと思います。
─そのなかで、いちばん楽しかったのはどこでしたか?
Mさん:楽しかったのはスクエアエニックスですね。私はプログラマーで参加したんですが、デザイナーやプランナーという別の職種で応募している人もいて。
美術大学の学生とか専門学校でゲームを作ることを専門にしているような、東工大にいたら絶対に関わらないであろう人たちと触れ合えたのは、刺激になって本当にいい経験でした。
─そのサマーインターンが終わり、その後はどうしたんですか?
Mさん:すぐに、今度は冬のインターンに向けてガス欠を起こすこともなく、どんどん動いていきました。
夏のインターンでは、リクルートにも行きたかったのですが、締め切りを間違えてしまい応募できなかったので、冬のインターンではリクルートに行きました。
─結局、リクルートへ就職することに決められましたが、冬インターンはどうでしたか?
Mさん:圧倒的成長ができたなという2週間のインターンでした。
いちばん衝撃的だったのが、結果が出ればいいという考え方ではなく、その結果が本当にユーザーに適しているか、その過程とかも重視していて、説明があいまいだと社員に「なぜ、ここはこうしたの」と指摘されて。
─それはどういうことですか?
Mさん:不動産賃貸サービスの部署に配属されたのですが、そのインターンのゴールは、そのサイト上でこれまで実装されていなかった別の領域の物件を表示させるというものでした。
いまは物件を探す際にどのサイトでも、賃貸とか一戸建て、マンションとか、まずユーザーがどの領域かを選ぶ形になっています。一戸建てのボタンを押すと一戸建ての物件が出てくるというように。
でも、一戸建てを探している人にも、マンションを表示させることで、新たな気付きを得られるきっかけにできれば、売上げが上がるのではないかと。
そういう仮説のもとに、別領域の物件を出すシステムを作るというものでした。しかし、そもそも別領域の物件を出すことに価値があるのか、データを分析して、数字で説明するところからはじめるわけです。
─なるほど。課題が出されて、その課題をそもそもやる意味があるのかというところから説明しなければならないということですね。
Mさん:そうなんです。研究は結果が出ればいい世界でしたから。「そもそもやる必要性があるのか」というところからはじまる、ビジネスをいちから考えるやり方というのは、体験したことがないものでした。
戸惑いもありましたが、いっぽうでそこにモチベーションを感じている自分も確認できました。
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理系院卒→外コンという選択肢に出会って
─その冬インターンが終わって、すぐにリクルートに決めたということですか?
Mさん:その時点では、まだ決めていませんでした。外資系コンサルのアクセンチュアにも興味がありましたから。
─外資系コンサルは、いつ接点があったのですか?
Mさん:外資系コンサルのことを最初に知ったのは、M1(修士課程1年)の4月のイベントのときです。
それからM1の冬に東工大のOBの方から「一度話をしてみないか」と連絡が来まして。そこで話を聞いて、コンサルって意外と面白そうだなと思い、それで受けました。
─そのときは何が面白そうだと思ったんですか?
Mさん:外資系コンサルって、自己成長できる世界だと感じたところです。
そもそもG大から東工大に進んだのも、もっと高いレベルを目指したいというのがありましたから。やりたいことをやらせてもらえて、若手でも結果を残せばどんどん上に登れるという空気感があったので、そこは自分に合っているかなと。
それにアクセンチュアは、外コンのなかでもとくにITに特化していたので、僕のスキルにもマッチしているなと思いました。
─では、アクセンチュアの場合はインターンには行かずに、本選考から?
Mさん:そうですね。インターンには参加せずに、本選考からでした。
─外コンの選考過程はどうでしたか?
Mさん:理系選考特別枠で内定をもらったのですが、いわゆる外コンのグループ面接やケース面接とかはなく、一次選考がSlack(スラック)というアプリに、学生が50人くらい招待されて、1時間くらいみんなで議論してくださいというものでした。
テーマが5つあって、どのテーマでもいいので、ディスカッションしてくださいと。手応えはありませんでしたが、何とか通過することができて、二次選考がペーパーテストでした。
─どんな問題が出るんですか。理系のペーパーテストって?
Mさん:円周率の求め方を教えてくださいというものや、あと100人の外国人がいて、その人たちを身長順にならべなければならない。日本語でコミュニケーションがとれないなかで、どのようにすれば、効率よく並べ替えることができるかという問題です。
一度に一人に対してしか動かす誘導ができないという条件下で、どういうアルゴリズムであれば、最も速く並べ替えられるかというものでした。これは正解があるわけではなくて、どういう考え方をしてるのかを見たいのだと思いました
─2次がペーパーテストで、3次でようやく面接なるんですね。
Mさん:そうです。三次の面接が最終で、現場の方2人と人事の方1人の計3人での面接でした。いままでの開発経験や、やりたいことはなにかとか、内容は一般的なものでした。
最後は「リクルートか?アクセンチュアか?」の二択
─アクセンチュアとリクルートの内定をもらったのはそれぞれいつですか?
Mさん:アクセンチュアの内定をもらったのはM2(修士課程2年)の4月で、リクルートが6月末でした。そこから1週間以上どっちにするか、ずっと悩んでて。
─何をそんなに悩んだんですか?
Mさん:リクルートは、起業家輩出企業とか言われているので、ビジネス的なことは、リクルートの方が学べるかなと思っていました。
いっぽう、自己成長という点で、ひとりの社会人としてのスキルは、アクセンチュアの方が身につけられそうだと。
それで、悩みに悩んだ結果、将来起業しようという考えもあったので、ビジネスを学んでおいた方がいいと決断してリクルートにしました。いま、社員2人の小さな会社でプログラミング開発のアルバイトをしているんですが、社長の働いている姿とかを見ていると、やはり起業って楽しそうだなと思います。
理系学生に足りないのは、コミュニケーション能力
─リクルートでは、何年ぐらい働こうとか決めていますか?
Mさん:30歳でいったん辞めるかどうかを考えると思います。リクルートの制度で、6年働くと退職金が上がるんですよね。その退職金をもらって、会社を辞めて、起業する人が多いと聞いているので。とりあえず30歳ですね。
─それまでは、ビジネスの基本を学びつつ、アイデアの種を探して育てるという感じですね。それでは最後に、理系学生の就活について、アドバイスがあればお願いします。
Mさん:理系の人って、勉強はとてもできるんですが、それだけではダメだと思っています。これからは、コミュニケーション能力がキーになるのではないでしょうか。どんなにすばらしいアイデアでも、分かりやすく伝えることができなければ、受け入れてもらえません。
僕の場合は、夏のインターンで、20社に応募しました。
当時は面接でかなり緊張するタイプだったので、最初はダメだったんですけど、10社くらい経験しているうちにだんだん慣れてきて、言いたいことが言えるようになっていきました。その夏の経験が生きて、本選考の面接で自分の考えをうまく伝えられたことが、内定につながったのだと思います。
─場数を踏むチャンスがたくさんあったということがよかったということですね。文系の学生に比べると、理系の学生はその場数を踏む機会が意外と少ないかもしれませんね。
Mさん:そうですね。
僕の個人的な印象になりますが、理系学生の場合、推薦で決まったり、なんだかんだいっても、最後は就職はできるだろうと思っている学生が多いように感じます。
僕は東工大に行った時点で、早めに動かないとマズいなという焦りがあったので間に合いましたが。周りには実際、ぎりぎりに始めて、うまくいかなかった友人もいました。
慣れないと面接で緊張するというのは、最初から分かっていることです。ぜひ後悔しないためにも、コミュニケーション能力を高めることを意識して、早めに動き場数を踏むことをお勧めします。
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