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FacebookJapan 佐藤氏が語る、キャリアを豊かにする「挫折経験」の重要性

名だたる企業の経営者が一堂に会し、1,500人の就活生に講演を行うイベント”en-courage Career Theater”。 今回は、Facebook JapanにてClient Partner Manager 兼 Instagram Ambassadorを務める佐藤 太泰氏のご登壇部分を書き起こしの上記事化し、ご紹介いたします。

「価値のある挫折」がキャリアにつながる

こんにちは。私は今Facebook JapanでFacebookやInstagramのブランド広告を担当しております、佐藤と申します。主に化粧品・消費財業界の企業様に対してFacebookが持つ様々なプラットフォームを活用したマーケティングのソリューションを提供しています。今日はよろしくお願いします。

今日はみなさんの貴重なお時間をいただいたので、せっかくなので自分が就活していた頃の気持ちに戻って「あの頃の自分に伝えたいメッセージ」をお送りできればと思います。題して「挫折のススメ」という話をさせていただきたいと思っています。

最初にお伺いしたいのですが、このなかで挫折という言葉を、もしくは挫折体験そのものにポジティブなイメージを持ってるいる方はどれくらいいますか?

(会場の参加者1、2名が挙手)

数名の方しかいないようです。当たり前かも知れません。ですが私は挫折というものを前向きに、超ポジティブに捉えています。なぜかというと、挫折を経験することで自分の至らない部分や課題が見つかり、成長につなげることができるからです。そしてその成長こそが今の自分を作っているからです。決して大した者でも無いんですが、それでも今後まだまだこの挫折によって成長することができ、将来のキャリアをつくっていけると確信しています。

今日はその「挫折をポジティブに捉える」ということと、挫折にはいい挫折と悪い挫折がある前提に立って、「価値ある挫折とはどういうものなのか」「価値ある挫折をするためにはどうすれば良いか」ということを、ぜひみなさんに考えていただき持って帰ってもらえればと思っています。

まずは、自己紹介と合わせて私が今までどんな挫折をしてきたのか、ということについてお伝えできればと思います。私は大阪出身で高校まで大阪で育ちました。その後、東京に出て青山学院大学に入学。2006年に楽天株式会社に入社しました。

その後、家業である印刷会社で経営の仕事をしたり、米国のサンダーバード国際経営大学院に留学したり、P&Gでマーケティングの仕事をして、紆余曲折を経ながら2年半前にFacebookにジョインしました。

もしかすると直近のビジネススクール以降の経歴だけを見ると「なんだこの人、典型的なエリートなのでは?」と思われた方もいるかもしれません。ですが、僕は帰国子女でもないですし、学生時代の成績なんて下の下でした。平凡どころか出来損ないの学生でした。英語も留学前はまったく聞けなかったし話せませんでした。

でも、なんとか今こうして紛いなりにもキャリアを積めています。平凡以下でも、何の特技がなくても、アメリカの大学院にだってチャレンジできるし、外資企業に入って外国人と渡り合うことだってできます。価値ある挫折を経て、努力をすることで自分を成長させることができる。今日はそういった部分に関して、私なりの考え方をお話させていただきたいと思っています。

これから社会に出るみなさんの中には「これから先、キャリアの選択や社会人生活で失敗したらどうしよう」と思ってる方もいるかもしれません。そういった皆さんの不安を少しでも和らげることができれば、参考になれば幸いです。

佐藤氏の、挫折遍歴

私は一浪して青山学院大学に入学しました。まったく勉強していなかったので当然ですが。高校時代は友達とDJやバンドなどの音楽イベントをしたりして、ずっと遊んでいました。

そしてバンド活動を本格的にやりたいと思い、東京に行くことにしました。大学に入ったのはまぁいわゆる、「口実」というやつです。恥ずかしながら。浪人時代は1年間真面目に勉強して、なんとか青学に滑り込みました。

大学に入学すると勉強そっちのけで、音楽活動ばかりやっていたんですね。朝までスタジオで練習して、週末は東京や色んな地方でライブさせてもらったり、とても貴重な経験でした。でもそこで新たな壁にぶち当たります。いろんなアーティストと一緒に活動するなかで、自分には才能がないことに気づきます。ライバルであるはずの同世代のバンドのライブを見て、心底感動している自分に気づきました。そこで自分は演者ではなく、商売を勉強して、いつかまた音楽に貢献できる自分になって帰って来ようと。

そこで、就職活動を始めました。

そこから企業説明会に行きまくりました。特に社長が直接話すセミナーは片っ端から行きました。単純に大手でもベンチャーでも社長の話は特に面白かったからです。そんな中、たまたま楽天の説明会に参加し、三木谷さんのお話を聞いてピンときました。当時、メジャーリーグ化構想というのを掲げて「楽天を世界的な人材輩出企業にする!」と言っていました。現場の社員の方に会っても全員、鼻息が荒かったしアドバイスが的確でした。そこで楽天を選びました。

ちなみにですが当時はライブドア事件等があり、世間から六本木ヒルズに入っているIT企業に対して偏見が増していて、楽天にも風当たりが強かった。そんな時代に一緒に入社した新卒同期はいい意味で変わった人が集まっていたし、超優秀な人ばかりで面食らった記憶があります。先輩社員も新卒もみんなでとにかく楽天を成長させようと真剣に仕事に打ち込んでいました。

楽天では入社当初、とても苦労しました。入社して大阪支社で営業部に配属されましたが、とにかく営業ができませんでした。クライアントへの説明が下手で、とにかく受注できませんでした。役員に怒られ、先輩に心配され、できない自分が悔しくて資料を準備したり、営業トークを練り直すために徹夜で仕事することもざらでした。

それでも憧れていた社員の方々にコツを聞いて実践して、行動して続けていたら量から質に転化するポイントをつかみました。そして、初年度の3月に全社新人賞をとることができました。

楽天では厳しく育ててもらって、社会人としての礎を築かせてもらい、感謝しかありません。こんなこともありました。入社2年目に入ったとき、大阪から名古屋に出張に行った際のエピソードです。東京から上司が来ており、商談が終わって名古屋駅で一緒に新幹線を待っているときです。

普通に雑談していたのに突然「今日のお前の営業はここがダメだった」と上司のフィードバックが始まったのです。その上司に対して「いや、あなたのあの一言が余計だった。事前の指示もおかしかった」みたいなことを言い返してしまった。

そこから名古屋駅のホームでずっと怒られて、こっちも言い返しての連続で、夕方6時過ぎに駅に着いたのに気づいたら3時間くらいホームで言い争っていて、新幹線を何本も逃していました(笑)。

元上司の懐の深さゆえに、今では笑い話にさせてもらっていますが、これほどまでに当時の楽天では人に対して思ったことを発言し、お互い真剣に相手と仕事に向き合うカルチャーがありました。そりゃ誰でも成長させてもらえるよな、と。(笑)

そんな充実した毎日を過ごし、営業も苦手意識がなくなり成果を出せるようになりました。もともと経営の仕事をしたかったこともあって東京本社への異動願いを出したけど叶わず、結局退社の道を選びました。MBAを意識しはじめたのはこの頃です。

その後、父が経営する印刷会社に入りました。「経営を任せる」と父から打診があったからです。しかし、結論からいうと決別するんですね。なぜかというと、この会社は創業50周年の古い会社で一方の私は時代の先端を行く会社から入社し、まだ若かったこともあり頭ごなしに楽天での成功パターンを導入しようとして失敗しました。

さらに、営業で結果を出しても父親には信頼されず、経営者としても認めてもらえなかった状況にヤケになっていました。父親とは関係が悪化し、家族に亀裂を落とし、更に肝心の社員を露頭に迷わせてしまったんです。今思うと完全に自分が甘かっただけなんですが。そして仕方なく私が会社を辞めることになりました。(余談ですが今はお陰様で家族全員、仲はいいです。)

いよいよここから追い込まれるわけです。もう後がなくなりました。楽天を辞めて、会社を辞めて、周囲にはMBAに行くと宣言していましたので。完全に退路が立たれてしまったんです。

MBA以前にまずは英語の勉強をしなくてはと思い取り掛かってみると、思っていた以上に英語ができないことに気づきます。勉強をしてこなかったので当然なのですが、試しにTOEFLを受けてみることにしました。

TOEFL は120点満点ですが、初回のテストがなんと26点。ご存知の方も多いと思いますが、これは「はい、さよなら」と言われているくらいひどい点数です。その点数をもってMBA予備校に行ったところ、「これまでの入学希望者の中で史上最低の点数です。本当に受験するんですか? 真剣に考えてください」と言われたことを、今でも鮮明に覚えています。

そこからとにかく勉強をしまくりました。MBA予備校の近くのレオパレスを借りて、朝から晩までひたすら勉強をしました。夜眠くなってくると近所の公園に行き、立ったままリスニングの勉強をしていました。今考えるとただの変質者ですよね。そんな半年を過ごし、なんとかアメリカのアリゾナ州にあるサンダーバード国際経営大学院に入りました。

入学できたはいいけど、さらに大変な思いをします。何が一番きつかったかというと、やはり英語です。テストはパスするけど、話したり聞いたりがすることができなかったんですね。

例えば、マクドナルドに行って「チーズハンバーガーセットをください」とか「マックシェイクをください」程度は言えますが、サブウェイには行けないんです。トッピングは何にしますかと聞かれても答えられない。結局、いつも「えーっと、ピクルス」になってしまう(笑)。それくらいひどいレベルでした。

当然、授業もついていけません。当たり前ですけど、統計学、ファイナンス会計なども授業は全部英語です。すると計算も英語でしなければいけませんよね。例えば「1 million dollar X 1 million dollarはいくらですか?」と聞かれてもすぐに分からない。でも、この程度の計算はみんな当たり前にできるので気づいたら次に進んでしまっている。すると当然授業にも全然ついていけない。

大変な思いをしながらも2014年になんとか卒業できて、P&Gという外資系の会社に入りました。P&Gはエリート集団で、東大、京大、帰国子女ばかり。とにかくみんな超頭が良いし、仕事ができました。しかし周りのレベルが高いと苦労の連続でした。

その周りのレベルに追いつこうと自らプレッシャーをかけ過ぎて、精神的にも肉体的にも追い込まれましたね。MBAを出てグローバル企業で活躍できると信じていたのに歯が立たない。もう完全に挫折でした。

そんな時に自分は幸運にも尊敬できる上司や先輩に出会い、ゼロから仕事を、そしてマーケティングを叩き込んでもらいました。苦しい時代を乗り越えて仕事は楽しくなったのですが、新たなチャレンジがしたくなったのと、尊敬する上司も卒業するとのことで自分も次に進むことにしました。

そこで、Facebookにジョインさせてもらいました。周りは優秀な人ばかりでやはりへこまされることもありますが、毎日素敵な仲間と幸せに仕事をさせてもらっています。

そんな人生ですが簡単にサマリーさせていただくと、最初に楽天で営業職につき、営業やマネジメント、新規事業などやらせてもらいました。次に父の印刷会社では、営業マネジメントやマーケティング、経営戦略立案の見習いをさせてもらいました。サンダーバードではグローバルコミュニケーションや戦略のフレームワークを学び、P&Gではさらにグローバルリーダーシップとマーケティングに磨きをかけました。

では現在、Facebookではどうしているかというと、これら全部を使っています。

お話してきたように、その時々、いわば「点」において挫折を繰り返してきましたが、振り返ってみると、その挫折が一つの「線」になりスキルへと昇華されます。そしてそのスキルを磨くことで、面となり、自分の市場価値が作られます。

当時はいつもキツかったですが、逆を言えばこれだけ挫折をしてきたからこそ、色々なスキルが身につき、今の自分が作られているんだと思っています。

価値ある挫折にするための3つのステップ

では「価値ある挫折」をするためにはどうしたらいいのかをお伝えします。3点あります。

価値ある挫折にするための3つのステップ

まずは「ビジョン」です。理想像、夢、目標、「高いゴール」を持ってビジョンを作ってください。やりたいことがわからないという方が結構いらっしゃると思いますが、10年後、20年後の遠い未来でなくて構いません。

5年後、3年後でもいいので、自分の身近にいる先輩や尊敬する人をベンチマークにして、こういう人になりたいという方を見つけて具体的にイメージしてください。その人にどんどん近寄って、情報を収集し、具体的にゴールをイメージする。

高いゴールをイメージすることで、次に何につながるかというと、「挑戦」につながります。挑戦とは何かというと「プランを立ててアクションする、動く」ということ。

この動くことが本当に大事で、なんでもいいので、どんどん動いてください。このアクションの量と質にこそ差が生まれます。

そして、行動すればどこかで必ず躓きます。ミスをする、失敗する、挫折を経験するんですね。挫折によって悔しいとか悲しいとか、そういう気持ちになると思いますが、そこでぐっとこらえて、「自己への投資」をしてください。

例えば、英語を勉強する、スキルを勉強する、人の話を聞く、本を読む、なんでもいいです。悔しいな、辛いなという気持ちを、友人とだらだらお酒を飲んで、言い訳したりごまかしたりするのではなく、そこでちょっとだけ我慢して、一人になって、自分に投資してあげてください。その投資により自己成長へとつなげてください。

1)ビジョンを描く 2)行動し、挑戦する 3)失敗して挫折をしたら、自己投資をする

こういったサイクルを積んでいくことこそが、ただの挫折を「価値ある挫折」にするために大事なことだと思っています。いい循環をしている人には、絶対にチャンスが訪れます。チャンスは手を伸ばし続けた人にしかこないので、こういったサイクルをキープすることが大事なのではないかと感じてます。

私自身もまだまだここからだと思っています。今後は自分で事業を興そうと考えています。しかしまた、いずれのタイミングでも挫折はします。それで周りから笑われても、そんなことはどうでもいいかなと思っています。自分が成長し、チャンスをつかめればそれでいい。なので、ぜひみなさんもそういったマインドで、高い夢を描いて、価値ある挫折を前向きに捉えていただければなと思います。

私の話は以上です。

休日には、学生さんから就職や活動やキャリアについて相談を受けたり、ディスカッションをしたりしているので、興味のある方はぜひご連絡いただければと思います。

今日はありがとうございました。

名だたる企業の経営者の講演が聞けるチャンスがもう一度!