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就活生に人気の人材業界。リクルート平田氏が語る「人材派遣」の社会的意義とキャリアの魅力

今回は、人材派遣大手のリクルートスタッフィングで新規事業の立ち上げにも携わった、平田朗子氏にお会いし、お話を伺いました。「派遣切り」など、得てしてネガティブなイメージの持たれやすい人材派遣事業。しかし、平田氏のお話を聞くにつれ、人材派遣という仕組みの社会的意義の高さに気付きました。人に向き合いたい、雇用から人を幸せにしたい。そんな就職活動生、必見のインタビューです。

「人材派遣」は悪いイメージを持たれがち?その真の魅力とは

今回は、人材派遣大手のリクルートスタッフィングで新規事業の立ち上げにも携わった、平田朗子氏にお会いし、お話を伺いました。

「Workstyle Maker」をアイデンティティに掲げ、人材派遣という仕組みを通じて人の可能性を見出しキャリアにつなげることで、日本の働き方を変えることに取り組むリクルートスタッフィング。

しかし、みなさんの中には人材派遣事業そのものにあまり馴染みの無い人も多いのではないでしょうか。

「派遣会社ってどんな仕事をしているんだろう?」 「『派遣切り』や『派遣社員は待遇が悪い』といったような、イメージが多いなぁ...」

こんな風に思って、人材業界には興味があるものの、人材派遣会社には興味がないという人も多いのではないでしょうか。

ネガティブなイメージを持たれがちな「派遣会社」。しかし、平田氏のお話を聞くにつれ、人材派遣という仕組みが社会のあり方を変えていくのではないか、そんな考えにたどり着きました。

「人と真剣に向き合いたい」「社会をよくしたい」そんな想いを持っている人にこそ人材派遣業界をぜひ知ってほしいのです。

「人材派遣」とは何か リクルート平田氏が語る

---本日はよろしくお願い致します。早速なのですが、まずは人材派遣事業とはどのようなことをしている事業なのか、簡単に教えていただけますでしょうか。

平田:よろしくお願いします。簡単に言うと、「お仕事を探している個人」と「働き手を探している企業」をつなぐのが私たちのお仕事です。

例えば、「子育て中でフルタイムでは働けない、だけど教育費も貯めたいので働きたい」というようなお母さんがいらっしゃるとします。ですが、働ける時間が限られていると、一人ではなかなかお仕事を見つけにくいんですよね。

そんな時、私たちはまずその方に、どれくらいの時間働きたいのか、過去のご経験や今後どの様なことをしたいのか、どうキャリアにつなげていきたいかをお聞きし、どんなお仕事であればその方の能力が一番発揮されるかを一緒に考えていきます。

また企業の方も、働き手を探してはいるけれど、自社での募集活動だけではなかなか思っているような人材に出会えないケースもたくさんあるんです。

私たちはそういった企業から何万件ものご依頼をいただいているので、その中からその方にあったお仕事を探し出してマッチングし、就業機会の創出をしています。

平田:このような流れで、現在弊社では約50,000人の方々がお仕事してくださっているのですが、その約50,000人の働く人生に我々が介在することの価値というのは大きいと思っています。

お仕事を探している方の中には、自分のよいところが分からなくて「何が向いているのか」悩んでいる方、分かっていても上手く伝えられない方、働ける時間に制限があるとお仕事が見つからないのではないかと尻込みしてしまう方がたくさんいます。

よいところをたくさん持っているのに、会社・社会で活躍できるのに、どうすればよいかわからないという理由だけで、働くことができない。

「もったいないな」「もう少しで上手くいくのにな」という状態に想いを持った我々が介在し、よい出会いを創り上げることで、お仕事を探す人も幸せ、働き手を探す企業も幸せ、そんな状況を創るのだと思っています。

---ありがとうございます。「働きたい個人」と「働き手を探している企業」を理想的な形でマッチングするというのが人材派遣会社の基本的なお仕事になるんですね。

人材派遣事業というと、数年前に「派遣切り、雇用が不安定」と頻繁にニュースで取り上げられたこともあってか、「派遣社員は企業の都合に振り回される」といったネガティブな印象を持たれがちだと思います。実際のところ、そういった面はどうなのでしょうか。

平田:今の学生のみなさんの中には、リーマンショックなどのニュースでそういったことを見聞きしている方も多くいらっしゃるのかも知れませんね。

企業の都合に振り回されるということではありませんが、実際、職場で働く派遣スタッフの方から様々なご相談を受けることはあり、そういう時は私たちが解決するという役割を担っています。

ご本人から事情をお聞きして、就業先の上司の方や必要があれば人事担当の方ともお話をして、問題を解決していきます。

きっと社員の方から相談を受けた会社の人事の方も同じような対応をしますよね?まさにこれは企業における人事と同じような役割であると考えていただけるとイメージしやすいかと思います。

---では反対に、人材派遣会社の社会における意義はどういったところにあるのでしょうか?

平田:もちろん、よい話もいっぱいあります。

例えば、「収入が必要ですぐにでも働きたいけど、どの企業も履歴書選考で落ちてしまって...来週から働けないと困るんです」というシングルマザーの方が弊社にご登録にいらしたことがありました。

その方はそれまでの就職活動のご苦労が嘘のように、すぐにお仕事スタートが決まって、その職場で非常に努力されて、最終的に正社員として雇用されました。正社員になることが全てではありませんが、そんな話は数えるとキリがないぐらいなんです。

それ以外にも、我々が伴走することで、一人ひとりにあったお仕事をご紹介することができるので、「これまでは仕事が上手くいかなかったけど、今の派遣先の企業では毎日うまくやれています」というような手紙をいただいたこともありました。

---ネガティブなイメージを持たれがちかもしれませんが、現場ではよい話もたくさんあるんですね。

平田:そうなんですよね。非常に社会的意義のある仕事にもかかわらず、そういったイメージをあまり持っていただけていないのは、我々の発信不足が原因なのかもしれないなと反省すべき所でもあると思います。

---では、他にも人材派遣事業の魅力や意義などをお伝えいただけますか。

平田:私自身、人材派遣事業は本当に面白くて、本当に価値ある仕事だと感じながら仕事をしているので、たくさんあるんですけれども(笑)

人材派遣という仕組みを通じて、新たな「ワークスタイル」を生み出す

平田:例えば、何かしらの制約がある人もお仕事を見つけられる仕組みを作る、ということも人材派遣事業では可能です。その一つに「未経験」という制約に注目した『キャリアウィンク』というものがあります。

事務職として働きたいが、事務職で働いた経験がないので履歴書選考が通過できない、なかなか面接まで辿りつけないので、どうすればよいのか分からないと悩んでいる方は多いんです。

また企業側も、近年では事務職の採用数が減っており、社内で育成するためのノウハウや時間が十分でないという状況が少なくないのです。

『キャリアウィンク』では、そういった方をリクルートスタッフィングで社員(※無期雇用派遣)として雇用して、弊社内の研修でスキルを身に着け、「これなら事務職で活躍できる」とご本人が自信を持った状態で派遣社員として企業にご紹介します。

派遣先の企業としても、自社で育成する余裕はないがスキルのある人に来て欲しい、そのような状況の中で、育成プログラムを受けているスタッフが紹介されるので安心して受け入れることができるのです。

このような仕組みを作ることで「未経験」という制約のある方もお仕事を見つけられる機会を生み出しています。

ーすばらしいですね。人材派遣事業を通じて、これまでは生まれなかった雇用が生み出されていく。

平田:そうなんです。人材派遣というのは本当に素晴らしい仕組みだなと思います。人の可能性を見出し、その仕組みを上手く活かすことで、一人では出会えなかったお仕事に就くことができる。また様々な制約があっても、個人のありたいキャリアを築き上げていくことができる。

人材派遣会社というよりは、キャリアを支援する会社。そんな企業でありたいと考えています。

他にも、人材派遣事業が解決できることはまだまだたくさんあるんです。先ほどもシングルマザーの例を挙げましたが、リクルートグループでは、子育て中の方が働くことを応援するためにiction!(イクション)プロジェクトを始めたんですね。

その中で我々リクルートスタッフィングでは、「育児に時間が必要なので、週3回程度の勤務、また子供が成長するまでは短時間の勤務、といった仕事をしたい」という声に応えるべく、勤務時間が短めのお仕事だけを選べる仕組みを創ろうと取組みを始めたのですが、すると面白いことがわかりました。

短時間勤務を希望される方の多くは子育て中の女性ですが、実はそうではない方もいらっしゃったのです。たとえば介護をしている方だったり、フリーでお仕事をしている方だったり、資格試験の勉強に時間を充てたい方だったり。女性だけではなく、男性からの応募もありました。

男性の例を挙げると、その方はもともと企業の人事部長をされていて、社会保険労務士の資格をいかして独立開業したいが、開業したばかりだと収入が安定しないので、週に3日程度の勤務体系で固定収入を得る為に働きたいという方でした。

そして、可能であれば単純な事務作業ではなくて、企業の人事部などでより一層経験を積めるような仕事がしたいというご希望をお持ちでした。

弊社で、そういったご要望に合ったお仕事を紹介することができ、現在、その方は派遣先企業で人事制度の改定をするお仕事をしておられます。

結果として、その方にご満足いただけたのはもちろん、過去に企業で人事部長としての経験をお持ちの方から知見を得られるということもあり、派遣先企業の方からも「周りへの刺激にもなり、非常に助かっている」とご評価をいただいています。

それまではあまりこういったケースはなかったと思うんです。優秀な方でも短時間では働く機会が少なく、力を発揮する場が限られていたり。

でも人材派遣の仕組みを利用すれば、個人が働きたい時間に自分の力を発揮して社会の役に立つことができる。そんな世界を実現できている、人材派遣はなんてすごい仕組みなんだろうと思います。

---なるほど。人材派遣という仕組みをうまく利用できれば、一人ひとりに合った、多様な働き方を実現することができる、と。

平田:そうですね。まさにリクルートスタッフィングは「Workstyle Maker」をアイデンティティに掲げて、新たな働き方をどんどん創出していこうとしています。

---ありがとうございます。派遣事業の社会的意義、そして「Workstyle Maker」だからこそ創ることのできる働き方の未来、とても魅力的に感じました。

平田氏の語る、リクルートスタッフィングならではの成長とは

ー派遣事業や、その事業を行うリクルートスタッフィングの魅力がわかったところで、一人ひとりのキャリアに目を向けると、リクルートスタッフィングで働くことから得られるものや、キャリアの魅力とはどんなところにあるのでしょうか?

平田:まず私個人の経験からのお話をすると、私はもともと異業種の広告営業をしていました。それ自体はとても楽しくやりがいもあったので、人材ビジネスには正直あまり興味がなかったんですよね。

でも実際に携わってみると、本当に意義深い仕事で、強いやりがいを感じています。人の可能性を見出し、キャリアにつなげるお手伝いをしたいという人は是非派遣事業に携わっていただきたいなと思います。

また、その他にも「成長できるから」という理由や、「人と向き合いたい」という理由から弊社で働いている人もたくさんいます。

まず「世の中がわかる」ということが大きいかもしれません。お仕事を探す人、働き手を求める企業、そのどちらとも幅広く深いお付き合いをすることができるので、色んなリアルを知ることができます。

新卒に近いような年齢の方、主婦の方、先ほどお話したように企業でバリバリお仕事をされていた方。年齢もニーズもバラバラな方々のお話を聞いて、お仕事をご紹介する。様々な価値観やそれぞれの人生に触れることで多くのことを学ぶことができます。

また、企業側も本当に幅広くて。様々な業界、ベンチャーから大手企業まで多種多様な会社のリアルを知ることができます。

実際、人材派遣会社はみなさんが思っている以上に様々な企業と取引があるんですよね。私もはじめて広告営業の部門からから異動して来たときは本当に驚いたのを覚えています。また、企業の中でも人事の方だけではなくて、それぞれの部署の役職者の方と接することも多々あります。

---幅広く社会を見たいからコンサル会社に行く、なんていう話も聞きますが、幅広く見たいからスタッフィングに行く、なんてことも考えられるかもしれませんね。

平田:そうですね。キャッチフレーズとしては、「リアルを知ることができる」と言えるかもしれません。

でも、もちろんただ知るだけではなくて、人のリアル、企業のリアル、そして職場のリアルなどを肌で感じて、どういう方にどういうお仕事をご紹介していくか、そういうことを考えていかなければなりません。

単にお仕事内容とその方の能力をマッチングするだけではなく、その方が活躍するためにはどんな工夫をすればよいのか、どんな可能性を見出していくか、またその方のキャリアと向き合い、2年後・3年後どういうキャリアを目指していくのかをきちんと考えなくては、よいご縁にはなりません。

どういう可能性を見出すか、どうやってその方に活躍してもらうかを考え、その方の将来を一緒に考える。それを我々は就業フォローと呼んでいるのですが、まさに企業で言う管理職と同様のことをしていると言えると思います。

そうやって、目の前の方や企業と深く向き合いながら、様々な学びを得られる。社会を知り、人事や管理職のような視点を持ちながら人の可能性を引き出す、そんな所がこの仕事の魅力だと感じています。こんなに奥深く、面白い仕事はないですし、いろんな仕事に転用できるスキルも身につくと思っています。

---ありがとうございます。人と向き合いながら、成長を得られる、そんな魅力的な仕事だと感じました。

平田:あとは、蛇足かもしれませんが、「働いている人がよいからうちの会社を選びました」って人が多いんですよね(笑)

仕事柄みんな人のよいところを探そうとするんです。なぜならば、私たちは、人のよい所を引き出して、どんなお仕事と結びつけるかを考える仕事なので、人が出来ないことを探すのではなくて、何が出来るか、可能性は何かを常に考えているんです。それが社内でも自然と出るようになっているのではないでしょうか?

---人が出来ないことを指摘するのではなく、可能性は何かを見つけていく風土。

平田:バツではなくマルというのが本当に大事で。弊社だけに限らず、これからの世の中では、どこででも必要になってくる視点だと思っています。

これまで、マネジメントとは「人を出来ないことを直そうとする」ことだったかもしれませんが、今の時代、それだけでは組織として強くなれないと思っています。

「この人はこれができない」とバツを付けるのではなく、何が出来そうなのか見つける。それがこれからのマネジメントだと考えていますし、そしてそれこそが真に人をいかすということだと思っています。

---人に対してバツをつけるのではなくマルを見つけていく。 それが真に人と向き合っていく、ということかもしれませんね。本日は、どうもありがとうございました。

その人の可能性を見出し、新たな雇用につなげる。

ネガティブなイメージもある人材派遣業界ですが、平田さんにお話を伺い、社会的意義や、個人のキャリアと向き合うことに非常に熱心に取り組んでいるのだということを知りました。

社会を知り、人と向き合いたい。また、人の可能性を見出し、雇用の創出に関わっていきたい。そんな気持ちを持つ方は、是非派遣業界の扉を叩いてみてはいかがでしょうか。

平田さん、ありがとうございました。

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