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大企業が「ベンチャースピリット」を持つ学生を求める理由とは?

大企業は「堅実な人材」を求め、ベンチャー企業は「チャレンジ精神のある学生を求める」。そんなイメージを皆さんも持っていませんか?しかし、今回お話を聞いた、ITベンチャーで人事を務める清水さん(仮)は「その構図が逆転している」と言います。大企業が「ベンチャー人材」、ベンチャー企業が「大企業人材」を求める理由とは?

これまでの「大企業人材」「ベンチャー人材」

---大企業・ベンチャー企業の求める人材像が変わってきているとお伺いしました。一体どういうことなのでしょうか?

清水:詳しいお話をする前に、これからの話はあくまでも「一つの視点」というお話ですので、それを留意しておいて下さい。

就活生の皆さんも何となくイメージはあると思いますが、それまでの「求める人材像」というのは、大企業は「堅実な人材」、ベンチャー企業は「チャレンジ精神のある人材」というものが一般的でした。

大企業には、すでに確立されたビジネスモデルが存在し、定型化された業務内容がある。そんな中では、その「出来上がったシステム」を、いかに効率的に、大きな問題を起こすことなく回すことができるか、ということが重視されていました。

そのため、ベンチャー的なイメージの強い「大学時代に起業をした」 のような「トガった」人材よりもむしろ、素直で、対人スキルなどに問題がなく、堅実に仕事をこなす、オペレーションに強い「優等生」人材を求めていたのです。

一方でベンチャー企業では、強い製品・サービスによって会社は急成長しているものの、そのビジネスストラクチャーは荒削り、という環境が一般的です。

すると「社内に整備すべきことがたくさんある」「新たな事業の柱を作らなくてはいけない」という環境はチャンスでもある一方で、社内制度が整っていなかったり、業務領域が綺麗に切り分けられていなかったりという状況が多い。

そのため「自ら課題を発見し、その課題を解決できる人」「荒々しい環境でも耐え抜ける人」「新たな売上を作る人」といった人材が必要になってくるわけです。

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大企業は「ベンチャー人材」を、ベンチャーは「大企業人材」を

---それが今変化している、というわけですね。

清水:そうなんです。特に顕著なのは大企業ですね。

「有名大企業が経営危機に陥る」といったケースはみなさんもご存知ですよね。これはあくまでも極端な事例ですが、ここ数年、数十年で大企業を取り巻く環境が大きく変動しているというのは事実です。

国内市場の縮小や、海外の競合企業の成長、社会のデジタル化・IoT化の社会の変化で、大企業のあり方も変化が求められています。

そうすると、これまでのビジネスを堅実に推進するだけでは生き残ることが難しくなっていく。

市場の変化に合わせて既存のビジネスを変革したり、新しいビジネスを興したりといった力が必要になります。

その時、いわゆる「ベンチャースピリット」を持つ人材の活躍が重要になるわけです。

実際に、ベンチャー企業の経営者が大企業の経営クラスのポジションに抜擢されたという例も少なくないですし、もう少し下のレイヤーでも、ベンチャー企業からの転職組が重宝されています。

---なるほど...。ベンチャー企業の求める人材も変化しているのでしょうか?

清水:大きく変化しているというわけではないですが、中堅規模に成長したベンチャー企業は「大企業的な」人材を求めることが増えてきます。

主力事業が成長したフェーズにおいては、ビジネスを安定させ、スムーズに動かしていく、堅実な人材が必要になります。

そして、会社としても成熟していくと共に「人手が足りず、一人の社員が複数の領域をカバーする」という状況から「部署・部門ごとに専門性を持って業務を遂行する」というフェーズへと移行する。

その際に必要になるのは、一つの部署でじっくりと専門性を高める「大企業のキャリア」というわけです。

新卒採用市場では「ベンチャー」として名乗る企業であっても、会社のライフサイクルとして「大企業」に足を踏み入れていることは多いので、注意が必要です。

「ベンチャーで挑戦ができる」といって入社したものの、その堅実な業務とのギャップに悩んでいる、といった人を実際に目にすることも多いですから。

あなたは「開拓」タイプ?「オペレーション」タイプ?

---大企業は新たな挑戦に備え、ベンチャー企業は拡大に備える、そのための人材が必要というわけですね。

「ベンチャー志向の学生は、大企業に行くべきだ」そんなことも言えるかもしれません。

清水:そうですね。とはいえ、冒頭に申し上げた通り、これはあくまでも「一つの視点」の話です。

採用要件は、その企業の規模やビジネスモデル、事業フェーズによっても大きく異なってきます。

---すると、それぞれの会社についての深い理解が必要ですね。

清水:まさしくそうだと思います。その会社がどういった人材を求めているのか、自分がその人材像にマッチして、その会社で活躍できるかという見極めは重要になります。

とはいえ、学生という立場では、その会社を深く見極めることは難しいかもしれません。

なので、今回お伝えしたいメッセージとしては、「自分がどういう志向性を持つ人材なのか」という点を意識してほしい、ということになるでしょうか。

私自身も人事として多くの就活生と接してきていますが、「自己分析」というと、「やりたいこと」「成し遂げたいこと」といった観点だけを考えている学生さんも多いです。

「業界」「取り扱う商材やサービス」ばかりを考えてしまうと「働き方」「個人としての価値の生み出し方」という点がおろそかになってしまうことも多い。

自分は「開拓タイプ」なのか「オペレーションタイプ」なのかといった、仕事自体への志向性についてももう一度言語化をしてみると良いのではないでしょうか。

---ありがとうございました。自分の志向性と、志望企業が求める志向性、今一度整理してみると良いかもしれませんね。

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